声優彼氏

aika

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第6話 『俺の声で・・感じさせてやるよ』 

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京極 豊。
どんな役でも演じ分けることができる天才声優。病弱な男性の役だったり、元気な少年の役だったり、パワー系のモンスターの役や、ファミリー向けのアニメの父親役だったり、その活躍は多岐に渡る。
イベントで初めて生身の彼を見た時、俺は声だけじゃなくて彼自身に惚れ込んでしまった。
黒髪、色白、線が細くてスタイルの良い優男。
ごつくてダンディなおじさま、というイメージを勝手に想像していた俺は衝撃を受けた。あれは一目惚れ、だったんだと思う。
彼は「セクシー」という言葉が似合う、儚げでミステリアスな雰囲気の男性だった。



♢♢♢♢


「へぇ。京極 豊がボーイズラブ?本当の情報?それ。」

ラジオ番組の収録帰り。
いつものレストランで暁と夕食を食べながら、収録の反省会。
真白が月島 夕から聞いた極秘情報について興奮しながら報告すると、ワイングラスを片手で回していた暁が驚いた声を上げた。

「月島 夕って知ってます?」
「もちろん。超売れっ子だよね、あの子。」

「会ったことあります?」
「一度現場であるよ。彼がデビューしたての時かな。」
「え!!そうなんだ・・・」

(あの子やっぱり暁先輩のファンなんじゃ・・・)

「何かあったの?」

「いえ。それより、京極 豊さんがまさかのBL・・・!」

「それなら真白にも狙えるかもね。ボーイズラブ得意だし。」

「得意っていうかなんていうか・・・」

「でもやりたいんでしょ?相手役。」

「もちろんです!!!あのとろけるような超絶カッコイイ声で好きだとか言われたら俺ほんとに好きになっちゃうかも・・・・!!っていうか、もう大好きなんですけど!!」

「・・・へぇ。」

京極 豊の話となるとついついテンションが上がってしまう。
彼の声はセクシーで、男らしくて、ねっとりとした独特の低い声が耳に残って離れない。
まるで毒みたいだ、と真白は彼の声を聞くたびにそう思った。
彼の声を聴くと、全身がゆっくりと犯されていくみたいに身体が熱くなる。


♢♢♢



ついつい盛り上がってかなりの量お酒を飲んでしまった。
お酒に弱い暁を支えて帰宅した真白は、彼をベッドに座らせると冷蔵庫へ水をとりに行く。

「せんぱぁい、お水飲みますよね。飲んだ方がいいですよ、絶対。」


もう何度もこの部屋に来ているので、最近の彼は遠慮がない。
他に部屋に呼ぶ友人も居ない真白には、それが嬉しく思えた。
我が物顔でベッドに腰掛ける暁に、お水を手渡す。

「ありがと。」

暁はペットボトルを受け取ると、真白の腕をそのままぐいと引っ張った。
真白は勢いよく手を引かれ、ベッド横の床に膝をつく。

「痛・・・ぁ、先輩、何すんの、」


『お前の師匠として・・・俺が責任を持って教えてやるよ。』


暁は、真白の腕を自分の方へ引き寄せて、耳元で囁いた。


(へ?!きょ・・・京極 豊・・・?!)

頭の中で直接声が響いているような距離感。

真白の耳元で囁かれる暁の声は、京極 豊の声にそっくりだった。

「え・・・あ、暁・・・せんぱ・・」

『力を抜けよ。そんなに力んでちゃあ、入るものも入らないだろ?』

京極 豊を好きになったきっかけのアニメ、『僕と師匠と。』の台詞だ。


(ななななな・・・なんで?!声・・・そっく・・り・・・!)

『なぁ、俺がお前の身体に何を教え込みたいと思っているか・・・わかってるよな?』

力が抜ける。京極 豊の声を聞くと、あまりのかっこよさに、男らしさに、骨抜きにされる。
身体に力が入らなくなって、息が苦しくなるくらいに、真白は悶えてしまうのだった。

(し・・・痺れる・・・)

足に力が入らない。彼の声を聴くと、立っていることさえ難しく思えた。

「あはは、真白、悶えすぎでしょ、いくらなんでも。」

ヘタっと床に倒れ込んだ真白の腕を掴んで、起き上がらせようとする暁。
真白は彼の腕に抱きついた。

「無理・・・起き上がれない・・・腰・・抜け、」

真白の顔は真っ赤で目が潤み、事後のようにふやけた表情。
熱っぽい彼の顔を見て、暁は一瞬にして欲情してしまった。


「そんな顔・・・反則でしょ、真白、」

「へ・・?・・・ッ!!んんっ・・・・!!」

急に唇を重ねられた真白は、何が起きたかわからず呆然と彼の唇を受けた。

(え・・俺、暁・・先輩・・・とキスしてる・・・?)

アルコールの香りが鼻に抜ける。


「ん・・・んぅ・・・あっ・・・」

真白の身体に、以前暁に触れられた時の熱が蘇ってきた。

唇が離れてからも、息を落ち着けるのに時間がかかる。身体が熱い。


「お前さ・・どれだけ好きなんだよ。京極 豊のこと。」

いつもの暁の声に戻り、真白は安心して深く息を吐き出した。



「そんな態度とられちゃ、声優として面白くないな。」

「せ、先輩・・・・?!」

「俺の声で・・・感じさせてやるよ。」


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