現世の常識なんて異世界では通じなかった話

(´と・ω・び`)

文字の大きさ
21 / 39
第五章 大戦

三節 油断大敵

しおりを挟む
三節

 ふと目を覚ますと、そこには綺麗な水の村でも、焼け落ちた水の村でもない、はたまた元の世界でもなく、何もない真っ白な空間だった。カツンカツン・・・と足音がして、その方向を向くと人影が見えた。白衣を着、何も描かれていないお面をつけているというなんとも奇妙な格好をした人だった。そして、俺の前まで歩いてくると話しかけてきた。

「お怪我はありませんか?」
「え・・・。あ、れ?肩の血止まってる・・・?」
「ひとまず、一命は取り留めているかと思います。早速ですが、貴方は何者なんですか?」
「・・・えっと、それはこっちも聞きたいんですが・・・。」
「ああ、すいません。こちらから先に申し上げるのが常識ですよね。詳細までは明かせませんが、まぁ、神とでも考えておいて下さい。それでですね、いつも貴方を観察させていただいt」
「え、えっと、ちょっと待ってください。理解が追い付かないんですが・・・。神・・・はイタイ人っていうことでいいんですが、観察ってなんですか、ストーカーですか。」
「いやいや、イタイ人だなんてひどいですよ。んー、・・・これは話してもいいのかな・・・。えっと、ストーカーとかじゃなくてですね。貴方は異世界から来られた方ですよね。この世界においてこれは今までにないケースでして、それで観察させていただいていたわけなんです。言ってみれば貴方は[特異点]なわけなんですよ。なn・・・。すいません、喋りすぎました。」
「特異点・・・。」
「ん、ああもうそろそろ時間ですかね・・・。一つアドバイスといいますか、忠告といいますか・・・。お伝えしておきますね。私達は、何千、何万・・・いやもっと何億といった世界を見てきています。その中でもこの時間軸は貴方という特異点によって変わってきています。例えば今回の大戦に関してでも20年もほかの世界より早く起こっています。これから先どうなるのか、私達でも予想が付きません。貴方を失うのは多分・・・いや、確実にこの世界にとってあってはならないことです。くれぐれも死な」

 気づくとその真っ白だった世界が一瞬で暗転し、そのまままた意識が薄れていった。

「・・・ん、・・・あれ・・・ここは・・・?」
「・・・すぅ・・・ユーリ、さん・・・すぅ・・・。」
「イタタ・・・。肩の傷がある・・・?・・・さっきのは・・・夢?にしてははっきりと覚えてるし・・・。」
「・・・っ・・・あれ?・・・ユーリさんっ・・・生きててよかった・・・っ・・・。」
「あ、アリア・・・?ご、ごめん泣かないで、ね?」
「・・・すいません、ユーリさんが生きてたのが嬉しくて・・・。」
「えっと、あの後どうなったのか教えてもらってもいい?」

 アリアは、俺とラミエルが戦っている間、倒れた従者の人たちに解毒魔術をかけ、毒を治して回復の手伝いをしていたらしい。
アリアが知っているのはラミエルを倒したところまでらしいが、気づいたら俺が社の前で倒れていたそうだ。あと、去っていく騎士らしき人影が見えたらしい。そして俺の肩の傷に気づいて大慌てで社に運び(これは回復したアストラさんの従者の人にやってもらったらしい)かたにヒーリングを掛けてくれていたらしい。ここまでの大怪我だとヒーリングじゃ治らないみたいだ。結局戦いはその日のうちに終わり、とりあえず被害の少なかった社に集合したそうだ。

「そうか・・・。心配かけてごめんね。」
「いえ、大丈夫です・・・けど、本当に、本当に!死なないでください、ね?」
「ごめん、ホントにありがとうね。」

 もう夜だったから、結局そのまま寝て、また朝を迎えた。アストラさんや村の人たちと話し合った結果、肩の傷が治るまではこの村に居させてもらうことになった。そして、その間、アストラさんに稽古をつけてもらうことになった。また今回みたいなことが無いように、ということで基本的な立ち回りなどを教えてもらうことになった。肩はアリアがヒーリングを掛けてくれたおかげか、激しく動かしたり、無理に体重を掛けたりしなければそこまで痛まなかった。

 稽古は、その日の午前中から始まった。社の前のラミエルを倒した広場が会場になった。村の中心的な場所なのか、数人の見物人がいたが、あまり気にはしなかった。

「ユーリ、お前は近接格闘術は使えるか?」
「いや、全然・・・。」
「そうか・・・。そうだな、お前は多分魔術師・・・いや魔法使いの方が近いか。どんな魔法が使えるんだ?」
「えっと、はっきりと技名があるわけじゃないんですが、火、水、風、土を割と自由に使えます。」
「・・・お前妖精じゃないんだよな・・・?」
「え?普通に人間ですよ。」
「ふむ・・・。基本的にそんな風に詠唱なんて煩わしいことをしなくとも魔法が使えるのは妖精くらいだ。それも各種族によって使える魔法は一つだけだ。例えば私らマー族は水を操れる。こんな風にな。」

そういうとアストラさんは掌を広げて上に向け、その上に水の塊を作った。それをぐにょんぐにょん変形させたり、また凍らせてみたり。そう言ったのを実演してくれた。

「なるほど・・・、ということは、他の魔法は・・・?」
「・・・残念ながら水しか使えない。そのための近接格闘術だ。私らは成人すると親から槍を授かる。それは海竜の牙から作られたものであったり、代々受け継がれたものだったり・・・色々あるが、これを使って敵を倒す。」

片手に持っていた槍をこちらに見せながら説明してくれた。そういえば確かに戦っている人は基本的にみんなトライデントのような槍を持っていたような気がする。

「とりあえず、稽古は普通の木の棒を使うが・・・。せめて私の攻撃を避けるなり受け流せるようになれ。」
「え、流石に無理じゃ・・・。」
「お前には風魔法があるだろう?それを使って移動補助なんかをするといい。基本的な身体濃色も大事ではあるが、そういった応用の方が実戦では役に立つ。練習しておいて損はないだろう。まぁ、だからといって体力を上げる事を放棄するなよ?」
「が、頑張ります。」
「とにかく避け続けろ。行くぞ!!」

その一言と共に一撃目の突きが来る。風魔法を掛けつつバックステップで回避する。
二撃目。突いた棒を一旦引き、一歩入れると今度は速度が倍になった突きが来た。その棒を風圧で横に逸らしながらその反動で反対側に避ける。
棒からアストラさんの方に目を向けなおした瞬間、三撃目。今度は蹴りが入ってきた。それを飛び上がりながら空中で一回転しつつ避ける。風魔法無しじゃこんな動き出来ない。
そして着地しようとした時、まずいことに気づいた。俺は今空中。アストラさんは構えなおしていつでも攻撃できる体勢にある。棒が縦に振られる。
間一髪、風圧で自分を吹き飛ばして避けた。

「はぁ・・・はぁ・・・。」
「どうした、体力か魔力が底をついたか?」
「いや・・・、本当に集中すると・・・気力が削られるんだな・・・って・・・はぁ・・・。」
「まだまだ続けるぞ?」

 その後、二時間くらいやり続けた。流石にバテたところで今日の稽古は終わりになった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...