オサキ怪異相談所

てくす

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第一章

第十二話 持つ者の決意

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茜:『実際に力を持てば、その異常に気づくだろう』
  『では、持たざる者はどうするのか』
  『それは、もう、諦めるしかないのかもしれない』



【間】



茜:え?心霊スポット?

栄二:おう、行こうぜ

茜:いや、私は…

栄二:んだよ、怪しい店で働いてんだろ?

茜:ちょ、それどういう意味?

栄二:いや、お前が騒いだのが始まりじゃん
   幽霊に呪われたー、祟りだーってよ
   美紅も最初は気にしてたのによー
   急にそういう話しなくなったし

茜:それは……

秀:栄二、無理強いは良くないんじゃない?
  明らかに山本さん嫌がってるじゃん
  本当、無理はしなくていいから

茜:うん、ありがとう

栄二:いや、けど霊感ある奴居た方が
   絶対面白いじゃん

秀:そう思ってるのは栄二だけでしょ?

茜:え、私、霊感あるって言った?

栄二:あるんじゃねーの?
   幽霊見てたんだろ?

茜:そうじゃなかったんだけど

栄二:えー、なんだよ
   けど、行こうぜ夏の思い出に

茜:……
  (心霊スポットって言っても8割は嘘って尾先さんも言ってたし…大丈夫、なのかな)

瑠奈:茜は行かないの?

茜:えっ、瑠奈行くの?

瑠奈:ちょうどバイト休みだし、まぁいいかなって
   それと、せっかくの夏休みだからね
   幽霊もあんまり信じてないし

茜:……わかった、行くよ

秀:…山本さん、大丈夫?

茜:うん

栄二:おしゃ、決まりな
   んじゃ、8時に鹿取公園集合な

茜:わかった


【間】


茜:凪、何かあったら助けてくれる?
  …凪は私だけ無事ならそれでいいって
  言ってくれるけど、友達が行くから
  守れるなら、守って欲しいんだ

茜は、玉の凪に話すも、反応はない

茜:馬鹿だって思うよね
  けど、ごめん
  決めたから

薄らと赤く光るが茜は気づかなかった


【間】


ある日の切り取り
それは、誰も知らない一日

骸:興味深い体験だね

茜:そうなんですか?

骸:うん、中々ないよ
  神様っていうのは、そういう存在

茜:私、怖かったです
  それに……助けられませんでした

骸:それこそ、僕たちは神様じゃないからね
  全部は助けられないし、思ったように事が進むなんてありえない
  オサキだって、キミだって

茜:…はい

骸:僕たちと関わるということはそういうこと
  人の生き死にこそ怪異とはよく言ったもんだよ
  たしかに、地縛霊なんかは、元は人だ
  それに僕たちだって

茜:えっ?

骸:フフ、それは、また、別の話かな

茜:骸さんは神様と会ったことはあるんですか?

骸:そうだね……それに近い存在なら
  ソレと連絡先を最近交換したね

茜:ど、どういうことですか…それ

骸:神様って意外にいっぱい居るよ
  日本は八百万とか言葉もあるくらいね

茜:話せば話すほど、骸さんがよく分からないです

骸:解られても困るんだけどね
  それじゃ、どの掃除機が欲しいのかな?

茜:なんでもいいんですか?

骸:もちろん、オサキにはそれほど頑張ってもらったから



【間】



栄二:お、来たな

茜:来ないと思ってたの?

栄二:嫌がってたからな

秀:山本さんってホラー得意なの?

茜:得意ではないけど

瑠奈:私も映画は観れるけど、お化け屋敷は苦手だなー
   あれは怖いって言うよりビックリさせにきてるから
   マジで苦手

茜:心霊スポットに行くのに大丈夫なの?

瑠奈:みんな居るし、大丈夫
   脅かす人もいないし

栄二:じゃあ、行こうぜ
   車で20分くらいみたいだから

車で向かう四人、その道中

瑠奈:心霊スポットは初めてだから
   ちょっと緊張はするなー

秀:実は俺もなんだ

栄二:なんだよ、行ったことないのか

秀:そういう栄二は?

栄二:まぁ、先輩に連れられて何度か
   特に何もなかったし…心霊写真とかも撮れたことなかったな

瑠奈:案外、拍子抜けって感じ?

栄二:うーん、雰囲気怖いとこはあったけど
   よくある追いかけられるとか
   車に手形がぁ!みたいなのはなかった

茜:……

秀:……山本さんは?行ったことある?

