枯れる前に

みよし

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暑い夏2

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 小夜子の彼と寝た。
 近藤とのデートを断って一郎と過ごした。
 帰宅したけれど体は熱っぽく暑くて暑くて眠れそうにない夜になりそう。
 ゲスいけれど、短時間で前から後ろから上から下から。まるでメリーゴーランド。体が揺れていた。思い出すとまだ顔が火照る。
 長く生きているといろいろな体験が出来るんだーなんて、そばから離れないボブに語りかけていた。
  ボブは、5歳。ラブラドールレトリバーの雄。賢いけれど力が強く、事故の後遺症で背中を痛めている私には、散歩などの世話は無理になっている。
 最近、ケイチャンがお散歩してくれている。
 私が怪我をして以来ずっとだ。
 もうお散歩もできるけれど、ボブの走る力にまだまだついていけない。
 セックスは出来て散歩は出来ないって言ったらボブに叱られるかしら?
 正直、一郎くんのほうが私の体は濡れる。あの綺麗な指が私の体を這う。それだけで体は感じすぎて、もうどうにもならない。
 近藤もあれやこれやと私の感じる部分を探すようだけれど、試されてる感が拭えず私の体は微妙に冷めてしまう。
 一郎とのセックスを知ってしまうと近藤とのセックスが正直物足りない。
 ただし、合う合わない、露骨に言うと彼と私のサイズ感で言うと近藤なんだよなー
 私はボブをさらに語りかける。
 もっと違う人と・・・野心みたいなものも芽生えて。
 あーあー
 芽生えちゃったの?私。
 変態かしら。
 今さら店長ともなーなんて。
 もっと、綺麗になりたい。ならなくっちゃ。
 以前、市役所でもらってきた離婚届、どこに直したかしら?
 彼から渡されているお金はそんなに余裕があるわけでもなかったが、こっそり貯めたお金とパートで稼いだ分、事故の慰謝料含む保険金。それなりにお金はあるけれど、離婚して自活するほどのお金はない。
 短期といえど、先生として復帰した。どこまで出来るかもわからない。
 ならば、お金をくれるし、世話する必要もない夫を切り捨てる必要もない。
 この家は、土地は父の名義。家は夫の名義。家のローンはすでに終わっている。
 彼も離婚を選ばず、自由を望むはずだ。
 私は事故をきっかけに終焉に向かうはずだった人生にストップを掛けたと思うことにした。
 もっと人生を楽しむ。もちろん女として。
 近藤から何度も会いたかったラインが届く。
 明日は寄るつもりよと返事をしておいた。
 一郎からもラインが。
(ご指名ありがとうございます。またよろしく)
 既読
(こちらこそ。またよろしくお願いします。予約します。)
 既読
(セットがうまく出来ないようならまたいつでも、ご来店ください。)
 正しいセックス教えてください。そう返事をしたかった。
 なんてことだろ!
 明日の勉強しよう。こんな時は。
 私は教科書を開いた。

 次の朝、出勤すると、とんでもないことが起こっていた。
 野上先生が、朝から出勤するなり倒れてしまったのだ。
「松村先生代役お願いできますか?」 
「はい。」
 松村って旧姓呼ばれるのも未だしっくりこないし、その上、もう授業受け持つの?!って言うドキドキ感。
 浩二は、
「とにかく、試験と思って!」と。
 夏休み中の受験対策の特別授業だからなんとかなるか。
 普通科でも小テストしているし。普通科は、共通試験受ける子も少ないからなんとかなるかな。
 2限目の普通科から。
 もう一度予習。その前に近藤にラインした。
(授業することになったよ😭)
 既読
(大丈夫!あんなに大胆なんだから。終わったら待ってる。)

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