【※R-18】異世界のゲートをくぐり抜けたら、イケメン達に取り合いされる最強のチートキャラ人生が待っていた。

aika

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気をつけて

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「お呼びでしょうか、オーウェン様。」

オーウェンに呼ばれて現れたのは、色白で細身の美しい男だった。
ヴィラン所属にしては控えめで腰が低い。

生気の感じられない静かな瞳をこちらへ向け、軽く会釈する。

「コハク、ゲートを開いてこいつらを帰してやれ。」

「かしこまりました。」

オーウェンが偉そうに顎で指示すると、コハクは静かに頷いた。


「コハクさんって誰・・?!ヴィランなの?全然悪そうじゃないね。」

「めちゃくちゃ穏やかで優しい人っすよ!!」

コハクは、倒れ込んだアダムのそばに歩み寄り、胸の辺りに手を当てる。
ホワーンと聞いたことのない不思議な音が鳴り響いて、青い光が広がった。


「彼は他の人間の能力を、コピーできる力があるんだよ。」

アーサーが私の耳にそっと耳打ちする。

「敵に回すと厄介な相手だな・・。」

彼が誰に言うでもなく、呟いた。


メルヘンな世界に来たと浮かれていたのに、厄介な展開になりそうで気が滅入る。
可愛い獣人のイケメンたちと、ベッドで浮かれてばかりもいられないようだ。


コハクが宙にそのか細い手をかざすと、みるみるうちに空間に大きな穴が空き、時空が歪む。
目の前に大きなゲートが現れた。

(ノアと同じ能力・・・?すごい・・・っ)

私がこの世界に来た時にくぐったのは、アダムが作ったゲートだったらしい。
見覚えのある大きなゲートの向こう側には、美しいメルヘンの森が広がっていた。


「さぁ、帰るっすよ!」

すっかりメルヘン側の一員になりつつあるエイダが、ギリギリまでオーウェンと睨み合っているアーサーを促した。

「今回だけは見逃してやる。次に会ったときにはあの女を捕まえて酷い目にあわせてやるからそのつもりでな。」

「出来るならやってみろ。俺の命をかけてでも、お前を殺してやる。」

アーサーは元々こちら側の人間だったのだ。
ドスの利いた声で物騒な言葉を吐く彼に、どこまでも暢気な私はときめいてしまった。



「森のうさぎには気をつけて。」

彼らと共にゲートを潜り抜けようとした瞬間、コハクが私にこっそりと耳打ちする。
振り返って彼を見ると、何か言いたげな切ない瞳と目が合った。

「気をつけて・・・」

消え入るようなか細い声。儚げな美しい男。

あまりの美しさに、ドクンと心臓が高鳴る。
彼の言葉の意味がわからないまま、私はゲートを潜り抜けた。



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