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第四章
第二十六話 参観日②〜ビクトリアの痛み
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今年の参観日は二年生にリゼル、一年生にリディラがいる。どちらも見たいルゼルはどうしたらいいのかわからなくて困っていた。
「リオン、どうしよう?アニューレもアネーレもどちらも全部観たいのに、私は一人しかいないから観られないよ」
「うん、わかるわかる。私も兄上もリディ姉様も観たいもの。こういう時はアロンに聞くのが良い思う」
確かにアロンは即断即決タイプだ。
「ほぅ、リオン殿はアロン殿をよくご存知なのですね」
二天使の会話を聞いていたキエルが言うとジゼルが答える。
「キエル卿もわかっているだろうがアロンはものすごく思い切りが良いのだ。ルゼルは兄という立場にこだわるからアロンのそのあたりが見えていないのだが、リオンは冷静に見ているのだよ。あの冷静な目はユリアンもリオンもアーネストに似たんだな」
「ヴァジュラ殿下がアロン殿を信頼しているのもよくわかります」
「リオンやルゼルは理論で判断するが、アロンは本能で判断するからな」
「それで?侯爵はどちらのお子様を先に参観されるのですか?」
「それよ。実は私も迷っている。初めての参観日であるリディラが先だろうかとは思ってはいるが、リゼルのクラスにはマグヌス殿下もユリアンもいる。数で言うなら二年生を観たいしな。今にして思えば、私の両親も同じようなことを言っていた。なにしろ我が家は兄弟が多い家系だからな。ははは」
「子沢山のクイン侯爵家の歴代御当主の悩みですね。さて、アロン殿はどう判断されるのか…」
興味津々の二人の前で、リオンとルゼルがアロンに聞く
「アロン、教えて。二年生にはマグヌス殿下と兄上とリゼル兄様がいるの。一年生にはリディ姉様がいるの。どちらから観るのが良い思う?」
アロンは迷うことなくスパッと答えた。
「アネーレからでしゅ」
青い瞳が、真っ直ぐリオンを見ている。
「なんでリディ姉様から?」
理論で納得したいリオンはアロンに聞く。
「んとんと。アニューレはアネーレ好き好きだから、アネーレは?って言うの。でもでもアネーレはアニューレ普通」
「つまり?」
と、ジゼルが翻訳をルゼルに聞く。
「あのね父上。
アニュ…上は姉上が大好きだから、姉上の授業どうだったー?って知りたいけど、姉上は兄上の授業にあんまり、えっと、キュウミ?あ、キョウミ、興味ないだから、先に姉上を観てから兄上のところが良いって、アロンは言ってる。ます」
なるほど。リディラを観てからその様子を知りたがるリゼルを観るべきだということか。とても納得できる。
「うん。リディ姉様はリゼル兄様にドライ」
とリオン。苦笑いするリリィラとシャロン。
「では、一年生から観に行くとしよう」
一行は一年生のクラスに向かった。
去年までは生徒が保護者を迎えに来るスタイルだったが、去年、参観日の日が経つにつれ(特定の保護者見たさに)玄関ホールに人が集まりすぎ、混乱したことから今年は生徒の迎えを待たずに移動となった。
さて、一年生のクラスはというと、例のビクトリアはあれ以来リディラやマーリンとすっかり仲良くなったが、あの時やり込められた何人かは相変わらずビクトリアを陰でネチネチと嫌がらせをしていた。
通り過ぎ様に小声で「マーリン嬢と仲が良いからって良い気になるなよ」とか「その綺麗なペンはあなたなんかに似合わないわよ」とか…リディラの説教が効いたらしく孤児院出を揶揄ったり外見を揶揄する者は居なくなったが、わざとノートを落としたりぶつかるなどのいやがらせは続いていた。だが、ビクトリアは平気だった。落とされたノートは拾えば良いし、ぶつかられても貴族のぶつかりなど孤児院の元気な男の子の遊びの体当たりに比べたらなんでもない。何より友達になったリディラとマーリンが「ひがんでいるだけよ。ビクトリアの方が余程品があるわ」と言ってくれる。そればかりかリディラたちは本気で孤児院の生活に興味を持ち、ビクトリアの話に耳を傾けてくれる。そしてビクトリアの知らないことは丁寧に教えてくれる。なるべくビクトリアが一人にならないように一緒にいてくれていることにも気づいている。だから多少の意地悪は我慢できている。だがその分、いじめる側にはストレスが溜まっていた。
