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外伝
叢雲
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八剱:『この夢が 未来なら
この光景が 来るべき未来なら
お前は どうする?
……なぁ、八剱 蒼』
八剱は、見ている。何かを。
それは、未来に起こる厄災か、否か。
もう、自分では……どうすることもできないのだ。
日和:ごめんなさい、八剱さん
私……
八剱:大丈夫だ
ある一枚の紙を見る八剱
八剱:怪異相談所……
行くしか、ないか
オサキ怪異相談所 外伝:叢雲
オサキのところに一本の電話がかかる。
その相手に苛立ちを覚えている尾先。
尾先:だから、それについては話しただろう!
金額面もそうだが、説明も不十分だ
俺は便利屋じゃない、自分の命は惜しい
……だから!情報がないって言ってるだろ!
茜:……尾先さん、怒ってますね
一体、何の依頼なんですかね?
骸:茜ちゃん、この話知ってる?
茜:全然、気にしてないんですね骸さん…
骸:ある男女の恋愛話なんだけど
茜:え!?骸さんそんなの見るんですか?
骸:ある一人の男がものすごーーく、一途で
何十年と片思いをしたんだけどさ
結局、報われずに好きな人を殺すんだ
茜:…期待した私が馬鹿でした
骸:殺された女は地縛霊になるんだけど
最後に仕返しをするんだ
茜ちゃんならどうする?
茜:私ですか?うーん…殺されて、ですよね
…それでも私は何も出来ない気がします
骸:あはは、いい子だね
恨んだりしないの?
茜:幽霊だから、取り憑いたりしても
そのあとどうするか、あんまり思い付かないです
骸:なるほど
たしかに幽霊になったこともないし
何ができるか解らないね
茜:それに、私は苦しんでるのを見るのとか、グロい系とか苦手で
骸:うんうん、なるほどね
尾先:愛憎ってのは、実際その身に起こらないと、湧かない感情かもしれないな
茜:あ、尾先さん
大丈夫でしたか?
尾先:あぁ、なんとかな
骸:生きている間の自分と
死んだあとの自分の違い、か
尾先:なんだそれは?
骸:いや、この話もそうだけど
生きている間に苦手なことも
未練や恨みを残して死んだ場合は
それも引き継がれるのか……ちょっとね
茜:それを考えてたんですか?
引き継がれないなら…やっぱり
恨みを晴らそうとするんですかね
尾先:さぁな
まぁ、霊はそっちの欲望に忠実な気もするが
というより解り易いんだよなぁ
骸:恨みを晴らすのに執着する奴は多いね
尾先:その話の結末は何なんだ?
骸:あぁ、男は女に会いたくて死を望むんだ
女は、男の死刑執行間近に姿を見せて
まだ現世に居ることを暗示させ、男に未練が残るようにするんだ
恨みが晴れた女は成仏
男は……どうなるだろうね?
ハハッ、今でも彼女を探す為に這いずり回ってるかもね
茜:女の人は成仏して、男の人は現世に縛られる…?
ってことは、もう会えない…?
尾先:はは、それは良い仕返しだな
縛られて動けないだろうから
茜の考察で正解だ
茜:直接手を出すわけじゃなくて
そういった仕返しもあるんですね
骸:まぁ、よくある話だよ
それに……手を出してはいるんだけどね
ま、そんな霊を除霊するのもオサキの仕事だね
尾先:悪霊になりやすいからな
茜:へぇ…そういうものなんですね
ロマンスホラーサスペンス…?
尾先:…嫌なジャンルだな
ロマンスではないだろうが
茜:あるんですかね…あはは…
骸:混ぜるな危険、ってね
ん?
尾先:客か?
茜:あ、私行ってきます
尾先:あぁ
骸:……同業、かな
尾先:…よく解らんな
【間】
茜:では、こちらに
八剱:あぁ、すまない
ありがとう
日和:ありがとうございます
茜:少し、お待ちください
尾先:いや、大丈夫だ
八剱:あっ、君が…その、怪異相談所の
尾先:それはコイツが勝手に付けた名前だ
別に相談所をしている訳ではない
八剱:では、此処はそういった場所ではない、と?
骸:いや、そういった場所でいいよ
尾先:骸、お前な
骸:やぁ、まずは自己紹介から始めようか
八剱:俺は八剱
個人で探偵をしている
それで、こっちは助手の
日和:綾瀬 日和です
普段は大学に通っています
アルバイトで八剱さんにお世話になってて
尾先:探偵…なるほどな
よかったな茜、歳の近い依頼者だ
日和:え、そうなんですか?
茜:あ、えっと、私も大学生で
ここにはアルバイトで
名前は山本 茜です
日和:似てますね
尾先:それで、俺がオサキだ
長い木と書いてオサキ……
いや……尾の先と書いて尾先だ
八剱:いい、のか?偽名じゃなくて
尾先:あぁ、大丈夫だ
骸:僕は骸
これはあだ名であり、ハンドルネームであり
二つ名だったり、通り名だったり、異名と
まぁそんなもんだよ
日和:凄い、ですね
骸:あはは、ありがとう
僕は此処の人間じゃない
別で怪異屋ってものをやっているよ
あと、蒐集家でね
色んなものを蒐めているんだ
オサキとは親友って感じかな?
尾先:いつそうなったんだ?
骸:都合の良い時だけだねぇ、オサキは
八剱:怪異相談所に怪異屋……
とりあえず、依頼をしたい
…無理そうなら断ってくれてもいいが
正直、困ってはいる
尾先:あぁ、聞くだけはタダだ
…茜、上でその子と話をしろ
茜:え?別々に聞くんですか?
骸:歳も近いし、僕たちと話すよりね
日和:あの、八剱さん…
八剱:あぁ、構わない
日和:わかりました、お願いします
茜:じゃあ、案内します
骸:茜ちゃん
茜:はい?
耳打ちをする骸
骸:あとで情報共有するから
ある程度、聞けることは聞いてね
茜:は、はい!
骸:じゃあ、よろしく
尾先:面倒見がいいことで
骸:キミが怠るからだよ
八剱:……見えて、いるのか?
尾先:いや、だが粗方そうだろうなという、勘だ
八剱:…君たちなら任せられそうだ
【間】
茜と日和、別室にて
茜:え、じゃあ同い年だ
日和:あはは、じゃあ敬語は無しにしよう
境遇も似てそうだから
茜:わかった
あの…八剱、さんって人とは
どうやって知り合ったの?
探偵ってアルバイト中々聞かないけど
日和:それは私も聞きたい
怪異相談所ってのも聞かないよ
っていうか、初めて聞いたし
茜:あはは…、じゃあ、私から
私は……友達に、ね…呪いをかけられたの
日和:呪い?
茜:あっ、ロマンスホラーサスペンス…
日和:え?何それ?
茜:ううん!さっき日和ちゃんたちが来る前に
少し話してて……愛憎、っていうのかな?
私が呪いをかけられたのもそんな感じで
好きな人に色目使ってたーとか言われて
全然、そんなことなかったんだけど
日和:分かるよ
私も八剱さんと出会って
恋愛でおかしくなっちゃった人、見たことある
人を狂わせる感情って言ってたから
茜:それでね、それを助けてくれたのが尾先さん
それから、色々あって手伝ってるの
日和:……怪異相談所っていうのは?