茜:えっ!?あー、うん
  一回だけ…かな

瑠奈:えー、そうなの?
   どうだった?

茜:私は……
  私も別に何もなかったよ

瑠奈:そうなんだ

茜:(変に不安にさせてもダメだよね…)
  相田君はホラーは大丈夫なの?

秀:俺?俺は、普通かな
  好んで見ようとか行こうとは思わないけど
  栄二くらいじゃない?張り切ってるの

栄二:んだよ、テンション上げて行こうぜ
   夏休みのイベント、中々ないんだからさー

瑠奈:バーベキューとか企画してよ

栄二:そうだな
   また連絡するわ

秀:そろそろかな?

栄二:ん?あぁ、もうちょいだな
   確か少しズレると車停めれるくらいのスペースがあるらしいんだよ

茜:行ったことあるの?

栄二:いや、先輩から聞いた

瑠奈:その先輩、心霊スポット巡ってるの?

栄二:心霊好きだからなー、あの人
   多分巡ってんじゃねーかな

秀:大学生って感じだね

栄二:あはは、まぁな

茜:……
  (大丈夫、だよね)



ある森に到着ーー、車を降りる4人


秀:結構、暗いな

栄二:あぁ、街灯もないっぽいな

瑠奈:うっ…寒っ

秀:ちょっと山登ったから、気温下がってるね

栄二:相まって雰囲気出てるな

辺りを見回す茜

茜:……

秀:山本さん?

茜:あ、ごめん
  ちょっと寒くて

秀:よかったら、上着使う?

茜:え!?ううん!大丈夫

秀:何かあったら言ってね

茜:うん、ありがとう

瑠奈:……何々、いい感じ?

茜:え!?

瑠奈:相田といい感じじゃん?

茜:そんなこと、ないと思うけど

瑠奈:ふーん、そういうこと

茜:どういうこと?

瑠奈:茜にはまだ早いのかー

茜:本当、そういうのじゃないから!

栄二:何してんだ?行くぞー

瑠奈:はいはい
   行こ、茜

先に進む4人

瑠奈:ここで肝試しって何するの?
   ずっと歩くだけ?

栄二:あー、聞いた話だと
   赤い紐が括られてる木があるらしくて
   先輩たちはそこまで行って帰るらしい

秀:赤い紐?

栄二:なんかの目印だろうけど
   まぁ行ってみれば分かるだろ

茜:(うん、やっぱり本物じゃないのかな       
  幽霊はいないみたいだけど)
  結構遠いの?

栄二:いや、分からん

秀:迷うなよ、栄二
  …と、それに少し崖になってるし
  危ないとこもあるね

瑠奈:雨降ってなくて良かった
   滑って落ちたら怪我するよこれ

茜:走らないようにしないとね

秀:そうだね
  栄二も気をつけて

栄二:おー、大丈夫だ

さらに奥に進む


瑠奈:…ねぇ全然見当たらないんだけど

秀:結構進んだよね?

栄二:んなこと言われても
   俺も初めて来たから

茜:ねぇ

栄二:ん?

茜:戻った方がよくない?
  危ないし、見つからないなら
  もう戻ってもいいんじゃない?

栄二:んだよ、ビビってんの?
   あ、それともあれ?幽霊いる?

茜:い、いや、だから
  別に見えるわけじゃ

瑠奈:もうちょっと進んで何もないなら
   茜の言う通り戻ればいいんじゃない?
   せっかく来たんだし、見つけたい気もする

秀:そうだね
  間を取ってそうしよう
  山本さんもそれでいい?

茜:…わかった

栄二:じゃあ進むぞ

さらに進む

栄二:マジで無いな

秀:暗くて見落としたんじゃない?
  流石に結構進んだよ

栄二:あー、確かに

瑠奈:え?

茜:どうしたの?

瑠奈:え?あれ?気のせい?
   なんか声が聞こえたような気がして

栄二:聞こえないぞ?

秀:あー、それシュミラクラってやつかも

茜:相田君、知ってるの?

秀:うん、心霊写真とか大体これって言うよね

瑠奈:なにそれ?

秀:岩とか木目が顔に見えたりとか
  思い込みって言えばいいのかな
  よくある心霊写真とかが、この現象って言われてて
  だから、その声も風の音じゃないかな?

瑠奈:え?でも風なんか吹いてないよ?

秀:じゃ、じゃあ、風じゃない
  虫の鳴き声とか

栄二:とりあえず勘違いってことだろ?
   もうちょい進もうぜ

瑠奈:ねぇ、茜

茜:何?

