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第四章
第三十四話 楽器を作ろう!〜ハロルド、活躍する
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「楽器作ります!」
「ビクトリア様みたいに楽器作ります!」
「あい!」
今日はヴァジュラの遊び相手をする日でリオンとルゼルとアロンとハロルドは王子宮に来ていた。
「楽器?」
ヴァジュラは三人が何故こんなに目をキラキラさせて楽器を作りたがっているかわからないし、ビクトリアが誰なのかも知らない。
「ビクトリア、誰?」
「ビクトリア様は学園の一年生で革命を起こすすごいなお姉様です」
リオンの説明にルゼルだけでなくアロンも力強く頷いている。これはビクトリアという人は只者ではないと察するヴァジュラだ。リオンの説明だとそのビクトリアは自作の楽器で素敵な音楽を奏でたらしい。それと革命がどう関係するのかわからないし、革命が何かもヴァジュラにはわからなかったがとにかく面白そうなので乗ってみることにした。
「うん。受理」
「御意ー」
「御意ー」
「ぎょいぃ」
四人はとりあえず手頃な枝を探すことにした。ビクトリアの一本弦の楽器を真似してみるのだ。だが、手頃な枝など王子宮に落ちているはずがない。手入れが行き届いているからだ。枝など落ちていようはずがない。
「枝、ない」
「枝、ないですね…」
うーん、と困っているとヴァジュラが閃いた。
「ハロルド、持ってた」
「はっ、ハロルド!」
そういえばハロルドは時々棒を持って走り回っている。あれはどこから見つけてきたのだろう。
「イリヤ、ハロルドは?」
ハロルドは時々見当たらなくなる。沢山走り回っているかと思うと、静かに虫を観察していたり、どこで見つけたのか綺麗な花びらや葉や木の実を石の歩道に並べていたりする。ヴァジュラたちはそんな時、一緒に虫を眺めたり、なんの花かを当てっこしたりして楽しんでいた。
今日もハロルドは見当たらない。だけど確かにリオンたちと同じ時間に来ていた。
「ハロルド様ならイト爺の小屋かもしれませんね」
ヴァジュラの侍従のイリヤが言うと護衛騎士のルカが
「はい。ハロルド様ならキースとイト爺さんの小屋に行ってます」
イト爺というのは庭師の爺やのことだ。主に王子宮の庭を手入れしている。
「ハロルド、いつイト爺と仲良し?」
ヴァジュラが驚いた顔で聞く。非常に濃いビックリ顔だ。
しかし、なるほど、イト爺の小屋には庭で切った枝をまとめて置いてある。時々ハロルドが枝を持っていたのはイト爺からもらっていたのだと納得した。
「ハロルド、やっぱりすごい。ワシたちも行くぞ!」
「御意ー」
四人はイト爺の小屋を目指して走った。
イト爺の小屋に近づくとハロルドの笑い声が聞こえてきた。やはりハロルドはそこにいるのだ。
「イト爺!」
「おや、ヴァジュラ殿下。お久しぶりでございます」
「おぅ、イト爺、元気!ワシ嬉しい」
「殿下はお一人ですか?」
「アロンたち一緒。みんなゆっくり」
というよりヴァジュラが爆速で走るので追いつかないだけだ。
「爺!枝、くれ!」
「枝ですか?」
「ビクトリアみたいな楽器作る。枝くれ」
「はい?ビクトリアとは?」
イト爺の頭にハテナが出たあたりでようやくリオンたちが追いついた。
「うーん。ワシ話難しい。リオン話して」
ヴァジュラからバトンを渡され、リオンはビクトリアが一本弦の手作り楽器を奏でること、それを自分たちも作りたいこと、そのためにしなる枝が欲しいことを説明した。
「なるほど。それでしたら竹がよろしいかもしれませんね」
そう言うとイト爺はどこからか切った竹を持ってきて子供たちの目の前で縦に切り分け始めた。
「はわ!竹は綺麗に切れます!」
「竹をこうして切って、もっと細くしたものを竹ひごと言って、それを工夫して色々な物を作るんです」
「もしもなら?」
と、リオン。これにはイリヤが「例えばとお聞きです」と注釈を入れる。
「例えば、虫かごとか」
「あ、知ってます!蛍言うピカピカの虫が入ってるのルゼのおうちで見ました!」
「あぁ、あれが竹ひご⁈ではでは、東の国のお料理で使うスマキ言うのもそうだね」
「色々作れるのね」
「竹ひご…ポテンシャル高いです」
「ルゥルゥ、ポテンシャル、何?」