「ビクトリアのヤツ、あんな良いブックカバー持ってやがる生意気」
「ぶつかってもすました顔していて生意気」
「マーリン様たちと同じって勘違いしてる。生意気」
先日やり込められたのは自分たちのせいなのに、ビクトリアのせいだと思っている侯爵家の嫡男デビスと仲間の数名はビクトリアが一人になる時を狙っては意地悪をしていた。
今、この時がその瞬間だった。
授業開始前の時間、マーリンとリディラは当番で他の数名と楽器を取りに行っていて教室にいなかった。保護者が来るまでまだ少し時間がある。ビクトリアは一人だ。
「おい、ビクトリア、お前んちの親も今日来るの?」
「はい。お父様もお母様も観に来てくださいます」
内心ため息をつきながらビクトリアは座ったまま答えた。
「ビクトリア様の家名は確かトリーナでしたわよね。…皆さん聞いたことあります。伯爵家でトリーナなんて」
「聞いたことないよなー。知らない伯爵家にもらわれたビクトリア…誰も知らない貧乏伯爵家が買うには贅沢なんじゃないか?この鉛筆は!」
ガシャン!
男子生徒の一人が悪態をつきながらビクトリアの筆入ごと手で払い落とした。ビクトリアの可愛い花柄の鉛筆には金でビクトリアの名前が刻印されている。新しく両親となったトリーナ伯爵夫妻がビクトリアの入学祝いに特別にあつらえてくれた鉛筆だ。
「おやめください!これはお父様たちがお祝いにくださった大切な鉛筆です!」
ビクトリアが鉛筆を拾い上げようと勢いよく席を立った。冷静なビクトリアのその様子から、いかにビクトリアが鉛筆を大切に思っているかがわかる。その姿さえも意地悪組にはカンに触った。
「口答えするなよ!生意気なんだよ!お前は!」
そう言ってデビスは鉛筆めがけて足を踏み下ろした。鉛筆を折るつもりだ。
バキッ
鉛筆の折れる音がした。そこここで女子生徒の悲鳴がする。だが、頭に血が上っているデビスはまた別の鉛筆に狙いを定めて足を踏み下ろした。そこにビクトリアは鉛筆を庇うように手を差し入れる。このままではビクトリアの手が危ない。流石にやりすぎだ。
ビクトリアの手が踏まれそうになった直前に、駆け寄ってきた別の男子生徒数人がデビスを止めに入った。
「なんだよお前たち、離せよ!」
「デビス、やりすぎだよ。お前おかしいよ」
女子生徒たちもビクトリアの手を引き、デビスたちから引き離した。
「うるさいな!お前らうちが侯爵家だってわかってるのか⁉︎お前らとは格が違うんだ、離せよ!」
わかっている。このクラスでは公爵家のマーリンの次に侯爵家のデビスとリディラが高位貴族の家柄だ。だから皆デビスに強くは出られなかった。だが、これは流石に目に余る。
「こんな誰も知らない伯爵家のヤツを庇ったら後で後悔させてやるからな!」
誰も彼もが状況に飲まれていた。デビスを制止する声は益々デビスを激昂させ、その声が更に状況を悪化させていた。沢山の生徒の声が交差する。ビクトリアの「皆さん、止めて」などもう誰にも届かない。
その時、
ポーン…
バイオリンの音が響いた。マーリンだ。
教室に戻って来た当番組は、教室内が沢山の生徒の声で何が何だかわからない状況に驚いた。いち早く反応したのがマーリンだった。声ではもう抑えがきかないと察したマーリンは手にしていたバイオリンを指で弾いたのだ。
異質な響きに教室がやっと静かになった。そのままマーリンが言う。
「どなたか説明してくださる?」