瑠奈:本当に聞こえない?
   もし見えるんだったら何か見てない?

茜:私は…見てないし、聞こえてないよ

瑠奈:……そっか
   それはオカシイナ

茜:え?

瑠奈:ん?どうしたの?

茜:…何か言った?

瑠奈:ううん、言ってないよ?
   もしかして、何か聞こえた?

茜:気のせい…かも

秀:栄二、もう戻ろう
  やっぱり見当たらないよ
  女の子もいるしこれ以上は…

栄二:あ、あぁ、そうだな

秀:栄二?

栄二:なぁ、茜
   本当に見えないんだよな?

茜:どうして聞くの?
  何度も答えてるじゃ

栄二:あれ!
   …アレ、何だよ?

茜:えっ?

瑠奈:ァァァア!!

秀:ヒィ……

栄二:瑠奈!?

瑠奈:見た見た見た見た見た

茜:(嘘…どこにもいなかったのに)
  瑠奈!しっかりして!

瑠奈:アァ!アツイ…アツイアツイアツイ…

茜:ちょ!瑠奈!

急に首を掻き毟る瑠奈

茜:栄二君!瑠奈押さえて!

栄二:あ、あ…おう!
   秀!手伝え!

秀:……あっ、えっ

栄二:秀?

秀:……ごめん、無理

走って来た道を戻る秀

栄二:あ!おい!秀!

茜:いいから!瑠奈が!

栄二:ちっ、クソ!

瑠奈:アツイ、アツイ、アツイアツイ!

茜:何これ……

栄二:なぁ!おい!どうすればいいんだ?
   コイツ……力が強すぎ……ッ!

茜:(何も見えない……私、また助けられない…)
  凪!ねぇ!凪!お願い!

反応しない凪

茜:嘘……なんで?

栄二:おい!……ウッ

腹を蹴られ、後ろに転倒する栄二

栄二:痛っ…嘘だろ
   どんな力してんだよ

茜:凪!凪!

栄二:茜!お前さっきから何言っ……
   グッ……アッ…

倒れた栄二に覆いかぶさり、首を絞める瑠奈

瑠奈:アツイ、アツイ、アツイノ…
   お前も、お前も

栄二:カッ……アッ

茜:嘘……やめて!やめて瑠奈!

栄二はそのまま気絶してしまう

瑠奈:アッ、アッァァァア!!

茜:凪ィィイ!!

ーー瞬間、玉が光る

茜:『!?……なんでゆるしを得てないのに
  憑依状態に…?茜、君は一体……
  いや、パンドラの時も共感をしたんだっけ
  だけど、これは精神力じゃ説明つかないよ
  君の過去にあるモノ……
  茜、僕の声が聞こえているよね
  いいかい、これは君の過去の枷、業と言ってもいい』

瑠奈:アツイアツイアツイ!
   お前も、お前も!!

茜:『五月蝿いよ』

凪の結界に閉じ込められ、身動きができない瑠奈

茜:『仕方ない、こうなった以上、僕がやるけど
  お前はいつからそこにいるんだよ、骸』

その言葉を聞いてか、木の陰から姿を現す

骸:……

茜:『お前、また見て見ぬ振りか?』

骸:キミがいるから僕の出番はなさそうだっただけだよ

茜:『じゃあ、お前がどうにかしろ』

骸:茜ちゃんには借りがあるから
  別にいいんだけど、まだ僕の番じゃない
  それはキミが対処するんだ

茜:『チッ、この程度』

骸:そうだね、その程度の霊なら
  キミが出なくてもいいんだよ
  オサキも慎重すぎる

瑠奈:アッ……あァァァア!!
   水、水が……

骸:そんなモノ、ここにいる限り
  手に入らないよ

瑠奈:ッッ………

茜:『もう、還れ』

除霊を終える凪

茜:『茜に危険な目にあってほしくない
  だから、僕自身、触れなかった』

骸:だけど、そのせいで茜ちゃんの大切な人たちは死ぬことになる

茜:『けど』

骸:けど、僕は茜が無事ならそれでいい、かな?
  それが本当に茜ちゃんの為なのかな?
  キミは、無理をしてる
  本当は護りたいはずだよ

茜:『煩い!』

骸:……まぁ、いい
  そろそろ戻りなよ、あとは僕がやる

茜:『……骸、お前は』

骸:それこそ、煩いよ

茜:……あっ

骸:やぁ、茜ちゃん

茜:骸さん……いつから

骸:さぁ?いつからだろうね
  言いたい事は分かるよ、オサキには内緒、だよね

茜:……すみません、私

骸:僕たちに関わってるキミが
  好き好んで、こういう場所に来るとは思えない
  予想は出来るし、凪にも言われていたけど
  キミの抱えているモノの所為だね
  それに関しては僕は何も言うつもりはないよ
  ただ、このままで良いとは言えないな

茜:このまま、ですか?

