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第一章
第十二話 持つ者の決意
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茜:『実際に力を持てば、その異常に気づくだろう』
『では、持たざる者はどうするのか』
『それは、もう、諦めるしかないのかもしれない』
【間】
茜:え?心霊スポット?
栄二:おう、行こうぜ
茜:いや、私は…
栄二:んだよ、怪しい店で働いてんだろ?
茜:ちょ、それどういう意味?
栄二:いや、お前が騒いだのが始まりじゃん
幽霊に呪われたー、祟りだーってよ
美紅も最初は気にしてたのによー
急にそういう話しなくなったし
茜:それは……
秀:栄二、無理強いは良くないんじゃない?
明らかに山本さん嫌がってるじゃん
本当、無理はしなくていいから
茜:うん、ありがとう
栄二:いや、けど霊感ある奴居た方が
絶対面白いじゃん
秀:そう思ってるのは栄二だけでしょ?
茜:え、私、霊感あるって言った?
栄二:あるんじゃねーの?
幽霊見てたんだろ?
茜:そうじゃなかったんだけど
栄二:えー、なんだよ
けど、行こうぜ夏の思い出に
茜:……
(心霊スポットって言っても8割は嘘って尾先さんも言ってたし…大丈夫、なのかな)
瑠奈:茜は行かないの?
茜:えっ、瑠奈行くの?
瑠奈:ちょうどバイト休みだし、まぁいいかなって
それと、せっかくの夏休みだからね
幽霊もあんまり信じてないし
茜:……わかった、行くよ
秀:…山本さん、大丈夫?
茜:うん
栄二:おしゃ、決まりな
んじゃ、8時に鹿取公園集合な
茜:わかった
【間】
茜:凪、何かあったら助けてくれる?
…凪は私だけ無事ならそれでいいって
言ってくれるけど、友達が行くから
守れるなら、守って欲しいんだ
茜は、玉の凪に話すも、反応はない
茜:馬鹿だって思うよね
けど、ごめん
決めたから
薄らと赤く光るが茜は気づかなかった
【間】
ある日の切り取り
それは、誰も知らない一日
骸:興味深い体験だね
茜:そうなんですか?
骸:うん、中々ないよ
神様っていうのは、そういう存在
茜:私、怖かったです
それに……助けられませんでした
骸:それこそ、僕たちは神様じゃないからね
全部は助けられないし、思ったように事が進むなんてありえない
オサキだって、キミだって
茜:…はい
骸:僕たちと関わるということはそういうこと
人の生き死にこそ怪異とはよく言ったもんだよ
たしかに、地縛霊なんかは、元は人だ
それに僕たちだって
茜:えっ?
骸:フフ、それは、また、別の話かな
茜:骸さんは神様と会ったことはあるんですか?
骸:そうだね……それに近い存在なら
ソレと連絡先を最近交換したね
茜:ど、どういうことですか…それ
骸:神様って意外にいっぱい居るよ
日本は八百万とか言葉もあるくらいね
茜:話せば話すほど、骸さんがよく分からないです
骸:解られても困るんだけどね
それじゃ、どの掃除機が欲しいのかな?
茜:なんでもいいんですか?
骸:もちろん、オサキにはそれほど頑張ってもらったから
【間】
栄二:お、来たな
茜:来ないと思ってたの?
栄二:嫌がってたからな
秀:山本さんってホラー得意なの?
茜:得意ではないけど
瑠奈:私も映画は観れるけど、お化け屋敷は苦手だなー
あれは怖いって言うよりビックリさせにきてるから
マジで苦手
茜:心霊スポットに行くのに大丈夫なの?
瑠奈:みんな居るし、大丈夫
脅かす人もいないし
栄二:じゃあ、行こうぜ
車で20分くらいみたいだから
車で向かう四人、その道中
瑠奈:心霊スポットは初めてだから
ちょっと緊張はするなー
秀:実は俺もなんだ
栄二:なんだよ、行ったことないのか
秀:そういう栄二は?
栄二:まぁ、先輩に連れられて何度か
特に何もなかったし…心霊写真とかも撮れたことなかったな
瑠奈:案外、拍子抜けって感じ?
栄二:うーん、雰囲気怖いとこはあったけど
よくある追いかけられるとか
車に手形がぁ!みたいなのはなかった
茜:……
秀:……山本さんは?行ったことある?
茜:えっ!?あー、うん
一回だけ…かな
瑠奈:えー、そうなの?
どうだった?
茜:私は……
私も別に何もなかったよ
瑠奈:そうなんだ
茜:(変に不安にさせてもダメだよね…)
相田君はホラーは大丈夫なの?
秀:俺?俺は、普通かな
好んで見ようとか行こうとは思わないけど
栄二くらいじゃない?張り切ってるの
栄二:んだよ、テンション上げて行こうぜ
夏休みのイベント、中々ないんだからさー
瑠奈:バーベキューとか企画してよ
栄二:そうだな
また連絡するわ
秀:そろそろかな?
栄二:ん?あぁ、もうちょいだな
確か少しズレると車停めれるくらいのスペースがあるらしいんだよ
茜:行ったことあるの?
栄二:いや、先輩から聞いた
瑠奈:その先輩、心霊スポット巡ってるの?