「アロン、ポテンシャルはね、オヌシナカナカヤリオルナ思うことが沢山あるいうことです」
「うーん、難し…」
そんな話をしているうちに幅1センチほどの竹の棒ができた。その両端にイト爺が小さな穴を開けた。
「この穴に糸を結んで張れば音が出せるようになりますよ」
「わーい!」
「やりますやります」
「イト爺!大義!」
早速四人はイト爺から花を纏めるのに使う細い紐をもらい、片方の穴に結び、もう片方の穴にも結ぼうとした。これがなかなか難しい。竹ひごをしならせて糸を結ぶには子どもたち一人の手では力が入り切らない。しばらくそれぞれ格闘していたが、やがてリオンが
「一人じゃ難しです」
と言った。するとすぐさまルゼルが
「そうだよ、リオン!一人じゃ難しだから、二人ですると良い思う!」
「あ、そだね!」
二人はそう言うと相談し合うこともなく、リオンが自分の竹ひごを力を入れて曲げ、ルゼルがその間にもう一方の穴に紐を結んだ。
「できた!」
「はわ!できました!」
リオンの楽器の出来上がりだ。試しにリオンが弦を弾くと、ビーンと不思議な音が出た。
「できた!私の楽器できた!」
「はわわ!リオンできたね!」
すぐに今度はリオンがルゼルの竹ひごをしならせ、ルゼルが紐を結ぶ。ルゼルの楽器も出来上がりだ。
「やったー」
それを見ていたヴァジュラとアロンも早速共同作業に移った。ヴァジュラがしならせる係でアロンが結ぶ係だ。ところが…
バキッ
ヴァジュラが力加減できずに竹を折ってしまった。
「すまん…イト爺…」
「いえいえ、それより殿下にお怪我はありませんか?」
「ない。でも竹、無駄にした…すまん」
しょんぼりするヴァジュラにイト爺は新しい竹ひごを渡した。だが、再び
バキッ
さらにもう一度
バキッ
今度はアロンがしならせることにしたが力が足りず全くしならせることが出来なかった。
「…イト爺…竹、いっぱいダメした。すまん」
ヴァジュラが肩を落としてイト爺に言う。だがイト爺はニコニコして言った。
「殿下はお優しい。陛下がお小さい頃は謝ることなく片っ端から折り歩いていましたよ」
そう言って、はっはっは懐かしい、と笑った。
「父オー…カジョー」
しょんぼりするヴァジュラの横で、アロンは折れた竹ひごを持ってマジマジと眺めていた。
「ヴァジュラしゃまん、すごい。ちからもち。竹、ばっきんした」
「うん…でも楽器作れない」
ヴァジュラはしょんぼりしたままだ。ところがアロンはその折れた竹を片手に一つずつ持つと、両方を叩き合わせて音を出した。
「ヴァジュラしゃまん、これ、音出る。トントン言う」
本当だ、竹を打つと音が出る。しかも叩く場所を少しずらすと音が変わる。それを見たリオンとルゼルが交互に言った。
「すごい!ビクトリア様の楽器と違う楽器になりました!」
「トントン、カンカンて違う音が出てます!」
「これも楽器?」
ヴァジュラが二人に聞くと二人は深く頷いた。
「ワシ、楽器作れた?」
作れましたと言われ、ヴァジュラはしょんぼりから立ち直った。そしてアロンから竹を受け取ると「うおー」と喜びながらトントンと竹を叩き始めた。アロンも別の折れた竹を拾ってトントン叩き始めた。するとどこからかハロルドがやってきて折れた竹を拾った。
ヴァジュラがトントン叩くとハロルドがトントンとする。ヴァジュラがトントントンとするとハロルドもトントントンとした。
「すごい!ハロルド、間違いしないで真似っこしてます!」
「ハロルド、お前すごい!これはできるか?」
ヴァジュラが少しリズムをつけて、トントントトントンとすると、ハロルドは正確にトントントトントンと真似をした。
「すごい!これならどうだ?」
ハロルドはどんなリズムも真似してみせた。
「ハロルド!お前、カジョー!」
「ハロルド!すごいです。全部真似っこできてます!」
「ハロルド、サイノー、開花です!」
当のハロルドは皆の賛辞には何も返さないがとても楽しそうに笑顔でリズムを真似ていた。
やがて、ヴァジュラとハロルドのリズムに合わせてリオンとルゼルが一本弦をビンビンと奏で、アロンがゴニョゴニョと歌いながら頭を揺らし、小さな音楽会が始まった。
その様子を騎士やイト爺はニコニコして眺めていたが、イリヤは「いやいや、リズムを刻めるヴァジュラ殿下も凄いですし、それを正確に返せるハロルド様も非凡です。これはハロルド様の特技になりそうですね。バークレイ侯爵にお伝えしなければ」と密かに思っていた。「それにしても、ヴァジュラ殿下は相変わらず力加減ができないですね」とも思っていた。
