3 / 44
紅一点
しおりを挟むこんな名言を聞いたことがある。
男の集団の中に女が一人であれば、どんなに魅力のない女であっても奪い合いの対象になると。
女子校では、「ただのおじさん」としか形容しようのない男性教諭もモテるものだ。
それと似ている。
私は実際に女子校でただのおじさんがモテているのをこの目で見てきた。
男の中に紅一点であれば、どんなに魅力がなくてもモテる。という名言にはかなり期待出来る気がする・・!!
この名言が本当なのかどうか、確かめる機会が自分の人生に起きるとは。
なんたるラッキー。
ここ数日の例をとってみると、どうやらその明言は本当なのではないかという期待が高まっていた。
「おい、どこ見てんだ。ボーッとすんな。お前、死にたいのか?」
組織の中のイケメン。高野 亮。この男は口が悪いことで有名。
根っからの鬼畜で、後輩や同僚を痛めつけるのが趣味とまで囁かれている仕事人間。
特医班所属。特別医療班の長として、医療全てに精通する若き医師でありエージェント。
白衣姿がよく似合う。
振り返ると、白衣の彼が腕組みをしてドヤ顔で突っ立っていた。
「高野、相変わらず口が悪いね。」
性格はものすごく悪いこの男。
同期だというのに、いつも私に対しての風当たりが強い。
組織の中では1、2位を争う勢いで、私のタイプど真ん中の顔立ちをしている。
色白、黒髪、タレ目。三拍子揃った色男。
「お前足元見てみろよ。」
「え?あ、わぁ!!!」
言われて足元に視線を移すと、一歩先は崖だった。
「あっぶな!!落ちるとこだったじゃない。」
「いや、だから。俺が声かけてやったから助かったんだろ。」
感謝しろ。と曰う彼は、極悪な笑みを浮かべて私にぐんと近づいた。
「お前さ、なんか急に見られる顔になった気がするんだけど、男でも出来た?」
高野はことあるごとに私を「ブス」と呼ぶ。
仕事中、何度もペアを組んだ仲だけれど、眉間にシワを寄せながら「おいブス!」と私を呼ぶ彼をとても魅力的に感じていたのは、私がドMだからだろうか?
それとも彼がイケメンだから為せる技なのか。
そんな彼が急に私に迫って、色目を使っている。
男集団の中の紅一点は絶対モテる説、が信憑性を帯びてきた。
内心ではルンルン鼻歌を歌いながら、素っ気なく返す。
「だったら何?私に男ができたら何だって言うわけ?」
人生初の強気発言。美人にだけ許されるという、イケメンに対してのツン発言だ。
仮説が正しければ、強気に出ても男は食い下がってくるはずだ。
「・・許さない。お前は俺のもんだ。」
高野は急に真剣モードに入り、私の腰を掴んで引き寄せた。
長身で手足が長く運動神経も抜群の彼は華麗に身を翻し、私の目の前に迫る。
あぁ、これがイケメンの本気モード・・・!
私のファーストキスは、このイケメンに捧げるためにとっておいたのね。
唇が重なる瞬間、すぐ後ろから声がした。
「お前らこんなとこで何してんだよ。聞いてなかったのか?集合の合図が鳴っただろ。」
「たっちゃん・・・」
そこに立っていたのは、高野の天敵として名高い茶髪の王子様系イケメン、水原 拓也だった。
根っからの優等生気質の彼はルールを守らない人間を嫌う。時間通りに動かないと気持ちが悪い、という組織の中で模範となるような人物。
「規則なんかくそくらえ。むしろ俺様がルールだ!」という異端児の高野とは仲が悪かった。
「あぁ?水原、邪魔してんじゃねぇよ。」
「邪魔じゃない。集合だ。早く来い。」
睨み合っている二人にときめいていると、水原は私の手を引いて高野から引き離した。
そのまま手を繋いで建物の方へ歩き出す。
「おい、待てよ水原。」
二人のいがみ合う男。
彼らが取り合いしているのは・・・私!?
予期せぬモテ期の到来に、私の頭は完全に少女漫画モード全開だった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる