ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる

おりく

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3章 天使と仔猫と風呂と俺、マスコットを添えて

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「お前ら何やってんだ。」

「またラースちゃんのこと可愛がってたんでしょ?」

キティとジェイデンがやって来た。

俺は膝を付いたままのラースに手を差し出す。
だがいつまでも手は取られない。

「どうした?」

ラースに問う。

「いや、眠たくないお前からの接触は初めてだと思ってな。」

そう言って手を取り、立ち上がって膝を払う。
言われてみればそうかもしれない。

「そんなにシオンさんに触れたかったなら、さっき僕と一緒にお腹に触らせて貰えば良かったじゃないですか。」

「あら、それは惜しい事をしたのね。」

「アンジェラさんまでそんな事言うのは止してくれ!」

ラースが拗ね始めてしまった。

「ふふっ。じゃあシオン、武器を選んだら始めましょう。あっちに訓練用の物があるわ。」

「わかった。ジェイデン、一緒に来てくれないか?ちなみに武器は複数選んでも?」

「ええ、いいわ。」

ジェイデンに打ち込んで貰いながら武器を選んでいると、なぜこんな事をしているのか質問された。

「ウェイトに差があるから、あなたの剣を受けやすい物を選んでいるんだ。俺の筋力だと同じ剣では受けたときに弾き飛ばされるだろうしな。」

細めのロングソードとショートソードを一本ずつ選んだ。

「ではジェイデン先生、よろしくお願いします。」

「ええ、よろしく。」

そう言って切っ先を軽く触れ合わせ、打ち合いを始める。

数合打ち合って気付いたが、俺からすると剣筋が素直、というか、単純だ。
ただ、とんでもなく一撃が重たい。
俺に西洋剣を教えてくれたのは父と母の舎弟たちだが、その人たちのような嫌らしさが無い。
この国の剣術がそうなのか、身体強化が使えるとそういったものは必要無いのか。

「考え事かしら?まだまだ余裕ね?」

「そんな事はない。あなたの剣は重たいからな。」

実際、受け止めると手が痺れる。
この後キティも控えているし、終わりにするか。

両手で握っていた剣を右手で持ち、切っ先を下に向けて身体の左側に添え、左の前腕も使ってジェイデンの剣を受け、スライドさせながら懐に入る。
このままでは剣を振るう空間が無いので、回転しながら左手で逆手に抜剣し、その勢いを利用してショートソードをジェイデンの首筋に押し当てた。

「あなたのお眼鏡に叶っただろうか、先生。」

「はぁ、こんなにアッサリ負けちゃうなんて、思ってもみなかったわ。」

その言葉を聞き、剣を引く。

「不思議な動きね。私が教えて貰いたいくらいだわ…。」

「機会があれば、いくらでも。」

「ふふっ、ありがとう。でもキティにさっきの動きを見せて良かったの?もう通じないんじゃないかしら。」

「大丈夫だ。さっきも言ったが、体術の方が得意だからな。」

とは言ってもあんなに大きな人間を相手にしたことなどない。
日本では俺より大きい人など、余りいなかったからな。

「アンジェラの剣をその身体で受けるなんてすげぇな。」

ジェイデンと入れ代わりでキティがこちらにやって来た。

「一振りが重たくて、受けるのに苦労した。」

「まあその細い身体じゃ無理もないだろう。」

また細いって言ったな。

「休憩するか?」と聞かれたので「必要無い」と返した。

「じゃあ次はオレが相手だ。」

頷いて答える。

その直後、キティの空気が変わった。
まさに大型の肉食獣のようだ。

「オレのプレッシャーに耐えるとはなかなかじゃないか。」

そんな事を言われても、もっと凄まじいものを知っていればどうと言う事もない。
ちなみにその空気を纏っていたのは、誘拐された俺のことを警察を無視して助けに来てくれた両親だ。

父は普段の王子から順当にクラスアップして王者の風格だったが、真に怖ろしいのは母だ。
父が王者なら母は帝王か、と思うかもしれないがそんな可愛いものじゃなかった。
母は覇皇だ。
並の覇王がひれ伏す真の覇皇。
そのとき俺は、母親こそ最強だと思い知った。

それに比べたらキティなど、正に仔猫だ。
しかし、バカデカい仔猫なので体重差が問題だ。

予想通りならジェイデンと同じ様に動きは単調なはずだ。
それならやり様など、いくらでもある。

「では行くぞ。」

ジェイデンのときと同じ様に、拳を軽く触れ合わせてから始める。

キティの拳はまともに受けたらノックバック必至だ。
ヘタしたら弾き飛ばされる。
慣れるまではいなす事に集中する。

しかし重たい拳だ。
ジェイデンの剣より重い。
手の甲や前腕の外側、ショルダーブロックした所が痛む。

だが、やはり動きは直線的だ。
余裕があるのか、ジェイデンを仕留めた動きを警戒しているのか、観察されていて嫌な感じだ。
このへんで似たような動作をしてみようか、と懐にはいり襟と腕を取り身体を反転させて投げを試みたが、さすがに技はかからなかった。
リーチの差と懐が思った以上に深かったからだ。
身体に幅があるとやりづらい。

「そんな細い身体でオレが投げられると思ったか!」

また言われた。
絶対投げてやるから待ってろ。
取り敢えず関節から潰そう。
そう思っていたら丸太のように太い脚が飛んで来た。

繰り出された右脚を左腕と左脚、腹筋で受けてから保持し、同時に右肘で膝に一発食らわせる。
これで踏ん張りが効かなくなるだろう。

慌てて繰り出された左拳を腕が伸びきった所で左手で確保し、彼の肘に右の掌底をあてて使えなくする。
拳を当てれば骨を折ることもできるが、敵ではないので掌底にした。

こうなると右拳を出して来るしか無いので、上半身の力みと向かってくる勢いを利用して投げを決めるべく、バク転する様にして上下が逆さになった脚でキティの首に組み付いてやる。
プロレスで言う所のフランケンシュタイナーだ。
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