猫の罪深い料理店~迷子さんの拠り所~

碧野葉菜

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奇妙な仲間たち

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「……あの、猫ショウって」
「恐らく俺たち十二支が束になってかかっても敵わないだろう」
「化け猫や猫又の上、人間には上級妖怪として知られている存在でちよ」 

 突然降って湧いた猫宮最強伝説に、目を丸くするしかない。
 束になっても叶わないとか、化け猫や猫又の上だとか、穏やかな彼には結びつかない文字の数々。

「やだなぁ、二人とも、大袈裟なんだから、単に年がいって尻尾が裂けてしょうがないだけだよ」

 年齢を重ねたからといって、尻尾が裂ける動物はそういないだろう。
 それをあっさり口にしてしまうあたり、彼は大物なのかもしれない。

「第一みんなと戦ったことなんてないんだから、強いかどうかなんてわからないでしょ」
「空気でわかるぞ」
「やめてってば、嘘だよちづちゃん、僕ぜんっぜん怖くないから!」

 牛坐さんたちに反論していた猫宮さんは、突如私の方に顔を向け焦ったように答弁した。
 猫宮さんに初めて会った時は、得体の知らないものへの恐怖に似た感情があった。
 けれど今は記憶の彼方。
 どんなふうに怯えたのかも思い出せない。
 猫宮さんは僅かな時間で私に浸透するのが早すぎた。

「いえ、大丈夫です、強くても、弱くても、猫宮さんなら」

 素直な気持ちが簡単に言葉になる。
 なにも考えずに、すらすら手紙を書くように。
 だから猫宮さんの白い頬に赤みが差した時、ドキリというよりギョッとした。
 誰かと話していて、こんな反応をされたことがなかったから。
 ――私、なにかおかしなこと言った?
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