茜:…その名前の通りなんだけど
怪異に纏わることを専門にしてる
そうじゃないこともあるんだけど
本業、って言ったらいいのかな
日和:じゃあ、見えるんだ
茜:私はまだまだなんだけどね
日和:……じゃあ、私の番
私は、八剱さんに助けられたの
あはは、私たち本当に似てる
私の場合は呪いじゃなかったんだけど
幽霊絡みで事件に巻き込まれて
私は霊感っていうのはないんだけど
茜:じゃあ、八剱さんは霊感が?
日和:うん、だけどあの人は少し特別
茜:特別?
【間】
八剱:俺は探偵をやっているが
これは、紛れもなく本業だ
骸:の割には、少し違いそうだけど?
八剱:骸、と言ったかな
その目は誤魔化せそうにないな
尾先:骸の目について、何か知っているのか?
八剱:いや、そういう訳じゃない
ただ、俺の目がそう教えてくれる
尾先:……
っ!?その目は…
骸:……反応した?
八剱:まずは俺の生い立ちについて話した方がいいか
俺は生まれて間もなくして
妖怪、と呼ばれる存在に目を刺された
尾先:刺された?
八剱:あぁ、そいつを調べる為にも探偵という
特殊なものをやっているとこもあるんだが
そのせいで、本業は探偵だが、裏では怪異探偵なんて呼んでいる奴もいる
骸:へぇ、初めて聞いた
あまり動いてはないね?
八剱:あぁ、この目が反応した時だけ
俺は怪異に関わっている
普段は霊感なんてものもない
ただ、この目が教えてくれる
そして、お前たちにも……
尾先:反応しているって訳か
骸:ねぇ、それって何に刺されたの?
八剱:刺した本人は解らない
ただ、俺の目を貫いたのは、霊剣と呼ばれるものだ
尾先:霊剣……天叢雲剣…?
骸:流石だね、だから八剱か
八剱:……そこまで、解るのか
骸:八剱、と言えばそうなる
安易と言えばそうだけど
知らなきゃ解らない
名前自体にも力はあるし、餌とも考えられる
尾先:八剱なんて解り易い名前をぶら下げていれば、いつかは本命に辿り着ける
まぁ、やり方は間違ってないか
八剱:そのことはいい
今回の依頼についてだ
骸:あの子、のことだよね
尾先:あぁ、茜が聞き出しているものもあるが
とりあえず、話してくれ
【間】
茜:女の子の幽霊?
日和:多分、なんだけど
八剱さんとある事件の調査をしていて
そこで、憑かれたというか
茜:それって心霊絡みの依頼だったの?
日和:ううん、そうじゃなかったの
普通の事件の調査だったんだけど
そこが偶々、霊道?っていうのかな
それが通ってて
怪異の依頼だったり、近くにいれば、八剱さんの目が反応するんだけど
茜:その、特別な目ってやつ?
日和:そう
ただ、その時は反応がなくて
全く解らない状況で取り憑かれたの
茜:その割には、うーん…
日和:そんな感じがしない?
茜:うん、普通に話してるし
幽霊の気配も全然解らない
日和:多分、それがね……
私の特性だと思う
茜:特性…?
【間】
骸:……
尾先:どう思う?
骸:特別な存在、と言えば簡単だけど
ここまでは聞いたことはないね
八剱:大丈夫そうか?
尾先:とりあえずはやってみるが
取り憑いたモノが解らんからな
骸:一度見れればいいんだけど
尾先:最後に聞きたい
なぜ、俺たちの所へ来た?
八剱:……この目は、怪異を見ることができる
しかし、自分の意思じゃなく、だ
それと同じで、もう一つ
夢を見るんだ
尾先:夢?
八剱:俺が俺に問いかけて来るんだ、夢の中で
それが暗示だったり、未来視に近い現象もある
骸:正夢になると?
八剱:あぁ、未来に起こることを夢に見て
俺に問いかけるんだ
『この夢が 未来なら
この光景が 来るべき未来なら
お前は どうする?
……なぁ、八剱 蒼』と
尾先:その夢の中のお前は、霊剣を持った奴か?
八剱:……解らない
骸:未来予知くらいなら
霊剣のカケラが入った目なら見てもおかしくない
その夢で僕たちを見たのかい?
八剱:あぁ、それと別の状況もな
尾先:それを俺たちは覆せると?
八剱:確定した未来なんてないからな
俺はそれに賭けている
骸:解った
これは受けるべきだね、オサキ
尾先:あぁ、そのつもりだ
八剱:……来たか
茜:あ、すみません
まだでした?
尾先:いや、大丈夫だ
とりあえず準備をする
そこで待っていてくれ
日和:あの、よろしくお願いします
尾先:あぁ
【間】
準備をしつつ、話の擦り合わせを行う三人
骸:なるほど
まぁ、二人の話は一致しているし
特に変わったこともなさそうだね
茜:あれってどういうことなんですか?
尾先:日和、といったか
霊感はないと話したんだな?
茜:はい、今まで見たことも気配を感じたこともないそうです
尾先:そうか
あれは簡単に言えば、蓋がしっかりしているんだ
茜:蓋、ですか?
骸:茜ちゃんもくねくねを見たり、呪いを受けたり、コトリバコだったり
自分の中に別のモノが入る感覚は少しは解るよね?
茜:はい、あれが取り憑かれた感覚と似てることは
尾先さんに聞きました
尾先:取り憑かれる場合、自分の中に別のモノが入る
それは色々と状況、状態にもよるが
蓋が開いている状態なんだ
茜:なんとなく、分かります
尾先:それで、取り憑いた後は蓋が閉じて
中に入った状態になる
骸:だけど、ほとんどの場合
蓋の隙間から霊力みたいなものが漏れてて
僕たちはそれを感じて、取り憑かれていると認識できるんだ
茜:それは、私も何となく解るようになってきました
だけど、日和ちゃんには全くそれが見えませんでした
尾先:あぁ、あれは蓋が密閉されている状態に近い
だから、霊力も漏れないし、取り憑いた霊が表に出れないんだ
骸:そんな蓋を持ってる人間は少ない、というより
希少と言う方がいいレベルで現れないんだ
だけど、怪異は
茜:何が起こるか解らない…
骸:そう、密閉されている状態でも
外に出る方法があるのかもしれない
何が鍵になるかも解らない
それと、八剱が見た光景も気になるね
尾先:あぁ、俺たちを指名して依頼したんだ
夢の話は詳しく話さなかったということは
まぁ……良い夢ではなかったんだろうな
骸:驕ってるわけじゃないけど
僕がいるのに…ねぇ?
茜:気を引き締めた方がよさそうですね…
尾先:……あぁ
【間】
日和:八剱さん…
八剱:大丈夫だ
確定した未来なんてない
お前は助かる、それに…
日和:私の力、ってことですか?
八剱:あぁ、使い方を知るいい機会になるかもしれない
まだ、大丈夫そうか?
日和:はい…中に居る感覚はあるんですけど
外に出て行く感覚は無いです
八剱:俺の目も反応はしていない
……何が起ころうと、絶対に助ける
だから、安心しろ
日和:……はい
骸:……
茜:骸さん?
