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第三章
第三十二話 ユリアン、7歳になりました。〜リオン、三角描けました!
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「がか様ぁー!」
クイン侯爵家に到着と同時にリオンが画家のロンを探し始めた。手には紙を持っている。
今日もリリィラの里帰りについてきたリオンだ。ルゼルとピョンピョンしないのは珍しいと誰もが思っていたが、ルゼルだけは「リオン!せいこうしたの⁉︎」と興奮気味で言った。そのまま二人は「きゃー」と言いながら早歩きで画家ロンの所まで行く。場所はリディラのアトリエだ。
アトリエに着くと「リディ姉様!しつれします!がか様っ!がか様っ!」とリオン。「がか様がか様!」とルゼル。「やだ、可愛い」と突然開いた扉にも慌てない安定のリディラ。
「がか様!みてください」
リオンは手にした紙を広げながらロンに見せた。
「これ、さんかくかけてますよね?さんかくの、いってきますと、ただいまのところ、ぴったりですよね⁉︎」
「どれどれ、良く見てみましょうね」
今ではロンもすっかり二人の絵画指導担当だ。賢さでは舌を巻く二人なのに手先のこととなるととたんに年相応になる。そんなギャップがとても愛おしい生徒だ。
見せられた図形は確かに三角だ。筆圧が強く、線がよれている。角をつけようとしっかり狙って描いたことがわかる三角だ。リオンの真面目さが表れている。
「はい。これは三角です」
「わーい!」
「わぁ、リオン、やったぁ」
二人は万歳して喜んでいる。
リディラもロンも嬉しい気持ちになる。
「これで小人のみっかさんが描けますね」
とロンが言うと
「はい!間に合って良かったです!」
とリオンが返した。はて?間に合うとは?
その後、二人はロンにミッカの描き方を教えてもらった。
丸と三角で顔と帽子。四角か台形で胴体。腕と足は細い長四角。手足は丸。
「かたちをつなげるとえになるね」
「うん。いろんなかたちしってると、きっとなんでもつくれるね」
そんなことを言いながら、二人はせっせと絵の練習をしていた。
二人が顔と肩を寄せ合って絵を描く姿をロンとリディラも描いていた。
しばらくして、ユリアンが7歳になった。まだ社交界デビューしていないので誕生会は毎年身内のみで済ませている。今年はコーク公爵家にクイン侯爵一家を呼んでの誕生会となった。
昼食を取りながら学園の様子を話したり、馬車の中から見える景色で気づいた話をしたりとリオンたちにとって兄たちの話は興味深いものばかりだった。
昼食を取るとアロンとリオンとルゼルが眠くなってしまったので、三人はお昼寝タイム、大人たちはサロンで歓談、ユリアンとリゼルとリディラは何やら秘密の会議と言って、図書館棟に行った。
二時間すると、お昼寝組が起きてきたので誕生会再開だ。
まずユリアンが最近始めたバイオリンの披露。簡単な音しかまだ出せないが、その音色が綺麗でユリアンの歌声に似た響きがあった。
「兄上、すごいです」
「ユリアンにいさま、すごいすごい」
「ゆぅあん。しゅごー」
お昼寝組も拍手喝采だ。
続いてはクイン兄弟による劇「みっかの、だいぼうけん」だ。
「チラシはないのか?」
とリディラの誕生会の時を思い出してアーネストが聞く。
「今回は事情がありまして、チラシを描く時間がなかったのです」
とリゼルがニコニコして答えた。どんな事情かわからないが、きっと何か楽しいことがあるのだろうと、アーネストだけでなく大人たちが期待をした。
今回の劇はアロンもしっかり参加していた。しかも主役のミッカだ。
ミッカが友達のために何にでも効く薬草を採りに森の向こうまで行く大冒険の話だ。
