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第三章
第三十三話 マグヌス、7歳になりました。〜オールスターでお送りします。
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ユリアンの誕生日からほどなく、マグヌスが7歳になった。
まだまだ幼いながらも姿勢の良い立ち姿、母王妃に似たルックス、父王に似た威厳ある黒髪黒瞳、両方の良いとこ取りに剣の鍛錬でできた細マッチョな身体。もちろん学業成績も上位となかなか良い王太子に育っている。
そんな具合なのでマグヌスは国民の人気者だ。当日は国民に向け、王宮の開放庭園に向いている迎賓宮のバルコニーから数回手を振るという7歳の子どもらしからぬ誕生日を過ごした。この日は平日だったので学園は欠席しての公務だ。
最近は写真機のおかげで王族の様子も見てわかる伝わり方をしている。絵姿ではない分、より一層親近感を覚えるのか、想像以上に人が集まっていた。そこここで「絵姿より、写真。写真より実物の方が可愛らしいわね」「やっぱり実物の方が素敵ね」「王妃様によく似ていらっしゃる」などささやかれている。その間、マグヌスは微笑みを絶やさなかった。
バルコニーに出ていない時は貴族たちの謁見だ。大戦争から10年が過ぎても世界のマードに対する印象は戦勝国だ。大戦争を知らないマグヌスにも国内外からの祝いの謁見が絶え間なく続く。そして時間がくるとバルコニー。そしてまた謁見だ。マグヌスはこれも国の様子や各国の関係を知る良い機会だと思えているが、これを学園生になったらヴァジュラも新年の行事として参加するのかと思うと少し心配になった。ユリアンやリゼルが弟たちを心配するのとは少し違う方向で…。
一日公務をしたマグヌスは流石に疲れていた。王太子としての責務はとりあえず果たせた。新聞記者たちの公開インタビューにも子どもらしくかつ王族らしく受け答えできていたと思う。母王妃がダメ出ししなかったから多分大丈夫だ。明日の新聞の一面になるだろう。どこで話題になるかわからないから明日の朝、全紙に目を通してから学園に行こう。そんなことを考えながら、およそ7歳児の平均的な誕生日とは程遠い誕生日をヘトヘトに疲れて一日を終えた。
翌日の学園は大変だった。友達として純粋に贈り物をする学生から謁見できなかった親からの預かり物としての贈り物を持ってくる学生まで山ほどの学生がマグヌスのクラスに殺到した。口々に今朝の新聞を見たと話してくる。読んでおいて良かった。
この状況には日頃介入しない遠巻きの護衛も学園側も介入せざるを得なかった。これで来年から誕生日翌日の学園生活は改善されて過ごしやすくなるだろう。ひいては数年後に入学するヴァジュラの学園生活のためにもなったはずだ。そう思うとこの二日の多忙さもすっかり報われた気になるマグヌスだった。しかも明日は休日。身内だけの誕生会がある。ユリアンとリオンは従兄弟だから毎年来ているが、今年はクイン四兄弟も呼んでもらっている。遠縁ではあるが、遠縁を持ち出したらどこまでも広がってしまうので今までは呼べなかったのだが、世の中が…正確には上位貴族たちがクイン侯爵家というか、リゼルやルゼルとマグヌスのつながりを暗に認めるようになっていたので今年は近い遠縁の仲良しというわかりにくい建前で招待してもらえた。政治的配慮でクイン侯爵夫妻は留守番だ。つまり、明日は癒したちが来る。楽しみで仕方ない。
それをこっそり口にするマグヌスを見るユリアンとリゼルは「なんだか殿下は久しぶりに孫に会うのを楽しみにしているお祖父様みたいだな」と言うのだった。
翌日の誕生会は、国王夫妻、ヴァジュラ、コーク公爵家とクイン侯爵兄弟の他、王弟であるホーリィ公爵家(もちろんマーリンもいる)と先王夫妻であるマグヌスの祖父ユリウスと祖母(マーリンの祖母でもある)ステラがいた。
先王は大戦争の途中で王位を現王に譲渡した。国民に対する戦争のイメージ刷新と妙に眼力のある現王の近隣諸国に対する威圧と、現王の持つカリスマ性で士気を上げる狙いなど諸々の理由があっての譲渡だ。結果戦勝国となり、ユリウスは賢帝と呼ばれての隠居生活を満喫している。