ビクトリアの目が潤んでいる。手には折れた鉛筆。床にはビクトリアの鉛筆。はがいじめされたデビス。泣いている数人の女子生徒。
聞かなくてもわかる。だが、マーリンは再度聞いた。
「どなたか、説明して」
授業開始まで、あと数分だ。
「リオン、どうしよう?アニューレもアネーレもどちらも全部観たいのに、私は一人しかいないから観られないよ」
「うん、わかるわかる。私も兄上もリディ姉様も観たいもの。こういう時はアロンに聞くのが良い思う」
確かにアロンは即断即決タイプだ。
「ほぅ、リオン殿はアロン殿をよくご存知なのですね」
二天使の会話を聞いていたキエルが言うとジゼルが答える。
「キエル卿もわかっているだろうがアロンはものすごく思い切りが良いのだ。ルゼルは兄という立場にこだわるからアロンのそのあたりが見えていないのだが、リオンは冷静に見ているのだよ。あの冷静な目はユリアンもリオンもアーネストに似たんだな」
「ヴァジュラ殿下がアロン殿を信頼しているのもよくわかります」
「リオンやルゼルは理論で判断するが、アロンは本能で判断するからな」
「それで?侯爵はどちらのお子様を先に参観されるのですか?」
「それよ。実は私も迷っている。初めての参観日であるリディラが先だろうかとは思ってはいるが、リゼルのクラスにはマグヌス殿下もユリアンもいる。数で言うなら二年生を観たいしな。今にして思えば、私の両親も同じようなことを言っていた。なにしろ我が家は兄弟が多い家系だからな。ははは」
「子沢山のクイン侯爵家の歴代御当主の悩みですね。さて、アロン殿はどう判断されるのか…」
興味津々の二人の前で、リオンとルゼルがアロンに聞く
「アロン、教えて。二年生にはマグヌス殿下と兄上とリゼル兄様がいるの。一年生にはリディ姉様がいるの。どちらから観るのが良い思う?」
アロンは迷うことなくスパッと答えた。
「アネーレからでしゅ」
青い瞳が、真っ直ぐリオンを見ている。
「なんでリディ姉様から?」
理論で納得したいリオンはアロンに聞く。
「んとんと。アニューレはアネーレ好き好きだから、アネーレは?って言うの。でもでもアネーレはアニューレ普通」
「つまり?」
と、ジゼルが翻訳をルゼルに聞く。
「あのね父上。
アニュ…上は姉上が大好きだから、姉上の授業どうだったー?って知りたいけど、姉上は兄上の授業にあんまり、えっと、キュウミ?あ、キョウミ、興味ないだから、先に姉上を観てから兄上のところが良いって、アロンは言ってる。ます」
なるほど。リディラを観てからその様子を知りたがるリゼルを観るべきだということか。とても納得できる。
「うん。リディ姉様はリゼル兄様にドライ」
とリオン。苦笑いするリリィラとシャロン。
「では、一年生から観に行くとしよう」
一行は一年生のクラスに向かった。
去年までは生徒が保護者を迎えに来るスタイルだったが、去年、参観日の日が経つにつれ(特定の保護者見たさに)玄関ホールに人が集まりすぎ、混乱したことから今年は生徒の迎えを待たずに移動となった。
さて、一年生のクラスはというと、例のビクトリアはあれ以来リディラやマーリンとすっかり仲良くなったが、あの時やり込められた何人かは相変わらずビクトリアを陰でネチネチと嫌がらせをしていた。
通り過ぎ様に小声で「マーリン嬢と仲が良いからって良い気になるなよ」とか「その綺麗なペンはあなたなんかに似合わないわよ」とか…リディラの説教が効いたらしく孤児院出を揶揄ったり外見を揶揄する者は居なくなったが、わざとノートを落としたりぶつかるなどのいやがらせは続いていた。だが、ビクトリアは平気だった。落とされたノートは拾えば良いし、ぶつかられても貴族のぶつかりなど孤児院の元気な男の子の遊びの体当たりに比べたらなんでもない。何より友達になったリディラとマーリンが「ひがんでいるだけよ。ビクトリアの方が余程品があるわ」と言ってくれる。そればかりかリディラたちは本気で孤児院の生活に興味を持ち、ビクトリアの話に耳を傾けてくれる。そしてビクトリアの知らないことは丁寧に教えてくれる。なるべくビクトリアが一人にならないように一緒にいてくれていることにも気づいている。だから多少の意地悪は我慢できている。だがその分、いじめる側にはストレスが溜まっていた。
