幼なじみの第二王子(女装)に甘く迫られています♥

ととりとわ

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第12話 事件の後始末

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 演奏会があった日から四日が過ぎても、エレイナはまだ普段の生活に戻れずにいた。
 しかし、今日こそは荘園に出向かなければならない。昨日届いた作物の種を届けにいきたかったし、先日農民たちが『水路の排水が悪い』とぼやいていた件で、様子を見にいかなければならなかった。

 エレイナはのろのろと寝椅子から身を起こして立ち上がろうとした。しかし、途端にめまいに襲われて、慌てて寝椅子の肘掛けに手をつく。
 あの日以来、ろくに食事もできていなかった。事件のショックと、その後アデルがどうなったのかが気掛かりで、物を口にする気すら起きないのだ。

 あれからすぐにスタンフィルとの婚約を解消することができたのは、不幸中の幸いとでもいうべきことだった。父親であるクロナージュ伯爵の話によると、彼を紹介した貴族とコリアード伯爵との仲立ちで、すべては穏便に解決したらしい。

 詫びのつもりなのか、ダエン侯爵からは趣味にしている馬二頭が贈られた。『息子も反省している』とわざわざ手紙をよこすあたり、おそらくこれ以上の荒立ては無用だと言いたいのだろう。
 しかし、それで心から許してしまえるほど、エレイナは愚かではない。
 無理やりキスをされそうになった上に、死の恐怖をも味わったのだ。おまけに大好きなアデルまでこけにされたときては、これから何かの折に顔を合わせた際には、彼女と一緒に睨みつけてやるほかないだろう。

 ――アデル様……。

 つん、と澄ましたアデルの美しい顔を思い出して、エレイナはため息を吐いた。
 彼女はあのあと、どうなったのだろう。きちんと逃げおおせたのだろうか。それとも、追っ手に掴まってしまったのだろうか。

 クロナージュ伯に尋ねれば、何かわかるかもしれない。しかし、アデルのことを父に尋ねるのは怖かった。あの日スタンフィルが言い放ったように、『そんな女性は王家にはいない』と父にまで言われてしまったら、自分はどうしたらいいのかわからない。

 スタンフィルはともかく、伯爵は今や元老院の一員で、先王の宰相まで務めた人だ。当然王家の人々には詳しいし、演奏会の日にあったことも、コリアード伯爵から詳しく聞いているだろう。彼にかかれば、アデルを慕うあまり、エレイナが敢えて気づかぬようにしていたことまで詳らかにされてしまう。

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