誕生会はこじんまり、和気藹々と進んだ。会食しながら学園での様子をマグヌスやユリアン、リゼルが語り、マーリンとリディラは「先日お茶会に可愛いウサギ様とお星様がいらした」話をした。
会食後はマグヌスやユリアンたちによる小さな音楽会だ。
そして…。コーク兄弟とクイン兄弟による劇の上演だ。これはリディラやユリアンの誕生会の話を聴いたマグヌスたっての希望だった。
今日の演目は『きしだんと、りんごのき』だ。
ユリアンとリオンとルゼルは前回と同じく騎士。リディラはお姫様の他、宿屋のおかみさんや騎士の手当てをする看護師さん、更に裏方もやった。アロンも今回は流れ星だけではない。りんごの役もやった!残りの配役はリゼルだ。
いつもの酸っぱいレモンのりんごを食べるところでは、騎士役だけでなく、全員出てきて「すっぱーい!」と言って酸っぱい顔をして観客を大笑いさせた。ヴァジュラの笑い声は特に響いた。
川に転がり落ちるりんごを演ったアロンはコロコロ転がりながら「ころころころころ」と言っていて演者含めて全員がホワァっとした。
焼き鳥味のりんごの説明は特にリオンとルゼルが念入りにした。
「これは、やきとりという、とりにくのおりょうりの味です」
「とりにくをやいて、タレという茶色のソースをかけてくしにさした、おりょうりです」
「しかも、なんと、このおりょうりは、あるいてたべるもできるのです!」
「私たちの兄上たちが、あるいてたべるのひとを、みたのです!」
「だから、ほんとうなのです!」
身に覚えのある現王やアーネストや演者のユリアンとリゼルも視線が少し斜め上を見た。思い出している時の仕草だ。四人ともニコニコしている。実は先王と王弟も斜め上を見て笑っていた。
象がりんごを食べるシーンはアロンがりんごを演り、画家ロンに描いてもらった象の絵を関節が動くよう工夫し、リディラとリゼルが二人がかりで動かした。思いがけない迫力の演出に大人たちも驚き、ヴァジュラは拍手喝采で喜んでいた。
最後にオールスターで並び、「せーの」で手にした色紙をパッと出した。並んだ色紙を順に読むと「マグヌス殿下おめでとう」になる。手作り感のある可愛い演出だ。
劇は大成功だ。終わると全員が笑顔で拍手をしてくれた。一番速いテンポの拍手はマディだ。マグヌスはことの他喜んでくれた。想像以上に癒された。
劇が終わるとヴァジュラが小道具を見たがりそのまま小道具で遊び始めた。
その様子を見ながら、マーリンがリディラに声をかけた。
「リディラ様、とても楽しかったわ。お兄様方と小道具までお作りになって、素敵だわ」と。自分の兄は真面目なので劇は一緒にできそうにないわとも言ったが、リディラにはマーリンもノリノリで劇をするようには思えなかった。マーリンは貴賓席で観劇する方が似合う。
先王も子どもたちに声をかけていた。
「いや、久しぶりに楽しませてもらった。演出も素晴らしい。あの象も子どもだけで作ったそうだな」
先王はてっきり主導権はユリアンあたりだろうと思って話していた。しかし、言葉を返したのはリオンだった。
「はい。あのぞうさんはうごいたほうが、かっこいいねってルゼルとおはなししてかんがえました」
「ん?リオンが考えたのか?」
「んとんと、うごいたほうがいいねってかんがえたのが私で、うごくのかんがえたのはルゼルです」
「…ルゼルはどうやって思いついた?前に観たことがあるのかな?」
「いいえ。でもでも。このまえリオンとさんかくかくれんしゅして、かたちをたくさんしっていたらどんなものでもつくれるねって、おはなししていて」
ルゼルはキラキラした翡翠の瞳で先王を見上げながら続ける
「ぞうさんうごかすのも、ぞうさんをいろんなかたちにしたらべつべつにうごかせるねって。それでそれでじんたい様のこと思い出して、象さんかんせつでわけたらうごかせるねーって」
「ねー」
「ねー」
「かんせつすごいよね」
「うん。かんせつすごーいだよねー」
関節は大切な部分ではあるが、凄さとは?この子たちは言外に何か真理に近いことを話しているのではないか?それからじんたい様とは?
