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第三章
第二十四話 秘密の特訓〜雪玉職人アロンに弟子入り
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「ヤン!きょかでましたか?」
「はい、ルゼル様」
「やったー!ではアロンきょういきましょう」
「あいー」
ある日、昼前に雪が止んだので、昼食までという約束でルゼルはアロンと庭で雪遊びをする許可を得た。
弟のアロンは兄弟の中で一番熱を出しやすい子だったので、冬の外遊びには許可が必要だった。
今は冬休みも終わり、リゼルは学園に行っている。リディラはマナーの家庭教師が来ている日だ。秘密の雪玉作りの特訓にうってつけの日だった。
王宮での雪合戦以来ルゼルもアロンも雪遊びが大好きになった。特に雪玉作りが楽しい。
雪を同じだけすくっても優しく丸めると大きく軽い雪玉になる。力一杯丸めると小さくて固い雪玉になる。
「おなじのりょうなのに、ふしぎふしぎね」
雪は溶けると水になる。だけどバケツに貯めた水は手のひらで強く押しても優しく押しても量が全然変わらない。
「これは、おみずがふしぎかな?ゆきがふしぎかな?」
謎を解明するために今日も雪玉を作るのだ。クイン侯爵家の雪玉作りのプロ、アロンも一緒だ。
雪玉作りにおいてはルゼルはアロンに一目置いている。作るのが速いのだ。何しろヴァジュラの投げる速さに間に合うスピードで握れる。すごい。どうしたらあんなに速く作れるのか。今日はその謎も解きたい。だから今日はアロンに教えを請いたい。だから今日は「アロン卿」だ。
「アロンきょう、こーときましゅ」
「あい」
それぞれの従者がコートを着せる。
「アロンきょう、おぼうしかぶりましゅ」
「あい」
それぞれの従者が帽子をかぶせる、
「アロンきょう、てぶくろしましゅ」
「あい」
それぞれの従者が手袋をはめる。
「いきましゅ!」
「あいー!」
いざ、お庭へ。
降り積もったばかりの雪はサラサラしている。よく見ると雪の結晶が見える。一つ一つ形は違うのにだいたい六個のとんがりがある。これも不思議だからいつか解明しなくてはならない。
「アロンきょう、ゆきだま、おねましゅ」
「あいっ」
真面目な顔で答えると、アロンはサッとしゃがんで素早く雪玉を作った。それをルゼルに差し出して
「あい、るぅるぅ」
と言った。るぅるぅは多分ルゼルのことだ。リゼルやリディラが「ルゼル」と言うのを聴いているからるぅるぅだ。ちなみにアロンはリゼルのことは「あにゅー」リディラのことは「あねぇー」と呼ぶ。おそらくルゼルのアニューレとアネーレ呼びからきているのだろう。
「はわー。やっぱりアロンきょうはゆきだまつくりのてんさいでしゅ」
あまりの速さにルゼルは拍手喝采だ。
「アロンきょうもいちど、おねましゅ」
「あい」
ルゼルはアロンの手の動きをよく観察した。
アロンの右手が雪を掬う。掬い上げと同時に左手が上から雪を押さえる。そのまま雪玉を左に動かすと自然に左手が下になり右手が上になる。そこでキュッと優しく一回力が入っているようだ。そして足元に雪玉を置く。無駄な動きがない!
ルゼルの雪玉作りの工程は、まず右手で雪を掬う。胸の前に持ってきて左手で上から2回押さえる。左手を下にして右手で上から2回押さえる。できた雪玉を右手に持って下に置く。
アロンの作り方はルゼルのそれと全く違っていた。
アロンは流れるように雪玉を作っていた。
「アロンきょう、すてきです」
ルゼルはアロンの手際の良さに感嘆した。自分もマスターしなければ!時間は昼食までしかない!
「アロンきょう、つくりましゅよ!」
「あい!」
始めはうまく掬い上げられなかった。適量を掬うのが難しいのだ。それがうまくできると、次はキュッの力加減が難しかった。速く作ろうとすると力が入りすぎて小さくなってしまう。力が弱すぎても置いた時に雪玉が割れたり崩れたりする。こんな難しいことをアロンはやっていたのかと尊敬した。
冷たくて指先の感覚がなくなってきたころ、やっとコツが掴めた。
「ヤン、みて!じょず?」
「はい、とても良い雪玉になりましたよ」
ヤンは笑って温かいタオルでルゼルの指先を温めながら言った。
「あのね、おてて、ちょっとだけパーにしてすくうと、ちょうどいいになったの。おくときも、どん、じゃなくて、そっとがよかったの」
「そうなんですね。大発見ですね」
「うん!ひみつのとっくん、だいせいこうでしゅ。これでこんどのゆきがっせんではつよいになりましゅ」
大満足のルゼルはアロンに向かって言った。
「アロンきょう、ありがとござました!」
大好きな兄を喜ばせることができたアロンも大満足で笑っていた。
その後、手を温めてもらった二人は、昼食になるまでの短い時間で、作り上げた雪玉を二つずつ重ねて並べていった。
「ゆきだるまさんにしゅるの」
「あーい」
「けんかしないで、ならんでくださーいにしゅるの」
「あーい」
玄関先に可愛い雪だるまの列ができた。そして雪だるま一つ一つに葉や木の実でデコレーションして益々可愛い雪だるまの列にした。
学園から帰ってきたリゼルがそれを見て「可愛いっ。弟たち可愛いっ」と唸った。