骸:いや、何でもない
尾先:準備ができた
現場に向かおう
八剱:あぁ、案内する
【間】
ある場所へ向かう5人
八剱:此処だ
尾先:確かに霊道が通っているな
この辺りに何かあったか
骸:見た感じ、悪いものではないけど
偶々かな
茜:……
日和:みなさん、凄いですね
見ただけで解るなんて
茜:ここ、と…ここ
あと、2階にも何かある…?
尾先:よく視えているな
2階のは下の霊道に当てられて
溜まり場になっているものだろうな
骸:此処は入って良い場所なのかい?
八剱:いや、家の中はダメだ
一応持ち主は健在だからな
骸:それじゃあ、移動かな
辿ってみるしかないね
尾先:……いや、多分これだろう
茜:神社?そんなものありました?
尾先:廃神社だな
行ってみるか
更に移動する
八剱:これは……酷いな
骸:まぁ、こんなモノだよ
鳥居は避けようか
日和:以前来た時には気づきませんでした
八剱さんは知ってたんですか?
八剱:いや、俺も周囲は気にしてなかった
霊道の件も日和が憑かれてから解ったから
尾先:本当に万能なモンじゃねぇな、ソレ
八剱:俺の意思で、どうこうできるモノでもないし
こういう状況の時、お前たちが羨ましくなる
骸:あはは、良いモノでもないけどね
茜:持つ人次第なところありますからね…
日和:色々見てきたっぽい言い方だね
茜:うん…色々あったからね
尾先:よし、此処でいいだろう
……札が無いな
骸:剥がされ訳でもなさそうだけど
元々貼ってなかったのかな……
あ、手抜きだね、これ
八剱:手抜き?
骸:元々は貼ってたみたいだけど
管理する人がいなくなったのか
今では何もされてないみたいだね
茜:それは…幽霊も溜まりそうな気がします
尾先:実際、溜まって行き場が無くて
あの家に霊道が通ったということだ
お前に取り憑いた霊は此処で行き場を無くした奴だな
日和:悪い霊、なんですか?
尾先:いや、それは解らんが……
おい、骸、あれ
骸:……行こうか
茜:な、何ですか、あの場所…
八剱:……
日和:異様な雰囲気だね…
茜:日和ちゃんも解る?
日和:いや、見えたりじゃないんだけど
雰囲気が凄くて…
骸:僕の勘が正しければ、アレが本命かな
八剱:勘、だと?
尾先:行けば解るだろう
日和:……行きましょう
八剱:…あぁ
廃神社を見回ると、そこには地下へ続く穴があった
異様な雰囲気を纏い、それはあった
それを見つけた一行は、地下へ続く道を進む
茜:これ……は?
尾先:お前も以前関わったな
茜:関わった?
骸:ここは水子堂だね
……もうあまり居ないみたいだけど
八剱:水子堂…だと?
日和:水子堂ってなんですか?
八剱:水子…所謂、死産や何らかの理由で亡くなった
子供たちの供養をする所だ
尾先:水子専門の寺や、それを祀る施設なんかは色々ある
観音像の中にそういう場を設けたり
此処のように地下に作ったり
茜:何か意味があるんですか?
尾先:色々、あるんだろうが
前にも話したが、水子霊は無邪気だ
無邪気ゆえの祀り方もあったり
あとは、遺族の意向なんかもあるな
骸:風鈴に地蔵、中央の祭壇みたいなものは、大元だね
風鈴は音によって鎮魂する道具かな
地蔵に関しては入れ物だね
茜:入れ物?ですか?
骸:うん、魂の、ね
日和:魂の入れ物……
八剱:やはり……
尾先:……
日和:八剱さん…?
骸:その様子、その子には話してないね
さて、どうする?答え合わせでもするかい?
時間はそれほど無いけど
茜:……何か…来る?
尾先:解るか?
茜:はい…これは…
尾先:クダ、行け
骸:クダが時間を稼いでくれるとは言え、急ごうか
僕たちに依頼をしたキミが
本当の依頼者である綾瀬日和に何も話してないのは
少々、軽率だ
尾先:俺らが何も解らないまま依頼を受けると思うか?
お前は特別な目を持っているとはいえ
俺や骸と同列とは言い難い
まだ、甘いな
八剱:何が、解る
尾先:全部、とは言わない
関わってきた場数も違うからな
綾瀬日和は確かに希少な存在でもある
言いたくはないが、ムカつく奴の言葉を借りるなら
性能調査でもやってるんだろ
八剱:そこまで解ってなぜ、依頼を受けた
骸:僕が居る
尾先:それと、お前は完璧じゃねぇ
八剱:完璧じゃ、ない?
尾先:お前のその目は、不完全だ
お前の見る予知夢も未来視も
不完全で信用に足りん
覆すことは出来ない領域に達して無い
骸:もっと言えば、その目はそういうモノ
危険察知、とでも言えばいいかな?
未来視や予知夢じゃなくて
こういうことが起こるから気を付けてね
程度のお知らせかもしれないね?
八剱:…なん、だと
骸:その目で見た不幸は変えられただろう?
今までも、これからも
日和:ど、どういうことですか?
一体、何の話をしてるんですか?
茜:日和ちゃん、ちょっと落ち着いて!
日和:ご、ごめん
尾先:感情的になるな
何が理由で蓋が開くか解らん
骸:綾瀬日和
キミの中に在るモノは水子霊だ
無邪気な彼等は悪さで取り憑いたりしない
無邪気であって好奇心もある
キミが何か魅力的に見えたんだ
だけど、入ってしまったら閉じ込められた
日和:子供の幽霊…?
でも、私!
骸:誰かを傷つけた、かい?
日和:ど、どうしてそれを…
骸:それは中の子の仕業じゃない
その子の親、だよ
日和:親……?
骸:無理心中かな?
その子が死んで親も死んだね
だから、繋がっているんだ
その子が急に居なくなった
親は、どう思う?
日和:えっ、それ、は…
尾先:確かにお前は悪くない
だが、霊と言うのは良くも悪くも、感情が簡単に出来てやがる
嫌なことがあれば怒る
生きていれば冷静になれることも
霊では感情がもろに出る
霊道になっていたこともあって
真っ先にあの家が原因と思ったんだろう
しかし、どうだ?
霊道を辿ってみたものの、子はいない
八剱:あの場にいた俺たちの中に
取り憑かれた形跡を見つけられなかった
それで、また怒りが…
茜:もしかして
繋がってるから、何か起こせば、見つけられると思ったんですか?
たがら、日和ちゃんに
尾先:正解だ
そうして当たりを付けた
しかし、この特殊体質だ
手が出せなかった
骸:近くには霊剣の気配もある
言っとくけど、その目
幽霊からしたら嫌なモノだよ
八剱:だから下手に近づかなかった
だが、どうにかしたくて
何度か日和に繋がって苦しめていた…?
尾先:見方が違うな
苦しめたんじゃない
子供を助けようとしたんだ
八剱:なっ……
日和:…親からしてみたら
私が閉じ込めていると思われても…おかしくない
あ、あの!私、どうすれば!?
