ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる

おりく

文字の大きさ
31 / 170
3章 天使と仔猫と風呂と俺、マスコットを添えて

09

しおりを挟む
「俺の風呂…。」

俺の呟きを聞いて、ジェイデンが思わず、というように口を開く。

「シオンちゃん、今度一緒に温泉に行きましょ!皆で行けば野営でもきっと楽しいわ!」

「そうですよ!少しの間我慢してください。僕も働いて旅行費用貯めますから。ね、ラースさん!」

「俺もかっ!風呂ってぜっ、全裸で入るんだろ?大丈夫なのか!?不安なのは俺だけか!?」

「僕は問題ありません。むしろシオンさんにお願いして、お風呂シオンさんをこの目に焼き付けます!」

「わたしも大丈夫よ。そりゃあ少し恥ずかしいけれど、温泉は裸のお付き合いをすることもある場所だって知っているもの。ラースちゃんは行かないの?」

「くっ!そんなこと言われても、俺はベッド以外で全裸になった事なんて無いんだ!」

「それでは残念ですけど、ラースさんは不参加って事ですね。」

「行かないとは言ってない!」

「じゃあ行くのね?」

「行く………って!アンジェラさんまで俺を嵌めるのか!」

「折角温泉まで行くのよ?マスコットが必要でしょ!ね、シオンちゃん。」

「俺を気遣ってくれてありがとう。心配させてしまったな。三人の会話を聞いていたら沈んでいた気持ちが浮上してきたよ。」

俺は良い人たちに出会えたな。
優しさがささくれだった心に沁みる。

「なに良い話にして終わろうとしてんだ!俺の扱い酷くないか?」

さすがラース、自らイジられにくるとは。

「ラースは人に見られて恥ずかしい身体でもしているのか?」

「そんな事ねぇ!」

「じゃあ問題ないじゃないか。まあ、俺も含めてだが、どんな身体でもジェイデンの前では霞むだろうがな。」

めったにお目にかかれない雄っぱいだもんな。
ラースのも中々だがジェイデンと比べると迫力が違う。

「た、確かに。今から鍛えるか?いや、でもな…。」

ごにょごにょと、はっきりしないな。

「シ、シオン。お前はアンジェラさんの身体をどう思う?」

「好きだ。素直に羨ましい。俺はどんなに鍛えても、身体に厚さがないからな。」

隣で「ふあぁっ!」とか言ってるが今は放置だ。

「じゃあ俺の身体は?」

「ラースも同じだ。羨ましい。」

何なんだ?

「そうか。じゃあ俺も温泉行くぜ。」

どことなく嬉しそうだな。
そんなラースに提案だ。

「全裸が嫌なら水着を着たら良い。」

「なんだ、それ?」

「水遊び用の服だ。それを着ればあんたの全裸はベッドの相手以外には知られずに済むぞ。」

「それ、頼むから忘れてくれ。またネタにされそうで怖えぇんだよ。」

「そんな事を言われて、忘れるわけないだろ。なあ、フェイト。」

またニヤけてしまうだろ。

「はいっ」と言う元気な返事を聞いて「俺はまたいらん事を口走ったのか?」と頭を抱えるラースを、ジェイデンが「やっぱり若いっていいわぁ」と眩しい物を見るように眺めていた。

「じゃあシオンちゃんのお部屋は、最初に聞いた長期滞在向けの客室で良いかしら?」

「知らなかったとはいえ、我儘を言って申し訳なかった。よろしく頼む。色々と教えて貰えて助かる。ありがとう、ジェイデン。」

「ふふっ。どういたしまして。フェイトちゃんは希望する条件はないの?」

「僕は、出来たら日当たりの良い所が良いです。あの、よろしくおねがいします。」

「わかったわ。ちょっと待っててね。」

そう言って席を立ち、少しして新しい飲み物と部屋の鍵を持ってジェイデンが戻ってきた。

「お待たせ。フェイトちゃんは3階、シオンちゃんは4階のお部屋よ。これが鍵だから、魔力を流して使用者登録してちょうだい。それでこの魔道具を鍵として使えるのは、登録した人だけになるわ。外出するときは受付に預けてね。ちなみにフェイトちゃんの作品よ。」

まじまじと観察していたら、フェイトが赤くなった。

「そんなに熱心に見られたら、あの、恥ずかしいです。」

「そうか。じゃあ後でじっくり見てみよう。」

「そ、それはそれで恥ずかしいです」と言う訴えを聞き流して、宿の名前と部屋番号、植物の意匠が彫られた金属のプレートを空間収納にしまった。

「それで、支払いはどのようにすれば良い?」

「あら、まだ言ってなかったわね、ごめんなさい。二人とも朝食付きで、1泊大銅貨5枚(5000円)よ。昼食はレストラン、夕食はレストランかバーを利用してくれたら、宿泊者はお会計が2割引になるわ。フェイトちゃんは後払い、シオンちゃんは先払いでお願いね。」

「支払いの方法は現金払いだけだろうか?」

「基本的には、そうよ。何かあるのね?シオンちゃんの考えなら聞いてみたいわ。教えてちょうだい。」

「ありがとう。知っての通り今の俺は無職だ。ハンターをして生計を立てるつもりだが、まだハンターになってもいない。ちゃんと稼げるかもわからない。」

自分で言ってて情けなくなるな。

「じゃあ、あなたも後払いにしたいの?」

「いや、支払いは慰謝料で問題なくできる。だが先の見通しが立っていない今は、現金をなるべく貯めておきたい。」

「酒場で給仕してチップでも貰うのか?」

「ラース、俺が給仕したら、きっと酒場に迷惑しかかからないぞ。」

「じゃあ、どうすんだ?」

「こういうのはどうだろう?」

飲み物の入ったカップを持ち、魔法を付与してジェイデンに差し出す。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日
BL
大量の魔獣によって国が襲われていた。 最後の手段として行った召喚の儀式。 儀式に巻き込まれ、別世界に迷い込んだ拓。 剣と魔法の世界で、魔法が使える様になった拓は冒険者となり、 鍛えられた体、体、身体の逞しい漢達の中で欲望まみれて生きていく。 マッチョ、ガチムチな男の絡みが多く出て来る予定です。 苦手な方はご注意ください。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます

トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。 魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・ なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️ エブリスタにも、掲載しています。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

魔王様が子供化したので勇者の俺が責任持って育てていたら、いつの間にか溺愛されているみたい

カミヤルイ
BL
顔だけが取り柄の勇者の血を引くジェイミーは、民衆を苦しめていると噂の魔王の討伐を指示され、嫌々家を出た。 ジェイミーの住む村には実害が無い為、噂だけだろうと思っていた魔王は実在し、ジェイミーは為すすべなく倒れそうになる。しかし絶体絶命の瞬間、雷が魔王の身体を貫き、目の前で倒れた。 それでも剣でとどめを刺せない気弱なジェイミーは、魔王の森に来る途中に買った怪しい薬を魔王に使う。 ……あれ?小さくなっちゃった!このまま放っておけないよ! そんなわけで、魔王様が子供化したので子育てスキル0の勇者が連れて帰って育てることになりました。 でも、いろいろありながらも成長していく魔王はなんだかジェイミーへの態度がおかしくて……。 時々シリアスですが、ふわふわんなご都合設定のお話です。 こちらは2021年に創作したものを掲載しています。 初めてのファンタジーで右往左往していたので、設定が甘いですが、ご容赦ください 素敵な表紙は漫画家さんのミミさんにお願いしました。 @Nd1KsPcwB6l90ko

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...