栄二:心霊好きだからなー、あの人
多分巡ってんじゃねーかな
秀:大学生って感じだね
栄二:あはは、まぁな
茜:……
(大丈夫、だよね)
ある森に到着ーー、車を降りる4人
秀:結構、暗いな
栄二:あぁ、街灯もないっぽいな
瑠奈:うっ…寒っ
秀:ちょっと山登ったから、気温下がってるね
栄二:相まって雰囲気出てるな
辺りを見回す茜
茜:……
秀:山本さん?
茜:あ、ごめん
ちょっと寒くて
秀:よかったら、上着使う?
茜:え!?ううん!大丈夫
秀:何かあったら言ってね
茜:うん、ありがとう
瑠奈:……何々、いい感じ?
茜:え!?
瑠奈:相田といい感じじゃん?
茜:そんなこと、ないと思うけど
瑠奈:ふーん、そういうこと
茜:どういうこと?
瑠奈:茜にはまだ早いのかー
茜:本当、そういうのじゃないから!
栄二:何してんだ?行くぞー
瑠奈:はいはい
行こ、茜
先に進む4人
瑠奈:ここで肝試しって何するの?
ずっと歩くだけ?
栄二:あー、聞いた話だと
赤い紐が括られてる木があるらしくて
先輩たちはそこまで行って帰るらしい
秀:赤い紐?
栄二:なんかの目印だろうけど
まぁ行ってみれば分かるだろ
茜:(うん、やっぱり本物じゃないのかな
幽霊はいないみたいだけど)
結構遠いの?
栄二:いや、分からん
秀:迷うなよ、栄二
…と、それに少し崖になってるし
危ないとこもあるね
瑠奈:雨降ってなくて良かった
滑って落ちたら怪我するよこれ
茜:走らないようにしないとね
秀:そうだね
栄二も気をつけて
栄二:おー、大丈夫だ
さらに奥に進む
瑠奈:…ねぇ全然見当たらないんだけど
秀:結構進んだよね?
栄二:んなこと言われても
俺も初めて来たから
茜:ねぇ
栄二:ん?
茜:戻った方がよくない?
危ないし、見つからないなら
もう戻ってもいいんじゃない?
栄二:んだよ、ビビってんの?
あ、それともあれ?幽霊いる?
茜:い、いや、だから
別に見えるわけじゃ
瑠奈:もうちょっと進んで何もないなら
茜の言う通り戻ればいいんじゃない?
せっかく来たんだし、見つけたい気もする
秀:そうだね
間を取ってそうしよう
山本さんもそれでいい?
茜:…わかった
栄二:じゃあ進むぞ
さらに進む
栄二:マジで無いな
秀:暗くて見落としたんじゃない?
流石に結構進んだよ
栄二:あー、確かに
瑠奈:え?
茜:どうしたの?
瑠奈:え?あれ?気のせい?
なんか声が聞こえたような気がして
栄二:聞こえないぞ?
秀:あー、それシュミラクラってやつかも
茜:相田君、知ってるの?
秀:うん、心霊写真とか大体これって言うよね
瑠奈:なにそれ?
秀:岩とか木目が顔に見えたりとか
思い込みって言えばいいのかな
よくある心霊写真とかが、この現象って言われてて
だから、その声も風の音じゃないかな?
瑠奈:え?でも風なんか吹いてないよ?
秀:じゃ、じゃあ、風じゃない
虫の鳴き声とか
栄二:とりあえず勘違いってことだろ?
もうちょい進もうぜ
瑠奈:ねぇ、茜
茜:何?
瑠奈:本当に聞こえない?
もし見えるんだったら何か見てない?
茜:私は…見てないし、聞こえてないよ
瑠奈:……そっか
それはオカシイナ
茜:え?
瑠奈:ん?どうしたの?
茜:…何か言った?
瑠奈:ううん、言ってないよ?
もしかして、何か聞こえた?
茜:気のせい…かも
秀:栄二、もう戻ろう
やっぱり見当たらないよ
女の子もいるしこれ以上は…
栄二:あ、あぁ、そうだな
秀:栄二?
栄二:なぁ、茜
本当に見えないんだよな?
茜:どうして聞くの?
何度も答えてるじゃ
栄二:あれ!
…アレ、何だよ?
茜:えっ?
瑠奈:ァァァア!!
秀:ヒィ……
栄二:瑠奈!?
瑠奈:見た見た見た見た見た
茜:(嘘…どこにもいなかったのに)
瑠奈!しっかりして!
瑠奈:アァ!アツイ…アツイアツイアツイ…
茜:ちょ!瑠奈!
急に首を掻き毟る瑠奈
茜:栄二君!瑠奈押さえて!
栄二:あ、あ…おう!
秀!手伝え!
秀:……あっ、えっ
栄二:秀?
秀:……ごめん、無理
走って来た道を戻る秀
栄二:あ!おい!秀!
茜:いいから!瑠奈が!
栄二:ちっ、クソ!
瑠奈:アツイ、アツイ、アツイアツイ!
茜:何これ……
栄二:なぁ!おい!どうすればいいんだ?
コイツ……力が強すぎ……ッ!
茜:(何も見えない……私、また助けられない…)
凪!ねぇ!凪!お願い!
反応しない凪
茜:嘘……なんで?
栄二:おい!……ウッ
腹を蹴られ、後ろに転倒する栄二
栄二:痛っ…嘘だろ
どんな力してんだよ
茜:凪!凪!
栄二:茜!お前さっきから何言っ……
グッ……アッ…
倒れた栄二に覆いかぶさり、首を絞める瑠奈
瑠奈:アツイ、アツイ、アツイノ…
お前も、お前も
栄二:カッ……アッ
茜:嘘……やめて!やめて瑠奈!
