金に紫、茶に翡翠。〜癒しが世界を変えていく〜

かなえ

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第三章

第二十五話 物事は全部何かの仲間にできそうです。〜カテゴライズをみつけちゃった。

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 リオンとルゼルは「自分の好きなもの」を集めた図鑑作りをコツコツと進めていた。
 画用紙は沢山用意してもらった。クレヨンも色鉛筆も50色セットというすごいのを用意してもらえた。
 「みてみて、ルゼ!この色っていうの。ルゼのおメメのいろよ。兄上が伯父上におねがいしてつくってもらった色」
 「私のおメメ、?」
 「そう。みどりだとちょっとちがうなーっておもってたら、兄上がルゼのおメメはいう色だよーっておしえてくれたの。みどりはリディ姉様のおメメの色よ」
 確かにアネーレの目の色とは少し違うなと思ってはいたので納得だ。自分の目の色は「だいたい緑」だと思っていたが、なるほど「だいたい緑」には違う名前があったということだ。
 「にてるけど、ちょっとちがうものには、ちゃんとおなまえがあるのね」
 と、今見つけた発見をリオンに話す。
 「うん、そうだね。だいたいおんなじはちがうおなまえがあるんだね」
 リオンにはちゃんと伝わっていた。
 「リオンはユリアン兄様とにてるけど、ちがうからリオンていうもんね」
 「うん。ルゼもリゼル兄様とにてるけど、ちがうからルゼだもんね」
 二人は色鉛筆のケースをじっくり見た。しまう場所にしまう色の名前が書いてある。赤の近くはピンクや朱色などで青の近くは水色や紺だ。
 「にてるの色はちかくにならぶね」
 「うん。ちょっとちがっておなまえはべつべつでも、なかまですよってことかな」
 「ユリアン兄様とリオンがにていてもおなまえちがうけど、おうちはいっしょってこととおなじかな」
 「おなじだね」
 似ていても違うけど、似ていると仲間になる。
 そう言えば、お歌で覚えたチューリップを庭に見に行った時、同じチューリップなのに色んな色があった。色は違っても形が同じだと仲間だった。
 だけど別の花壇を見に行ったら別々の種類の花が同じ色でまとめられていた。赤い花ばかりの花壇とか黄色い花ばかりの花壇といった具合だ。
 「ちがうのわけかたって、いろいろあるね」
 「なかまのわけかたも、いろいろだね」
 そういえば、二人はアデルの好きなものの話になんの違和感もなかった。でもリタには違和感があるような言い方だった。その人それぞれの感じ方でも物事は分けられるのか…
 「ずかんもおなじね。私たちが、すきすきーなものをあつめるとひとつのができるもんね」
 「うん。ずかんはいろんななかまをあつめたごほんだもんね」
 「なかまあつめるの、なんでもできるね」
 「うん。つよいつよいのなかまをあつめたら、きし様やヴァジュラ殿下がいっしょになるけど、のなかまだときし様入らないけどヴァジュラ殿下はいる。なにであつまれーってするかでいろんなずかんつくれるね」
 どうしよう。無限に図鑑が作れてしまう。益々絵を練習して上達しなければ。
 まず、上手に三角を描きたい。明日から絵の特訓だ。
 「がんばるぞ」
 「おー」
 無邪気にグーを突き上げている二人を眺めながら、二人についている従者ヤーべとヤンは「カテゴライズの話でしたよね」「サラッと哲学まぜてましたよね」と目で会話した。だが、従者たちの驚きはここで止まらなかった。
 二人が得意の丸を描き始めた。丸を二つ、横のあたりを少し重ねて描いた。重ねたところを指差してリオンが言った。
 「ここに私とルゼがはいるでしょー。そしたらここ(と、右側の丸の部分)にはコークのおうちの人。こっち(丸の左)にはクインのおうちの人。まんなかの私たちは3
 「わあ、すごい!べつべつのなかに、おんなじをさがすのね!たのしだね」
 「でしょでしょ」
 「じゃあじゃあ、さっきのー。こっちにはで、こっちは。まんなかは。ここにぴんくいろのがはいるの。できたー」
 「こっちは。こっちは。まんなかに父上や兄上や私たちで。できたー」
 「こっちは。こっちは。まんなかにきし様とヴァジュラ殿下で。できたー」
 きゃー。
 きゃー。
 二人は楽しそうだが、これは数学の集合だよな?従者が無言で目を向け合う。
 三角が描けないとジリジリしている幼児が数学的展開で遊んでいる。
 それにしても二人にとってのヴァジュラとはどんな存在なのだろう。その位置はなんだか特別だ。わからないではないが…。
 「ね、ね、リオン。これでいろんななかまつくったら、なかまはずれになる人いないになるね」
 「うん、うん。みんなみーんななにかのなかまだもんね」

 この二人はいつか必ず国の中心人物になる。従者たちは日々そう確信していたが、それ以上の存在なのかもしれない。
 騎士団の中で、この二人は「聖女様」扱いになっている。近くにいると二人は世の中の真実をすべて知っているような気になってくる。聖女様説はあながち間違ってはいないような気がしてくる従者たちだった。
 
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