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逆ハーレム計画
しおりを挟む「どうやってここに来たの・・・?」
開口一番でそう聞いた私の態度が気に入らなかったらしい。
久々の再会なのだから、もっと盛大に喜べということなのだろう。
彼はお怒りモードに突入してしまったようだった。
こんなに綺麗な顔立ちをした色男が、手のつけようがない凶暴性を孕んでいるなんて。
人間って恐ろしい。彼の仕事ぶりを見るたびに何度そう感じただろう。
サシャの頭のネジはぶっ飛んでいる。よくエージェントたちが口にする言葉。
彼と何度もペアで仕事している荻野が「あいつには元々ネジなんて無い。」と言うのを私は何度聞いただろうか。
「あの・・・その音源はどこから・・・?」
とりあえず気になったことを聞いてみた。
私と荻野がセックスしている最中の声を、一体彼はどうやって入手したのだろうか。
「じゃなくて、会いたかった♡・・・でしょ?」
私を見る彼は笑顔だけれど、ちっとも笑っていない。本能的な恐怖を感じる。
サシャに会いたくてたまらなかった!!体を装わないと彼は納得しないらしい。
(相変わらず強引だわ・・・・)
何でも自分の思い通りに動かせるだけの、才能と頭が彼にはあるのだ。
私ごときが彼の命令にNOとは言えない。
「あ・・・会いたかった♡サシャ♡」
「よくできました。」
彼はぐいと、私の腰を引き寄せて深く口付ける。
彼の素早い動きに私は反応も出来ず、ただ黙ってキスを受け入れるしかなかった。
(イケメンとのキスは・・・大歓迎です・・・・!)
組織内でも一目置かれる特別優秀なエージェント。
性格はドSで、ルックスはまさに王子のようなキラキラ系イケメン。金髪碧眼。
この男とのキスを拒む女がこの世にいるだろうか。いや、いるはずがない。
「僕の気持ちをわかっているくせに、君は逆ハーレムを作ろうとしているの?」
ギクリ、と大袈裟に身体が震えた。
(一度も口に出していない私の逆ハーレム計画まで、見抜かれてる・・・?!)
さすが優秀なエージェント。私の心まで読んでいるとは・・・・と、思わず感心してしまう彼の優秀さ。
「サ、サシャの気持ちって・・・?!」
初耳だ。彼から好きだなんて告白されたことはもちろん無いし、元々そんな身分の女でもない。
女が一人しか存在していない世界というこの状況が、私に奇跡的なモテ期を授けただけなのだから。
(それとも私って実は元々モテたとか・・・?気付いてなかっただけなの・・・!?)
相変わらず自分に都合の良い解釈をしながら、私は目の前のイケメンを見つめる。
「しばらく会わないうちに君はかなり淫乱になったみたいだから、口で言うより身体でわからせた方が早いよね?」
彼は満面の笑みを浮かべて、私をソファーに押し倒した。
(ありがとうございます・・・神様・・・・!)
逆ハーレムに海外支部の男性も加えることができそうです。心の中で十字を切りながら、私は新たなステージへの扉を開こうと、静かに目を閉じた。
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