リディラは森で出会う妖精。ルゼルはミッカを度々助ける大きな鳥。リゼルはミッカの友達とミッカを襲う蛇とミッカを助ける蛙と…とにかく何役も演じた。
ミッカの難しいセリフは兄たちが「うんうん。薬が欲しいんだね」「なになに、道を教えて欲しいって?」など説明調のセリフでフォロー。アロンは「あのあのー」「はい」「ううん」「ありがとござましゅ」「わぁー」のセリフで役をこなしていた。
「アロン!すごい。みっかにみえる!」
観ているリオンも大興奮だ。流れ星の時と違って、役者魂を感じるアロンの成長に喜んでいた。もちろんユリアンもリディラの誕生会で劇の練習をしていたから皆が自分のためにどれだけ練習をしたか想像ができるので心から喜んで楽しんだ。
劇が終わるとユリアンからその場にいた使用人まで拍手喝采だった。
「ありがとう。本当に楽しかったよ。素敵なプレゼントだ」
とユリアンが立ち上がって言うと、横で一緒に見ていたリオンが
「兄上、ぷれぜんと、まだあります」
と立ち上がって言った。
「え?」
と言うユリアンに、ニコニコと笑いながらクイン兄弟四人とリオンが並んだ。
「ヤーべ、もってきて」
リオンが言うと、ヤーべがリボンのついた平たい包みを持ってきてリオンに渡した。それをリオンが一歩前に出てユリアンに渡しながら、子どもたち全員で、
「ユリアン、お誕生日、おめでとう」
と言った。
「え?え?」
プレゼントは大人たちから既に渡されていたので、これはユリアンにとって本当のサプライズだ。
「なんだろう、開けていい?」
ユリアンが子どもらしい顔で聞く。皆もちろんだと答える。ユリアンは周りを見ながら少し照れたように包みを開ける。
「あっ」
それは、海に行った時にお金をやりくりしてリオンが買った特有の布が貼ってあるスケッチブックだった。あの時、リオンが理由は言わないけどどうしても欲しいと言っていた、あのスケッチブックだ。
「これ、リオンが欲しかったんじゃないの?」
とユリアン。
「ほしかったです。兄上にぷれぜんとしたかったから、ほしかったの。兄上に、いつもありがとうしたかったの」
「え…」
泣きそう。とユリアンは思った。
「開いて開いて」
リゼルがスケッチブックを開けるように促す。言われたまま開けると、そこにはリオンが描いた沢山の絵が。
海の思い出の(たぶん)カニや(たぶん)貝。その他にも多分あれかな?というものが沢山描いてある。
めくるとだんだん絵が上達しているのがわかる。渦巻きだけでなく、顔がわかる絵だ。「るぜる」とか「あにうえ」と文字も書いてある。
ヴァジュラの絵は何回描いても勢いよく描くので輪郭が擦れていて、リオンがどんなふうに描いているのか想像できて微笑ましい。
「あ」
終わりの方に、ミッカの絵が描いてあった。確かリオンは三角が描けなかったはずでは?
「ミッカを描きたいから、リオンは三角をとてもとても練習したのですよ、ね、リオン」
とリディラが言う。
「はい。がか様におしえていただいたのです。がか様がいなければ、まにあいませんでした」
これにはクイン侯爵ジゼルが感動し、ロンに特別手当てを出そうと心に決めた。
その次からのページにはリゼルから学園での思い出の絵やコメント。次のページにはリディラが押し花とメッセージ。次はリオン、次はルゼルからそれぞれ絵とメッセージが。その次にはアロンのグルグルの線が。
「あはは。アロンも渦巻きなんだね」
ユリアンは泣きそうな顔で笑った。
「兄上、わーいになりました?」
紫が見上げる。
そういえばそんな話を前にしていた。リオンがルゼルに「きしだんと、りんごのき」の絵を描いた時に、ルゼルが喜ぶかどうかと聞いたリオンがユリアンに描いても喜ぶかと聞いたのだった。ユリアンは喜ぶと答えた。あの時、リオンは言葉では何も言わずに極上の笑顔だけ返してきた。もしかしたらあの時からこのプレゼントを考えていたのか?
