オサキ怪異相談所

てくす

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スピンオフ 夕刻跳梁跋扈

呪殺

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夕凪:『もし、もしも
   誰にも助けられないとしたら
   諦めるしかないのでしょうか
   だったら私は、運が良かった
   それで片付けて仕舞うしかないのでしょうか』



夕刻跳梁跋扈 呪殺



夕凪:っ……あっ、えっと…

鳳:緊張してるねぇ

夕凪:緊張、じゃないです……

骸:鳳の友達に目は見せないよ

夕凪:それ以上に、怖いんです

骸:あぁ、感覚がね
  これでいいかな?

夕凪:あっ、なんともない

鳳:前に話した伝播する力を変える
  実際に体験できたみたいだね

夕凪:本当に何者なんですか?

骸:人間だよ

鳳:私と関わりを持つということは
  骸とも関わりを持つということになる
  これは、仕方がないと思うしかないね

骸:鳳、僕が嫌われているような言い方だね
  怒るよ

鳳:私は大好きだ!許してくれ!

夕凪:このやり取りを見てれば平和なんですけど
   雰囲気が地獄なんですよ……

骸:丑三の血だとは聞いてるけど
  感覚の鋭さが異常だね
  以前より増したかな?

夕凪:そう、ですね
   霊的なものに関してはですけど

鳳:骸とは一度会ってるはずだけど
  あぁ、あの時はあの子がいたからか

骸:それに、僕はあまり夕凪に気を向けてなかったからね
  今回は三人だから余計にね

夕凪:それで、今日骸さんがいるのは?

鳳:あぁ、少し厄介な話でね
  別に私一人で対処もできるものではあるけど
  こういった面白い話は、骸にもお裾分けなんだ

夕凪:樺涅は?

骸:僕たちは常に一緒ではないんだ
  樺涅は基本、家から出ないよ

夕凪:そうなんですね

骸:ある程度、話は聞いているけど
  なにをするんだい?

鳳:何事も無ければ封印かな
  結界を張る必要もないだろうから
  それに、手に負えないなら儀式や結界をしても
  無意味だろうしね

骸:僕に手伝うことは?

鳳:無い、ね
  興味あるかな程度で話しただけ
  友達じゃなかったら、話自体持ち込まないよ

骸:その程度のモノなのか
  ……まぁ、行けば解るかな

夕凪:私が聞いてるのは、儀式関係の話ですけど

鳳:それで合ってるよ
  儀式によって呪いを発動させた家が目的地

夕凪:なんの呪いなんですか?

鳳:呪いと言えば、人を殺す為
  っていうのが一般的だね

夕凪:一般的……?

骸:種類は様々だけど
  基本的には害を為すものだね

鳳:呪いとは、二つの意味を含んでいる
  『のろい』と読めば害を意味し
  『まじない』と読めば神秘的な力を意味する
  どう扱うか、口にするか、手順、方法、道具
  それによって変わるモノだけど
  今回は『のろい』だからね

夕凪:嫌な方、ですね

骸:嫌な方、か
  フフ、面白い言い方だね

夕凪:そういえば、茜も呪いをかけられたんですよね?

骸:そうだね、少し前に友達から
  強い呪いじゃなかったみたいだけど
  状況が状況なだけに精神的に参ったかもね
  
夕凪:私だったら……許さない、かな

骸:見殺しにするかい?

夕凪:どう、だろう……
   けど、優しくはなれないと思います

鳳:……私は夕凪に怪異について話したことがあったね

夕凪:え?……あぁ、はい
   2回目に会った時ですよね?

鳳:私たち……骸もそうだと思うけど
  全てを一括りに怪異として扱い、そう呼ぶ

夕凪:元は妖怪で多様化が進んだってやつですよね?

鳳:あの話には続きがあって
  全部がそうである、とは言えないってことと
  私は少しだけ、考え方が違う

夕凪:考え方、ですか?

鳳:怪異に含まれるものは
  妖怪、幽霊、都市伝説、呪い、呪具だったり
  怪奇現象に纏わるものが含まれている

骸:鳳の授業は久しぶりだね
  僕も少し聞いておこうか

鳳:だけど、私は呪いに関しては
  怪異に含みたくはない……
  と言うより、含まれないと思っているんだ

夕凪:けど、怪奇現象とか起きたりするんですよね?