栄二はそのまま気絶してしまう
瑠奈:アッ、アッァァァア!!
茜:凪ィィイ!!
ーー瞬間、玉が光る
茜:『!?……なんで許を得てないのに
憑依状態に…?茜、君は一体……
いや、パンドラの時も共感をしたんだっけ
だけど、これは精神力じゃ説明つかないよ
君の過去にあるモノ……
茜、僕の声が聞こえているよね
いいかい、これは君の過去の枷、業と言ってもいい』
瑠奈:アツイアツイアツイ!
お前も、お前も!!
茜:『五月蝿いよ』
凪の結界に閉じ込められ、身動きができない瑠奈
茜:『仕方ない、こうなった以上、僕がやるけど
お前はいつからそこにいるんだよ、骸』
その言葉を聞いてか、木の陰から姿を現す
骸:……
茜:『お前、また見て見ぬ振りか?』
骸:キミがいるから僕の出番はなさそうだっただけだよ
茜:『じゃあ、お前がどうにかしろ』
骸:茜ちゃんには借りがあるから
別にいいんだけど、まだ僕の番じゃない
それはキミが対処するんだ
茜:『チッ、この程度』
骸:そうだね、その程度の霊なら
キミが出なくてもいいんだよ
オサキも慎重すぎる
瑠奈:アッ……あァァァア!!
水、水が……
骸:そんなモノ、ここにいる限り
手に入らないよ
瑠奈:ッッ………
茜:『もう、還れ』
除霊を終える凪
茜:『茜に危険な目にあってほしくない
だから、僕自身、触れなかった』
骸:だけど、そのせいで茜ちゃんの大切な人たちは死ぬことになる
茜:『けど』
骸:けど、僕は茜が無事ならそれでいい、かな?
それが本当に茜ちゃんの為なのかな?
キミは、無理をしてる
本当は護りたいはずだよ
茜:『煩い!』
骸:……まぁ、いい
そろそろ戻りなよ、あとは僕がやる
茜:『……骸、お前は』
骸:それこそ、煩いよ
茜:……あっ
骸:やぁ、茜ちゃん
茜:骸さん……いつから
骸:さぁ?いつからだろうね
言いたい事は分かるよ、オサキには内緒、だよね
茜:……すみません、私
骸:僕たちに関わってるキミが
好き好んで、こういう場所に来るとは思えない
予想は出来るし、凪にも言われていたけど
キミの抱えているモノの所為だね
それに関しては僕は何も言うつもりはないよ
ただ、このままで良いとは言えないな
茜:このまま、ですか?
骸:さて、2人を起こす前に答え合わせをしようか
今回、この子に取り憑いていた霊は何?
茜:私、全く気づきませんでした
だけど、凪と入れ替わった時、色々見えて
骸:うん、それで?
茜:ただの浮遊霊です
骸:半分正解、だけど本質を見抜いてるから、合格かな
茜:すみません、ちょっと…
足が震え出し、そのまま地面に座り込む茜
茜:骸さんが来てくれたのと、凪のおかげで
ちょっと緊張が解けて…その…
骸:はは、……今回の霊は浮遊霊
火事で亡くなった人の霊体が
水場を求めて彷徨った挙句に……
この先にもう少し進むと池があるんだ
茜:そうなんですね
骸:水場や、池、湖なんかは水神、龍神と言った
水に纏わる神がいてね
それは土地神でもあったりするんだよ
それに捕まったんだろうね
浮遊霊だったのに
そのまま地縛霊にされたんだ
茜:偶々、なんですよね
ここは心霊スポットじゃないから
偶々、瑠奈に取り憑いた
骸:うーん、その子、以前火事にあってるよ
間接的にかもしれないし、そこで繋がったんだと思う
茜:そうなんですか?
知らなかった……
骸:さて、そろそろ迎えに行こうか
茜:迎え?
骸:とりあえず二人を起こそうかな
栄二:ううん…うっ…
茜:あ、大丈夫?
栄二:あか…ね?ハッ!
瑠奈は!?瑠奈はどうした!?
骸:大丈夫だよ
栄二:えっ、誰…だ?
茜:あ、えっと
骸:僕は山田
茜さんのアルバイト先の知り合いで
最近、茜さんとも知り合ったんだ
僕も偶々ここに来ていてね
偶々出会ったってわけ
栄二:あ、はぁ…
(なんだ?この人、女?いや、男?
俺より年下な気もするけど…いや、分んねぇ)
茜:むく、…山田さん
瑠奈は?
骸:気絶してるね
キミ、頼んでいいかな?
栄二:えっ、あ、あぁ
瑠奈を背負い、道を戻る
栄二:え、てことは山田、さんは
幽霊が見えるんスか?
骸:少しだけね
昔からというより、家系かなー
一応対処できるモノもあって
今回偶々、よかったよ
茜:(本当、この人、凄いな…
なんでこんな普通にできるんだろ…)
骸:どうしたの?茜さん
茜:い、いえ!考え事を!
骸:ふふ、けど、これに懲りたら
心霊スポットなんて危ないところ
行っちゃダメだよ
栄二:はい…反省します
骸:気持ちは分からなくもないけどね
さて、あと一人一緒に来てたよね?
栄二:えっ、何で知ってるんですか?
