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第三章 スタンピード
第二話
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「じゃ、形式張った挨拶は終わりね。
もう畏まらなくていいからね。
あと、一人紹介するね。」
バトラが居なくなった事で、ロゼは年相応とも思える言葉遣いになった。
「リゼ!ちょっと来て!」
「何か用ですか?」
顔を出したのは受付嬢だった。
「妹のリゼよ。
ちな、実の妹ね。
侑君は何年か前にイギリスから日本への途中で、デッカイ飛行機事故があったのニュースで見てない?
二人ともその飛行機に遠征で乗っていたのよ、事故の時に手を繋いでいたから一緒に来ちゃったみたい。」
「妹のリゼです。
転生前は陽向(ひなた)って名前でした。
宜しくお願いします。
…それにしても、お姉ちゃんの口調。
ギルマスの威厳も何も感じないよ?」
リゼは素を出し切ってる姉を見て溜息をついた。
「別にいいじゃない。
侑君とは同郷の友達みたいな関係になるんだから。
とりあえず、ギルドカードの認証だけしとこっか。」
…初対面の人に向かって友達みたいな関係って。
まぁ、気楽だからいいけど。
侑はギルドカードを正規のステータスを表示させて出した。
「何これ?
侑君、2つ持ちなの?
私、初めて見たよ。
しかも、ユニーク持ってるし。
レベルに対してステータスおかしいよ、
転生人は此方の平均よりかは全体的に高いけどこれはチートだわ。
スキルも一杯持ってるし、合成魔法まで使うの?
レベルが上がったら、バケモンだね。」
姉妹揃って顔を見合わせる。
「私達は転生前、空手家だったの。
転生した時に空手の手甲を持っていたから火の神アグニ様の所に行ったの。
でね、竜人族にしてもらって肉体強化と環境対応と成長促進のスキルを貰ったの。
その私達でも、侑君のレベルの時にはそんなにステータス高くなかったよ。
ちな、今なら勝てるよ?」
ロゼは笑いながら、自分達の話をした。
「ところで、侑君の『クリエイト』ってユニークはどんなスキルなの?」
ロゼは侑に興味津々で、喰いついて来た。
「『クリエイト』は創造したものを実物化するスキルだよ。
ブラフマー様のレベルになると、食べ物も出せるけど俺はまだ無理だね。」
侑は躊躇せずに、スキルの内容を話しちょっと不安になった。
「マジで?!ヤバくない?!
何でも作れるの?
竜人族って身体の一部に鱗が有るのよ。
私は凄く気に入ってるんだけど、この世界の服ってダサくて鱗が見せられないのよ。」
ロゼはシャツの胸元をグイッと引っ張り鎖骨下にある鱗を見せた。
「お姉ちゃん!
なにやってんの!
侑君は男だよ!胸元見せてどーすんの!」
リゼはロゼの行動に慌てて、手で隠すようにバタバタさせた。
「別にいいじゃん、減るもんじゃないし。
そんな事より、侑君。
今から、ギルマスとして指名依頼出すよ。
…服作って!」
ロゼは職権乱用?して侑が断れない様に外堀を埋めた。
「…別にいいけど。」
侑は『あー、やっぱり』不安が的中した。
「イメージが無いと創造出来ないから、紙に形とか色とか書いて。」
侑はカバンの中から、紙と水晶のさざれ石を出した。
「…依頼出しといて何だけど、スリーサイズとか必要?」
胸元を平気で見せたロゼだが、スリーサイズは恥ずかしい。
「別に必要無いよ、サイズ自動調整を付加するから。
着たら勝手にサイズがピッタリになるよ。」
侑はちょっと興味があったが、それ以上に面倒くさかった。
「すごいねー、何でも有りなんだ。
神様にでもなってみる?」
紙にデザインを描きながら、ロゼは冗談を言った。
「チューブトップで、色は赤が映えるから黒。
素材感は伸縮性があって、裏地にパット。
柄とかは要らないかな。」
ロゼは確認しながら、デザインを完成させた。
「パットって、お姉ちゃんブラしない気?」
リゼは横から口を出す。
「しないよ?
この世界の下着って、なんかゴワゴワだし着け心地悪いから嫌いなんだよ。」
ロゼは悪びれず、文句を言う。
「それは私も思うけど、着けないのはどうかって思うよ?」
リゼも同じ感覚だったが、見られるよりかはマシと我慢していた。
「だったら、リゼも侑君に作ってもらえば?
