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危険な男
しおりを挟む「来てくれたんですね。」
紅茶の香りを漂わせながら、彼はミノアの前に現れた。
店の中の笑顔と同じ、営業スマイル。さらりとした金色の髪を風になびかせてミノアの前に立っている。
「何か御用かしら?」
つい数十分前まで、彼の妄想で気持ち良くなっていたとは思えない凛とした表情で彼女は言う。
「前からあなたを見て、一度食事にお誘いしたいなと思っていたんですよ。」
綺麗な顔立ち。本心の見えない作り物の笑顔で彼はそう告げた。
「それは光栄ですわ。」
どこの誰か素性がはっきりしない男と火遊びするのは避けている。
自分の身を滅ぼすことになるからだ。
「あなたのような素敵な女性に出会ったのは初めてです。」
惜しみない笑顔を向ける彼。危険だと本能が告げている。
しかし、目の前にいる男はどこか懐かしい感じがして、ミノアの心は激しく惹きつけられていた。
(前世からの繋がりを感じるわ。彼を見ているとひどく懐かしい感じがする・・・)
彼の魅力にミノアの乙女心はあっという間に奪われてしまった。
前世からのつながりなんて、そんな根拠のないものを普段は絶対に信じない女だというのに。
恋の魔法は恐ろしい。
女の心は魅力的な男との出会いで簡単にコロコロ移り変わる。
女とはそういう生き物なのだ。
「あなたのことをもっと知りたいわ。」
一生に一度の恋。
人生の全てを投げ出してでもこの男についていきたいと思えるような、激しい恋に憧れがある。
ミノアは一生に一度の恋に身を焦がしてみたいという破滅的な欲望を抑えられない。
「僕もあなたのことをもっと深く知りたい。」
誠実を絵に描いたような整った顔立ち。どこか中性的な印象のあるこの男は、雄の性的な部分をまるで感じさせない上品さがある。
ミステリアスな部分と、気品のある立ち振る舞いが絶妙にマッチしていて、追いかけたい衝動に駆られてしまうのだ。
「このマリーナに僕のヨットがあるんです。その中でお茶でもどうですか?」
この男、一体何者なのだろう。
危険と分かっていても、ミノアは彼を知りたいという欲望に激しく揺さぶられてしまい、女の性に従うしかなかった。
危険だからこそ、惹かれたのかもしれない。
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