【※R-18】異世界のゲートをくぐり抜けたら、イケメン達に取り合いされる最強のチートキャラ人生が待っていた。

許さない

「俺の運命のお姫様を連れて帰るなんて、絶対に許さない。」

「アダム王子、これは仕方ないことなんすよ。今度はメルヘン界で熱病発生なんっすから。」

エイダの言葉には、深刻さのかけらも感じられない。
可愛い顔立ちと親しみやすい軽い口調が相まって、深刻さからは程遠いところに着地してしまう。

私を連れてメルヘンの森へ帰ろうとするアーサーとエイダへの敵意をむき出しに、アダムは私のそばを離れようとしなかった。

「穂花ほのか、俺のそばを離れないって約束して？」

熱は下がったようだけれど、未だ顔色が悪い。
青白い肌が、彼をより病的に見せている。腕をがっしりと掴んで説得にかかる彼は、歪んだ執着心をむき出しに私を引き留めようと必死だった。

（私に執着するヤンデレ王子・・・♡わざと素っ気なくして、いじめたくなっちゃうなぁ・・・♡）

深刻さが微塵もないという点では、私もエイダと良い勝負だ。

「君は俺のものだ。もう二度と離れないように、君を守るよ。」

「アダム王子・・・」


メルヘンの森で新たな熱病患者が出たという連絡が入り、私たちは急いで向こうの世界に戻ることになった。また新たなイケメンとベッドで夜通し愛し合うという大仕事が、私を待っている。

そんな中、アダムが私をこの城から連れ出すことは許さないと宣言し、皆困り果てていた。


「何の騒ぎだ？」

男の声に、皆が振り返る。

オレンジ色の髪、印象的な青い瞳、高圧的な態度。
悪役らしからぬ、真っ白な衣装に身を包んだ色男。

膝下まで長さがあるジャケットにはゴールドの荘厳な刺繍が施され、首元のフリルと共に彼の華やかさを際立たせていた。一目で身分の高い人間だとわかる。

見知らぬイケメンの登場に、私の目はまたも釘付けになった。