骸:此処なら、その蓋を開けられる
なんせ、その子の家だからね
さて、取り憑いた霊の答え合わせは、これで一件落着
次はキミの番だよ、八剱蒼
八剱:俺、だと?
尾先:解らないと、思ったのか?
此処に来て確信に変わった
お前が見た夢の話
俺が聞かせてやるよ
八剱:……何が、言いたい
尾先:お前が見た夢はその水子の霊の親による、此処にいる全員の死、だろう
茜:えっ…?
八剱:……
尾先:死、または重症
それくらいの事になるのは解っていた
夢の話をしないということはそれなりのリスクがある
だが、その状況になる理由が解らなかった
しかし、お前の夢が完璧じゃないと解ったのは
骸の存在だ
八剱:何?
骸:僕は、霊関係の事では何も受けないんだ
僕を殺すにはより、人間的に扱わないとね
尾先:お前は骸を見て安心もしなかった
常に危険はあると、そう考えていた
綾瀬日和が助かるのであれば、犠牲は付き物だとな
八剱:最初から…解っていて
何故、何も言わない!
尾先:お前が言わないからだろう
こっちだって情報をタダでやるほどお人好しじゃねぇよ
それに、お前の狙いも解ってる
八剱:狙い?何のことだ
尾先:茜を入れ物にする筈だった、だろう?
八剱:なっ!
茜:私を、入れ物にする?
尾先:大方、助けるために犠牲は払うつもりだった
まして、今日会った俺たちだったら罪悪感も薄い
ここで蓋が開いて解放された霊
追ってきた親の霊
供物として、茜に霊を取り憑かせ鎮める
茜と綾瀬日和の中にある魂の入れ替えをするつもりだったな?
日和:八剱、さん?本当ですか?
八剱:……
骸:そうでもしないと、夢の惨劇が本物になって
助かるどころか、みんな死ぬ
イレギュラー的に僕たちがいるものの
夢では蓋を開けてくれる手伝いをしたくらいかな?
八剱:……助けてくれ
尾先:……
八剱:そこまで解っているなら!
犠牲無く終われるなら助けてくれ!
尾先:……最初からそのつもりだ
ウチの従業員の命もかかってるんだからな
茜:尾先さん…
骸:アハハ、面白いね
茜:…ちょっと、この状況の何が面白いんですか!
骸:あははは、ごめんね
さて、そろそろ来るよ
親は僕に任せて、キミたちは蓋をお願いね
八剱:すまない、日和
俺は…
日和:助けてくれようとしたんですよね
大丈夫です、あの時と同じです
八剱:……あぁ
尾先:茜、凪を使え
茜:は、はい!
凪、力を貸して
尾先:綾瀬日和、イメージしろ
自分の中に閉じ込めているやつを、外に出すイメージだ
日和:は、はい!
八剱:(俺は……助ける為に犠牲を払おうとした
間違っていると分かっていても
あれを見たら、もう)
誰も知らない、夢の中
尾先:ア、がぁぁあぁぁあ!!
茜:や、……め、て
黒く、濁った霊は何かを発し、吼える
八剱:日、和…今のうちに…
日和:イヤァァァァァア
あっ、あぁ…中から…出て……
茜:ウッ…アッ、あぁ
尾先:あか…ね……
骸:……
八剱:供物は揃った…
これで、日和だけでも……
一瞬で静かになり、日和以外の命は消える
八剱:『この夢が 未来なら
この光景が 来るべき未来なら
お前は どうする?
……なぁ、八剱 蒼
変えるか 未来を
変えられるか 未来を
その目で ミロ スベテヲ』
戻り、現在ーー。
八剱:ありもしない未来に畏れていたのは
俺だけだった…それだけだった
尾先:解ったなら手伝え
気を失うぞ、支えてやれ
八剱:あぁ
茜:行くよ、日和ちゃん
日和:…うん
尾先:……よし、開いた
骸:話はつけてきた
こちらに危害は加えないよ
ちゃんと返せば、の話だけど
尾先:勝手に帰るだろ、親元なんだ
茜:出た!尾先さん!
尾先:あぁ、行ってこい
外へ出て行く子供の霊
尾先:これで、終わりだな
八剱:…っと、日和、大丈夫か?
尾先:まだ目は覚まさんだろうな
蓋が強い分、力も多く使うからな
八剱:……すまなかった、それに君も
茜:え、あ…いえ、気持ちは分かります
八剱:怒らないのか?
茜:大切な人、なんですよね?
八剱:…あぁ、何物にも変え難い
茜:…え、あれ?もしかして恋人同士…?
八剱:…ぷっ、はははっ
あ、いや、すまない
俺の片思いだ
俺たちにも色々あったんだ
それは眠っている日和を差し置いて話すことじゃない
茜:そうですね
また遊びに来た時に色々聞きます!
八剱:……
あぁ、そうしてくれ
尾先:本当、お前ってやつは…
茜:え?
骸:また命を狙われたのに許すんだね、茜ちゃんは
良いところでも悪いところでもあるけど
…まぁ、オサキといれば大丈夫かな
八剱:…お前たちも、そうなのか?
茜:えっ?いやいや!そんな!
尾先:いや、全く
茜:ちょ!尾先さん!
八剱:ありがとう
報酬の話は後日また伺う
尾先:あぁ、それでいい
八剱:縁が、出来てしまったかな
尾先:同業、ではないが
まぁ、その目の事もある
いつかまた、その日が来ればな
八剱:分かった
茜:日和ちゃんもちゃんと休ませないと!
帰りましょう!
尾先:あぁ、そうだな
【間】
後日ーー
尾先:一回無料券ねぇ
八剱:あぁ、本業だからな
一応渡す
骸:上が騒がしいね
女の子は恋バナが尽きないなぁ
八剱:一つ、依頼をしてもいいか?
尾先:その目の怪異についてか?
多分だが、俺たちでも見つけるのは困難だ
今後の依頼ついでにってことなら受けるが
八剱:それでいい
情報が多い方が助かるからな
骸:じゃあ、僕の方でもやっておくよ
八剱:助かる
茜:あ、終わりました?
日和:また遊びに行くね
茜:うん!私も日和のところに行ってみたい
日和:うん、待ってる
骸:随分、仲良くなったね
茜:え?そうですか?
尾先:さ、見送りしてやれ
茜:はい!
帰る二人、それを見送る
骸:元を辿れば、これも愛憎の話だったのかな?
尾先:誰も恨んではないが
恋や愛ってのは間違ってないな
茜:ロマンスホラーサスペンス?
尾先:本当に嫌なジャンルだ
命までかかってるんだからな
茜:尾先さんは、大切な人のために
他人を犠牲にしますか?
骸:……茜ちゃん、それは
尾先:あぁ
……するだろうな
お前は自分を犠牲にしそうだな
茜:そう、ですかね
尾先:何を犠牲にするかは人それぞれだ
だが、犠牲なんて無い方がいい
それでも、俺たちは選ばなきゃいけない時がある
間違えるな、茜
そして、俺が間違ったときは止めてくれ
茜:……尾先さん
骸:……(犠牲、ね
それは、辛い話だよね、オサキ)
尾先:よし、今日は依頼の話がある
ちょうどいい、骸も来い
茜:はい!行きましょう!骸さん
骸:あぁ、行こうか、二人とも
叢雲 終
この光景が 来るべき未来なら
お前は どうする?
