ハルト様、貴族であることをかさに着て、領民を見下すのはお止めください!って、本当に止めた方が良いですよ?彼らは……。

仰木 あん

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第一話

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マリアは、子爵家の娘で、一人っ子である為、外から婚約者を迎え入れる必要があった。

そうしてマリアと婚約する事になったのが、ハルト、彼は男爵家の次男で、跡を継ぐ芽がないことから、喜んで婿入りを希望していた。貴族で居続ける為に………。

「マリアさん、今日は一緒に領地の見回りなどをしていただけませんか?」

「ええ、良いわね。春めいてきたし、木々も花を咲かせてきているから丁度行きたいと思っていたの。」

今日もハルトはマリアのご機嫌をとるのに必死だ。

馬に二人で乗り、ゆっくりと領地を二人でみて回る。

「日も出て暖かいですね。」

「ええ、お花の良い香りがするわね。」

そんなたわいもない会話をしていると、川辺にでた。 

「見て下さい。領民が水辺で水を掛け合って、遊んでいます。」

「あら、涼しそうね。」

「まったく、あんな風に遊んでいる暇があったら、もっと働けば良いのに。汚い格好で遊ぶなんて、景観が壊れる!」

「ハルトさん、あまり領民の方を悪く言わないで下さい。彼らのお陰で領地の運営が成り立っているのですから。」

「はぁ、そんなものですかね?下民は下民らしく一生せせこましく働いていれば良いんだ。」

ハルトがぶつくさと言っていると、水が馬にかかり、馬が驚き、馬上の2人が落ちそうになる!

「こ、こら!危うく落馬するところだろ!気をつけろ!」

「ハルトさん、怪我もないんだし、その辺にしときなさいよ。」

「いいえ、優しくしてたらあんな奴らは付け上がるんです!主人と下僕の関係を分からせてやらないと!」

「あ、危ない!止めなさい、ハルトさん!」

ハルトはマリアが止めるのも聞かずに、下馬して遊んでいる子供に近づくと、鞭を打つ!

「この下民が!」

「危ない!」

ハルトが鞭を打ったと思った刹那、ハルトの右腕が宙を舞う!

「ぎ、ぎゃ~!い痛い!痛い!う、腕が~~!」

「ハルトさん、だから言ったでしょ?危ないって、領民の方々は様々な人種の力を受け継いでいるから、子供といっても、とても強いのよ。私達は管理能力があるから運営を任されているだけで、成り立ちは全て領民の方々のお陰なんだから………ってもう聞こえないわね。ごめんなさい、遊びの邪魔をしてしまって。」

マリアが話している隙に、ハルト子供達に殴り殺されてしまった。

「はぁ、またどこからか婚約者を見つけないと。」
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