出先から戻ったジゼルも「うちの息子たち、可愛いっ」と唸った。
その冬最後の雪の日の出来事だった。
「はい、ルゼル様」
「やったー!ではアロンきょういきましょう」
「あいー」
ある日、昼前に雪が止んだので、昼食までという約束でルゼルはアロンと庭で雪遊びをする許可を得た。
弟のアロンは兄弟の中で一番熱を出しやすい子だったので、冬の外遊びには許可が必要だった。
今は冬休みも終わり、リゼルは学園に行っている。リディラはマナーの家庭教師が来ている日だ。秘密の雪玉作りの特訓にうってつけの日だった。
王宮での雪合戦以来ルゼルもアロンも雪遊びが大好きになった。特に雪玉作りが楽しい。
雪を同じだけすくっても優しく丸めると大きく軽い雪玉になる。力一杯丸めると小さくて固い雪玉になる。
「おなじのりょうなのに、ふしぎふしぎね」
雪は溶けると水になる。だけどバケツに貯めた水は手のひらで強く押しても優しく押しても量が全然変わらない。
「これは、おみずがふしぎかな?ゆきがふしぎかな?」
謎を解明するために今日も雪玉を作るのだ。クイン侯爵家の雪玉作りのプロ、アロンも一緒だ。
雪玉作りにおいてはルゼルはアロンに一目置いている。作るのが速いのだ。何しろヴァジュラの投げる速さに間に合うスピードで握れる。すごい。どうしたらあんなに速く作れるのか。今日はその謎も解きたい。だから今日はアロンに教えを請いたい。だから今日は「アロン卿」だ。
「アロンきょう、こーときましゅ」
「あい」
それぞれの従者がコートを着せる。
「アロンきょう、おぼうしかぶりましゅ」
「あい」
それぞれの従者が帽子をかぶせる、
「アロンきょう、てぶくろしましゅ」
「あい」
それぞれの従者が手袋をはめる。
「いきましゅ!」
「あいー!」
いざ、お庭へ。
降り積もったばかりの雪はサラサラしている。よく見ると雪の結晶が見える。一つ一つ形は違うのにだいたい六個のとんがりがある。これも不思議だからいつか解明しなくてはならない。
「アロンきょう、ゆきだま、おねましゅ」
「あいっ」
真面目な顔で答えると、アロンはサッとしゃがんで素早く雪玉を作った。それをルゼルに差し出して
「あい、るぅるぅ」
と言った。るぅるぅは多分ルゼルのことだ。リゼルやリディラが「ルゼル」と言うのを聴いているからるぅるぅだ。ちなみにアロンはリゼルのことは「あにゅー」リディラのことは「あねぇー」と呼ぶ。おそらくルゼルのアニューレとアネーレ呼びからきているのだろう。
「はわー。やっぱりアロンきょうはゆきだまつくりのてんさいでしゅ」
あまりの速さにルゼルは拍手喝采だ。
「アロンきょうもいちど、おねましゅ」
「あい」
ルゼルはアロンの手の動きをよく観察した。
アロンの右手が雪を掬う。掬い上げと同時に左手が上から雪を押さえる。そのまま雪玉を左に動かすと自然に左手が下になり右手が上になる。そこでキュッと優しく一回力が入っているようだ。そして足元に雪玉を置く。無駄な動きがない!
ルゼルの雪玉作りの工程は、まず右手で雪を掬う。胸の前に持ってきて左手で上から2回押さえる。左手を下にして右手で上から2回押さえる。できた雪玉を右手に持って下に置く。
アロンの作り方はルゼルのそれと全く違っていた。
アロンは流れるように雪玉を作っていた。
「アロンきょう、すてきです」
ルゼルはアロンの手際の良さに感嘆した。自分もマスターしなければ!時間は昼食までしかない!
「アロンきょう、つくりましゅよ!」
「あい!」
始めはうまく掬い上げられなかった。適量を掬うのが難しいのだ。それがうまくできると、次はキュッの力加減が難しかった。速く作ろうとすると力が入りすぎて小さくなってしまう。力が弱すぎても置いた時に雪玉が割れたり崩れたりする。こんな難しいことをアロンはやっていたのかと尊敬した。
冷たくて指先の感覚がなくなってきたころ、やっとコツが掴めた。
「ヤン、みて!じょず?」
「はい、とても良い雪玉になりましたよ」
ヤンは笑って温かいタオルでルゼルの指先を温めながら言った。
「あのね、おてて、ちょっとだけパーにしてすくうと、ちょうどいいになったの。おくときも、どん、じゃなくて、そっとがよかったの」
「そうなんですね。大発見ですね」
「うん!ひみつのとっくん、だいせいこうでしゅ。これでこんどのゆきがっせんではつよいになりましゅ」
大満足のルゼルはアロンに向かって言った。
「アロンきょう、ありがとござました!」
大好きな兄を喜ばせることができたアロンも大満足で笑っていた。
その後、手を温めてもらった二人は、昼食になるまでの短い時間で、作り上げた雪玉を二つずつ重ねて並べていった。
「ゆきだるまさんにしゅるの」
「あーい」
「けんかしないで、ならんでくださーいにしゅるの」
「あーい」
玄関先に可愛い雪だるまの列ができた。そして雪だるま一つ一つに葉や木の実でデコレーションして益々可愛い雪だるまの列にした。
学園から帰ってきたリゼルがそれを見て「可愛いっ。弟たち可愛いっ」と唸った。
出先から戻ったジゼルも「うちの息子たち、可愛いっ」と唸った。
その冬最後の雪の日の出来事だった。
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