……なぁ、八剱 蒼』
八剱は、見ている。何かを。
それは、未来に起こる厄災か、否か。
もう、自分では……どうすることもできないのだ。
日和:ごめんなさい、八剱さん
私……
八剱:大丈夫だ
ある一枚の紙を見る八剱
八剱:怪異相談所……
行くしか、ないか
オサキ怪異相談所 外伝:叢雲
オサキのところに一本の電話がかかる。
その相手に苛立ちを覚えている尾先。
尾先:だから、それについては話しただろう!
金額面もそうだが、説明も不十分だ
俺は便利屋じゃない、自分の命は惜しい
……だから!情報がないって言ってるだろ!
茜:……尾先さん、怒ってますね
一体、何の依頼なんですかね?
骸:茜ちゃん、この話知ってる?
茜:全然、気にしてないんですね骸さん…
骸:ある男女の恋愛話なんだけど
茜:え!?骸さんそんなの見るんですか?
骸:ある一人の男がものすごーーく、一途で
何十年と片思いをしたんだけどさ
結局、報われずに好きな人を殺すんだ
茜:…期待した私が馬鹿でした
骸:殺された女は地縛霊になるんだけど
最後に仕返しをするんだ
茜ちゃんならどうする?
茜:私ですか?うーん…殺されて、ですよね
…それでも私は何も出来ない気がします
骸:あはは、いい子だね
恨んだりしないの?
茜:幽霊だから、取り憑いたりしても
そのあとどうするか、あんまり思い付かないです
骸:なるほど
たしかに幽霊になったこともないし
何ができるか解らないね
茜:それに、私は苦しんでるのを見るのとか、グロい系とか苦手で
骸:うんうん、なるほどね
尾先:愛憎ってのは、実際その身に起こらないと、湧かない感情かもしれないな
茜:あ、尾先さん
大丈夫でしたか?
尾先:あぁ、なんとかな
骸:生きている間の自分と
死んだあとの自分の違い、か
尾先:なんだそれは?
骸:いや、この話もそうだけど
生きている間に苦手なことも
未練や恨みを残して死んだ場合は
それも引き継がれるのか……ちょっとね
茜:それを考えてたんですか?
引き継がれないなら…やっぱり
恨みを晴らそうとするんですかね
尾先:さぁな
まぁ、霊はそっちの欲望に忠実な気もするが
というより解り易いんだよなぁ
骸:恨みを晴らすのに執着する奴は多いね
尾先:その話の結末は何なんだ?
骸:あぁ、男は女に会いたくて死を望むんだ
女は、男の死刑執行間近に姿を見せて
まだ現世に居ることを暗示させ、男に未練が残るようにするんだ
恨みが晴れた女は成仏
男は……どうなるだろうね?
ハハッ、今でも彼女を探す為に這いずり回ってるかもね
茜:女の人は成仏して、男の人は現世に縛られる…?
ってことは、もう会えない…?
尾先:はは、それは良い仕返しだな
縛られて動けないだろうから
茜の考察で正解だ
茜:直接手を出すわけじゃなくて
そういった仕返しもあるんですね
骸:まぁ、よくある話だよ
それに……手を出してはいるんだけどね
ま、そんな霊を除霊するのもオサキの仕事だね
尾先:悪霊になりやすいからな
茜:へぇ…そういうものなんですね
ロマンスホラーサスペンス…?
尾先:…嫌なジャンルだな
ロマンスではないだろうが
茜:あるんですかね…あはは…
骸:混ぜるな危険、ってね
ん?
尾先:客か?
茜:あ、私行ってきます
尾先:あぁ
骸:……同業、かな
尾先:…よく解らんな
【間】
茜:では、こちらに
八剱:あぁ、すまない
ありがとう
日和:ありがとうございます
茜:少し、お待ちください
尾先:いや、大丈夫だ
八剱:あっ、君が…その、怪異相談所の
尾先:それはコイツが勝手に付けた名前だ
別に相談所をしている訳ではない
八剱:では、此処はそういった場所ではない、と?
骸:いや、そういった場所でいいよ
尾先:骸、お前な
骸:やぁ、まずは自己紹介から始めようか
八剱:俺は八剱
個人で探偵をしている
それで、こっちは助手の
日和:綾瀬 日和です
普段は大学に通っています
アルバイトで八剱さんにお世話になってて
尾先:探偵…なるほどな
よかったな茜、歳の近い依頼者だ
日和:え、そうなんですか?
茜:あ、えっと、私も大学生で
ここにはアルバイトで
名前は山本 茜です
日和:似てますね
尾先:それで、俺がオサキだ
長い木と書いてオサキ……
いや……尾の先と書いて尾先だ
八剱:いい、のか?偽名じゃなくて
尾先:あぁ、大丈夫だ
骸:僕は骸
これはあだ名であり、ハンドルネームであり
二つ名だったり、通り名だったり、異名と
まぁそんなもんだよ
日和:凄い、ですね
骸:あはは、ありがとう
僕は此処の人間じゃない
別で怪異屋ってものをやっているよ
あと、蒐集家でね
色んなものを蒐めているんだ
オサキとは親友って感じかな?
尾先:いつそうなったんだ?
骸:都合の良い時だけだねぇ、オサキは
八剱:怪異相談所に怪異屋……
とりあえず、依頼をしたい
…無理そうなら断ってくれてもいいが
正直、困ってはいる
尾先:あぁ、聞くだけはタダだ
…茜、上でその子と話をしろ
茜:え?別々に聞くんですか?
骸:歳も近いし、僕たちと話すよりね
日和:あの、八剱さん…
八剱:あぁ、構わない
日和:わかりました、お願いします
茜:じゃあ、案内します
骸:茜ちゃん
茜:はい?
耳打ちをする骸
骸:あとで情報共有するから
ある程度、聞けることは聞いてね
茜:は、はい!
骸:じゃあ、よろしく
尾先:面倒見がいいことで
骸:キミが怠るからだよ
八剱:……見えて、いるのか?
尾先:いや、だが粗方そうだろうなという、勘だ
八剱:…君たちなら任せられそうだ
【間】
茜と日和、別室にて
茜:え、じゃあ同い年だ
日和:あはは、じゃあ敬語は無しにしよう
境遇も似てそうだから
茜:わかった
あの…八剱、さんって人とは
どうやって知り合ったの?
探偵ってアルバイト中々聞かないけど
日和:それは私も聞きたい
怪異相談所ってのも聞かないよ
っていうか、初めて聞いたし
茜:あはは…、じゃあ、私から
私は……友達に、ね…呪いをかけられたの
日和:呪い?
茜:あっ、ロマンスホラーサスペンス…
日和:え?何それ?
茜:ううん!さっき日和ちゃんたちが来る前に
少し話してて……愛憎、っていうのかな?
私が呪いをかけられたのもそんな感じで
好きな人に色目使ってたーとか言われて
全然、そんなことなかったんだけど
日和:分かるよ
私も八剱さんと出会って
恋愛でおかしくなっちゃった人、見たことある
人を狂わせる感情って言ってたから
茜:それでね、それを助けてくれたのが尾先さん
それから、色々あって手伝ってるの
日和:……怪異相談所っていうのは?
