【完結済】ヒト族ですがもふもふの国で騎士団長やらされてます。

れると

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初めての教会

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ん?俺の喉から変な音が出たぞ?
ほら見て、エイデン義兄様が大爆笑してる。

「・・・あ、聞き間違いですね、きっと」
「子爵位と領地。後は当日のお楽しみ。」

義母様が先程の台詞を繰り返す。

「え、えーと?子爵位?なんでです?領地?俺、領地経営なんて出来ないですよ??あと当日のお楽しみって何!?」
「わぁ、ガイウス君がすごいパニクってる、面白い。」

面白くなんかないよ、エイデン義兄様!

「待っなっえ!男爵は?飛んじゃったよ!?イキナリ子爵!?」
「そこなんだ?だって男爵じゃ領地貰えないからじゃないかな。一代貴族に領地を与えてもすぐ王家管轄に戻ってきちゃうしね?」
「ええええ、領地、要らない!領民が可哀想だよ!」
「なんで可哀想なんだい?」
「だって、領地経営なんて出来ないし、こんな弱っちぃヒト族が領主って恥以外無いですよ!」
「ガイウス、可哀想なんて領民に言ってはいけないよ。それにまだ騎士団長だからすぐ領地入りって事も無いと思うし、その間に色々学べばいいさ。そうそう、王からの手紙には『自然も豊かで温泉も湧く、退団後にゆっくり過ごすなら良い地だと思う』と書いてあったぞ。」
「イルヴェス君が色々頑張ってくれそうだけどね?」
「う、うぅぅ。いや、そこは俺がきちんと頑張ります。」
「「真面目なんだよねぇ、そういう所は」」

俺が管理する領地なんだから俺が何とかしないとじゃん?たとえ、だ、旦那さんだとしても丸投げって違う気がするんだよね。旦那、うわぁ、新鮮すぎる。なんか彼氏から格上げされた感じだよね、旦那。俺の旦那さま、ふふふふ。

「あーあ、ガイウス君がニヤニヤと思考が飛んじゃったよ。」
「と、飛んでないです!」

それにニヤニヤなんてしてませんよ?

「あと気になるのは当日のお楽しみなんですけど、なんだと思います?」
「爵位、領地、と来たら後は住むところ?屋敷かな?」
「はぇ、屋敷、まぢですか。」
「分かんないけどそれくらいしか思い浮かばないんだよね。母さんはどう思う?」
「そうだなぁ。やはり屋敷と使用人かな?」
「使用人ですか。やっぱりそれくらいしか思い浮かばないですよね。」

他の人に聞いてみても同じような答えだった。




授与式と夜会は年末年始と建国祭のお祭りの1週間後に予定されている。
爵位が賜れるのは叙爵って言うんだけど、今回のメインは褒美の授与だから叙爵式とは言わないらしい。

今回のお祭りは家族のみんなと過ごすって決めていた。

初日は夕方からが本番なので、午前中の今は義母様と教会に来ている。首都で1番大きな教会だ。
俺の魔力の属性を調べるためである。

少し前にガードナーさんが俺が世話した植物だけ冬なのに元気が良いから土属性なんですか、と聞いてきたのが事の発端だ。
俺は魔力に属性があるなんて思ってもいなくて なんの事?って顔してたら、義母様が教えてくれた。

魔力には属性があって、例えば火属性の魔力だったら火に関係する魔法が得意で、同じように水属性だったら水が、他にも風、土、光とある。

俺がよく使っていた雷は風、氷は水に属してるんだけど、俺の場合は得意が伸びて使えるようになったじゃなくて、基本は全て使えないと困るから、これが使えたら楽だろうなってめちゃくちゃ練習をした。だから使える。
でも火は苦手だから火属性では無いと思う。

