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なんだかんだ、仲良くなります。
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寺院から、木造の橋を踏みしめ神社へと移動する。
影雪は筋の通った鼻を利かせ、夢穂の匂いを追うように突き当たり、角にある本殿へ向かった。
本殿といっても、広さからすると食事をした居間と変わらない大きさだ。
全体的にこじんまりとしたお社に、眠りの神は祀られている。
参拝客には固く閉ざされた観音開きの門の中に、夢穂は唯一入ることを許された巫女だ。
影雪は黒い取手を握ると、手元に引き寄せる。
少し錆びたような、木が軋むような低い音が立ち、影雪がその中に足を踏み入れた刹那だった。
りん……と、どこからか聞こえる、鈴の音。
穏やかな風が薄いガラスを揺らし、涼しげな音色を奏でる。
影雪の辺りは、見渡す限り水色の世界と化していた。
瞬きを繰り返した影雪は自身の頭上や立っている場所を確認したが、そこには天井もなければ床もない。
まるで澄んだ空のど真ん中に立っているかのような感覚だ。
風鈴は見当たらない。
しかし、遠くに聞こえていたその音は、次第に数を増し、流れるように影雪の聴覚を奪ってゆく。そこにないはずの風鈴が、目の前をくるくると回り、離れては近づきを繰り返すような錯覚を起こす。
それでも影雪が部屋の奥へ進もうと歩くと、突然階段を踏み外したような奇妙な感覚に襲われた。
身体の軸がぶれ尻もちをつきそうになるが、やはり後ろに地面はない。
背中を低反発の空気のようなものに受け止められ、影雪は天を仰いだ。
気づけば辺りは水色の空ではなくなっていた。
薄暗く、青い星屑が輝くような中で、温かな波に揺れていた。
海の中にいるようだった。
しかし不思議と息ができた。
むしろ空気中にいるよりも、ずっと呼吸がしやすく、大きな存在に見守られているような、そんな絶対的な安心感を得ていた。
それは、母の胎内を思わせる優しさだった。
母体に保護され、羊水の中で何も心配することなく、ただ静かに休むことを許されていたあの時と同じ。
極上の眠り……それは、母と繋がっていた頃の、胎児の状態だ。
影雪は筋の通った鼻を利かせ、夢穂の匂いを追うように突き当たり、角にある本殿へ向かった。
本殿といっても、広さからすると食事をした居間と変わらない大きさだ。
全体的にこじんまりとしたお社に、眠りの神は祀られている。
参拝客には固く閉ざされた観音開きの門の中に、夢穂は唯一入ることを許された巫女だ。
影雪は黒い取手を握ると、手元に引き寄せる。
少し錆びたような、木が軋むような低い音が立ち、影雪がその中に足を踏み入れた刹那だった。
りん……と、どこからか聞こえる、鈴の音。
穏やかな風が薄いガラスを揺らし、涼しげな音色を奏でる。
影雪の辺りは、見渡す限り水色の世界と化していた。
瞬きを繰り返した影雪は自身の頭上や立っている場所を確認したが、そこには天井もなければ床もない。
まるで澄んだ空のど真ん中に立っているかのような感覚だ。
風鈴は見当たらない。
しかし、遠くに聞こえていたその音は、次第に数を増し、流れるように影雪の聴覚を奪ってゆく。そこにないはずの風鈴が、目の前をくるくると回り、離れては近づきを繰り返すような錯覚を起こす。
それでも影雪が部屋の奥へ進もうと歩くと、突然階段を踏み外したような奇妙な感覚に襲われた。
身体の軸がぶれ尻もちをつきそうになるが、やはり後ろに地面はない。
背中を低反発の空気のようなものに受け止められ、影雪は天を仰いだ。
気づけば辺りは水色の空ではなくなっていた。
薄暗く、青い星屑が輝くような中で、温かな波に揺れていた。
海の中にいるようだった。
しかし不思議と息ができた。
むしろ空気中にいるよりも、ずっと呼吸がしやすく、大きな存在に見守られているような、そんな絶対的な安心感を得ていた。
それは、母の胎内を思わせる優しさだった。
母体に保護され、羊水の中で何も心配することなく、ただ静かに休むことを許されていたあの時と同じ。
極上の眠り……それは、母と繋がっていた頃の、胎児の状態だ。
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