骸:さて、2人を起こす前に答え合わせをしようか
  今回、この子に取り憑いていた霊は何?

茜:私、全く気づきませんでした
  だけど、凪と入れ替わった時、色々見えて

骸:うん、それで?

茜:ただの浮遊霊です

骸:半分正解、だけど本質を見抜いてるから、合格かな

茜:すみません、ちょっと…

足が震え出し、そのまま地面に座り込む茜

茜:骸さんが来てくれたのと、凪のおかげで
  ちょっと緊張が解けて…その…

骸:はは、……今回の霊は浮遊霊
  火事で亡くなった人の霊体が
  水場を求めて彷徨った挙句に……
  この先にもう少し進むと池があるんだ

茜:そうなんですね 

骸:水場や、池、湖なんかは水神、龍神と言った
  水に纏わる神がいてね
  それは土地神でもあったりするんだよ
  それに捕まったんだろうね
  浮遊霊だったのに
  そのまま地縛霊にされたんだ

茜:偶々、なんですよね
  ここは心霊スポットじゃないから
  偶々、瑠奈に取り憑いた

骸:うーん、その子、以前火事にあってるよ
  間接的にかもしれないし、そこで繋がったんだと思う

茜:そうなんですか?
  知らなかった……

骸:さて、そろそろ迎えに行こうか

茜:迎え?

骸:とりあえず二人を起こそうかな


栄二:ううん…うっ…

茜:あ、大丈夫?

栄二:あか…ね?ハッ!
   瑠奈は!?瑠奈はどうした!?

骸:大丈夫だよ

栄二:えっ、誰…だ?

茜:あ、えっと

骸:僕は山田
  茜さんのアルバイト先の知り合いで
  最近、茜さんとも知り合ったんだ
  僕も偶々ここに来ていてね
  偶々出会ったってわけ

栄二:あ、はぁ…
   (なんだ?この人、女?いや、男?
   俺より年下な気もするけど…いや、分んねぇ)

茜:むく、…山田さん
  瑠奈は?

骸:気絶してるね
  キミ、頼んでいいかな?

栄二:えっ、あ、あぁ


瑠奈を背負い、道を戻る


栄二:え、てことは山田、さんは
   幽霊が見えるんスか?

骸:少しだけね
  昔からというより、家系かなー
  一応対処できるモノもあって
  今回偶々、よかったよ

茜:(本当、この人、凄いな…
  なんでこんな普通にできるんだろ…)

骸:どうしたの?茜さん

茜:い、いえ!考え事を!

骸:ふふ、けど、これに懲りたら
  心霊スポットなんて危ないところ
  行っちゃダメだよ

栄二:はい…反省します

骸:気持ちは分からなくもないけどね
  さて、あと一人一緒に来てたよね?

栄二:えっ、何で知ってるんですか?

骸:あぁ、ちょっと僕一人じゃどうにもできなかったのと
  そっちの方が大変そうだったから
  悪いけど後回しにしててね

栄二:は、はぁ…

骸に案内され、戻ると
崖の下、落ちた様子の秀が見つかる

栄二:秀!!

秀:ウッ…痛…痛ぃ…

骸:足折れてそうだから

栄二:待ってろ!今行く!
   茜、瑠奈頼むぞ

瑠奈:大丈夫、ありがとう

栄二:瑠奈!お前、大丈夫なのか?

瑠奈:うーん…ちょっと記憶が曖昧で
   よく覚えてないんだけど……
   なんか、わかんない

茜:よかった、瑠奈
  肩、貸すよ

瑠奈:ありがとう、茜

骸:あぁ、あんまり無理に動かすと

栄二:よし
   すみません、山田さん

骸:……そうだね、そろそろ上げてあげようか

秀を救出、車まで戻る

秀:ゥウ…痛たい……

骸:……、うん取り憑かれてないね
  色々あったのと、怪我の痛みで
  ちょっと心ここに在らずだけど

栄二:逃げたコイツの自業自得と言いたいけど
   ありがとうございました

骸:いえいえ

瑠奈:もう大丈夫、歩けるよ

茜:よかった

栄二:大人しく座っとけよ

秀:…はぁ…はぁ…、ごめん、ごめん…

栄二:いいって、もう

秀:山本さ……いや、ごめん

茜:ううん

骸:それじゃ、帰りも気をつけて帰るんだよ

栄二:すみません、色々ありがとうございました

瑠奈:ごめんなさい

骸:困った時はお互い様だからね
  あ、茜さんだけ借りていいかい?
  僕が責任を持って送るから

栄二:茜…

茜:あ、うん!大丈夫
  山田さんに送ってもらうよ

栄二:とりあえず俺は秀を病院に連れて行くから
   先に送るわ

瑠奈:いいよ、私もついて行く

栄二:大丈夫、なのか?