鳳:怪異とは人の常識を超えるモノだと
  幾ら考えても考え尽くせないモノだと
  私は思っていてね?
  ただ、呪いに関しては……人なんだ

夕凪:人……?

鳳:霊が呪いをかけることはある
  ただ、それは霊障であって
  言わば、霊の攻撃手段なんだ
  ただ、私たちが相談を受けたり、仕事として扱う時
  呪いとは、人が人へ行ったモノが殆どだ

骸:厳密に言えば、霊がやっていることは
  呪いとはまた少し違うことがあるからね
  ……そうだね、呪いとは『人』だ

鳳:怪異として含むのは違う気がしていてね
  怖いものは沢山溢れているけど
  やっぱり、人間が一番怖いモノかもしれないね

夕凪:少し、分かる気がします
   自分の手を汚さないように
   そういったものに頼ってしまう弱さも
   人の怖いところですね

骸:怪談話には人怖も含まれるからね
  フフ、人間も怪異かもしれないよ、鳳

鳳:本当に、不思議だねぇ……

夕凪:……
   って!行かなくていいんですか!?

鳳:それじゃあ、出発しようか



【間】



三人は目的地の村に到着する

夕凪:廃村ですか

鳳:廃村なのに依頼があるのが不思議かな?

夕凪:そうですね
   誰もいないなら放っておいてもいい気がします

鳳:廃村と言ってもね
  この村に人がいないだけで
  この地で生まれ、その血が流れている人はいるよ

夕凪:……子孫、というか
   村から出ただけってことですか?

骸:物分かりがいいね
  じゃあ、呪いや恨み言の話でよく聞くセリフ
  解るかな?

夕凪:よく聞くセリフですか?
   ……呪ってやるとか、許さないとか

骸:もっと強い言葉だよ

夕凪:うーん……死ね?

鳳:私が話したことを合わせて考えるんだよ、夕凪
  この場合、骸の問題への答えは
  『末代まで呪ってやる』だね

骸:末代まで呪うって言うのは
  本来、死んでも呪い続けるという意志の言葉だ
  ただ、それくらい強い言葉であるわけだから
  呪った相手の血が絶えるまでの意味も含まれる

夕凪:じゃあ、この村にかかった呪いは
   例え、村を出ても呪われているってこと?
   だったら対処しないと今も呪いに苦しんでる

鳳:だから、依頼が来ているわけだけど
  こういう話はよくあるんだよ

骸:ネット怪談にも幾つか同じような話はあるよ
  知っているかな?

夕凪:特に調べたことはないですね

鳳:夕凪に教えた呪言も、呪いの一種だよ
  ある程度、知っておいて損は無いね

夕凪:まぁ……はい、調べてみます

骸:じゃあ、少し話をしようか
  ある男が、同じ村に住んでいる男を恨んだ
  その恨みは強く、殺そうと考えた
  ただ、その殺す方法が呪いだった

夕凪:自分の手を汚さず、ですね

骸:その呪いには手順があって
  儀式を用いる、より強い呪いだった
  三枚の鏡を合わせ、対象の家を映す
  ……っと、あまり話すと駄目だね

鳳:その辺りにしてくれると有り難いね
  この村も呪術の影響を受けているから

夕凪:なにか反応するんですか?

鳳:呪いとはどう扱うか、口にするか
  手順、方法、道具で変わると言ったね?
  手順を説明するだけで何かが反応することもある
  これは呪いというより、儀式のことに近いけどね
  今は抑え込まれたものでも溢れ出ることがあるんだよ

夕凪:なるほど……

骸:手順は省いて、続き
  呪いの儀式は完成し、無事呪殺できたわけだ
  しかし、強すぎる呪いは跳ね返りがあった
  次は自分の家族が次々と死に、最後に自分も死んだ

夕凪:人を呪わば穴二つってことですか?

