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第六話 王、王子との対面と処遇。

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怪しい侵入者はアドレー王子だった!

王子が王様のもとへと、連れていかれ、マリアはひとり取り残される。

「知らないこととはいえ、王子にあんなことを……やっと静かに暮らせる場所を見つけたと思っていたのに、もしかして不敬罪とかで投獄?処刑?ん~、早めに逃げた方が良いかしら……。でもそんなことしたらお父様に迷惑が…」

マリアが色々と悩んでいると、

「マリアさん、王様が貴女を連れて来るように……と、」

「は、はい……。もう遅い、……か。」

マリアは衛兵に王様のいる部屋へと連れて行かれる。

「………というわけなんだよ。だからさ、父さん、頼むよ!」

部屋の中から何やら話声がする。

衛兵がノックをすると、

「陛下、お連れしました!」

「ああ、入りなさい。」

扉が開いたが、マリアは緊張で足が前に進まない。

「まぁ、そう堅くならずに、入って来なさい。」

王様の優しげな声に、殺される事はなさそうね……と、少し気持ちを和らげて、マリアが部屋に進み入る。

「お、そうそう、この侍女さん。」

「あ、先程はとんだ失礼を……」

マリアが深く頭を下げると、

「ん?何してるのさ、さっきのはどう見ても俺が悪い、だから頭をあげてくれ。」

マリアはその言葉に、顔をあげると、そこには、肌が健康的に日に焼けた、端整な顔立ちの人物が立っていた。

「え?」

そして、そこには先程と変わらない綺麗な青い瞳がある。

「ん?どうした?ああ、服装が違うから分からないか?まぁ、先程は誰にも気付かれないように、城の壁づたいに部屋へいかなくてはいけなかったからな。」

アドレー王子は少しおどけてみせる。

「はぁ、そうだったんですね…。」

「ん?なんか緊張してるのか?さっきはあんなに強気で相手をしてくれていたのに。」

「それは、ここには、王様がいますし、何よりさっきは、こそ泥だと思っていたもので…」

マリアは申し訳なさそうに答えると、

「そうか、こそ泥には動じないんだな?」

「ええ、ある程度なら、護身術もできますし。」

マリアは緊張がとけたのか、力こぶを見せるポーズをする。

「ん?どれどれ?」

アドレーがマリアの力こぶを触る。

「ひゃ!」

「ん?そんなに驚かなくても良いだろ?」

「いや、でも……」

「ふ、可愛いな♪」

マリアの頭をポンポンと叩く。

「ちょ、やめてください…もう、それから、部屋に入るときは今度からドアから入ることをオススメします!………あ、また……すみません。」

「ほっ、ほっ、確かにお前の言う通りの人物の様だな……侍女マリア、いや、マリア=ライオネルよ、君に頼みがあるのだが?」

「は、はい、陛下!何なりと。」

「ん、では君に私の息子、アドレーと婚約して貰いたい。」

「はい?!?!?」








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