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ドS男
しおりを挟む立花 柊は、荻野と仲の良いエージェントで、少年のような印象の男性だ。
万年最下位の成績だが、一生懸命で情熱家の彼の性格が他のエージェント達から支持を得ている。
彼は誰とでも仲良くなれる、可愛がられキャラだった。
荻野とは特別仲が良い。
「凪さん・・・緊急事態です・・・・」
神妙な顔つきの立花に、荻野の表情が一変する。
「どうした?柊。何があったんだ?」
「サシャさんが・・・・戻ってきました・・・・!」
(サシャが・・・!?どうやって・・・?!?)
「サシャが戻ってきたって・・・どうやって?」
荻野が私の心のうちと全く同じような言葉を吐いた。
サシャというのは、うちの組織の海外支部の男性で超エリートのエージェントだ。
金髪碧眼、モデル体型、甘いマスク。一度目にしたら網膜に焼き付いて離れないほどの美形。
そして真性のドS男。
「Mさんを・・・お呼びです・・・。」
死刑宣告でもするかのように、立花はごくりと喉を鳴らし私の顔を見てそう呟いた。
この時空に飛ばされた時、彼はここにいなかったはずだ。
どうやってここまで来たのだろう?
優秀な彼のことだから、「帰る方法見つけちゃったんだけど。」とサラリと言ってしまいそうなので私は怯えていた。
こんな素晴らしい逆ハーレム空間から、元のモテない女の生活に戻るなんて絶対にごめんだ。
一度だけ彼とペアを組んだことがある。
その時妙に懐かれてしまい、彼はことあるごとに私に連絡してきた。
♢♢♢
彼は応接間で寛いで、私を待っていた。
「やっほ~、M。元気そうだね。」
(軽・・・っ!相変わらず眩しいばかりのイケメン・・・)
思わず王子、と呼んでしまいそうなほど、キラキラのイケメン。
彼はヒラヒラと手のひらを振って、にっこり笑う。
「サシャ、どうやってここに来たの・・?」
「・・・久しぶりに会ったのに、言うことはそれだけ・・?」
彼はキョトンとした顔で、私を見た。
私の横に立つと、ねぇ・・・と甘い声で耳打ちする。
「しばらく会わないうちに、君は随分淫らになっちゃったみたいだね。」
『凪・・・なぎさ・・ぁ・・・・・あ・・・あ~~~~っ!!!』
ぞわり、と全身に鳥肌が立つ。
(荻野とセックスしている時の、私の声だ・・・・)
彼は長い指で、ピッとレコーダーのボタンを押した。
録音した私の喘ぎ声を何度も何度も繰り返し再生する。
「それとも元々淫乱だったのかな?」
彼の声に私は身動き一つできず、その場に呆然と立ち尽くしていた。
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