【完結】『サヨナラ』そう呟き、崖から身を投げようとする私の手を誰かに引かれました。

仰木 あん

文字の大きさ
20 / 58

二十話 決意表明

しおりを挟む
前日の夜は遅くまで話をしていたため、マリアの今朝の授業はお休みにして、ゆっくり過ごしている。

遅めの朝食を済ませると、キースは屋敷中の者を食堂に集める。

キースはマリア、アメリアに挟まれるように立つと、集まった使用人達の顔を見渡し、両隣に立つ二人の顔を見る。

そして、ひとつ頷くと、使用人達にむかい、

「さて、まずは皆には、仕事中にもかかわらず、その手を止め、集まって貰いすまない。そして、いつもこのエネロワ公爵家の為に懸命に働いて貰っていることを感謝する。」

深々と頭を下げるキースに、

「頭をお上げ下さい。」

「もったいないお言葉です。」

などの言葉がかけられる。 

ザワザワとなる食堂の中

暫くのざわめきの後、静かになると、キースは言葉を続ける。

「昨夜、私は娘のマリア、そして、今この家の事を、任せているアメリアに話したんだが、君たちにも聞いて貰い、判断してらいたい事ができた。それは、この先は公爵家の存続とこのエネロワ公爵領の安全が脅かされる可能性がらあるからだ。詳しくは、去る人間もいるかも知れないから言えないが、危険な状況になることは否めない。だから、君たちに判断して貰いたい。今、退職するなら、いくらかのお金を持たせてあげられるとは思う。」

再びザワザワする食堂……。

そこで、執事長のセバスが前に出て発言する。

「エネロワ様、失礼なこととは思いますが、私の発言をお許し下さい。私達の事を想われての発言かとは思いますが、あまり私達を見くびらないで頂きたい。私達は貴方様の使用人として今まで一生懸命尽くして参りました。それはひとえにキース=エネロワ公爵と言う一人の人物に惚れていたからです。だから、どんなことにでもお供します。皆はどうだ?まぁ、今ここで私は………とは言いづらいだろうからそういうものは後で私に言いなさい。命をとしてエネロワ様に仕えたいものだけが残れば良い。そうですよね?」

セバスの言葉にキースは、苦い顔をしながら、

「ありがとう、そして、すまない。君たちを侮るつもりは毛頭ないんだ。ただこの後は本当に命がけなのは偽りではない。ただ、私はこの先の戦いは運命付けられていたと思うほどだ。さて、どうだろう、辞めたいものは……。」

数名の使用人が去るが、それでも大多数の者がその場に残る。

「さて、皆には私の戦いに付き合わせてしまうことになるが、っと、今残ってくれていると言うのは、覚悟が決まっているようだから率直に言おう。私、キース=エネロワは、ギネリン王国、国王ステルベン=ギネリンを討たねばならなくなった。その為にはこの先いくつもの困難が待ち受けているだろう。だが、皆の力を私に貸してくれ!」

そう訴えたキースに使用人一同から力強い声で返事が返る!

「「喜んでお供します!」」

このときキースはマリアと、そして、アメリアの手を力強く握り締めるのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします

タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。 悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

【完結】婚約破棄はいいですよ?ただ…貴方達に言いたいことがある方々がおられるみたいなので、それをしっかり聞いて下さいね?

水江 蓮
ファンタジー
「ここまでの悪事を働いたアリア・ウィンター公爵令嬢との婚約を破棄し、国外追放とする!!」 ここは裁判所。 今日は沢山の傍聴人が来てくださってます。 さて、罪状について私は全く関係しておりませんが折角なのでしっかり話し合いしましょう? 私はここに裁かれる為に来た訳ではないのです。 本当に裁かれるべき人達? 試してお待ちください…。

地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ

タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。 灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。 だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。 ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。 婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。 嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。 その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。 翌朝、追放の命が下る。 砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。 ――“真実を映す者、偽りを滅ぼす” 彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。 地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...