骸:あぁ、ちょっと僕一人じゃどうにもできなかったのと
そっちの方が大変そうだったから
悪いけど後回しにしててね
栄二:は、はぁ…
骸に案内され、戻ると
崖の下、落ちた様子の秀が見つかる
栄二:秀!!
秀:ウッ…痛…痛ぃ…
骸:足折れてそうだから
栄二:待ってろ!今行く!
茜、瑠奈頼むぞ
瑠奈:大丈夫、ありがとう
栄二:瑠奈!お前、大丈夫なのか?
瑠奈:うーん…ちょっと記憶が曖昧で
よく覚えてないんだけど……
なんか、わかんない
茜:よかった、瑠奈
肩、貸すよ
瑠奈:ありがとう、茜
骸:あぁ、あんまり無理に動かすと
栄二:よし
すみません、山田さん
骸:……そうだね、そろそろ上げてあげようか
秀を救出、車まで戻る
秀:ゥウ…痛たい……
骸:……、うん取り憑かれてないね
色々あったのと、怪我の痛みで
ちょっと心ここに在らずだけど
栄二:逃げたコイツの自業自得と言いたいけど
ありがとうございました
骸:いえいえ
瑠奈:もう大丈夫、歩けるよ
茜:よかった
栄二:大人しく座っとけよ
秀:…はぁ…はぁ…、ごめん、ごめん…
栄二:いいって、もう
秀:山本さ……いや、ごめん
茜:ううん
骸:それじゃ、帰りも気をつけて帰るんだよ
栄二:すみません、色々ありがとうございました
瑠奈:ごめんなさい
骸:困った時はお互い様だからね
あ、茜さんだけ借りていいかい?
僕が責任を持って送るから
栄二:茜…
茜:あ、うん!大丈夫
山田さんに送ってもらうよ
栄二:とりあえず俺は秀を病院に連れて行くから
先に送るわ
瑠奈:いいよ、私もついて行く
栄二:大丈夫、なのか?
瑠奈:うん
じゃあ、ね、茜
また
茜:うん、またね
3人は車でその場を後にする
骸:普通の人を演じるのは楽じゃないね
茜:慣れてませんでした?骸さん
骸:はは、ありがとう
茜:大丈夫、ですよね
骸:あぁ、そうそう
あの男の子にも霊が憑いててね
茜ちゃんの所に行くまでに祓っといたから
茜:え!?そうなんですか!?
骸:霊は怖がってる人に寄っていくから
怪我もしてたし、尚更ね
茜:すみません、色々
骸:あぁ、それは凪に言ったほうがいいよ
凪はキミの味方だけど
いや、違うか
凪は全部知っているのか
茜:えっ?知ってる?
骸:それは凪が話すことだから
僕から言うつもりは無いし、言うと怒るし
茜:…はい
骸:だけど、キミの抱えているモノ
早く吐き出したほうがいいかもね
付け入る隙になるのは確かだからさ
茜:……そう、ですね
骸さんは、分かるんですか?
骸:いいや、僕はわからない
何かある事だけは…それはオサキも分かってる
知ってるかい?僕たちは黒いんだよ
茜:黒、ですか?
骸:闇、と言ってもいい
怪異に関わり、ある程度の関係を持つとね
それは先天的にも後天的にもだけど
黒く染まるんだ
だから僕は、こう思っている
茜:なんですか?
骸:怪異に関わるモノは
それは、人でも人ならざるモノでも
それは全て、怪異だ、と
茜:全て、怪異……
骸:茜ちゃん、キミも例外じゃ無い
今は狐を使役して関わっている
普通の人間じゃない
狐を使役する女、それがキミだ
茜:そう、見えるんですね
たしかに、普通じゃないですよね
骸:ま、僕からすれば、まだまだだけどね
茜:はい
骸:オサキに習うといい
茜:え?
骸:除霊
キミなら出来るはずだよ
茜:そうなんですか?
骸:実際に力を持てば、助けられる事も増える
持たざる者を助けるのは持っている者だけだよ
じゃないと、もう、諦めるしか道はないからね
茜:私、話してみます
尾先さんに
骸:うん、また僕も手伝える時は手伝うよ
茜:心強いです!
骸:さて、もう少し行けば道がある
タクシーでも拾おうか
茜:骸さん…タクシー使うんですね
骸:あはは、意外かな
【間】
後日
秀:ありがとう、お見舞い
栄二:せっかくの夏休みなのに
初っ端、入院は運が悪かったな
秀:いや、みんなを置いて逃げた自分が悪い
栄二:……もう誰も責めてねーよ
秀:ごめん
栄二:俺も懲りた
次は普通に遊ぼうぜ、秀
秀:……ありがとう…
栄二:…早く治せ、馬鹿
瑠奈:じゃあ、私は気を失って?
茜:うん、取り憑かれてね
瑠奈:それを山田さんが
茜:うん、偶然近くにいたみたいで
瑠奈:栄二、は…
茜:少し瑠奈が暴れてたから
止めててくれたんだ
瑠奈:そっか
茜:(本当のことは言うなって言われたけど
斎藤君、これで良かったのかな)
瑠奈:茜も、ごめん
茜:いや!私は別に
瑠奈:美紅が変わったのもそうだったのかな
茜:え?