とにかく 属性?知りません って言ったら じゃぁ調べなては!となって今に至る。

因みに以前ノア先生に教えて貰っていた魔術講習は基礎をすっ飛ばしてたので個人の魔力の属性なんて触れてもいなかった。

教会には正直に言うと来たことは無い。
無償で軽い怪我の治療をやっているイメージで来る理由が特に無かったのが主な原因だったけれど。

そういえば、サンディは王宮を出たあと教会で暮らしていたんだっけ。
俺が今来ている教会かどうかは知らないけれど。

そんな事を思いながら義母様と教会の奥へ進んでいくと奥の扉から白い縁どりをした黒いローブを纏った白いシャツのお爺さんがにこやかな笑顔で出迎えてくれた。

軽く挨拶を交わして、お爺さんが出てきた扉の奥へと案内される。
そこは室内ながら木が立派に生えていている部屋だった。天井は半分ほど天窓になっていて太陽の光が入るようになっていて、部屋の中央には俺の背丈の倍くらいの常緑の木が葉を生い茂りながら植わっていて、木の根元には笹が木に負けんとばかりに生い茂っていた。一瞬外かと間違えるような明るさと緑。部屋の隅には観葉植物が所々置いてある。白い壁に緑が映えていて不思議な部屋だった。

「なんの木だろう?」
「それは、昔昔の女神様が黒龍様に分け与えた実のなる木でございますよ。」

俺の口から出た疑問にお爺さんはにこり笑顔を崩さず答えてくれる。ええーと、俺が夢で見たあれかな?あれ。でもサンディって女神じゃないよね。じゃぁ違う話か。
だってあれはこんな街中に生えてなかったと思うし。

「こちらでございます。」

お爺さんはさらに奥の部屋に案内した。
こじんまりとした小さな部屋の中央に木製のテーブルと丸椅子が4つ。テーブルの上には白い水晶のようなものだけが置いてあった。

お爺さんはにこやかにその水晶に魔力を流してくださいと俺に指示する。

ブレスレットつけてない方が良いよね。

そう思って右手の手のひらを水晶にくっつけてゆっくりと魔力を流す 。冬なのに水晶は冷えてはおらず、魔力を流すと段々暖かくなっていく。

俺の手のひらより少し温かくなってきたところで「はい、大丈夫ですよ」と止められた。

俺にはなんの変化も起きてないように見えるが、お爺さんはふむふむと水晶を観察してからこちらに口を開いた。

「そうですね、土属性で間違いないでしょう。宜しければ、先程の実のなる木に祝福を与えてくださいますか?」
「祝福!?俺、そんな高度な事出来ませんっ!」
「おや?貴方様は本物の祝福をご存知の方なのですね。」

へ?祝福って言ったら祝福でしょ?本物とか偽物とかないでしょ?

「ふふふ、先程の木の事を想って魔力を注いで頂けたらそれで充分ですよ。樹木や自然に魔力を捧げる行為を広い意味で祝福と呼ぶのですよ。」
「あ、そうなんですね。それじゃぁやります。」

祝福って婆様がやってたみたいになんかキラキラさせる行為の事じゃないんだ。魔力流すだけなら出来るし。

部屋を移動して先程の木の前に立つ。

この木は女神様が手負いの黒龍に与えた実の木、らしい。なんでも木を移植してきた訳ではなく、女神様がもぎ取ったいくつかの実の1つをここに植えて、祝福を捧げてきたらしい。当時はきちんと祝福出来る人が居て、祝福を捧げると木の葉がざわざわとまるでありがとうとでも言うように応えて、春の終わりから夏の初めに赤い実をつけていたらしい。だが、最近では本物の祝福を出来るものが居らず、魔力を流す行為を祝福と呼ぶようになり、今では実も付けなくなってしまったという。

へぇ。婆様が居たらその赤い実を見ることができたのかな。1人じゃ無理かな。まぁ、いいや、魔力を流すか。

木が植わってる土部分に手を置いて呼吸を整える。

木を想う。想うってなんだ?別に思い入れとか無いしなぁ、夢で見たあの木に確かにそっくりだとは思うけど、俺の記憶力は頼りにできないしなぁ。どうしたらいいんだろう。うーん、とりあえず、そうだなぁ。

もし、実を成ることが出来たら見せて下さい。
それと関係ないかもだけどサンディとライアンが心穏やかでありますように。

とりあえず思ったことを魔力に乗せて木に流した。
いや、確実にサンディは亡くなってるのに穏やかも何も無いか、ま、いいんだよ気持ち気持ち!

魔力を流し終えても木は応えることは無かったし、婆様みたいに丸い光が現れた訳でもないし、うん、やっぱり祝福は無理。

「じゃぁね、ばいばい。」

俺は何となく木にサヨナラして、お爺さんに今日のお礼を言って義母様と帰った。

夕方からはお祭りだぁい♪
んふふふ、楽しみ~♪
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