【完結済】ヒト族ですがもふもふの国で騎士団長やらされてます。

れると

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太陽が街の真上を少し超えた頃、俺たちは今、詰所外の飲食店に来ている。

「もぅ朝ごはん通り越してお昼ぅぅぅ。」

俺の嘆きにミッキィとニールが苦笑する。

「団長よく頑張りました。再編成メンバーも声掛けたらすぐ集まってくれて良かったですね。」
「それもうほぼニールがやってくれたからじゃないですかぁ。俺1人だったら今日の仮眠時間は無かった・・・。」
「いやそれだと日勤メンバー間に合ってませんよぉ。」

そうなのだ。ここまで時間が掛かってしまったのは、食堂団員に本日のパトロール員が居たので、しかも日勤の奴も居たので急いでかわりを探して連絡していた。

大体の人が快く交代してもらえたから良かったけど。

「それにしてもニールに人事の才能があったとは。執務室に是非ともお誘いしたいです。俺もうよく分かんなくて・・・。」

正直な話、再編成は殆どニールにやって貰った。1~2年目って本当に分かってなくて。名前言われてもちんぷんかんぷんだったから、お任せしちゃってた。最後にリスト見せられたけど、正直分からなかったので速攻許可出した。
良いよね、そもそも人事は団長の仕事じゃありません!

「私で良ければ是非ともお誘いされたいです。」
「本当に?有言実行しちゃいますよ?」
「はい、是非是非♪」
「よっしゃぁ!ずっと欲しかった人事げっとぉぉぉ。」

「良かったですね、団長。でも先ずはレスト副団長に伺ってからですねぇ。」

俺とニールの会話を聞いてたミッキィが一言加えた。

「いやでも本当に、春先の入団試験までに人事欲しいって訴えてたんです。最近受験数多くて、書類のチェックだけで死ねるんですよ・・・。」
「最近って年2回だけじゃないですかぁ、入団試験って。」
「・・・ミッキィ、そんな事実を言ってはダメです。」
「まぁ皆ヒト族の団長が気になるんですよ。落ちても良いから一目見たい的な感じですかね?」
「俺は客寄せパンダですか。っていうか落ちるほど難しくもないですし・・・、はぁ。」

まさか、俺自身が受験数を増やしていたとは・・・。

「お待たせしましたー。」

その時頼んでいた食事が運ばれて来た。

ミッキィはチキンソテーに温野菜にスープと丸パン3つ。しかもチキンソテーはチキン丸々一羽分。
ニールは軟骨入り端肉ハンバーグステーキを2枚に具だくさんスープと堅パン1個分。
俺は甘くないパンケーキ1枚にベーコンエッグとサラダとスープ。

「団長もっと食べましょうよ?」
「いやいや。この量で充分ですって。むしろミッキィとニールの細い体のどこにそんなに入ってるの?」

ニールが俺の食べる量に不満を漏らすので俺もいつも不思議に思ってることを言う。

「まぁ、私たちの入ってるところは胃ですけれどぉ。ニールあんまり無理に食べさせると吐かれるから・・・。」
「せめてお肉を食べて下さいっ団長!」
「10連勤も折り返し地点を超えましたから、脂っこいもの食べても団長は吐きますよぉ。」
「え、団長って胃がおじいちゃんなのでは・・・?」

「2人して俺が会話に入ってないのに、俺の話しないでくださいよぅ。さ、食べよ食べよ♪」

俺はパンケーキに蜂蜜をかけて、その上にベーコンエッグを乗せて特製ソースをかけた。

「団長、それは、・・・ヤバくないですか?」
「え、美味しいですよ?甘辛な感じで。」
「ニール、団長は味覚破綻者だから、」
「ぁぁ、そうでしたね。」

ミッキィが残念な目で、ニールが信じられない、という目で見てくる。

破綻者とは酷すぎる。繕うことも出来ないというのか。いやさすがにそこまででは無い、と思う、うん。

「2人とも酷くない??普通に美味しいのに。もぐもぐ。」

一気に食べ終われるし、時短にもなるんだけどなぁ。
あ!いい事思いついた!

「だったらニール食べてみて下さいよ!きっと食べたらうまーってなるって!」

俺は1口分をフォークに刺してニールに差し出す。

「ぇぇぇ、これを、ですかぁ。ん~ええい!」

大分渋ったが俺の差し出したフォークをパクッと食べてくれた。

が、美味しい!という顔では無い。

「ぇぇと、そうですねぇ。甘くて、しょっぱいです。」
「ん、うん。そうですね。」

予想通りの何とも言えない感想に俺も微妙な返しをしてしまった。

「だぁかぁらぁ、団長は独特な味覚をしてるから中々理解されませんってば。」
「・・・ぅん。」
「団長の味覚音痴はアイデンティティですから大丈夫ですよぅ。」
「・・・それは貶してるの?褒めてるの?」
「アイデンティティ大事です♪」
「答えてくださいぃぃ。ニール助けて、ミッキィが苛めるよぅ、ぅぅぅー。」

こんな感じで俺たちのランチタイムは過ぎて行った。







「団長、ここです。私のお勧めの鍛冶屋っ」

ランチを食べた後、ミッキィに連れられて鍛冶屋に連れてきて貰っていた。
鍛冶屋などの武具屋特有の大きな扉を開けると、こじんまりとした、だけど天井が高い店内には、壁に数個の剣が飾られていて、店内の隅っこに置かれた筒には乱雑に鞘に収まった剣が5本ほど突っ込んである。

まっすぐ5歩程歩くと大きなカウンターにぶつかり、そのカウンター奥のスペースは広く取られており、そのまた奥に続くこれまた大きな両扉があった。右側の扉が少し開いている。

「親方ー!いませんかぁー!」

ミッキィがカウンター奥に向かって声を張り上げる。

暫くしてからのっしのっしと、大きな何かが近づく音がして、カウンター奥の両扉が開いた。

奥から現れたのは大きな馬耳のおじさんだった。

「よぅ、ダルメンティスの坊ちゃんじゃないか。久しぶりだな。」

声が凄く太くてダンディ!カッコイイ!馬なのに、めっちゃデカい!首太い!片手で俺の頭掴めちゃうんじゃない!?色は俺と同じで黒!いいね、親近感湧くねぇ!瞳も真っ黒だ、漆黒っていうのかな、カッコイイ。前髪が邪魔にならないように、タオル巻いて押さえてる感じが職人さんって感じが醸し出てる!身長は俺の2倍はあるんじゃない?って位に高い!だから店内の天井が高いのかな?

「お久しぶりです親方。今日は直してもらいたい剣がありまして。団長早速剣を、・・・団長?」

「あ、すみません。親方が格好良くて見入っちゃいました。ええと、これです、ここがガッツリ欠けてしまって」

カウンターに俺の双剣を出した。
欠けてる方と、そうでない方と、拾った欠片と。

「俺が格好良い?変わった坊主だなお前。」

そう言いながら出した欠片を手に取ってくるくると回しながら検分する。

「変わった色してんなぁ。黒って訳でもねぇしなぁ。・・・これは何が混ざってんだ?」

「え?・・・さぁ?それ、たまたま入った店でたまたま買ったものだから詳しくは知らなくて。」

「そうか。」


そう言って親方はまたくるくると検分し、欠けた部分を観察し、暫くうんうん唸った後、カウンターに手にしてた物を置いて俺に向き直った。


そして俺にこう言ったんだ。


「はっきり言おう。俺にこれは直せない。」
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