自分といない時でも自分のことを考えていた弟が愛おしい。協力してくれた従兄弟たちにも感謝だ。
「リオンありがとう。わーいわーいな気持ちだよ。皆もありがとう!素敵なプレゼントだよ。父上!母上!ご覧ください!」
ユリアンはスケッチブックを父や伯父たちにも見せ、執事たち使用人にも見せて回った。
これがチラシを作れなかった理由かとアーネストたちは笑顔で納得した。
「ね。素敵なプレゼントでしょう?私が嬉しいのわかるでしょう?」
いつもは年齢以上にしっかりして見えるユリアンが7歳という年相応の無邪気さでスケッチブックを見せて回っている。喜ぶ姿を見て子どもたちもサプライズ大成功だと喜ぶ。
誰もが幸せな気分で過ごしたユリアンの誕生会だった。
クイン侯爵家に到着と同時にリオンが画家のロンを探し始めた。手には紙を持っている。
今日もリリィラの里帰りについてきたリオンだ。ルゼルとピョンピョンしないのは珍しいと誰もが思っていたが、ルゼルだけは「リオン!せいこうしたの⁉︎」と興奮気味で言った。そのまま二人は「きゃー」と言いながら早歩きで画家ロンの所まで行く。場所はリディラのアトリエだ。
アトリエに着くと「リディ姉様!しつれします!がか様っ!がか様っ!」とリオン。「がか様がか様!」とルゼル。「やだ、可愛い」と突然開いた扉にも慌てない安定のリディラ。
「がか様!みてください」
リオンは手にした紙を広げながらロンに見せた。
「これ、さんかくかけてますよね?さんかくの、いってきますと、ただいまのところ、ぴったりですよね⁉︎」
「どれどれ、良く見てみましょうね」
今ではロンもすっかり二人の絵画指導担当だ。賢さでは舌を巻く二人なのに手先のこととなるととたんに年相応になる。そんなギャップがとても愛おしい生徒だ。
見せられた図形は確かに三角だ。筆圧が強く、線がよれている。角をつけようとしっかり狙って描いたことがわかる三角だ。リオンの真面目さが表れている。
「はい。これは三角です」
「わーい!」
「わぁ、リオン、やったぁ」
二人は万歳して喜んでいる。
リディラもロンも嬉しい気持ちになる。
「これで小人のみっかさんが描けますね」
とロンが言うと
「はい!間に合って良かったです!」
とリオンが返した。はて?間に合うとは?
その後、二人はロンにミッカの描き方を教えてもらった。
丸と三角で顔と帽子。四角か台形で胴体。腕と足は細い長四角。手足は丸。
「かたちをつなげるとえになるね」
「うん。いろんなかたちしってると、きっとなんでもつくれるね」
そんなことを言いながら、二人はせっせと絵の練習をしていた。
二人が顔と肩を寄せ合って絵を描く姿をロンとリディラも描いていた。
しばらくして、ユリアンが7歳になった。まだ社交界デビューしていないので誕生会は毎年身内のみで済ませている。今年はコーク公爵家にクイン侯爵一家を呼んでの誕生会となった。
昼食を取りながら学園の様子を話したり、馬車の中から見える景色で気づいた話をしたりとリオンたちにとって兄たちの話は興味深いものばかりだった。
昼食を取るとアロンとリオンとルゼルが眠くなってしまったので、三人はお昼寝タイム、大人たちはサロンで歓談、ユリアンとリゼルとリディラは何やら秘密の会議と言って、図書館棟に行った。
二時間すると、お昼寝組が起きてきたので誕生会再開だ。
まずユリアンが最近始めたバイオリンの披露。簡単な音しかまだ出せないが、その音色が綺麗でユリアンの歌声に似た響きがあった。
「兄上、すごいです」
「ユリアンにいさま、すごいすごい」
「ゆぅあん。しゅごー」
お昼寝組も拍手喝采だ。
続いてはクイン兄弟による劇「みっかの、だいぼうけん」だ。
「チラシはないのか?」
とリディラの誕生会の時を思い出してアーネストが聞く。
「今回は事情がありまして、チラシを描く時間がなかったのです」
とリゼルがニコニコして答えた。どんな事情かわからないが、きっと何か楽しいことがあるのだろうと、アーネストだけでなく大人たちが期待をした。
今回の劇はアロンもしっかり参加していた。しかも主役のミッカだ。
ミッカが友達のために何にでも効く薬草を採りに森の向こうまで行く大冒険の話だ。
リディラは森で出会う妖精。ルゼルはミッカを度々助ける大きな鳥。リゼルはミッカの友達とミッカを襲う蛇とミッカを助ける蛙と…とにかく何役も演じた。