瑠奈:ううん、今度は普通に遊ぼ!茜
茜:あはは、そうだね
茜:『実際に力を持てば、その異常に気づくだろう
では、持たざる者はどうするのか
それは、もう、諦めるしかないのかもしれない』
『だから、私はーー』
茜:私は、助ける道を選ぶよ
それで良いよね、凪
薄く赤く光る、今度はそれに気づく茜
茜:……よし
叩く 叩く 人ならざるモノに 関わるモノは
その扉をーーー、開く
持つ者の決意 終
『では、持たざる者はどうするのか』
『それは、もう、諦めるしかないのかもしれない』
【間】
茜:え?心霊スポット?
栄二:おう、行こうぜ
茜:いや、私は…
栄二:んだよ、怪しい店で働いてんだろ?
茜:ちょ、それどういう意味?
栄二:いや、お前が騒いだのが始まりじゃん
幽霊に呪われたー、祟りだーってよ
美紅も最初は気にしてたのによー
急にそういう話しなくなったし
茜:それは……
秀:栄二、無理強いは良くないんじゃない?
明らかに山本さん嫌がってるじゃん
本当、無理はしなくていいから
茜:うん、ありがとう
栄二:いや、けど霊感ある奴居た方が
絶対面白いじゃん
秀:そう思ってるのは栄二だけでしょ?
茜:え、私、霊感あるって言った?
栄二:あるんじゃねーの?
幽霊見てたんだろ?
茜:そうじゃなかったんだけど
栄二:えー、なんだよ
けど、行こうぜ夏の思い出に
茜:……
(心霊スポットって言っても8割は嘘って尾先さんも言ってたし…大丈夫、なのかな)
瑠奈:茜は行かないの?
茜:えっ、瑠奈行くの?
瑠奈:ちょうどバイト休みだし、まぁいいかなって
それと、せっかくの夏休みだからね
幽霊もあんまり信じてないし
茜:……わかった、行くよ
秀:…山本さん、大丈夫?
茜:うん
栄二:おしゃ、決まりな
んじゃ、8時に鹿取公園集合な
茜:わかった
【間】
茜:凪、何かあったら助けてくれる?
…凪は私だけ無事ならそれでいいって
言ってくれるけど、友達が行くから
守れるなら、守って欲しいんだ
茜は、玉の凪に話すも、反応はない
茜:馬鹿だって思うよね
けど、ごめん
決めたから
薄らと赤く光るが茜は気づかなかった
【間】
ある日の切り取り
それは、誰も知らない一日
骸:興味深い体験だね
茜:そうなんですか?
骸:うん、中々ないよ
神様っていうのは、そういう存在
茜:私、怖かったです
それに……助けられませんでした
骸:それこそ、僕たちは神様じゃないからね
全部は助けられないし、思ったように事が進むなんてありえない
オサキだって、キミだって
茜:…はい
骸:僕たちと関わるということはそういうこと
人の生き死にこそ怪異とはよく言ったもんだよ
たしかに、地縛霊なんかは、元は人だ
それに僕たちだって
茜:えっ?
骸:フフ、それは、また、別の話かな
茜:骸さんは神様と会ったことはあるんですか?
骸:そうだね……それに近い存在なら
ソレと連絡先を最近交換したね
茜:ど、どういうことですか…それ
骸:神様って意外にいっぱい居るよ
日本は八百万とか言葉もあるくらいね
茜:話せば話すほど、骸さんがよく分からないです
骸:解られても困るんだけどね
それじゃ、どの掃除機が欲しいのかな?
茜:なんでもいいんですか?
骸:もちろん、オサキにはそれほど頑張ってもらったから
【間】
栄二:お、来たな
茜:来ないと思ってたの?
栄二:嫌がってたからな
秀:山本さんってホラー得意なの?
茜:得意ではないけど
瑠奈:私も映画は観れるけど、お化け屋敷は苦手だなー
あれは怖いって言うよりビックリさせにきてるから
マジで苦手
茜:心霊スポットに行くのに大丈夫なの?
瑠奈:みんな居るし、大丈夫
脅かす人もいないし
栄二:じゃあ、行こうぜ
車で20分くらいみたいだから
車で向かう四人、その道中
瑠奈:心霊スポットは初めてだから
ちょっと緊張はするなー
秀:実は俺もなんだ
栄二:なんだよ、行ったことないのか
秀:そういう栄二は?
栄二:まぁ、先輩に連れられて何度か
特に何もなかったし…心霊写真とかも撮れたことなかったな
瑠奈:案外、拍子抜けって感じ?
栄二:うーん、雰囲気怖いとこはあったけど
よくある追いかけられるとか
車に手形がぁ!みたいなのはなかった
茜:……
秀:……山本さんは?行ったことある?
茜:えっ!?あー、うん
一回だけ…かな
瑠奈:えー、そうなの?
どうだった?
茜:私は……
私も別に何もなかったよ
瑠奈:そうなんだ
茜:(変に不安にさせてもダメだよね…)
相田君はホラーは大丈夫なの?
秀:俺?俺は、普通かな
好んで見ようとか行こうとは思わないけど
栄二くらいじゃない?張り切ってるの
栄二:んだよ、テンション上げて行こうぜ
夏休みのイベント、中々ないんだからさー
瑠奈:バーベキューとか企画してよ
栄二:そうだな
また連絡するわ
秀:そろそろかな?
栄二:ん?あぁ、もうちょいだな
確か少しズレると車停めれるくらいのスペースがあるらしいんだよ
茜:行ったことあるの?
栄二:いや、先輩から聞いた
瑠奈:その先輩、心霊スポット巡ってるの?