「ビクトリア様みたいに楽器作ります!」
「あい!」
今日はヴァジュラの遊び相手をする日でリオンとルゼルとアロンとハロルドは王子宮に来ていた。
「楽器?」
ヴァジュラは三人が何故こんなに目をキラキラさせて楽器を作りたがっているかわからないし、ビクトリアが誰なのかも知らない。
「ビクトリア、誰?」
「ビクトリア様は学園の一年生で革命を起こすすごいなお姉様です」
リオンの説明にルゼルだけでなくアロンも力強く頷いている。これはビクトリアという人は只者ではないと察するヴァジュラだ。リオンの説明だとそのビクトリアは自作の楽器で素敵な音楽を奏でたらしい。それと革命がどう関係するのかわからないし、革命が何かもヴァジュラにはわからなかったがとにかく面白そうなので乗ってみることにした。
「うん。受理」
「御意ー」
「御意ー」
「ぎょいぃ」
四人はとりあえず手頃な枝を探すことにした。ビクトリアの一本弦の楽器を真似してみるのだ。だが、手頃な枝など王子宮に落ちているはずがない。手入れが行き届いているからだ。枝など落ちていようはずがない。
「枝、ない」
「枝、ないですね…」
うーん、と困っているとヴァジュラが閃いた。
「ハロルド、持ってた」
「はっ、ハロルド!」
そういえばハロルドは時々棒を持って走り回っている。あれはどこから見つけてきたのだろう。
「イリヤ、ハロルドは?」
ハロルドは時々見当たらなくなる。沢山走り回っているかと思うと、静かに虫を観察していたり、どこで見つけたのか綺麗な花びらや葉や木の実を石の歩道に並べていたりする。ヴァジュラたちはそんな時、一緒に虫を眺めたり、なんの花かを当てっこしたりして楽しんでいた。
今日もハロルドは見当たらない。だけど確かにリオンたちと同じ時間に来ていた。
「ハロルド様ならイト爺の小屋かもしれませんね」
ヴァジュラの侍従のイリヤが言うと護衛騎士のルカが
「はい。ハロルド様ならキースとイト爺さんの小屋に行ってます」
イト爺というのは庭師の爺やのことだ。主に王子宮の庭を手入れしている。
「ハロルド、いつイト爺と仲良し?」
ヴァジュラが驚いた顔で聞く。非常に濃いビックリ顔だ。
しかし、なるほど、イト爺の小屋には庭で切った枝をまとめて置いてある。時々ハロルドが枝を持っていたのはイト爺からもらっていたのだと納得した。
「ハロルド、やっぱりすごい。ワシたちも行くぞ!」
「御意ー」
四人はイト爺の小屋を目指して走った。
イト爺の小屋に近づくとハロルドの笑い声が聞こえてきた。やはりハロルドはそこにいるのだ。
「イト爺!」
「おや、ヴァジュラ殿下。お久しぶりでございます」
「おぅ、イト爺、元気!ワシ嬉しい」
「殿下はお一人ですか?」
「アロンたち一緒。みんなゆっくり」
というよりヴァジュラが爆速で走るので追いつかないだけだ。
「爺!枝、くれ!」
「枝ですか?」
「ビクトリアみたいな楽器作る。枝くれ」
「はい?ビクトリアとは?」
イト爺の頭にハテナが出たあたりでようやくリオンたちが追いついた。
「うーん。ワシ話難しい。リオン話して」
ヴァジュラからバトンを渡され、リオンはビクトリアが一本弦の手作り楽器を奏でること、それを自分たちも作りたいこと、そのためにしなる枝が欲しいことを説明した。
「なるほど。それでしたら竹がよろしいかもしれませんね」
そう言うとイト爺はどこからか切った竹を持ってきて子供たちの目の前で縦に切り分け始めた。
「はわ!竹は綺麗に切れます!」
「竹をこうして切って、もっと細くしたものを竹ひごと言って、それを工夫して色々な物を作るんです」
「もしもなら?」
と、リオン。これにはイリヤが「例えばとお聞きです」と注釈を入れる。
「例えば、虫かごとか」
「あ、知ってます!蛍言うピカピカの虫が入ってるのルゼのおうちで見ました!」
「あぁ、あれが竹ひご⁈ではでは、東の国のお料理で使うスマキ言うのもそうだね」
「色々作れるのね」
「竹ひご…ポテンシャル高いです」
「ルゥルゥ、ポテンシャル、何?」
「アロン、ポテンシャルはね、オヌシナカナカヤリオルナ思うことが沢山あるいうことです」
「うーん、難し…」
そんな話をしているうちに幅1センチほどの竹の棒ができた。その両端にイト爺が小さな穴を開けた。
「この穴に糸を結んで張れば音が出せるようになりますよ」
