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イケメン連鎖
しおりを挟む「ちょっと、待って、水原。」
私の手を引いてぐんぐん進んでいく水原に、トキメキが隠せない。
鼓動はバクバク苦しいくらいに脈打つし、頭は予期せぬラッキーに混乱している。
「MもMだ。なんで高野なんて相手にするんだ?」
優等生の水原は、曲がったことが大嫌い。
融通が効かないことで有名だった。
潔癖症とも言える彼の性格は少し極端に思えるけれど、見た目の華やかさがそんなことどうでも良いという気持ちにさせる。
キラキラと金粉でも飛んでいるのではと思えるほどの、眩しい王子系イケメン。
睫毛なんかそりゃもう長くって、女の私よりもずっと繊細な作りの顔をしている。
肌は白く艶があり、キメが細かい。
女装をしたらどんな女よりも美女になってしまうタイプの男だ。
彼は集合時間に遅れた私を咎めるようにキッと睨みつけた。
王子に睨み付けられる私・・・・
彼の周りには少女漫画によく出てくる「トキメキを表現するトーン」が貼られているように輝いている。
あぁ、麗しい・・・
「M、聞いてるのか?」
彼とは何度かミッションでペアを組んだ。
私のような全体的にルーズな女にとって、きちんとした男と一緒にいるのは大変な部分もあるけれど、「本当にお前はダメなやつだな・・・」とため息を吐かれるのは、それはそれでオイシイ。
優等生の仮面が剥がれた時、どんな一面が見られるのか・・なんて妄想するのも密かな楽しみだ。
「聞いてる、聞いてる、たっちゃん、ごめんね。呼びに来てくれてありがとう。」
彼はイケメンで完璧な優等生だけれど、人にあまり心を開かない。
組織の女性の中では私と一番仲良くしてくれていると、私は勝手に自負していた。
彼は私を下の名前で呼ぶ。他の女性は苗字で呼ぶのに、私のことは名前で呼ぶのだ。
そんな中学生みたいな理由から、私は勝手に期待を抱いていた。
私も彼を「たっちゃん」と呼ぶ。
「あんまりあいつと仲良くするなよ。」
「え?それって・・・やきもち?」
「なっ・・!違・・・っ」
イケメンなのに奥手で恥ずかしがり屋。
彼は顔を真っ赤にして否定の言葉を口にする。
「たっちゃん、違うの・・・?」
長い睫毛を伏せて真っ赤な顔で俯いた彼は、睨み付けるように私の方へ視線を移すとこう言った。
「・・・違わないけど・・・。」
やっぱりそうだ。
私は確信した。男集団の中の紅一点は、どんなに魅力がない女でもモテる。
魅力がない女、って言い切ってるところが我ながら虚しいけれど、それでもいい!!
一生に一度のモテ期のビックウェーブ、とことん乗りこなして楽しんでやろうじゃないの。
「さっき、高野とキス・・しようとしてた?」
彼はすねたような表情で、私の髪にそっと震える手を伸ばした。
「あれは・・・キス、されそうになってただけで・・・」
高野にファーストキスを捧げる気満々だったくせに、被害者ぶった言葉を平気で吐く自分に驚いた。
モテ始めると人間はこうも変わってしまうらしい。
何股もかけるモテモテ男の気持ちが少し分かったような気がした。
ほんの少しモテ期もどきを味わったくらいで、もはや言い訳を覚えている。
色々な男からチヤホヤされたいという本能的な欲求は、今まで押し込められてきただけに爆発的に膨れ上がっていた。
「なぁ、M・・・俺、」
これって愛の告白!?
ドラマなんかではよくあるベタなシーンのあれ?!
彼は決意したように私の手を取って、何かを言おうと口を開いた。
「水原。お前、人を呼びに行くことさえまともにできないわけ?」
「仲・・なんでお前が。」
またしても邪魔が入る。
私のモテ期は次から次へと現れるイケメンに邪魔されバトンタッチされていく運命なのか・・
オイシイ・・・・美味しすぎる・・・・
内心大量のよだれを垂らしながら振り返ると、声の主がスタイリッシュな振る舞いでその場に立っていた。
腕を組んだインテリ系イケメン、仲 詠司。
暗号解読班のエース。彼に解けない暗号はない。そう言われるほどだ。
暗号解読のみならず、彼のIQは200以上あるらしい。
無表情で無口なインテリ。絶対に敵に回したくないと同僚たちに言われるこの男は、水原に対して個人的な怨念があるらしい。何かにつけて彼に突っかかっていた。
黒髪のマッシュルームサラサラヘア。切れ長の瞳。
何もかも見透かされそうな意味深な視線。
「あまりにもお前の仕事が遅いから、俺がわざわざ様子を見にきてやったんだよ。わからないか?」
「それはどうも。全然ありがたくないけど。」
イケメン二人がバチバチと視線を交えるこの状況。
思わずスマホで写真を撮りたい衝動に駆られるのをなんとか抑えて間に入る。
「えっと・・・集合がかかってるんだよね?」
「S、早くおいでよ。みんなSを待ってるよ。」
詠司は私のことを苗字で呼ぶ。
以前ミッションで一緒になって以来、私は彼を名前で読んでいるけれど彼との距離感はなかなか縮まらない。気を許してくれたと思ったら、突き放されてガッカリする。
彼との関係はいつもそんな感じだった。
釣れない男を追いかけるのも悪くない・・・
この世界には組織のイケメンたちと、紅一点モテ期の私だけ。
もうこの世を征服したも同然なんじゃ・・・・?!
煩悩丸出しの私は、イケメン二人に挟まれるという夢のようなシチュエーションで会議室に急いだ。
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