金に紫、茶に翡翠。〜癒しが世界を変えていく〜

かなえ

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第四章

第二話 リオン、ルゼル、4歳になりました!②〜新しいお馬さんです〜

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 ひとしきり身体を使って遊び込んだ子どもたちはテーブルについてジュースを飲んでいた。
 その間、ヴァジュラが迷路でドッカンドッカン体当たりしていたので念のため主治医がヴァジュラの怪我など確認したが特に心配はないということで大人たちは一安心した。
 ハラハラしていた大人をよそにヴァジュラはジュースをゆっくり飲んでいる隣のアロンに小声で言った。(ヴァジュラは一気に三杯飲み干したのでストップがかかった)
 「アロン、わし、るぅるぅの呪文つかった。けが、なおった」
 それを聴いたアロンはハッとした表情でヴァジュラを見て言った。
 「ゔぁじゅらしゃまんも?」
 「うん」
 そして二人は見つめ合いながら深く2回頷きあった。言葉にできない何かを確信した気がしたのだ。
 真面目な顔で頷き合う二人にマディが声をかける。
 「何か楽しいことがあったのかしら?二人とも目がキラキラしているわよ」
 だが、呪文という言葉に秘密の魅惑を感じた二人は詳細を話す気にはならなかった。秘密基地以来「大好きな母にはなんでも知ってもらいたい」という気持ちより「仲良しだけが知っている出来事」にただならぬ魅力を感じるお年頃に少し突入したのだ。
 「母上!たのしい!」
 と、ヴァジュラが当たり障りのない返事を目をカッと見開いて言うだけに止めた。
 その様子を見ていたマグヌスは、いつもより歯切れの悪いヴァジュラに疑問を持ちつつも「あれ?母上のことは母上と言えてる…ということは、やはり私は兄上ではなく兄呼ばわり?」ということに気を取られ、先の疑問は形になる前に消えて行った…。

 ジュース休憩をした後、リディラがアロンを手招きして呼んだ。
 「アネーとこ、いくましゅ」
 アロンはヴァジュラに挨拶をしてから席を立った。
 「おぅ」
 右手を軽く挙げて見送るヴァジュラの返事は既に風格があった。

 飲み物で落ち着くと、マグヌスとユリアンとリゼルによるヴァイオリンのアンサンブルが始まった。初心者の子どもが弾く曲なのであまり難しくなく、ゆっくりした曲調だが、ヴァジュラが「わし、これ、すき」と目をつぶって聴いている様子に普段走って後を追いかけているヴァジュラの護衛や侍従たちは、なんだかんだ言ってもヴァジュラ殿下は育ちの良い王子様なんだよなぁと感心していた。
 曲が終わるとマグヌスが
 「今のは私たちからヴァジュラとリオンとルゼルに贈るヴァイオリン練習曲でした。続いてリディラから三人に…」
 と言うと、鏡の迷路の脇からリディラが出てきた。
 「ヴァジュラ殿下、お怪我のご回復おめでとうございます。そしてリオンとルゼル、4歳おめでとう。これは私がお父様にお願いして作っていただいたお馬さんです。お怪我しないように素敵な騎士様になってくださいね」
 そう言って「アロン」と奥にいるらしいアロンに声をかけた。
 「あい!」
 元気の良い声と共にに乗ったアロンが現れた。
 「はっわわわーっ!」
 ルゼルは翡翠の瞳を見開いて口に手を当てて感嘆した。(可愛い)
 「えっ⁉︎何でできてるですか?重くないですか?なんで形変わるですか?」
 リオンは前のめりで立て続けに質問をした。もちろん紫の瞳はキラキラだ。(可愛い)
 「うおーっ!」
 ヴァジュラは吠えた。(力強い)

 アロンはピーナッツのような胴体をした馬の玩具にまたがっていた。足は申し訳程度にボールの形で四つ、ピーナッツ型の胴体にちょこんと付いているだけだ。だが、丸みのあるピーナッツ型胴体にボールの足で、アロンが少し上体を弾ませると軽くポヨンと馬も上下する。
 今までの木製の馬とは違う動きだ。しかも木製の馬は前進できないがこの馬は跳ねながら前進している。これは騎士様ごっこに新しい展開が期待できる!
 もちろんマグヌスたちも初めて見る玩具にビックリだ。
 「リディラ、それは何?」
 ルゼルもリオンと同じように聞く。
 「お兄様、これはゴム製の馬です。木製の馬は危なっかしくてしっかり観察できないのでお父様にお願いして安全な馬を作っていただいたのですわ」
 へえ、ゴム製か…というか観察って何?
 「今日はこれと同じものをヴァジュラ殿下たちにお持ちしましたの」
 リディラはそう言って三体のゴム製の馬を取り出した。
 全体的に黒く、銀色で模様を描いてある馬はヴァジュラに。
 金の模様のある紫の馬はルゼルに。
 茶に翡翠の馬はリオンに。
 「リオンの色だ!」と喜ぶルゼルに
 「私のはルゼルの色!」と喜ぶリオン。
 その様子を見て「リディラ、色選びが素晴らしいわ」と速めの拍手をするマディ。その笑顔を見て幸せに浸る国王。
 三人が喜ぶ姿を見て、開発した甲斐を噛み締めるジゼル。
 三人は早速新しい馬に乗ってみた。
 「ぴょんです!かえるです!ウサギ卿です!」
 「楽しい!兄上、楽しいです!」
 「うおーっ!」
 三人とも新しい馬がとても気に入った。その流れで即興で「きしだんと、りんごのき」ごっこをすることになった。観覧者は大人たち。今回はマグヌスもヴァジュラも演者だ。もちろん騎士役はリオンとルゼルとアロンだ。ヴァジュラは前にアロンが演じたリンゴ役をやりたいと言い、非常に勢いのあるリンゴをした。

 大人たちは子どもたちの劇をみて幸せな温かい気持ちになり、惜しみない拍手を送った。
 マグヌスとユリアンとルゼルも自分たちの企画が楽しい会になって大満足だった。
 誰にとっても、とても楽しく嬉しい一日だった。
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