骸:そういうこと
  そうして、強すぎる呪いだけが残り
  村にいた寺の人が、代々呪いを抑えていたんだけど
  その抑えていたものを村に訪れた主人公が
  解き放ったっていうのがネット怪談

夕凪:よくある展開ですね……

骸:そう、よくある話なんだよ
  だから、これは作り話でもあれば
  本当の話でもある

鳳:今回も同じようなものだね
  呪いが強すぎて代々抑えていたけど
  それが出来ない代になってしまった
  つまり、あまり霊的に力のない跡取りが
  困ってるってことなんだよ

夕凪:自分がその立場なら依頼しますね
   跡取りは仕方ないけど
   まさかそんなことしてるとか分かんないだろうし

鳳:この手の依頼はそういうことだよ
  昔はよかったんですけど
  が、ビジネス枕詞だね

夕凪:何度か聞きましたね、それ

鳳:そうだ、あと夕凪にはこれを持ってもらうよ

夕凪:なんですか?これ

鳳:特別な水、だよ

夕凪:……本当に?

鳳:酷いなぁ!本当だよ!

骸:それで、この村の呪いは解ってるのかい?

鳳:モノを見ないと何とも
  ただ、呪殺域は村全体なわけだから
  相当強いとは思っているよ?

骸:何人、死んだんだい?

鳳:さぁ……音信不通になった人もいるらしいから
  何処かで死んでいる可能性もあるからね
  依頼者は、次は自分の番だって言ってたよ

夕凪:それって……もういないんじゃ?

鳳:どうして?

夕凪:代々守ってきたくらいには
   ある程度、力のある家系ですよね?
   その人が次は自分って、もう他の人は……

骸:この地を離れれば影響を受けない場合もあるから
  全員血が絶えたとは考えずらいけど
  ……確かに、次は自分の番と言ったのか

鳳:力が強い家系のせいで見えてるのかもね
  祓ったり、抑える力がないだけで

骸:その線が妥当かな
  本当に全滅する呪いなら
  危険すぎるね、フフ……いや、これは
  蒐集すべき話かもしれないね

夕凪:茜が言ってたの、これか……

骸:何かな?

夕凪:骸さんは怖ければ怖いほど喜ぶって

骸:ははっ、茜ちゃんらしい言い方だね

鳳:目的の家まではもう少し、かな

夕凪:っ…行きましょう……


【間】


鳳:……

骸:村、という割には広いね

夕凪:結構な人が住んでいたんですかね

骸:かもしれないね
  だとしたら、やっぱり血が絶えたのは考えずらいね

夕凪:そうですね
   ……鳳さん?

鳳:『神隠し』

夕凪:えっ!?

骸:……

その瞬間、三人は鳳の墓地へ移動する

骸:鳳

夕凪:なんで……ここって、鳳さんの

鳳:悪いね、早めに対処させてもらったよ

骸:僕より先に気付くなんてね

鳳:違うよ、骸
  あの村に入った時から、私しか見ていなかった

骸:だから、だと?

鳳:そうだよ

骸:僕は呪いに対しては特に何も無いんだけど?
  あの場にいても大丈夫だっただろう?

鳳:それは、君個人の話だ
  夕凪がいるから
  私は、友達を守るよ

夕凪:鳳さん……

骸:僕だって友達じゃないか

鳳:君のことは大好きだ、とても大切だよ
  だけど、私の友達であり、助手でもある夕凪の方が
  優先順位は上なんだ、解ってくれないか?

骸:まぁ、今回は君たちに対しての依頼だから
  やる事に文句はないよ
  じゃあ、見せてもらおうかな、鳳

鳳:夕凪

夕凪:はい

鳳:来るよ

夕凪:えっ!?ここに呼んだんですか!?

鳳:まさかヒトガタだとは思わなくてね?
  ここで対処した方が早そうだから
  夕凪も頼むよ

夕凪:……やってみます

黒い人型のナニカが近づいてくる

夕凪:ウッ……何あれ……怖い…

鳳:呪いそのものって感じだね
  アレに取り憑かれたら死ぬパターン
  だけど、それが村にいるかな?

夕凪:この地を離れた人も影響があったんですよね?

鳳:そう
  だから、転移するタイプ
  ただ、陣はあの村ってことだろうね
  呪いの溜まり場だから、そこで力を溜められる

骸:犯人は現場に戻るって言うからね

夕凪:それ、呪いにも当て嵌まるんですか!?

骸:あはは、だって実際いるからね

夕凪:『不動うごかず』!