その様子を見ていた王弟ホーリィ公爵が兄である現王に
「あれが噂の二天使ですね。確かに見た目だけではない、只者ではなさそうですね」
と深くは聞かずに笑って言った。その目は「兄上、何か大変な案件抱えましたね」と言っていた。
「…可愛いのだがなぁ」
と強い眼力で笑って言った。
まだまだ幼いながらも姿勢の良い立ち姿、母王妃に似たルックス、父王に似た威厳ある黒髪黒瞳、両方の良いとこ取りに剣の鍛錬でできた細マッチョな身体。もちろん学業成績も上位となかなか良い王太子に育っている。
そんな具合なのでマグヌスは国民の人気者だ。当日は国民に向け、王宮の開放庭園に向いている迎賓宮のバルコニーから数回手を振るという7歳の子どもらしからぬ誕生日を過ごした。この日は平日だったので学園は欠席しての公務だ。
最近は写真機のおかげで王族の様子も見てわかる伝わり方をしている。絵姿ではない分、より一層親近感を覚えるのか、想像以上に人が集まっていた。そこここで「絵姿より、写真。写真より実物の方が可愛らしいわね」「やっぱり実物の方が素敵ね」「王妃様によく似ていらっしゃる」などささやかれている。その間、マグヌスは微笑みを絶やさなかった。
バルコニーに出ていない時は貴族たちの謁見だ。大戦争から10年が過ぎても世界のマードに対する印象は戦勝国だ。大戦争を知らないマグヌスにも国内外からの祝いの謁見が絶え間なく続く。そして時間がくるとバルコニー。そしてまた謁見だ。マグヌスはこれも国の様子や各国の関係を知る良い機会だと思えているが、これを学園生になったらヴァジュラも新年の行事として参加するのかと思うと少し心配になった。ユリアンやリゼルが弟たちを心配するのとは少し違う方向で…。
一日公務をしたマグヌスは流石に疲れていた。王太子としての責務はとりあえず果たせた。新聞記者たちの公開インタビューにも子どもらしくかつ王族らしく受け答えできていたと思う。母王妃がダメ出ししなかったから多分大丈夫だ。明日の新聞の一面になるだろう。どこで話題になるかわからないから明日の朝、全紙に目を通してから学園に行こう。そんなことを考えながら、およそ7歳児の平均的な誕生日とは程遠い誕生日をヘトヘトに疲れて一日を終えた。
翌日の学園は大変だった。友達として純粋に贈り物をする学生から謁見できなかった親からの預かり物としての贈り物を持ってくる学生まで山ほどの学生がマグヌスのクラスに殺到した。口々に今朝の新聞を見たと話してくる。読んでおいて良かった。
この状況には日頃介入しない遠巻きの護衛も学園側も介入せざるを得なかった。これで来年から誕生日翌日の学園生活は改善されて過ごしやすくなるだろう。ひいては数年後に入学するヴァジュラの学園生活のためにもなったはずだ。そう思うとこの二日の多忙さもすっかり報われた気になるマグヌスだった。しかも明日は休日。身内だけの誕生会がある。ユリアンとリオンは従兄弟だから毎年来ているが、今年はクイン四兄弟も呼んでもらっている。遠縁ではあるが、遠縁を持ち出したらどこまでも広がってしまうので今までは呼べなかったのだが、世の中が…正確には上位貴族たちがクイン侯爵家というか、リゼルやルゼルとマグヌスのつながりを暗に認めるようになっていたので今年は近い遠縁の仲良しというわかりにくい建前で招待してもらえた。政治的配慮でクイン侯爵夫妻は留守番だ。つまり、明日は癒したちが来る。楽しみで仕方ない。
それをこっそり口にするマグヌスを見るユリアンとリゼルは「なんだか殿下は久しぶりに孫に会うのを楽しみにしているお祖父様みたいだな」と言うのだった。
翌日の誕生会は、国王夫妻、ヴァジュラ、コーク公爵家とクイン侯爵兄弟の他、王弟であるホーリィ公爵家(もちろんマーリンもいる)と先王夫妻であるマグヌスの祖父ユリウスと祖母(マーリンの祖母でもある)ステラがいた。
先王は大戦争の途中で王位を現王に譲渡した。国民に対する戦争のイメージ刷新と妙に眼力のある現王の近隣諸国に対する威圧と、現王の持つカリスマ性で士気を上げる狙いなど諸々の理由があっての譲渡だ。結果戦勝国となり、ユリウスは賢帝と呼ばれての隠居生活を満喫している。