あっ、下着追加しよっと。」
ロゼはデザインの下に、下着のデザインを描き始めた。
「男の人に下着を作ってもらうって…」
リゼは恥ずかしい気持ちと今の下着の不満を天秤にかけた。
「私も頼もうかな…」
リゼは気持ちよりも不満が勝ち、デザインを描き始めた。
「石足りるかな…
無茶言うと試着してるとこ見せてもらうからね、
嫌ならもうこれ以上は増やさないでよ?」
侑はこれなら、もう増えないだろうと防衛線を張った。
「分かったわよ、1セットだけだから。」
リゼは見られるのは絶対に無理と頷いた。
「見られるだけなら構わないけど?」
ロゼはまだ頼み足りないのか冗談なのか、ニヤついている。
二人からデザインを受け取ると、『クリエイト』で服と下着を作った。
『カスタマイズ』でサイズ自動調整を付加した。
「すごっ!
チート過ぎだよ。
これから侑君をドラ○○んって呼ぶよ。
ちょっと着てみる!」
ロゼはシャツを脱ぎ始めた。
「別室で着替えなさい!!」
リゼが慌てて止めた。
暫くすると、着替えてきた二人が恍惚の表情で戻ってきた。
「ヤバイよこれ、もう手放せない。
一生着替えない。」
ロゼは爆弾発言とも取れる言葉を吐いた。
胸元には透明感の高い、赤い鱗がキラキラと輝いている。
「あと、1セット欲しい…」
リゼは見せる覚悟をしたのか呟いた。
「また今度、作ってあげるから。」
侑は早く開放されたかった。
「じゃ、依頼達成と言う事で。
カード更新するね。
今回の報酬は金貨一枚と、ギルマス権限でランクアップね。」
リゼは本来ならスタートのランクGからFにアップした事を伝え仕事モードに戻った。
「あと、契約獣には首輪や肩章などの証を着けさせてね。」
リゼは侑のポケットを指差し、指示した。
侑がポケットを見ると、ルビーが顔を出していた。
「ほら、顔を出すから見つかっちゃった。」
ポケットの中から、ラピスの声がする。
もう畏まらなくていいからね。
あと、一人紹介するね。」
バトラが居なくなった事で、ロゼは年相応とも思える言葉遣いになった。
「リゼ!ちょっと来て!」
「何か用ですか?」
顔を出したのは受付嬢だった。
「妹のリゼよ。
ちな、実の妹ね。
侑君は何年か前にイギリスから日本への途中で、デッカイ飛行機事故があったのニュースで見てない?
二人ともその飛行機に遠征で乗っていたのよ、事故の時に手を繋いでいたから一緒に来ちゃったみたい。」
「妹のリゼです。
転生前は陽向(ひなた)って名前でした。
宜しくお願いします。
…それにしても、お姉ちゃんの口調。
ギルマスの威厳も何も感じないよ?」
リゼは素を出し切ってる姉を見て溜息をついた。
「別にいいじゃない。
侑君とは同郷の友達みたいな関係になるんだから。
とりあえず、ギルドカードの認証だけしとこっか。」
…初対面の人に向かって友達みたいな関係って。
まぁ、気楽だからいいけど。
侑はギルドカードを正規のステータスを表示させて出した。
「何これ?
侑君、2つ持ちなの?
私、初めて見たよ。
しかも、ユニーク持ってるし。
レベルに対してステータスおかしいよ、
転生人は此方の平均よりかは全体的に高いけどこれはチートだわ。
スキルも一杯持ってるし、合成魔法まで使うの?
レベルが上がったら、バケモンだね。」
姉妹揃って顔を見合わせる。
「私達は転生前、空手家だったの。
転生した時に空手の手甲を持っていたから火の神アグニ様の所に行ったの。
でね、竜人族にしてもらって肉体強化と環境対応と成長促進のスキルを貰ったの。
その私達でも、侑君のレベルの時にはそんなにステータス高くなかったよ。
ちな、今なら勝てるよ?」
ロゼは笑いながら、自分達の話をした。
「ところで、侑君の『クリエイト』ってユニークはどんなスキルなの?」
ロゼは侑に興味津々で、喰いついて来た。
「『クリエイト』は創造したものを実物化するスキルだよ。
ブラフマー様のレベルになると、食べ物も出せるけど俺はまだ無理だね。」
侑は躊躇せずに、スキルの内容を話しちょっと不安になった。
「マジで?!ヤバくない?!
