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紹介される。

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「す、すみません、でも、私が天野さんと同じなんて、あり得ないかと……」

 なんなら最も違うタイプの人間ではないかとくるみは思う。しかし蜜流は自分の意見の変える気はないようだ。

「見てたらわかる、さっき僕のチョコ食べた時の言葉、失敗なんか頭にないくらい自信に満ちてた」

 言われて初めて気づく。確かにくるみは、美味しいものを食べた時、頭で考えるよりも先に言葉が出る。そこに疑いを持つタイムラグなど存在しないのだ。
 自分で驚いた様子のくるみに、蜜流はさらに続ける。
 
「僕とみっちゃんも天才型、甘音さんとかんちゃんは努力型やから……タイプは違う方がええ、菓子作りと同じで、似た味ばっかり足しても美味しくならんからね」

 蜜流はショコラティエらしく、相性のあり方を菓子作りに例えた。

「かんちゃんとくるみんがこうなった経緯は知らんけど、どんな理由があったとしても、嫌いな相手と暮らせるほど、あいつ器用ちゃうから、仲良ぉしたってな」

 少しだけ心配そうに優しく微笑む蜜流に、くるみは二人の関係性を見た気がした。
 甘路は多くのファンだけではなく、親や友達などの身近な人たちにも愛されている。
 それだけ甘路に魅力があるということなのだろう。そう思うと腑に落ちたくるみは、羨ましい気持ちよりも、やはり尊敬の念が湧くのだ。

「甘路さんのこと気にかけてるんですね」
「だってかんちゃんくらいやもーん、連日徹夜で菓子作りに付き合ってくれるなんて、結局僕はケーキよりチョコに魅力を感じてショコラティエの道に進んだけどね」

 口調こそ軽いが、内容はしっかり詰まっている。くるみはなんとなく、蜜流の人柄がわかってきた。

「天野さんも……」
「蜜流でえーよ、そうや、連絡先交換しよー」
「あ、は、はい」

 蜜流に連絡先を聞かれたくるみは、すぐに了承すると、遮られた質問を一旦引っ込めて、上着からスマホを取り出した。
 ドゥートンで働き始めてから、どんどん登録者が増えていく通話アプリ。
 連絡先交換に慣れたのも、イケメンとの対話に緊張しなくなってきたのも、みんな甘路のおかげだ。
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