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悪趣味な男
しおりを挟む「随分長い時間、お楽しみだったみたいだね。」
アダムの寝室から出ると、美しいブラウンの瞳と目が合った。
血のように真っ赤なワインが注がれたグラスを片手に、ニヤリと笑うグレイ。
廊下で待ち伏せしていたこの美しい男に喘ぎ声を聞かれていたかもと思うと、恥ずかしくて直視出来ない。
「王子の身体は、気に入った?」
顔を近づけ、耳元で囁くねっとりとした声。
背筋にゾクリと快感が走り抜けた。
(なんつーセクシーな声出すんだ、このハンサム・・・!!)
彼は私の背後にまわると、身体のラインをなぞるように指を動かし、興奮を煽る。
「ちょ・・や・・だ・・・っ」
「可愛い声・・・あれだけじっくり愛されたら、そう簡単に興奮は抜けないよね?」
クスクス笑う彼の指が、下腹部まで伸びてきた。
未だジクジク熱を持っている部分に、届きそうで届かない。
焦らすような絶妙な動きに、息があがる。
「グレイ、悪ふざけはそこまでにしてもらえる?」
「ア・・アーサー・・・っ」
止めに入ったのは、様子を見にきたアーサー。
気持ち良くて潤んでしまった瞳で彼を見ると、何か言いたげな視線が返ってきた。
グレイの指に触れられると、気持ち良くて腰が抜けてしまいそうになる。
これは彼の持つ魔法の力なのだろうか?
不適な笑みを浮かべ、グレイは暗い廊下の奥深くへと消えていった。
♢♢♢
「アダムの寝室に、ワイングラス・・?あったけど。」
アーサーの質問に答えると、彼はハァと深いため息を吐き出した。
「やっぱりね。」
「あちゃ~・・それはさすがに悪趣味すぎるっすよ!」
「え?え?どういうこと?」
呆れ顔のアーサーと、うわ~と大袈裟に驚いているエイダに、状況が飲み込めない私は慌てて聞き返す。
「寝室に置いてあったワインは、グレイの持っているワイングラスと繋がってて・・・二人がエッチしてるとこ多分全部見られちゃってるっす。」
エイダの言葉に信じられない気持ちでアーサーを見ると、彼がゆっくりと頷いた。
(グレイ・・なんて悪趣味で・・セクシーな男なの・・・・?!)
思い出すのは、ブラウンの綺麗な瞳。
あの寝室での出来事を全て見られていたかと思うと、私は何故かたまらなく興奮してしまった。
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