何でも作れるの?
竜人族って身体の一部に鱗が有るのよ。
私は凄く気に入ってるんだけど、この世界の服ってダサくて鱗が見せられないのよ。」
ロゼはシャツの胸元をグイッと引っ張り鎖骨下にある鱗を見せた。
「お姉ちゃん!
なにやってんの!
侑君は男だよ!胸元見せてどーすんの!」
リゼはロゼの行動に慌てて、手で隠すようにバタバタさせた。
「別にいいじゃん、減るもんじゃないし。
そんな事より、侑君。
今から、ギルマスとして指名依頼出すよ。
…服作って!」
ロゼは職権乱用?して侑が断れない様に外堀を埋めた。
「…別にいいけど。」
侑は『あー、やっぱり』不安が的中した。
「イメージが無いと創造出来ないから、紙に形とか色とか書いて。」
侑はカバンの中から、紙と水晶のさざれ石を出した。
「…依頼出しといて何だけど、スリーサイズとか必要?」
胸元を平気で見せたロゼだが、スリーサイズは恥ずかしい。
「別に必要無いよ、サイズ自動調整を付加するから。
着たら勝手にサイズがピッタリになるよ。」
侑はちょっと興味があったが、それ以上に面倒くさかった。
「すごいねー、何でも有りなんだ。
神様にでもなってみる?」
紙にデザインを描きながら、ロゼは冗談を言った。
「チューブトップで、色は赤が映えるから黒。
素材感は伸縮性があって、裏地にパット。
柄とかは要らないかな。」
ロゼは確認しながら、デザインを完成させた。
「パットって、お姉ちゃんブラしない気?」
リゼは横から口を出す。
「しないよ?
この世界の下着って、なんかゴワゴワだし着け心地悪いから嫌いなんだよ。」
ロゼは悪びれず、文句を言う。
「それは私も思うけど、着けないのはどうかって思うよ?」
リゼも同じ感覚だったが、見られるよりかはマシと我慢していた。
「だったら、リゼも侑君に作ってもらえば?
あっ、下着追加しよっと。」
ロゼはデザインの下に、下着のデザインを描き始めた。
「男の人に下着を作ってもらうって…」
リゼは恥ずかしい気持ちと今の下着の不満を天秤にかけた。
「私も頼もうかな…」
リゼは気持ちよりも不満が勝ち、デザインを描き始めた。
「石足りるかな…
無茶言うと試着してるとこ見せてもらうからね、
嫌ならもうこれ以上は増やさないでよ?」
侑はこれなら、もう増えないだろうと防衛線を張った。
「分かったわよ、1セットだけだから。」
リゼは見られるのは絶対に無理と頷いた。
「見られるだけなら構わないけど?」
ロゼはまだ頼み足りないのか冗談なのか、ニヤついている。
二人からデザインを受け取ると、『クリエイト』で服と下着を作った。
『カスタマイズ』でサイズ自動調整を付加した。
「すごっ!
チート過ぎだよ。
これから侑君をドラ○○んって呼ぶよ。
ちょっと着てみる!」
ロゼはシャツを脱ぎ始めた。
「別室で着替えなさい!!」
リゼが慌てて止めた。
暫くすると、着替えてきた二人が恍惚の表情で戻ってきた。
「ヤバイよこれ、もう手放せない。
一生着替えない。」
ロゼは爆弾発言とも取れる言葉を吐いた。
胸元には透明感の高い、赤い鱗がキラキラと輝いている。
「あと、1セット欲しい…」
リゼは見せる覚悟をしたのか呟いた。
「また今度、作ってあげるから。」
侑は早く開放されたかった。
「じゃ、依頼達成と言う事で。
カード更新するね。
今回の報酬は金貨一枚と、ギルマス権限でランクアップね。」
リゼは本来ならスタートのランクGからFにアップした事を伝え仕事モードに戻った。
「あと、契約獣には首輪や肩章などの証を着けさせてね。」
リゼは侑のポケットを指差し、指示した。
侑がポケットを見ると、ルビーが顔を出していた。
「ほら、顔を出すから見つかっちゃった。」
ポケットの中から、ラピスの声がする。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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