【※R-18】異世界のゲートをくぐり抜けたら、イケメン達に取り合いされる最強のチートキャラ人生が待っていた。

aika

文字の大きさ
21 / 23

オーウェン

しおりを挟む

「お前たち、何を騒いでいる。」

ああでもないこうでもないと騒いでいる私たちの元へ、これまた華やかなイケメンが舞い降りた。

オレンジ色の派手な髪色、意思が強そうな鋭い視線。
ビリビリとした緊張が、一瞬にしてその場の空気を凍り付かせる。

ラスボス感漂う彼と目が合った瞬間、足がすくんで動けなくなった。
挑発的な視線で一通り私たちを見回すと、ゆっくりと足を進めアーサーの前でぴたりと止まる。

「なんだ、お前か・・・アーサー。」

「オーウェン、久しぶりだな。」

「まだ生きていたとはな。」

バチバチと火花の散る音が、聞こえる気がする。
彼らは仲が悪いのだろう。険悪な雰囲気、睨み合う二人の色男。


「二人は、仲悪いの?」

「見ての通りっす。顔合わせるといつもああなんすよ、あの二人・・・」

小声でエイダに尋ねると、うんざりという表情で耳打ちされた。


「アダム王子の父上が早くに亡くなって、その弟の息子であるオーウェンが長らく実権を握ってて・・」

ヴィランの世界も色々と複雑らしい。
横文字に弱い私は、彼らの名前を覚えるだけでやっとだった。

一度見たら忘れられないほどのイケメン揃い。
悪役の男も悪くない。魅力的すぎて目移りしてしまう。


「そこにいる女は、何者だ。」

オーウェンが、私を指差す。
強い視線が向けられて、ドキッと身体がこわばった。

「この世界の救世主っすよ!!」

「例の預言の救世主か・・・この女が?」

「オーちゃんは口が悪いだけで、急にとって食ったりはしないから平気っすよ!」

エイダのフォローがいちいちジワジワくる。
彼は天然キャラで、当たり障りのない言葉を選ぶ能力に欠けていた。
もちろん底抜けに明るく性格が良い彼に、悪気はない。

ヴィランのトップともいえるオーウェン相手に「オーちゃん」と呼んでしまうのも、彼らしくて笑ってしまった。


「ふん、こんな小娘に何ができる?馬鹿馬鹿しい。」

まるで俳優みたいだ、と見惚れてしまう。
オーウェンの声は部屋の端までよく通り、大袈裟な物言いや立ち振る舞いはまさに映画の悪役そのものだ。


「彼女は俺の運命の相手だ。気安く近寄るな。」

アダムが私の前に立ちはだかる。
親の仇でも見るような憎しみを込めた目で睨みつける彼を、オーウェンは見ようともせずゆっくりと手をかざした。

「アダム・・!!」

事切れたようにふっと倒れ込んだアダムの身体を、アーサーが支える。
何が起きたのか一瞬わからなかった。

「心配するな、眠らせただけだ。こいつは病み上がりだろう?部屋に寝かせておけ。」

オーウェンの横暴な物言いに、場が騒然となる。

(手をかざすだけで、アダムを眠らせたの・・?!さすがヴィランのトップ・・!すごい・・・)


こちらへ近づいてくる彼を見て、アーサーが一歩前へ出た。

「穂花に近寄るのはやめてもらえないか?お前は昔から女嫌いだったよな。」

私を守ろうとする彼の態度にドキドキしながら、半歩後ろに下がる。


「女は嫌いだ。弱くてギャアギャアうるさい。」

華やかな見た目とは裏腹に、彼の心は冷酷そのものだった。
彼の目を見ると、どこまでも静かで波立たない心を感じる。

人と馴れ合わず、己の信じる道を行く。孤高の強さ。


「オーちゃん、アダム王子眠らせちゃってどうするんすかぁ?ゲート開いてもらって帰りたかったのに・・・」

「問題ない。コハクを呼べ。」

オーウェンに呼ばれて現れたのは、これまた世にも美しい色男だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

残念女子高生、実は伝説の白猫族でした。

具なっしー
恋愛
高校2年生!葉山空が一妻多夫制の男女比が20:1の世界に召喚される話。そしてなんやかんやあって自分が伝説の存在だったことが判明して…て!そんなことしるかぁ!残念女子高生がイケメンに甘やかされながらマイペースにだらだら生きてついでに世界を救っちゃう話。シリアス嫌いです。 ※表紙はAI画像です

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

転生先は男女比50:1の世界!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。 「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」 デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・ どうなる!?学園生活!!

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...