茜:…その名前の通りなんだけど
怪異に纏わることを専門にしてる
そうじゃないこともあるんだけど
本業、って言ったらいいのかな
日和:じゃあ、見えるんだ
茜:私はまだまだなんだけどね
日和:……じゃあ、私の番
私は、八剱さんに助けられたの
あはは、私たち本当に似てる
私の場合は呪いじゃなかったんだけど
幽霊絡みで事件に巻き込まれて
私は霊感っていうのはないんだけど
茜:じゃあ、八剱さんは霊感が?
日和:うん、だけどあの人は少し特別
茜:特別?
【間】
八剱:俺は探偵をやっているが
これは、紛れもなく本業だ
骸:の割には、少し違いそうだけど?
八剱:骸、と言ったかな
その目は誤魔化せそうにないな
尾先:骸の目について、何か知っているのか?
八剱:いや、そういう訳じゃない
ただ、俺の目がそう教えてくれる
尾先:……
っ!?その目は…
骸:……反応した?
八剱:まずは俺の生い立ちについて話した方がいいか
俺は生まれて間もなくして
妖怪、と呼ばれる存在に目を刺された
尾先:刺された?
八剱:あぁ、そいつを調べる為にも探偵という
特殊なものをやっているとこもあるんだが
そのせいで、本業は探偵だが、裏では怪異探偵なんて呼んでいる奴もいる
骸:へぇ、初めて聞いた
あまり動いてはないね?
八剱:あぁ、この目が反応した時だけ
俺は怪異に関わっている
普段は霊感なんてものもない
ただ、この目が教えてくれる
そして、お前たちにも……
尾先:反応しているって訳か
骸:ねぇ、それって何に刺されたの?
八剱:刺した本人は解らない
ただ、俺の目を貫いたのは、霊剣と呼ばれるものだ
尾先:霊剣……天叢雲剣…?
骸:流石だね、だから八剱か
八剱:……そこまで、解るのか
骸:八剱、と言えばそうなる
安易と言えばそうだけど
知らなきゃ解らない
名前自体にも力はあるし、餌とも考えられる
尾先:八剱なんて解り易い名前をぶら下げていれば、いつかは本命に辿り着ける
まぁ、やり方は間違ってないか
八剱:そのことはいい
今回の依頼についてだ
骸:あの子、のことだよね
尾先:あぁ、茜が聞き出しているものもあるが
とりあえず、話してくれ
【間】
茜:女の子の幽霊?
日和:多分、なんだけど
八剱さんとある事件の調査をしていて
そこで、憑かれたというか
茜:それって心霊絡みの依頼だったの?
日和:ううん、そうじゃなかったの
普通の事件の調査だったんだけど
そこが偶々、霊道?っていうのかな
それが通ってて
怪異の依頼だったり、近くにいれば、八剱さんの目が反応するんだけど
茜:その、特別な目ってやつ?
日和:そう
ただ、その時は反応がなくて
全く解らない状況で取り憑かれたの
茜:その割には、うーん…
日和:そんな感じがしない?
茜:うん、普通に話してるし
幽霊の気配も全然解らない
日和:多分、それがね……
私の特性だと思う
茜:特性…?
【間】
骸:……
尾先:どう思う?
骸:特別な存在、と言えば簡単だけど
ここまでは聞いたことはないね
八剱:大丈夫そうか?
尾先:とりあえずはやってみるが
取り憑いたモノが解らんからな
骸:一度見れればいいんだけど
尾先:最後に聞きたい
なぜ、俺たちの所へ来た?
八剱:……この目は、怪異を見ることができる
しかし、自分の意思じゃなく、だ
それと同じで、もう一つ
夢を見るんだ
尾先:夢?
八剱:俺が俺に問いかけて来るんだ、夢の中で
それが暗示だったり、未来視に近い現象もある
骸:正夢になると?
八剱:あぁ、未来に起こることを夢に見て
俺に問いかけるんだ
『この夢が 未来なら
この光景が 来るべき未来なら
お前は どうする?
……なぁ、八剱 蒼』と
尾先:その夢の中のお前は、霊剣を持った奴か?
八剱:……解らない
骸:未来予知くらいなら
霊剣のカケラが入った目なら見てもおかしくない
その夢で僕たちを見たのかい?
八剱:あぁ、それと別の状況もな
尾先:それを俺たちは覆せると?
八剱:確定した未来なんてないからな
俺はそれに賭けている
骸:解った
これは受けるべきだね、オサキ
尾先:あぁ、そのつもりだ
八剱:……来たか
茜:あ、すみません
まだでした?
尾先:いや、大丈夫だ
とりあえず準備をする
そこで待っていてくれ
日和:あの、よろしくお願いします
尾先:あぁ
【間】
準備をしつつ、話の擦り合わせを行う三人
骸:なるほど
まぁ、二人の話は一致しているし
特に変わったこともなさそうだね
茜:あれってどういうことなんですか?
尾先:日和、といったか
霊感はないと話したんだな?
茜:はい、今まで見たことも気配を感じたこともないそうです
尾先:そうか
あれは簡単に言えば、蓋がしっかりしているんだ
茜:蓋、ですか?
骸:茜ちゃんもくねくねを見たり、呪いを受けたり、コトリバコだったり
自分の中に別のモノが入る感覚は少しは解るよね?
茜:はい、あれが取り憑かれた感覚と似てることは
尾先さんに聞きました
尾先:取り憑かれる場合、自分の中に別のモノが入る
それは色々と状況、状態にもよるが
蓋が開いている状態なんだ
茜:なんとなく、分かります
尾先:それで、取り憑いた後は蓋が閉じて
中に入った状態になる
骸:だけど、ほとんどの場合
蓋の隙間から霊力みたいなものが漏れてて
僕たちはそれを感じて、取り憑かれていると認識できるんだ
茜:それは、私も何となく解るようになってきました
だけど、日和ちゃんには全くそれが見えませんでした
尾先:あぁ、あれは蓋が密閉されている状態に近い
だから、霊力も漏れないし、取り憑いた霊が表に出れないんだ
骸:そんな蓋を持ってる人間は少ない、というより
希少と言う方がいいレベルで現れないんだ
だけど、怪異は
茜:何が起こるか解らない…
骸:そう、密閉されている状態でも
外に出る方法があるのかもしれない
何が鍵になるかも解らない
それと、八剱が見た光景も気になるね
尾先:あぁ、俺たちを指名して依頼したんだ
夢の話は詳しく話さなかったということは
まぁ……良い夢ではなかったんだろうな
骸:驕ってるわけじゃないけど
僕がいるのに…ねぇ?
茜:気を引き締めた方がよさそうですね…
尾先:……あぁ
【間】
日和:八剱さん…
八剱:大丈夫だ
確定した未来なんてない
お前は助かる、それに…
日和:私の力、ってことですか?
八剱:あぁ、使い方を知るいい機会になるかもしれない
まだ、大丈夫そうか?
日和:はい…中に居る感覚はあるんですけど
外に出て行く感覚は無いです
八剱:俺の目も反応はしていない
……何が起ころうと、絶対に助ける
だから、安心しろ
日和:……はい
骸:……
茜:骸さん?
