現世の常識なんて異世界では通じなかった話

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第七章 火の国

四節 憔悴

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第七章 四節

 街全体が熱気に包まれ、いたるところからカンカンと金属を叩く音が聞こえる。石炭や鉄の匂いで溢れている鉄鋼の街、メタリアはそんな街だった。門から入ろうとすると、また門番に止められた。

「おい、止まれ。」
「はい?」
「貴様、何者だ。」
「ただの流離いのしがない旅人ですよ。」
「ふむ・・・。冒険者か。ランクは?」
「一応37です。」
「ほう・・・。なかなか高いな。」
「なんか意外な反応ですね。」
「ああ、まぁ、私ももともと冒険者上がりだからな。普通の人よりも嫌悪してないのかもな。」
「なるほど・・・。」
「・・・ん?お前のその腰に差しているの・・・。おい、お前・・・。」

 次の瞬間、門番が切りかかってきた。咄嗟に腰に差していた妖刀で防御する。キィィイインという音が辺りに鳴り響いた。と、同時にそこまで振ってないにも関わらず、斬撃波が飛び、門番の顔を掠めた。

「っ・・・。やはり・・・貴様がその妖刀を奪い去ったのか・・・!」
「だからなんの話ですってば!」

 さすが、元冒険者というだけあってか、剣術はさっきの盗賊なんかと比べ物にならない。風魔法で移動を強化している分、まだ追いつけるが、避けるかもしくは剣で受けるのが精いっぱいだった。自分で言うのもなんだが、魔法に特化していると思うので、こういう肉弾戦はあまり得意ではない。
バックステップを入れつつ距離を取る。だんだん突っ込んでくるのが激しくなってきたところで、一気に距離を取り、相手の体重の乗せ、一歩前に出ようとした左足の下の土を30cmほど盛り上げる。狙い通りその盛り上がりを踏み、少しよろけた。が、そのでっぱりにもう一度体重をかけなおし、体勢を立て直した。
だが、さらにそこに追撃を入れる。その盛り上がりを一気に元の地面の高さまで下げた。体重をかけていたところがなくなり、今度は体重を支えるものがなくなり、大きな隙ができた。完全に隙ができたところで、思い切り刀を横に薙ぐ。

 すると、あの盗賊の繰り出した何倍・・・いや、何十倍もの斬撃波が出た。
その刃は門番の上半身を切り飛ばし、その先にあった石の砦を崩し、その先のちょっとした坂に傷をつけ消滅した。切れた場所は、凍り付いていた。もちろん、真っ二つになった門番も。

「え・・・。」

なぜここまでの斬撃が出たのか。それを考える暇もなかった。見当たらなくなっていた門番のもう一人が呼んだのであろう、この街に滞在していた冒険者が一人、また一人と駆けつけ、終いには3,40人ほどの人が来ていた。全員がワーワーと騒いでいて何を言っているのかは聞き取れないが、多分俺を倒そうとしているんだろう。

「・・・っ!くっそ・・・。」

 気づくと、後衛から魔導士がバカバカ魔法を撃ちこんできていた。ある者は火球を。またある者は氷塊を。土弾を撃ってくる者もいた。やはりこのあたりの魔法はメジャーなんだろうか。氷は土で。土は風で。火には水を使って対処した。敵は詠唱するインターバルがあるから、その隙に攻撃をする。
いや、しようと思っていた。
その隙を埋めるように前衛陣が突っ込んでくる。大盾を構えて突っ込んでくる3人を筆頭に、その脇から剣やら槍やらをもった戦士たちが次々に出てくる。左右から次々に攻撃が来るのを、バックステップをしながら避けつつ、それでも避けれない攻撃は剣で受け流す。

ああ・・・もうなんか・・・めんどくさいや。

一度全力でバックステップをする。刀をしまい、自分の前方に集中力を集める。前衛陣が突っ込んできたと同時に氷の槍を作り出した。今までは大きくても2m台だったのを、200m級にする。その氷槍は数多にも分岐し、一人残らず貫いた。胸に刺さっているものもいれば、腹部に刺さっているものも。その槍は奥にいた魔導士たちも巻き込み、砦に突き刺さった。

「・・・ふふ・・・ははは・・・は・・・。・・・なにやってんだろ、俺。」

暫く無気力でいると、どこからかアリアが駆けよってきた。

「ユーリ・・・さん?」
「・・・ん?」
「・・・その・・・大丈夫・・・ですか?」

どこか怯えたような目をしているアリアの頭に手を乗せた。乗せた瞬間はビクッとしたが、すぐにその緊張は解けたらしい。

「ごめん、アリア・・・。また歩くことになるかもしれないけど大丈夫・・・?」
「私は大丈夫・・・ですけど・・・。その、ユーリさんは大丈夫なんですか?」
「・・・なんで?」
「なんというか・・・憔悴しきった顔というか・・・その・・・。」
「ふふ・・・大丈夫だよ。」

ここから火の国に行くには東に進めばいいんだっけか。ふと東の方を見ると、もくもくと噴煙があがっているのが見える。ここから先は、火山灰があるのか・・・。火山に入る前に、台地があるのも見える。ここからは登山になる気がする。

「あ、そうだ。これ口元に着けて。火山灰吸い込むと体に悪いから。」
「ありがとう・・・ございます。」

口元に買っておいたタオルを巻き、アリアの手を取って台地に向かって歩き始めた。
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