【完結済】ヒト族ですがもふもふの国で騎士団長やらされてます。

れると

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俺にだけ見せてくれる表現

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「あ、ちょっと待ってて取ってくる!」

俺は急いで机の1番上の引き出しを開けてそれを取り出した。

あれ、これってそのまま渡すより、ラッピングとか、なんか良さげなリボンとか付けた方が良かったかな?
イルがくれた時はどうやって貰ったんだっけ?

いや、今からラッピングなんてそんな時間無いんだからこのまま行くしかないんだ!

「ガイ?大丈夫?俺がそっちに行こうか?」

俺が机の引き出しを開けて固まってしまったからか、イルが声をかけてくる。

「だだだ大丈夫!すぐ行くからそこで待ってて!動いちゃダメだよ!!」
「うん、分かった。」

右手にイルに渡すやつ、左手に俺用のを持ってイルの待っているソファまで急ぐ。

ええと、格好良く渡すんだ!あれ待って、格好良くってどうやればいいんだ?

「イルっ、えと、あのねっ」

にこにこ笑顔で待ってくれているイルの前に立つ。

あ、やばいイルが格好良い、って違う、そうじゃなくて。

緊張のあまり思考が逃避行しそうだったが頑張って連れ戻す。

「えと、あのさ。俺にブレスレット、作ってくれたでしょ?だから、俺も、イルに作ってあげたくて、それで、」
「うん」

イルはにこにこと笑顔を絶やさず俺の台詞の続きを待ってくれている。

「あの、これ、時間かかっちゃったんだけど。」

俺はイルの右手を取って、自分の右手に握っていたネックレスを置いた。

「あれ、もしかしてこの色って?」
「うん、イルの瞳の色に近い石を探したの。あの、それでね、これ俺の魔力を入れてあってね。」
「うん、ガイの魔力感じるね。」
「俺のもあってね、こっちにイルの魔力を入れて欲しくて。少しでいいんだけど。」
「分かった、そっちの貸して?」
「うん」
    
イルは俺の手から俺の分のネックレスを取って魔力を注いでくれる。ほんわりと光が少しだけ灯る。注入する魔力が少ないからその灯りはすぐに消えてしまった。

「これで平気?」

イルが渡してくれた俺用のネックレスを確認する。俺の魔力を細く鋭利にしてとある模様を刻んであるのだ。それにイルの魔力が入って完璧な魔法陣になるように仕組んであって、うん、大丈夫そう。

俺はネックレスを覗き込んで中途半端に途切れていた線が繋がっているのを確認した。

「イルの、それ貰ってくれる?」
「もちろん。すごく嬉しいよ、ガイ、これって婚約の応えのって受け取っていいんだよね?」

そう言って俺を抱きしめてキスをしてこようをした。
俺はそれを慌てて両手で止める。

「ままま、待って!まだ終わりじゃないんだよ!」
「ん?そうなの?この魔法陣が何かあるのかな?」
「そうそうそうなの!ちょっと待ってて!あ、それ耳元に持っておいて!」

俺は抱きしめられた勢いでイルの膝をまたいで両膝立ちになっていた所を素早く降りて、シャワールームの扉の前まで駆け足で移動する。

ふぅ。魔法陣は出来上がったから。

俺は自分のネックレスを口元に近づけて話しかけた。

「イル。聞こえる?聞こえたら返事して?」
「!!すごい、ガイの声が聞こえた。」
「へへへ、凄いでしょー。」

俺は得意げにイルの元へと戻った。
耳がピンっと立って、尻尾がブンブン振れている。

あー、可愛なぁ。俺が好きなの知ってるから、隠そうとしないで表現してくれるところすごい好き。

「ガイ、これガイが作ってくれたの?1人で?俺のために?」
「うん、そうだよ。あ、エディスとノア様にも少し構造とか、魔力の入れ方とか指導してもらいながら、だけど。あとこれね、あとちょっと分かりにくいかもだけど防御の布陣も組み込んであって、何かあったら衝撃緩和とか防御してくれる、はずなんだ。」

さすがにこれは試しでやりたくないから、仮定形になっちゃって申し訳ないんだけど。

「ガイ、嬉しい。ガイ、好き好き。」

でもいるにはそんな事関係なく、沢山キスが降ってくる。

「んはっ、はは、擽ったいよイル。ねぇ、俺がイルに付けてもいい?」
「うん、もちろん。ガイのも付けさせてね。」

そう言ってイルは俺に背中を向けてくれたので、手渡されたネックレスの金具を外して首にかけて、金具を、あれ、思ったより難しいな。

尻尾がじっと動くのを我慢している。

やっぱり感情が出ないように訓練はしてるんだよね。俺がネックレス付けるのに邪魔にならない様に今はじっとしてくれている。

金具が小さくて不器用な俺には金具を外して付けるのが上手に出来ない。

カチッカチッ・・・カチン。

ようやく金具がきちっと嵌った。

「ふぅ、付けたよ。重くない?邪魔にならないかな?大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ、ふふ、嬉しい。すごい嬉しい。ガイがこっそりこんなにも素敵なもの作ってくれていたなんて!」

イルはこっちを向いて、尻尾をブンブン振りながら俺に伝えてくれる。

「俺も、イルが喜んでくれて嬉しい。」

イルがいつも素直に気持ちを伝えてくれるから、俺もいつも素直に伝えようとしている。んふふふ、喜んでくれた、やった~~!

「ほら、俺にも付けさせて?こっちにも防御のが入っているの?」
「うん、その方がイルも安心出来るかなって思って。」

イルは俺とは違ってあっという間に俺の首にネックレスを付けた。
そのまま俺の項や首筋にちゅっちゅっちゅとキスを落としていく。

「んっ、イル、擽ったいよ。ふふっ。」

俺はクルッとイルに向き直って首に腕を巻き付けて、綺麗に線を引いたその唇に俺のを合わせて

ちゅっ

俺はワザと唇を合わせただけで、リップ音を立てて離れた。

俺は腕を外さないままイルに思いっきり甘い声で囁いた。

「ねぇ、イル、しよ?」
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