栄二:心霊好きだからなー、あの人
多分巡ってんじゃねーかな
秀:大学生って感じだね
栄二:あはは、まぁな
茜:……
(大丈夫、だよね)
ある森に到着ーー、車を降りる4人
秀:結構、暗いな
栄二:あぁ、街灯もないっぽいな
瑠奈:うっ…寒っ
秀:ちょっと山登ったから、気温下がってるね
栄二:相まって雰囲気出てるな
辺りを見回す茜
茜:……
秀:山本さん?
茜:あ、ごめん
ちょっと寒くて
秀:よかったら、上着使う?
茜:え!?ううん!大丈夫
秀:何かあったら言ってね
茜:うん、ありがとう
瑠奈:……何々、いい感じ?
茜:え!?
瑠奈:相田といい感じじゃん?
茜:そんなこと、ないと思うけど
瑠奈:ふーん、そういうこと
茜:どういうこと?
瑠奈:茜にはまだ早いのかー
茜:本当、そういうのじゃないから!
栄二:何してんだ?行くぞー
瑠奈:はいはい
行こ、茜
先に進む4人
瑠奈:ここで肝試しって何するの?
ずっと歩くだけ?
栄二:あー、聞いた話だと
赤い紐が括られてる木があるらしくて
先輩たちはそこまで行って帰るらしい
秀:赤い紐?
栄二:なんかの目印だろうけど
まぁ行ってみれば分かるだろ
茜:(うん、やっぱり本物じゃないのかな
幽霊はいないみたいだけど)
結構遠いの?
栄二:いや、分からん
秀:迷うなよ、栄二
…と、それに少し崖になってるし
危ないとこもあるね
瑠奈:雨降ってなくて良かった
滑って落ちたら怪我するよこれ
茜:走らないようにしないとね
秀:そうだね
栄二も気をつけて
栄二:おー、大丈夫だ
さらに奥に進む
瑠奈:…ねぇ全然見当たらないんだけど
秀:結構進んだよね?
栄二:んなこと言われても
俺も初めて来たから
茜:ねぇ
栄二:ん?
茜:戻った方がよくない?
危ないし、見つからないなら
もう戻ってもいいんじゃない?
栄二:んだよ、ビビってんの?
あ、それともあれ?幽霊いる?
茜:い、いや、だから
別に見えるわけじゃ
瑠奈:もうちょっと進んで何もないなら
茜の言う通り戻ればいいんじゃない?
せっかく来たんだし、見つけたい気もする
秀:そうだね
間を取ってそうしよう
山本さんもそれでいい?
茜:…わかった
栄二:じゃあ進むぞ
さらに進む
栄二:マジで無いな
秀:暗くて見落としたんじゃない?
流石に結構進んだよ
栄二:あー、確かに
瑠奈:え?
茜:どうしたの?
瑠奈:え?あれ?気のせい?
なんか声が聞こえたような気がして
栄二:聞こえないぞ?
秀:あー、それシュミラクラってやつかも
茜:相田君、知ってるの?
秀:うん、心霊写真とか大体これって言うよね
瑠奈:なにそれ?
秀:岩とか木目が顔に見えたりとか
思い込みって言えばいいのかな
よくある心霊写真とかが、この現象って言われてて
だから、その声も風の音じゃないかな?
瑠奈:え?でも風なんか吹いてないよ?
秀:じゃ、じゃあ、風じゃない
虫の鳴き声とか
栄二:とりあえず勘違いってことだろ?
もうちょい進もうぜ
瑠奈:ねぇ、茜
茜:何?
瑠奈:本当に聞こえない?
もし見えるんだったら何か見てない?
茜:私は…見てないし、聞こえてないよ
瑠奈:……そっか
それはオカシイナ
茜:え?
瑠奈:ん?どうしたの?
茜:…何か言った?
瑠奈:ううん、言ってないよ?
もしかして、何か聞こえた?
茜:気のせい…かも
秀:栄二、もう戻ろう
やっぱり見当たらないよ
女の子もいるしこれ以上は…
栄二:あ、あぁ、そうだな
秀:栄二?
栄二:なぁ、茜
本当に見えないんだよな?
茜:どうして聞くの?
何度も答えてるじゃ
栄二:あれ!
…アレ、何だよ?
茜:えっ?
瑠奈:ァァァア!!
秀:ヒィ……
栄二:瑠奈!?
瑠奈:見た見た見た見た見た
茜:(嘘…どこにもいなかったのに)
瑠奈!しっかりして!
瑠奈:アァ!アツイ…アツイアツイアツイ…
茜:ちょ!瑠奈!
急に首を掻き毟る瑠奈
茜:栄二君!瑠奈押さえて!
栄二:あ、あ…おう!
秀!手伝え!
秀:……あっ、えっ
栄二:秀?
秀:……ごめん、無理
走って来た道を戻る秀
栄二:あ!おい!秀!
茜:いいから!瑠奈が!
栄二:ちっ、クソ!
瑠奈:アツイ、アツイ、アツイアツイ!
茜:何これ……
栄二:なぁ!おい!どうすればいいんだ?
コイツ……力が強すぎ……ッ!
茜:(何も見えない……私、また助けられない…)
凪!ねぇ!凪!お願い!
反応しない凪
茜:嘘……なんで?
栄二:おい!……ウッ
腹を蹴られ、後ろに転倒する栄二
栄二:痛っ…嘘だろ
どんな力してんだよ
茜:凪!凪!