ミッカの難しいセリフは兄たちが「うんうん。薬が欲しいんだね」「なになに、道を教えて欲しいって?」など説明調のセリフでフォロー。アロンは「あのあのー」「はい」「ううん」「ありがとござましゅ」「わぁー」のセリフで役をこなしていた。
「アロン!すごい。みっかにみえる!」
観ているリオンも大興奮だ。流れ星の時と違って、役者魂を感じるアロンの成長に喜んでいた。もちろんユリアンもリディラの誕生会で劇の練習をしていたから皆が自分のためにどれだけ練習をしたか想像ができるので心から喜んで楽しんだ。
劇が終わるとユリアンからその場にいた使用人まで拍手喝采だった。
「ありがとう。本当に楽しかったよ。素敵なプレゼントだ」
とユリアンが立ち上がって言うと、横で一緒に見ていたリオンが
「兄上、ぷれぜんと、まだあります」
と立ち上がって言った。
「え?」
と言うユリアンに、ニコニコと笑いながらクイン兄弟四人とリオンが並んだ。
「ヤーべ、もってきて」
リオンが言うと、ヤーべがリボンのついた平たい包みを持ってきてリオンに渡した。それをリオンが一歩前に出てユリアンに渡しながら、子どもたち全員で、
「ユリアン、お誕生日、おめでとう」
と言った。
「え?え?」
プレゼントは大人たちから既に渡されていたので、これはユリアンにとって本当のサプライズだ。
「なんだろう、開けていい?」
ユリアンが子どもらしい顔で聞く。皆もちろんだと答える。ユリアンは周りを見ながら少し照れたように包みを開ける。
「あっ」
それは、海に行った時にお金をやりくりしてリオンが買った特有の布が貼ってあるスケッチブックだった。あの時、リオンが理由は言わないけどどうしても欲しいと言っていた、あのスケッチブックだ。
「これ、リオンが欲しかったんじゃないの?」
とユリアン。
「ほしかったです。兄上にぷれぜんとしたかったから、ほしかったの。兄上に、いつもありがとうしたかったの」
「え…」
泣きそう。とユリアンは思った。
「開いて開いて」
リゼルがスケッチブックを開けるように促す。言われたまま開けると、そこにはリオンが描いた沢山の絵が。
海の思い出の(たぶん)カニや(たぶん)貝。その他にも多分あれかな?というものが沢山描いてある。
めくるとだんだん絵が上達しているのがわかる。渦巻きだけでなく、顔がわかる絵だ。「るぜる」とか「あにうえ」と文字も書いてある。
ヴァジュラの絵は何回描いても勢いよく描くので輪郭が擦れていて、リオンがどんなふうに描いているのか想像できて微笑ましい。
「あ」
終わりの方に、ミッカの絵が描いてあった。確かリオンは三角が描けなかったはずでは?
「ミッカを描きたいから、リオンは三角をとてもとても練習したのですよ、ね、リオン」
とリディラが言う。
「はい。がか様におしえていただいたのです。がか様がいなければ、まにあいませんでした」
これにはクイン侯爵ジゼルが感動し、ロンに特別手当てを出そうと心に決めた。
その次からのページにはリゼルから学園での思い出の絵やコメント。次のページにはリディラが押し花とメッセージ。次はリオン、次はルゼルからそれぞれ絵とメッセージが。その次にはアロンのグルグルの線が。
「あはは。アロンも渦巻きなんだね」
ユリアンは泣きそうな顔で笑った。
「兄上、わーいになりました?」
紫が見上げる。
そういえばそんな話を前にしていた。リオンがルゼルに「きしだんと、りんごのき」の絵を描いた時に、ルゼルが喜ぶかどうかと聞いたリオンがユリアンに描いても喜ぶかと聞いたのだった。ユリアンは喜ぶと答えた。あの時、リオンは言葉では何も言わずに極上の笑顔だけ返してきた。もしかしたらあの時からこのプレゼントを考えていたのか?
自分といない時でも自分のことを考えていた弟が愛おしい。協力してくれた従兄弟たちにも感謝だ。
「リオンありがとう。わーいわーいな気持ちだよ。皆もありがとう!素敵なプレゼントだよ。父上!母上!ご覧ください!」
ユリアンはスケッチブックを父や伯父たちにも見せ、執事たち使用人にも見せて回った。
これがチラシを作れなかった理由かとアーネストたちは笑顔で納得した。
「ね。素敵なプレゼントでしょう?私が嬉しいのわかるでしょう?」
いつもは年齢以上にしっかりして見えるユリアンが7歳という年相応の無邪気さでスケッチブックを見せて回っている。喜ぶ姿を見て子どもたちもサプライズ大成功だと喜ぶ。
誰もが幸せな気分で過ごしたユリアンの誕生会だった。
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