「わーい!」
「やりますやります」
「イト爺!大義!」
早速四人はイト爺から花を纏めるのに使う細い紐をもらい、片方の穴に結び、もう片方の穴にも結ぼうとした。これがなかなか難しい。竹ひごをしならせて糸を結ぶには子どもたち一人の手では力が入り切らない。しばらくそれぞれ格闘していたが、やがてリオンが
「一人じゃ難しです」
と言った。するとすぐさまルゼルが
「そうだよ、リオン!一人じゃ難しだから、二人ですると良い思う!」
「あ、そだね!」
二人はそう言うと相談し合うこともなく、リオンが自分の竹ひごを力を入れて曲げ、ルゼルがその間にもう一方の穴に紐を結んだ。
「できた!」
「はわ!できました!」
リオンの楽器の出来上がりだ。試しにリオンが弦を弾くと、ビーンと不思議な音が出た。
「できた!私の楽器できた!」
「はわわ!リオンできたね!」
すぐに今度はリオンがルゼルの竹ひごをしならせ、ルゼルが紐を結ぶ。ルゼルの楽器も出来上がりだ。
「やったー」
それを見ていたヴァジュラとアロンも早速共同作業に移った。ヴァジュラがしならせる係でアロンが結ぶ係だ。ところが…
バキッ
ヴァジュラが力加減できずに竹を折ってしまった。
「すまん…イト爺…」
「いえいえ、それより殿下にお怪我はありませんか?」
「ない。でも竹、無駄にした…すまん」
しょんぼりするヴァジュラにイト爺は新しい竹ひごを渡した。だが、再び
バキッ
さらにもう一度
バキッ
今度はアロンがしならせることにしたが力が足りず全くしならせることが出来なかった。
「…イト爺…竹、いっぱいダメした。すまん」
ヴァジュラが肩を落としてイト爺に言う。だがイト爺はニコニコして言った。
「殿下はお優しい。陛下がお小さい頃は謝ることなく片っ端から折り歩いていましたよ」
そう言って、はっはっは懐かしい、と笑った。
「父オー…カジョー」
しょんぼりするヴァジュラの横で、アロンは折れた竹ひごを持ってマジマジと眺めていた。
「ヴァジュラしゃまん、すごい。ちからもち。竹、ばっきんした」
「うん…でも楽器作れない」
ヴァジュラはしょんぼりしたままだ。ところがアロンはその折れた竹を片手に一つずつ持つと、両方を叩き合わせて音を出した。
「ヴァジュラしゃまん、これ、音出る。トントン言う」
本当だ、竹を打つと音が出る。しかも叩く場所を少しずらすと音が変わる。それを見たリオンとルゼルが交互に言った。
「すごい!ビクトリア様の楽器と違う楽器になりました!」
「トントン、カンカンて違う音が出てます!」
「これも楽器?」
ヴァジュラが二人に聞くと二人は深く頷いた。
「ワシ、楽器作れた?」
作れましたと言われ、ヴァジュラはしょんぼりから立ち直った。そしてアロンから竹を受け取ると「うおー」と喜びながらトントンと竹を叩き始めた。アロンも別の折れた竹を拾ってトントン叩き始めた。するとどこからかハロルドがやってきて折れた竹を拾った。
ヴァジュラがトントン叩くとハロルドがトントンとする。ヴァジュラがトントントンとするとハロルドもトントントンとした。
「すごい!ハロルド、間違いしないで真似っこしてます!」
「ハロルド、お前すごい!これはできるか?」
ヴァジュラが少しリズムをつけて、トントントトントンとすると、ハロルドは正確にトントントトントンと真似をした。
「すごい!これならどうだ?」
ハロルドはどんなリズムも真似してみせた。
「ハロルド!お前、カジョー!」
「ハロルド!すごいです。全部真似っこできてます!」
「ハロルド、サイノー、開花です!」
当のハロルドは皆の賛辞には何も返さないがとても楽しそうに笑顔でリズムを真似ていた。
やがて、ヴァジュラとハロルドのリズムに合わせてリオンとルゼルが一本弦をビンビンと奏で、アロンがゴニョゴニョと歌いながら頭を揺らし、小さな音楽会が始まった。
その様子を騎士やイト爺はニコニコして眺めていたが、イリヤは「いやいや、リズムを刻めるヴァジュラ殿下も凄いですし、それを正確に返せるハロルド様も非凡です。これはハロルド様の特技になりそうですね。バークレイ侯爵にお伝えしなければ」と密かに思っていた。「それにしても、ヴァジュラ殿下は相変わらず力加減ができないですね」とも思っていた。
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