蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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仙界

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小生しょうせいは学神の学法と申します。こちらが恋神の百恋。百恋と蛇珀は下流神、小生と鷹海は中流神ちゅうりゅうしん。狐雲様だけが上流神であらせられます。通常は階流に添い神力が決まるのですが、この蛇珀は特別でして、生まれた時から並外れた力があるのですよ。単純な力の強さとしては、鷹海よりも上、かと」
「余計なことを言わんでいい」
「ほほ、これは失礼」 
 
 鷹海の渋い表情を、学法は余裕の笑みで受け流す。
 神々は階流により髪の長さが決まっている。下流の神である蛇珀と百恋は腰まで、中流である鷹海と学法は腿まで、そして狐雲は地につくほどである。

「そうなんですね……では、蛇珀様もいつか、上流の神様? に、なられるのですか?」
「さあな、それはわからねえ。上流神になる方法が謎だからな」
「そうなんですか?」
「ある程度功績を残し長生きすれば中流神にはなれるのですがね。上流神になるのは、年月でも真面目さでもないようです。それをご存知なのは今までで唯一、上流神となられた狐雲様のみ。……もちろんその内容を伝えることは禁じられているでしょうが」

 それはつまり、禁じている“誰か”がいるということだろうか。と、いろりは推測した。

「百恋、学法、下界に降りる許可を受けに参ったのであろう」
「はーい、そうでーす!」
「行ってまいります、狐雲様」

 元気に片手を挙げる百恋と頭を下げる学法に、狐雲は静かに頷いた。

「よい。そなたたちの平穏は人々の繁栄に繋がる故、励め」
「近年出生率が右肩下がりだからね。もっと恋の嵐を巻き起こさなきゃ!」
「学力の低下も示唆されていますからね。日々精進精進……では、姫君」
「じゃあね、いろりちゃん! ……また近いうちに会うことになると思うけど」

 気がかりな台詞を残して、百恋と学法は遠くの霧の中へ消えていった。
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