骸:いや、何でもない
尾先:準備ができた
現場に向かおう
八剱:あぁ、案内する
【間】
ある場所へ向かう5人
八剱:此処だ
尾先:確かに霊道が通っているな
この辺りに何かあったか
骸:見た感じ、悪いものではないけど
偶々かな
茜:……
日和:みなさん、凄いですね
見ただけで解るなんて
茜:ここ、と…ここ
あと、2階にも何かある…?
尾先:よく視えているな
2階のは下の霊道に当てられて
溜まり場になっているものだろうな
骸:此処は入って良い場所なのかい?
八剱:いや、家の中はダメだ
一応持ち主は健在だからな
骸:それじゃあ、移動かな
辿ってみるしかないね
尾先:……いや、多分これだろう
茜:神社?そんなものありました?
尾先:廃神社だな
行ってみるか
更に移動する
八剱:これは……酷いな
骸:まぁ、こんなモノだよ
鳥居は避けようか
日和:以前来た時には気づきませんでした
八剱さんは知ってたんですか?
八剱:いや、俺も周囲は気にしてなかった
霊道の件も日和が憑かれてから解ったから
尾先:本当に万能なモンじゃねぇな、ソレ
八剱:俺の意思で、どうこうできるモノでもないし
こういう状況の時、お前たちが羨ましくなる
骸:あはは、良いモノでもないけどね
茜:持つ人次第なところありますからね…
日和:色々見てきたっぽい言い方だね
茜:うん…色々あったからね
尾先:よし、此処でいいだろう
……札が無いな
骸:剥がされ訳でもなさそうだけど
元々貼ってなかったのかな……
あ、手抜きだね、これ
八剱:手抜き?
骸:元々は貼ってたみたいだけど
管理する人がいなくなったのか
今では何もされてないみたいだね
茜:それは…幽霊も溜まりそうな気がします
尾先:実際、溜まって行き場が無くて
あの家に霊道が通ったということだ
お前に取り憑いた霊は此処で行き場を無くした奴だな
日和:悪い霊、なんですか?
尾先:いや、それは解らんが……
おい、骸、あれ
骸:……行こうか
茜:な、何ですか、あの場所…
八剱:……
日和:異様な雰囲気だね…
茜:日和ちゃんも解る?
日和:いや、見えたりじゃないんだけど
雰囲気が凄くて…
骸:僕の勘が正しければ、アレが本命かな
八剱:勘、だと?
尾先:行けば解るだろう
日和:……行きましょう
八剱:…あぁ
廃神社を見回ると、そこには地下へ続く穴があった
異様な雰囲気を纏い、それはあった
それを見つけた一行は、地下へ続く道を進む
茜:これ……は?
尾先:お前も以前関わったな
茜:関わった?
骸:ここは水子堂だね
……もうあまり居ないみたいだけど
八剱:水子堂…だと?
日和:水子堂ってなんですか?
八剱:水子…所謂、死産や何らかの理由で亡くなった
子供たちの供養をする所だ
尾先:水子専門の寺や、それを祀る施設なんかは色々ある
観音像の中にそういう場を設けたり
此処のように地下に作ったり
茜:何か意味があるんですか?
尾先:色々、あるんだろうが
前にも話したが、水子霊は無邪気だ
無邪気ゆえの祀り方もあったり
あとは、遺族の意向なんかもあるな
骸:風鈴に地蔵、中央の祭壇みたいなものは、大元だね
風鈴は音によって鎮魂する道具かな
地蔵に関しては入れ物だね
茜:入れ物?ですか?
骸:うん、魂の、ね
日和:魂の入れ物……
八剱:やはり……
尾先:……
日和:八剱さん…?
骸:その様子、その子には話してないね
さて、どうする?答え合わせでもするかい?
時間はそれほど無いけど
茜:……何か…来る?
尾先:解るか?
茜:はい…これは…
尾先:クダ、行け
骸:クダが時間を稼いでくれるとは言え、急ごうか
僕たちに依頼をしたキミが
本当の依頼者である綾瀬日和に何も話してないのは
少々、軽率だ
尾先:俺らが何も解らないまま依頼を受けると思うか?
お前は特別な目を持っているとはいえ
俺や骸と同列とは言い難い
まだ、甘いな
八剱:何が、解る
尾先:全部、とは言わない
関わってきた場数も違うからな
綾瀬日和は確かに希少な存在でもある
言いたくはないが、ムカつく奴の言葉を借りるなら
性能調査でもやってるんだろ
八剱:そこまで解ってなぜ、依頼を受けた
骸:僕が居る
尾先:それと、お前は完璧じゃねぇ
八剱:完璧じゃ、ない?
尾先:お前のその目は、不完全だ
お前の見る予知夢も未来視も
不完全で信用に足りん
覆すことは出来ない領域に達して無い
骸:もっと言えば、その目はそういうモノ
危険察知、とでも言えばいいかな?
未来視や予知夢じゃなくて
こういうことが起こるから気を付けてね
程度のお知らせかもしれないね?
八剱:…なん、だと
骸:その目で見た不幸は変えられただろう?
今までも、これからも
日和:ど、どういうことですか?
一体、何の話をしてるんですか?
茜:日和ちゃん、ちょっと落ち着いて!
日和:ご、ごめん
尾先:感情的になるな
何が理由で蓋が開くか解らん
骸:綾瀬日和
キミの中に在るモノは水子霊だ
無邪気な彼等は悪さで取り憑いたりしない
無邪気であって好奇心もある
キミが何か魅力的に見えたんだ
だけど、入ってしまったら閉じ込められた
日和:子供の幽霊…?
でも、私!
骸:誰かを傷つけた、かい?
日和:ど、どうしてそれを…
骸:それは中の子の仕業じゃない
その子の親、だよ
日和:親……?
骸:無理心中かな?
その子が死んで親も死んだね
だから、繋がっているんだ
その子が急に居なくなった
親は、どう思う?
日和:えっ、それ、は…
尾先:確かにお前は悪くない
だが、霊と言うのは良くも悪くも、感情が簡単に出来てやがる
嫌なことがあれば怒る
生きていれば冷静になれることも
霊では感情がもろに出る
霊道になっていたこともあって
真っ先にあの家が原因と思ったんだろう
しかし、どうだ?
霊道を辿ってみたものの、子はいない
八剱:あの場にいた俺たちの中に
取り憑かれた形跡を見つけられなかった
それで、また怒りが…
茜:もしかして
繋がってるから、何か起こせば、見つけられると思ったんですか?
たがら、日和ちゃんに
尾先:正解だ
そうして当たりを付けた
しかし、この特殊体質だ
手が出せなかった
骸:近くには霊剣の気配もある
言っとくけど、その目
幽霊からしたら嫌なモノだよ
八剱:だから下手に近づかなかった
だが、どうにかしたくて
何度か日和に繋がって苦しめていた…?
尾先:見方が違うな
苦しめたんじゃない
子供を助けようとしたんだ
八剱:なっ……
日和:…親からしてみたら
私が閉じ込めていると思われても…おかしくない
あ、あの!私、どうすれば!?