瑠奈:うん
   じゃあ、ね、茜
   また

茜:うん、またね

3人は車でその場を後にする


骸:普通の人を演じるのは楽じゃないね

茜:慣れてませんでした?骸さん

骸:はは、ありがとう

茜:大丈夫、ですよね

骸:あぁ、そうそう
  あの男の子にも霊が憑いててね
  茜ちゃんの所に行くまでに祓っといたから

茜:え!?そうなんですか!?

骸:霊は怖がってる人に寄っていくから
  怪我もしてたし、尚更ね

茜:すみません、色々

骸:あぁ、それは凪に言ったほうがいいよ
  凪はキミの味方だけど
  いや、違うか
  凪は全部知っているのか

茜:えっ?知ってる?

骸:それは凪が話すことだから
  僕から言うつもりは無いし、言うと怒るし

茜:…はい

骸:だけど、キミの抱えているモノ
  早く吐き出したほうがいいかもね
  付け入る隙になるのは確かだからさ

茜:……そう、ですね
  骸さんは、分かるんですか?

骸:いいや、僕はわからない
  何かある事だけは…それはオサキも分かってる
  知ってるかい?僕たちは黒いんだよ

茜:黒、ですか?

骸:闇、と言ってもいい
  怪異に関わり、ある程度の関係を持つとね
  それは先天的にも後天的にもだけど
  黒く染まるんだ
  だから僕は、こう思っている

茜:なんですか?

骸:怪異に関わるモノは
  それは、人でも人ならざるモノでも
  それは全て、怪異だ、と

茜:全て、怪異……

骸:茜ちゃん、キミも例外じゃ無い
  今は狐を使役して関わっている
  普通の人間じゃない
  狐を使役する女、それがキミだ

茜:そう、見えるんですね
  たしかに、普通じゃないですよね

骸:ま、僕からすれば、まだまだだけどね

茜:はい

骸:オサキに習うといい

茜:え?

骸:除霊
  キミなら出来るはずだよ

茜:そうなんですか?

骸:実際に力を持てば、助けられる事も増える
  持たざる者を助けるのは持っている者だけだよ
  じゃないと、もう、諦めるしか道はないからね

茜:私、話してみます
  尾先さんに

骸:うん、また僕も手伝える時は手伝うよ

茜:心強いです!

骸:さて、もう少し行けば道がある
  タクシーでも拾おうか

茜:骸さん…タクシー使うんですね

骸:あはは、意外かな


【間】


後日

秀:ありがとう、お見舞い

栄二:せっかくの夏休みなのに
   初っ端、入院は運が悪かったな

秀:いや、みんなを置いて逃げた自分が悪い

栄二:……もう誰も責めてねーよ

秀:ごめん

栄二:俺も懲りた
   次は普通に遊ぼうぜ、秀

秀:……ありがとう…

栄二:…早く治せ、馬鹿


瑠奈:じゃあ、私は気を失って?

茜:うん、取り憑かれてね

瑠奈:それを山田さんが

茜:うん、偶然近くにいたみたいで

瑠奈:栄二、は…

茜:少し瑠奈が暴れてたから
  止めててくれたんだ

瑠奈:そっか

茜:(本当のことは言うなって言われたけど
  斎藤君、これで良かったのかな)

瑠奈:茜も、ごめん

茜:いや!私は別に

瑠奈:美紅が変わったのもそうだったのかな

茜:え?

瑠奈:ううん、今度は普通に遊ぼ!茜

茜:あはは、そうだね


茜:『実際に力を持てば、その異常に気づくだろう
  では、持たざる者はどうするのか
  それは、もう、諦めるしかないのかもしれない』
  『だから、私はーー』

茜:私は、助ける道を選ぶよ
  それで良いよね、凪

薄く赤く光る、今度はそれに気づく茜

茜:……よし



叩く 叩く 人ならざるモノに 関わるモノは
その扉をーーー、開く



持つ者の決意 終

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