転生者とバグでない異世界人の物語

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94.ラン地方沖海戦

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 夏になりネイメー水軍の軍艦が3隻になり、順調に海賊討伐を続けている頃、王宮から通知が来た。
「アムスム王国西部の領地が海賊の襲撃を受けた。今後も海賊の襲来が予想されるので、沿岸部の警備に厳重を期すこと」
というのが趣旨である。

 このため、俺はフグ町の船の建造ドックを増設して、船の製造能力を年間4隻から倍の8隻に増強した。そうするとネイメー伯爵領の予算だけでは苦しいので、俺の個人資産も投入することにした。

 また、船大工の頭領に命じて追加の人員を集めさせた。
 次に、ラン地方の兵士の巡回も、沿岸部については巡回回数を増やした。

 また、これまでボタン地方だけであった、沿岸部の住民用マンションをラン地方にも建設することにした。これには1か月ほどかかった。

 そのようにしていたら、アムスム王国西部の領地が襲われ討伐にあたった男爵家当主が死亡するという事件が発生した。
 これについては寄親の侯爵家の領軍が海賊を追い払ったそうである。そして王宮からの通知には、
「今後商船については、事前に通知のあった船のみ通過を許可し、それ以外の船は海賊船と見なして討伐することを許可する」
という内容であった。

 それで、フグ町の商人に命じて、
「今後入港する船の予定の日時と入港する船の特徴を記載した一覧」
を出させ、それを部下の水軍に伝達した。

 また、これまでは1隻、2隻の襲来であったが、今後は大群で押し寄せてくることも予想されるため、そのような場合は、無理に戦うことはせず、空に空砲を打ち上げて、沿岸部を巡回中の兵に知らせ増援を要請するように作戦を変更した。そして、俺もしばらくはフグ町に駐在することにした。

 そのようにしていた時、ラン地方を巡視中の船が襲われたという知らせが届いた。俺はすぐにフグ町で待機中の軍艦で救援に向かった。
 知らせを受けた時間からして、襲われたのはラン地方の中央付近とすれば、エンジン全開で走っても1時間ぐらいかかると思われたので、俺の風魔法を後方に噴射することによりいつもの倍くらいの速度で走った。
 船がもつか心配だったが、それよりも早く着くことを優先した。その結果30分ほどで交戦海域に到達できた。

 見ると我軍の軍艦は無事であった。20隻ほどの海賊船と距離を取りながら砲弾を発射している。相手の1隻に狙いを定めると周りの船が回り込んでくる。距離をとると焦っているのか砲弾が当たらない。イタチごっこのようである。

 俺は沖に進路をとると、そこから海賊船の船団の側面を突くように命じた。
 海賊船団から2kmくらいに近付いたあたりから砲撃を開始した。この艦の砲撃手は冷静なようで的確に砲撃を行っていく。
 俺は外れそうな砲弾は風魔法で相手の海賊船に誘導していった。そうしていたら、もう1隻の我軍の軍艦も余裕が出てきたのか砲弾が当たるようになってきた。

 そうしたら、海賊船は陸の方へ向かって逃げ出した。陸に逃げられると厄介である。彼らの船は吃水が浅いのでそのまま上陸できるが、こちらの船は無理である。
 もう1隻に合図を送り2隻並んでまず海賊船に艦砲射撃を行った。これで、海賊船はすべて破壊できた。しかし、泳いで陸地に上がる海賊たちが見える。

 それで、今度は陸地に向けて艦砲射撃を行った。これでずいぶん数を減らせたようであるが、いったいどれだけの海賊が逃亡したのかわからない。

 それで俺は、少し離れた海岸に小舟で下ろしてもらうと陸から指揮を執ることにした。水軍2隻はそのままこの海域にとどまり、この海域の監視を命じた。助けを求める海賊は無視するように命じた、船に上げて白兵戦になったら、船を乗っ取られる。これだけは避けたい。

 俺は陸に上がるとアイテムボックスから魔道馬車を取り出した。そして、同行した水兵4人とともに魔道馬車で近くの集落に住民に避難を呼び掛けに行った。
 近くの集落に到着すると、住民はすべて俺が建設したマンションに避難して、入り口を閉ざしているようであった。俺は
「付近の海域で海賊船と交戦し、逃げた海賊が付近にいるので絶対に外に出ないように。明日、増援の部隊が来たら付近一帯を探索して海賊を捕らえる。安全が確認されるまで建物から出ないように」
命じた。そして魔道馬車で待機した。

 結局増援の部隊が来たのは次の日の朝であった。それから、付近一帯の探索を行い、逃げた海賊の捕縛を行っていった。ほとんどの海賊は傷ついていており、海岸近くでほとんどが見つかった。
 しかし、中には10km程も遠くに逃げた海賊もいた。俺の索敵魔法がなければ取り逃がしていた。

 結局100人ぐらいを捕まえた。捕虜にした海賊の話では25隻の船で700人ほどの海賊が乗り込んでいたとのこと。彼らの出身はドレーン王国とのこと。ドレーン王国を出て、イングブリオ王国に基地を作ったとのこと。そこから対岸のアムスム王国にも基地を作るべく出てきたとのこと。イングブリオ王国の基地にはまだ多数の海賊がいるとのこと。

 これらの情報は王宮に送った。王宮からは
「引き続き警戒を怠らないように」
との返事をもらった。

 今回の教訓として
「焦ると砲弾が当たらないことから、そのような場合は一旦距離を取り冷静になること」
これが得られた。

 秋になって軍艦が2隻増えて5隻になったので、巡視は2隻ずつで行い、1隻は救援用にフグ町で待機とすることにした。
「これから冬になって海が荒れてくると、いくらなんでも海賊も海を渡ってこないだろう」
そういう思いもあり、後は部下に任せて領都ネイメーに戻ることにした。
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