誕生会はこじんまり、和気藹々と進んだ。会食しながら学園での様子をマグヌスやユリアン、リゼルが語り、マーリンとリディラは「先日お茶会に可愛いウサギ様とお星様がいらした」話をした。
会食後はマグヌスやユリアンたちによる小さな音楽会だ。
そして…。コーク兄弟とクイン兄弟による劇の上演だ。これはリディラやユリアンの誕生会の話を聴いたマグヌスたっての希望だった。
今日の演目は『きしだんと、りんごのき』だ。
ユリアンとリオンとルゼルは前回と同じく騎士。リディラはお姫様の他、宿屋のおかみさんや騎士の手当てをする看護師さん、更に裏方もやった。アロンも今回は流れ星だけではない。りんごの役もやった!残りの配役はリゼルだ。
いつもの酸っぱいレモンのりんごを食べるところでは、騎士役だけでなく、全員出てきて「すっぱーい!」と言って酸っぱい顔をして観客を大笑いさせた。ヴァジュラの笑い声は特に響いた。
川に転がり落ちるりんごを演ったアロンはコロコロ転がりながら「ころころころころ」と言っていて演者含めて全員がホワァっとした。
焼き鳥味のりんごの説明は特にリオンとルゼルが念入りにした。
「これは、やきとりという、とりにくのおりょうりの味です」
「とりにくをやいて、タレという茶色のソースをかけてくしにさした、おりょうりです」
「しかも、なんと、このおりょうりは、あるいてたべるもできるのです!」
「私たちの兄上たちが、あるいてたべるのひとを、みたのです!」
「だから、ほんとうなのです!」
身に覚えのある現王やアーネストや演者のユリアンとリゼルも視線が少し斜め上を見た。思い出している時の仕草だ。四人ともニコニコしている。実は先王と王弟も斜め上を見て笑っていた。
象がりんごを食べるシーンはアロンがりんごを演り、画家ロンに描いてもらった象の絵を関節が動くよう工夫し、リディラとリゼルが二人がかりで動かした。思いがけない迫力の演出に大人たちも驚き、ヴァジュラは拍手喝采で喜んでいた。
最後にオールスターで並び、「せーの」で手にした色紙をパッと出した。並んだ色紙を順に読むと「マグヌス殿下おめでとう」になる。手作り感のある可愛い演出だ。
劇は大成功だ。終わると全員が笑顔で拍手をしてくれた。一番速いテンポの拍手はマディだ。マグヌスはことの他喜んでくれた。想像以上に癒された。
劇が終わるとヴァジュラが小道具を見たがりそのまま小道具で遊び始めた。
その様子を見ながら、マーリンがリディラに声をかけた。
「リディラ様、とても楽しかったわ。お兄様方と小道具までお作りになって、素敵だわ」と。自分の兄は真面目なので劇は一緒にできそうにないわとも言ったが、リディラにはマーリンもノリノリで劇をするようには思えなかった。マーリンは貴賓席で観劇する方が似合う。
先王も子どもたちに声をかけていた。
「いや、久しぶりに楽しませてもらった。演出も素晴らしい。あの象も子どもだけで作ったそうだな」
先王はてっきり主導権はユリアンあたりだろうと思って話していた。しかし、言葉を返したのはリオンだった。
「はい。あのぞうさんはうごいたほうが、かっこいいねってルゼルとおはなししてかんがえました」
「ん?リオンが考えたのか?」
「んとんと、うごいたほうがいいねってかんがえたのが私で、うごくのかんがえたのはルゼルです」
「…ルゼルはどうやって思いついた?前に観たことがあるのかな?」
「いいえ。でもでも。このまえリオンとさんかくかくれんしゅして、かたちをたくさんしっていたらどんなものでもつくれるねって、おはなししていて」
ルゼルはキラキラした翡翠の瞳で先王を見上げながら続ける
「ぞうさんうごかすのも、ぞうさんをいろんなかたちにしたらべつべつにうごかせるねって。それでそれでじんたい様のこと思い出して、象さんかんせつでわけたらうごかせるねーって」
「ねー」
「ねー」
「かんせつすごいよね」
「うん。かんせつすごーいだよねー」
関節は大切な部分ではあるが、凄さとは?この子たちは言外に何か真理に近いことを話しているのではないか?それからじんたい様とは?
その様子を見ていた王弟ホーリィ公爵が兄である現王に
「あれが噂の二天使ですね。確かに見た目だけではない、只者ではなさそうですね」
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