栄二:茜!お前さっきから何言っ……
グッ……アッ…
倒れた栄二に覆いかぶさり、首を絞める瑠奈
瑠奈:アツイ、アツイ、アツイノ…
お前も、お前も
栄二:カッ……アッ
茜:嘘……やめて!やめて瑠奈!
栄二はそのまま気絶してしまう
瑠奈:アッ、アッァァァア!!
茜:凪ィィイ!!
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茜:『!?……なんで許を得てないのに
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いや、パンドラの時も共感をしたんだっけ
だけど、これは精神力じゃ説明つかないよ
君の過去にあるモノ……
茜、僕の声が聞こえているよね
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瑠奈:アツイアツイアツイ!
お前も、お前も!!
茜:『五月蝿いよ』
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茜:『仕方ない、こうなった以上、僕がやるけど
お前はいつからそこにいるんだよ、骸』
その言葉を聞いてか、木の陰から姿を現す
骸:……
茜:『お前、また見て見ぬ振りか?』
骸:キミがいるから僕の出番はなさそうだっただけだよ
茜:『じゃあ、お前がどうにかしろ』
骸:茜ちゃんには借りがあるから
別にいいんだけど、まだ僕の番じゃない
それはキミが対処するんだ
茜:『チッ、この程度』
骸:そうだね、その程度の霊なら
キミが出なくてもいいんだよ
オサキも慎重すぎる
瑠奈:アッ……あァァァア!!
水、水が……
骸:そんなモノ、ここにいる限り
手に入らないよ
瑠奈:ッッ………
茜:『もう、還れ』
除霊を終える凪
茜:『茜に危険な目にあってほしくない
だから、僕自身、触れなかった』
骸:だけど、そのせいで茜ちゃんの大切な人たちは死ぬことになる
茜:『けど』
骸:けど、僕は茜が無事ならそれでいい、かな?
それが本当に茜ちゃんの為なのかな?
キミは、無理をしてる
本当は護りたいはずだよ
茜:『煩い!』
骸:……まぁ、いい
そろそろ戻りなよ、あとは僕がやる
茜:『……骸、お前は』
骸:それこそ、煩いよ
茜:……あっ
骸:やぁ、茜ちゃん
茜:骸さん……いつから
骸:さぁ?いつからだろうね
言いたい事は分かるよ、オサキには内緒、だよね
茜:……すみません、私
骸:僕たちに関わってるキミが
好き好んで、こういう場所に来るとは思えない
予想は出来るし、凪にも言われていたけど
キミの抱えているモノの所為だね
それに関しては僕は何も言うつもりはないよ
ただ、このままで良いとは言えないな
茜:このまま、ですか?
骸:さて、2人を起こす前に答え合わせをしようか
今回、この子に取り憑いていた霊は何?
茜:私、全く気づきませんでした
だけど、凪と入れ替わった時、色々見えて
骸:うん、それで?
茜:ただの浮遊霊です
骸:半分正解、だけど本質を見抜いてるから、合格かな
茜:すみません、ちょっと…
足が震え出し、そのまま地面に座り込む茜
茜:骸さんが来てくれたのと、凪のおかげで
ちょっと緊張が解けて…その…
骸:はは、……今回の霊は浮遊霊
火事で亡くなった人の霊体が
水場を求めて彷徨った挙句に……
この先にもう少し進むと池があるんだ
茜:そうなんですね
骸:水場や、池、湖なんかは水神、龍神と言った
水に纏わる神がいてね
それは土地神でもあったりするんだよ
それに捕まったんだろうね
浮遊霊だったのに
そのまま地縛霊にされたんだ
茜:偶々、なんですよね
ここは心霊スポットじゃないから
偶々、瑠奈に取り憑いた
骸:うーん、その子、以前火事にあってるよ
間接的にかもしれないし、そこで繋がったんだと思う
茜:そうなんですか?
知らなかった……
骸:さて、そろそろ迎えに行こうか
茜:迎え?
骸:とりあえず二人を起こそうかな
栄二:ううん…うっ…
茜:あ、大丈夫?
栄二:あか…ね?ハッ!
瑠奈は!?瑠奈はどうした!?
骸:大丈夫だよ
栄二:えっ、誰…だ?
茜:あ、えっと
骸:僕は山田
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最近、茜さんとも知り合ったんだ
僕も偶々ここに来ていてね
偶々出会ったってわけ
栄二:あ、はぁ…
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俺より年下な気もするけど…いや、分んねぇ)
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骸:気絶してるね
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栄二:えっ、あ、あぁ
瑠奈を背負い、道を戻る
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骸:少しだけね
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一応対処できるモノもあって
今回偶々、よかったよ
茜:(本当、この人、凄いな…
なんでこんな普通にできるんだろ…)
骸:どうしたの?茜さん
茜:い、いえ!考え事を!
骸:ふふ、けど、これに懲りたら
心霊スポットなんて危ないところ
行っちゃダメだよ
栄二:はい…反省します
骸:気持ちは分からなくもないけどね
さて、あと一人一緒に来てたよね?
栄二:えっ、何で知ってるんですか?
骸:あぁ、ちょっと僕一人じゃどうにもできなかったのと
そっちの方が大変そうだったから
悪いけど後回しにしててね
栄二:は、はぁ…
骸に案内され、戻ると
崖の下、落ちた様子の秀が見つかる
栄二:秀!!
秀:ウッ…痛…痛ぃ…
骸:足折れてそうだから
栄二:待ってろ!今行く!