骸:此処なら、その蓋を開けられる
なんせ、その子の家だからね
さて、取り憑いた霊の答え合わせは、これで一件落着
次はキミの番だよ、八剱蒼
八剱:俺、だと?
尾先:解らないと、思ったのか?
此処に来て確信に変わった
お前が見た夢の話
俺が聞かせてやるよ
八剱:……何が、言いたい
尾先:お前が見た夢はその水子の霊の親による、此処にいる全員の死、だろう
茜:えっ…?
八剱:……
尾先:死、または重症
それくらいの事になるのは解っていた
夢の話をしないということはそれなりのリスクがある
だが、その状況になる理由が解らなかった
しかし、お前の夢が完璧じゃないと解ったのは
骸の存在だ
八剱:何?
骸:僕は、霊関係の事では何も受けないんだ
僕を殺すにはより、人間的に扱わないとね
尾先:お前は骸を見て安心もしなかった
常に危険はあると、そう考えていた
綾瀬日和が助かるのであれば、犠牲は付き物だとな
八剱:最初から…解っていて
何故、何も言わない!
尾先:お前が言わないからだろう
こっちだって情報をタダでやるほどお人好しじゃねぇよ
それに、お前の狙いも解ってる
八剱:狙い?何のことだ
尾先:茜を入れ物にする筈だった、だろう?
八剱:なっ!
茜:私を、入れ物にする?
尾先:大方、助けるために犠牲は払うつもりだった
まして、今日会った俺たちだったら罪悪感も薄い
ここで蓋が開いて解放された霊
追ってきた親の霊
供物として、茜に霊を取り憑かせ鎮める
茜と綾瀬日和の中にある魂の入れ替えをするつもりだったな?
日和:八剱、さん?本当ですか?
八剱:……
骸:そうでもしないと、夢の惨劇が本物になって
助かるどころか、みんな死ぬ
イレギュラー的に僕たちがいるものの
夢では蓋を開けてくれる手伝いをしたくらいかな?
八剱:……助けてくれ
尾先:……
八剱:そこまで解っているなら!
犠牲無く終われるなら助けてくれ!
尾先:……最初からそのつもりだ
ウチの従業員の命もかかってるんだからな
茜:尾先さん…
骸:アハハ、面白いね
茜:…ちょっと、この状況の何が面白いんですか!
骸:あははは、ごめんね
さて、そろそろ来るよ
親は僕に任せて、キミたちは蓋をお願いね
八剱:すまない、日和
俺は…
日和:助けてくれようとしたんですよね
大丈夫です、あの時と同じです
八剱:……あぁ
尾先:茜、凪を使え
茜:は、はい!
凪、力を貸して
尾先:綾瀬日和、イメージしろ
自分の中に閉じ込めているやつを、外に出すイメージだ
日和:は、はい!
八剱:(俺は……助ける為に犠牲を払おうとした
間違っていると分かっていても
あれを見たら、もう)
誰も知らない、夢の中
尾先:ア、がぁぁあぁぁあ!!
茜:や、……め、て
黒く、濁った霊は何かを発し、吼える
八剱:日、和…今のうちに…
日和:イヤァァァァァア
あっ、あぁ…中から…出て……
茜:ウッ…アッ、あぁ
尾先:あか…ね……
骸:……
八剱:供物は揃った…
これで、日和だけでも……
一瞬で静かになり、日和以外の命は消える
八剱:『この夢が 未来なら
この光景が 来るべき未来なら
お前は どうする?
……なぁ、八剱 蒼
変えるか 未来を
変えられるか 未来を
その目で ミロ スベテヲ』
戻り、現在ーー。
八剱:ありもしない未来に畏れていたのは
俺だけだった…それだけだった
尾先:解ったなら手伝え
気を失うぞ、支えてやれ
八剱:あぁ
茜:行くよ、日和ちゃん
日和:…うん
尾先:……よし、開いた
骸:話はつけてきた
こちらに危害は加えないよ
ちゃんと返せば、の話だけど
尾先:勝手に帰るだろ、親元なんだ
茜:出た!尾先さん!
尾先:あぁ、行ってこい
外へ出て行く子供の霊
尾先:これで、終わりだな
八剱:…っと、日和、大丈夫か?
尾先:まだ目は覚まさんだろうな
蓋が強い分、力も多く使うからな
八剱:……すまなかった、それに君も
茜:え、あ…いえ、気持ちは分かります
八剱:怒らないのか?
茜:大切な人、なんですよね?
八剱:…あぁ、何物にも変え難い
茜:…え、あれ?もしかして恋人同士…?
八剱:…ぷっ、はははっ
あ、いや、すまない
俺の片思いだ
俺たちにも色々あったんだ
それは眠っている日和を差し置いて話すことじゃない
茜:そうですね
また遊びに来た時に色々聞きます!
八剱:……
あぁ、そうしてくれ
尾先:本当、お前ってやつは…
茜:え?
骸:また命を狙われたのに許すんだね、茜ちゃんは
良いところでも悪いところでもあるけど
…まぁ、オサキといれば大丈夫かな
八剱:…お前たちも、そうなのか?
茜:えっ?いやいや!そんな!
尾先:いや、全く
茜:ちょ!尾先さん!
八剱:ありがとう
報酬の話は後日また伺う
尾先:あぁ、それでいい
八剱:縁が、出来てしまったかな
尾先:同業、ではないが
まぁ、その目の事もある
いつかまた、その日が来ればな
八剱:分かった
茜:日和ちゃんもちゃんと休ませないと!
帰りましょう!
尾先:あぁ、そうだな
【間】
後日ーー
尾先:一回無料券ねぇ
八剱:あぁ、本業だからな
一応渡す
骸:上が騒がしいね
女の子は恋バナが尽きないなぁ
八剱:一つ、依頼をしてもいいか?
尾先:その目の怪異についてか?
多分だが、俺たちでも見つけるのは困難だ
今後の依頼ついでにってことなら受けるが
八剱:それでいい
情報が多い方が助かるからな
骸:じゃあ、僕の方でもやっておくよ
八剱:助かる
茜:あ、終わりました?
日和:また遊びに行くね
茜:うん!私も日和のところに行ってみたい
日和:うん、待ってる
骸:随分、仲良くなったね
茜:え?そうですか?
尾先:さ、見送りしてやれ
茜:はい!
帰る二人、それを見送る
骸:元を辿れば、これも愛憎の話だったのかな?
尾先:誰も恨んではないが
恋や愛ってのは間違ってないな
茜:ロマンスホラーサスペンス?
尾先:本当に嫌なジャンルだ
命までかかってるんだからな
茜:尾先さんは、大切な人のために
他人を犠牲にしますか?
骸:……茜ちゃん、それは
尾先:あぁ
……するだろうな
お前は自分を犠牲にしそうだな
茜:そう、ですかね
尾先:何を犠牲にするかは人それぞれだ
だが、犠牲なんて無い方がいい
それでも、俺たちは選ばなきゃいけない時がある
間違えるな、茜
そして、俺が間違ったときは止めてくれ
茜:……尾先さん
骸:……(犠牲、ね
それは、辛い話だよね、オサキ)
尾先:よし、今日は依頼の話がある
ちょうどいい、骸も来い
茜:はい!行きましょう!骸さん
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叢雲 終
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実話も混ざっております
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