骸:へぇ、やるね
  だけど……

黒いナニカは夕凪の呪言に反応はしなかった

夕凪:効かない!?

鳳:駄目か
  呪いだからね、もう少し訓練が必要だね?

夕凪:……ムカつく

骸:……理解した
  あとは儀式を見たいね
  あれに興味はもう無いよ

鳳:早いね、見た事あったかい?

骸:力の強いヒトガタ呪いだね
  対象の近くに棲みついて精神を蝕む
  直接的に死に至らせることもできるね
  あとはアレ次第って感じかな
  ただ、あの村であれば増やせそう

鳳:増やせる?あの話と同じかな?

骸:だね、多分核は……呪いを発動した本人
  そのせいでヒトガタに成った
  あの村に入れば精神を蝕んで
  呪いの材料になるか、ヒトガタに成るよう
  狂わされて殺されるね

鳳:厄介だね

夕凪:呪いが呪いを増やすんですか?

鳳:数や、やる事が多いと一人じゃ大変なことは
  人間も同じだからね

夕凪:……早く祓いましょう

鳳:私たちの異常性に気付いて近寄らないね
  知能があるのもそのせいか

その時、夕凪の持っていた水の瓶が割れる

夕凪:ウッ……
   ヤマナ、ハヤ、カワ、イ、イシダ……
   ぐっ……あっ…

骸:呪殺、か

鳳:『陣血結界』

夕凪:ゼェ……ゼェ……

鳳:何本割れたか解る?

夕凪:……三本……うぅ…

鳳:……三人分ってことでいいのかな
  それとも一度の呪殺で三本分?
  となると、この呪殺域はかなり侵されているね
  あの距離で夕凪に取り憑いたのか
  村でもないのにこの力

骸:僕たちが思ってるより強力な呪いだね
  興味は失せたけど、呪いの強さは目を見張るものがあるよ

鳳:夕凪、残りの水を飲んで
  その結界内なら正気に戻るから

夕凪:これ……は?

鳳:気にしない方がいいよ
  お酒だから

夕凪:…………

目を瞑り、一本飲み干す夕凪

骸:信用されてないね、鳳

鳳:私の商売道具を見てるからね

夕凪:ウッ……オェッ…

嘔吐する夕凪

鳳:……うん、出たね

骸:黒よりの灰……これは

鳳:まさかだよ
  とりあえず、あの呪いは消すよ

骸:あぁ、答え合わせは後で、だね

夕凪:はぁ…はぁ…何これ……

鳳:呪いや呪具は私の得意とするモノ
  悪いけど、構ってる暇は無さそうなんだ
  『陰蠃怗決いんらちょうけつ

黒いナニカは渦を巻き、小さく飴玉くらいに圧縮される

骸:それ、貰える?

鳳:この封印は解けないわけだけど?

骸:ただの蒐集品だよ
  凄いね、ずっと渦を巻いているよ

鳳:外は破れない結界だからね
  永遠にそのままだよ
  
夕凪:あっ……スッキリした……

骸:呪いを封印したからだろうね

鳳:さて、と

鳳は手を叩く
すると、一瞬で村まで戻っていた

夕凪:え!?戻れるの!?

鳳:マーキングは大事だからね
  戻れる様にしてるよ、ちゃんとね

骸:じゃあ、答え合わせの時間だね



【間】


呪いの儀式を行った家に入る

夕凪:あ!これって!

骸:当たりだね
  僕が話したネット怪談と同じ

夕凪:三枚の合わせ鏡……
   うわっ!何これ!?

鳳:夕凪が吐いたモノと同じだよ

夕凪:なんなんですか、これ

骸:呪いだよ

夕凪:呪い?

骸:それが身体を蝕み、最期に呪いに成る
  呪いの素といえば解りやすいかな?

夕凪:もしかして、増やすってこれですか?

鳳:そうだね
  今は核が封印されたから、ただの残りカスだけど
  触らない方がいいよ、穢れるから

夕凪:は、はい……

鳳:ネット怪談では、主人公と友人も吐いたが
  別の友人は一瞬で呪いに取り憑かれた
  これは、条件があるんだけれど

夕凪:条件ですか?

