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模擬戦

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新入生による模擬戦?おいおいなんだそれは。

「新入生を代表して学年1位の生徒と2位の生徒が行います。」

パチパチパチパチ

2年、3年はめちゃくちゃ盛り上がっている、毎年恒例の行事らしい。

1位と2位?一体誰だ、全然確認していなかった。

「それでは代表生徒の入場です。」

在校生はさらに盛り上がる。

「まずは新入生学年2位 漆原 一吉(うるしはら かずきち)。」

短髪で少し背の高い細身の男、狡猾な目は敵を睨みつけている、戦いに飢えているようだ。

講堂のボルテージは最高潮だ。

奥から1位の生徒のシルエットがうっすらと見える、どうやら女の子みたいだな。

「続いて新入生1位 ノア=シルセット=フォン・テルマドール」

みんなが激しく盛り上がる最中僕は驚きを隠しきれずにいた。

おいおい嘘だろ?
彼女は確実に鉄板事件の女の子だ。

あの子が1位、という事はこの学年で1番強いってことか?でもあの時は魔力を1ミリも感じなかったはずだが・・・

「それでは始め!」

ゴーーン

「あんたが1位か!どんなもんかその腕前しっかりと見せてくれよ!!」

漆原は空間の切れ目に手を突っ込み棍棒を取り出す。
なるほど亜空間転送型の能力か、魔法術式に分類される一つだな、転送させるモノによって術の難易度が変わってくるのだが、あのスピードで棍棒を転送させるとはさすが学年2位と言ったところか。

激しく振り回しながら突っ込む。

さて、1位はどうする?

!!

どういうことだ?やはり魔力を感じない。
このままでは・・・

ドゴォ

棍棒が細身の彼女の腹部に決まる。

彼女はステージの後方5メートルくらい吹っ飛んだ。

「なんだぁ?1位の癖にこの程度かよ。まさか手加減してんじゃねえだろうなぁ!!!」

漆原は更に打撃を加えていく。

これじゃただのなぶり殺しじゃないか。
一向に彼女が魔力を放つ気配はない、
かといって体術に秀でている訳でもなさそうだ。

ここは僕が飛び出すべきなのか、1位がボコボコにされて戸惑っている連中も多いが、
その現状を楽しんでいる連中もかなり多い。

この間にも漆原の連撃は続く、誰も助けようとはしないのか?

・・・・・・

仕方ない。

僕は他の人にバレない程度にそっと手を構えた。


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