金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第三章、汚れた大人たち

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 正直に言えばあゆらの一人部屋よりも狭い空間だ。しかしあゆらは息苦しさを感じなかった。ここで食事をし、寝起きし、毎日生活している志鬼の姿を想像するととても気分が高揚した。

「一つの部屋にすべての家具家電がまとまっているなんて合理的ね」
「ぐは! 言われてみたらそうやな、確かにやたら広い敷地内移動する手間は省けるわ」
「……志鬼も、やっぱり実家は広いの?」
「そうやな、住み込みの組員もおるし、ただでかいだけが取り柄の古い造りの家や、純和風で、やたら庭園に力入れてたな」

 嫌いな父親を思い出させるだろうかと、あゆらは少し気遣いながら聞いたが、志鬼はあっけらかんと答えた。
 あゆらが靴を脱ぎ部屋に入ると、押し入れの角のところに何やら動くものを見つけた。
 以前、美鈴の実家帰りに志鬼が拾った子猫である。
 アキは様子を窺うようにしながらも、あゆらに興味を示し近づいて来た。

「あら、私にも懐いてくれたのかしら……可愛いわ」

 足元に身体を擦り寄せてくるアキを見て、あゆらは床に膝をつけるとアキを抱っこした。するとアキは嬉しそうにあゆらの顔を舐め始めた。

「ふふ、くすぐったいわね」
「はああ~~、猫はええなあ、俺もペロペロしたい!!」
「あなたは心の声が大きすぎるわよ。それにこの子、メスじゃないの?」
「そいつオスやで」
「そうなの? 志鬼に懐いているからてっきり……」
「なんか俺昔から男に懐かれるねん、もうこいつホモなんか思うくらいベタベタついて来る子虎みたいな弟分もおるし……」

 志鬼は辟易した様子で言いながら、ローテーブルの側に腰を下ろした。
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