鳳:その地に住んでいる者は侵食が早い
  その呪いを発動した者と関わりがある、または
  感性が近いと侵食が早い、とかね

骸:ネット怪談の中には本物も混じってはいるけど
  これは、あの話の場所ではなさそうだから
  偶々、同じ呪いを使ったみたいだね

鳳:実際、見て解るけど
  かなり強力な呪術だね
  書かれてない内容のモノが幾つかある


夕凪:え?……ヒッ!?

骸:頭蓋骨……これは動物か
  だけど、その隣のは人だね

鳳:誰も処理しなかっただろうから
  近づきたくもないだろうし
  別の部屋にもあるだろうね
  確か、呪いの大元の家族は全滅だったから

骸:呪いも強まるわけだね
  本当、末代まで呪うとはこの事だ

鳳:死して尚、呪い続け
  この地に入った者も呪う
  ……探そうか


【間】



家の中を捜索し、呪術に使ったであろう道具
そして、犠牲になったであろうモノを集めた三人

夕凪:こうなる前に……助けられなかったのかな

鳳:……以前、自分を穢した
  あの子の時にも言ったけど
  私たちは神でも仏でもないからね
  全部は無理なんだよ
  それに、全部を背負う事もない

夕凪:子どももいたのに、何でこんな事……

骸:人を殺したいと願う時は
  常識なんてものは存在しないから
  それが踏み止まる要因の時もあれば
  全てを失ってでも遂行する決意にもなる

夕凪:私は……鳳さんに助けてもらいました
   じゃあ、私はただ運が良かっただけ?

鳳:怪異とは、人の生き死にだ、と
  私が言うくらいには、ね

夕凪:それで終わらせたくない
   運で生き死にが決まるなんて思いたくない

骸:別に怪異に限らず、不慮の事故もそうだけどね

夕凪:それは……

骸:ただ、怪異は何か原因があることが殆どだけど

夕凪:だったら、怪異だけでも
   どうにかできないのかな……

鳳:夕刻跳梁跋扈、続けるんでしょ?

夕凪:はい

鳳:だったら、手の届く範囲だけ助けるべきだよ
  全部なんて強欲は駄目だよ
  まずは、できることから

夕凪:……はい

骸:キミも茜ちゃんも正義感が強いね
  誰かを、何かを助けたい……
  悪いとは思わないけど、怪異と関わるなら
  その想いは枷にもなるから

夕凪:それは分かってるつもり、ですけど
   それでもって思っちゃうんです

鳳:……さ、手を合わせたら終わらせよう

夕凪:はい


【間】


鳳:またこの地に訪れた人が
  偶々呪いを発動しない様に
  破壊して封印した方がいいね
  結界内でやれば大丈夫だから

夕凪:これ、全部……

鳳:呪われているからね、全部
  還すことはできない
  呪いを使った代償だと思うしかないね

骸:知らなければ平気で使う呪術
  最期は人の扱いをされずに終わる
  だから、呪いなんだよね

鳳:丑の刻参りとかも駄目だからね

夕凪:しませんよ……絶対

鳳:見たくないなら外に出てていいよ

夕凪:……いや、最後までやります

鳳:そう
  じゃあ、壊すよ
  『陣血結界』


【間】


骸:じゃ、僕はこれで帰るよ

鳳:さよならだ

夕凪:ありがとうございました
   ……こういう話はよくあるんですか?

鳳:呪いだけじゃないし
  大体こんな話だよ?

夕凪:そう、ですよね

鳳:だけど、私は慣れたくはないかな

夕凪:え?

鳳:慣れてる様に見えるかな?
  確かに、身体も心も慣れている
  けど、私の魂は慣れない様にしている
  ははっ、これはそう思っているってだけの
  私の意識の問題だ

夕凪:私もそうします
   例え身体も心も慣れなきゃいけなくても
   魂だけはこの気持ちを忘れない様に

鳳:それができれば夕凪も強くなれるよ

夕凪:助けられる様に、ですね

鳳:そうだね、今はそれで良いんだよ

夕凪:『もし、もしも
   誰にも助けられないとしたら
   諦めるしかないのでしょうか
   だったら私は、この手が届く誰かだけでも
   助けたいと、手を伸ばすしかないのだろう』


夕刻跳梁跋扈 呪殺 終
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