茜、瑠奈頼むぞ
瑠奈:大丈夫、ありがとう
栄二:瑠奈!お前、大丈夫なのか?
瑠奈:うーん…ちょっと記憶が曖昧で
よく覚えてないんだけど……
なんか、わかんない
茜:よかった、瑠奈
肩、貸すよ
瑠奈:ありがとう、茜
骸:あぁ、あんまり無理に動かすと
栄二:よし
すみません、山田さん
骸:……そうだね、そろそろ上げてあげようか
秀を救出、車まで戻る
秀:ゥウ…痛たい……
骸:……、うん取り憑かれてないね
色々あったのと、怪我の痛みで
ちょっと心ここに在らずだけど
栄二:逃げたコイツの自業自得と言いたいけど
ありがとうございました
骸:いえいえ
瑠奈:もう大丈夫、歩けるよ
茜:よかった
栄二:大人しく座っとけよ
秀:…はぁ…はぁ…、ごめん、ごめん…
栄二:いいって、もう
秀:山本さ……いや、ごめん
茜:ううん
骸:それじゃ、帰りも気をつけて帰るんだよ
栄二:すみません、色々ありがとうございました
瑠奈:ごめんなさい
骸:困った時はお互い様だからね
あ、茜さんだけ借りていいかい?
僕が責任を持って送るから
栄二:茜…
茜:あ、うん!大丈夫
山田さんに送ってもらうよ
栄二:とりあえず俺は秀を病院に連れて行くから
先に送るわ
瑠奈:いいよ、私もついて行く
栄二:大丈夫、なのか?
瑠奈:うん
じゃあ、ね、茜
また
茜:うん、またね
3人は車でその場を後にする
骸:普通の人を演じるのは楽じゃないね
茜:慣れてませんでした?骸さん
骸:はは、ありがとう
茜:大丈夫、ですよね
骸:あぁ、そうそう
あの男の子にも霊が憑いててね
茜ちゃんの所に行くまでに祓っといたから
茜:え!?そうなんですか!?
骸:霊は怖がってる人に寄っていくから
怪我もしてたし、尚更ね
茜:すみません、色々
骸:あぁ、それは凪に言ったほうがいいよ
凪はキミの味方だけど
いや、違うか
凪は全部知っているのか
茜:えっ?知ってる?
骸:それは凪が話すことだから
僕から言うつもりは無いし、言うと怒るし
茜:…はい
骸:だけど、キミの抱えているモノ
早く吐き出したほうがいいかもね
付け入る隙になるのは確かだからさ
茜:……そう、ですね
骸さんは、分かるんですか?
骸:いいや、僕はわからない
何かある事だけは…それはオサキも分かってる
知ってるかい?僕たちは黒いんだよ
茜:黒、ですか?
骸:闇、と言ってもいい
怪異に関わり、ある程度の関係を持つとね
それは先天的にも後天的にもだけど
黒く染まるんだ
だから僕は、こう思っている
茜:なんですか?
骸:怪異に関わるモノは
それは、人でも人ならざるモノでも
それは全て、怪異だ、と
茜:全て、怪異……
骸:茜ちゃん、キミも例外じゃ無い
今は狐を使役して関わっている
普通の人間じゃない
狐を使役する女、それがキミだ
茜:そう、見えるんですね
たしかに、普通じゃないですよね
骸:ま、僕からすれば、まだまだだけどね
茜:はい
骸:オサキに習うといい
茜:え?
骸:除霊
キミなら出来るはずだよ
茜:そうなんですか?
骸:実際に力を持てば、助けられる事も増える
持たざる者を助けるのは持っている者だけだよ
じゃないと、もう、諦めるしか道はないからね
茜:私、話してみます
尾先さんに
骸:うん、また僕も手伝える時は手伝うよ
茜:心強いです!
骸:さて、もう少し行けば道がある
タクシーでも拾おうか
茜:骸さん…タクシー使うんですね
骸:あはは、意外かな
【間】
後日
秀:ありがとう、お見舞い
栄二:せっかくの夏休みなのに
初っ端、入院は運が悪かったな
秀:いや、みんなを置いて逃げた自分が悪い
栄二:……もう誰も責めてねーよ
秀:ごめん
栄二:俺も懲りた
次は普通に遊ぼうぜ、秀
秀:……ありがとう…
栄二:…早く治せ、馬鹿
瑠奈:じゃあ、私は気を失って?
茜:うん、取り憑かれてね
瑠奈:それを山田さんが
茜:うん、偶然近くにいたみたいで
瑠奈:栄二、は…
茜:少し瑠奈が暴れてたから
止めててくれたんだ
瑠奈:そっか
茜:(本当のことは言うなって言われたけど
斎藤君、これで良かったのかな)
瑠奈:茜も、ごめん
茜:いや!私は別に
瑠奈:美紅が変わったのもそうだったのかな
茜:え?
瑠奈:ううん、今度は普通に遊ぼ!茜
茜:あはは、そうだね
茜:『実際に力を持てば、その異常に気づくだろう
では、持たざる者はどうするのか
それは、もう、諦めるしかないのかもしれない』
『だから、私はーー』
茜:私は、助ける道を選ぶよ
それで良いよね、凪
薄く赤く光る、今度はそれに気づく茜
茜:……よし
叩く 叩く 人ならざるモノに 関わるモノは
その扉をーーー、開く
持つ者の決意 終
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