「ビクトリアのヤツ、あんな良いブックカバー持ってやがる生意気」
「ぶつかってもすました顔していて生意気」
「マーリン様たちと同じって勘違いしてる。生意気」
先日やり込められたのは自分たちのせいなのに、ビクトリアのせいだと思っている侯爵家の嫡男デビスと仲間の数名はビクトリアが一人になる時を狙っては意地悪をしていた。
今、この時がその瞬間だった。
授業開始前の時間、マーリンとリディラは当番で他の数名と楽器を取りに行っていて教室にいなかった。保護者が来るまでまだ少し時間がある。ビクトリアは一人だ。
「おい、ビクトリア、お前んちの親も今日来るの?」
「はい。お父様もお母様も観に来てくださいます」
内心ため息をつきながらビクトリアは座ったまま答えた。
「ビクトリア様の家名は確かトリーナでしたわよね。…皆さん聞いたことあります。伯爵家でトリーナなんて」
「聞いたことないよなー。知らない伯爵家にもらわれたビクトリア…誰も知らない貧乏伯爵家が買うには贅沢なんじゃないか?この鉛筆は!」
ガシャン!
男子生徒の一人が悪態をつきながらビクトリアの筆入ごと手で払い落とした。ビクトリアの可愛い花柄の鉛筆には金でビクトリアの名前が刻印されている。新しく両親となったトリーナ伯爵夫妻がビクトリアの入学祝いに特別にあつらえてくれた鉛筆だ。
「おやめください!これはお父様たちがお祝いにくださった大切な鉛筆です!」
ビクトリアが鉛筆を拾い上げようと勢いよく席を立った。冷静なビクトリアのその様子から、いかにビクトリアが鉛筆を大切に思っているかがわかる。その姿さえも意地悪組にはカンに触った。
「口答えするなよ!生意気なんだよ!お前は!」
そう言ってデビスは鉛筆めがけて足を踏み下ろした。鉛筆を折るつもりだ。
バキッ
鉛筆の折れる音がした。そこここで女子生徒の悲鳴がする。だが、頭に血が上っているデビスはまた別の鉛筆に狙いを定めて足を踏み下ろした。そこにビクトリアは鉛筆を庇うように手を差し入れる。このままではビクトリアの手が危ない。流石にやりすぎだ。
ビクトリアの手が踏まれそうになった直前に、駆け寄ってきた別の男子生徒数人がデビスを止めに入った。
「なんだよお前たち、離せよ!」
「デビス、やりすぎだよ。お前おかしいよ」
女子生徒たちもビクトリアの手を引き、デビスたちから引き離した。
「うるさいな!お前らうちが侯爵家だってわかってるのか⁉︎お前らとは格が違うんだ、離せよ!」
わかっている。このクラスでは公爵家のマーリンの次に侯爵家のデビスとリディラが高位貴族の家柄だ。だから皆デビスに強くは出られなかった。だが、これは流石に目に余る。
「こんな誰も知らない伯爵家のヤツを庇ったら後で後悔させてやるからな!」
誰も彼もが状況に飲まれていた。デビスを制止する声は益々デビスを激昂させ、その声が更に状況を悪化させていた。沢山の生徒の声が交差する。ビクトリアの「皆さん、止めて」などもう誰にも届かない。
その時、
ポーン…
バイオリンの音が響いた。マーリンだ。
教室に戻って来た当番組は、教室内が沢山の生徒の声で何が何だかわからない状況に驚いた。いち早く反応したのがマーリンだった。声ではもう抑えがきかないと察したマーリンは手にしていたバイオリンを指で弾いたのだ。
異質な響きに教室がやっと静かになった。そのままマーリンが言う。
「どなたか説明してくださる?」
ビクトリアの目が潤んでいる。手には折れた鉛筆。床にはビクトリアの鉛筆。はがいじめされたデビス。泣いている数人の女子生徒。
聞かなくてもわかる。だが、マーリンは再度聞いた。
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