2 / 2
早すぎる蝉・2
しおりを挟む
「ねえ、どうすればいいの?誰か教えてよ」
誰もいないのに、僕は思わずそう言っていた。
「私に任せなさい」どこからか、そんな声が聞こえた気がした。
僕は思わず立ち上がって、周りを見渡したけれど誰もいない。
確かに聞こえたはずなのに・・・。
だけど、余計なことを考えている暇はない。彼らは止まってくれないから、僕も休む暇はない。
そんなことを続けているうちに、段々日が傾いてきた。
僕は、こんなことがいつまで続くんだろうと、絶望的な気持ちになって来た。
「そろそろ、どいてくれないか」
また声が聞こえた。
「どいてくれって、どういうこと?」
僕は立ち上がって、誰とも分からない相手に話しかけてみた。
「いいから、少しあっちに行ってなさい」
声の主は少し怒ったように言ったので、僕は訳が分からないまま、それに従った。
僕は縁側に腰をおろして、庭の様子を見ていた。
すると、少しずつ地面が揺れ始めた。
「わっ、わわわっ!地震だ!!」
僕は、家の中に逃げ込もうとしたけれど、体が動かない。
そして、地震は更に強くなり、地面に這い出していた蝉たちが穴の中にふるい落とされていく。
もっともっと地面が揺れて、穴を土が覆っていった。
「わぁ~、すごい!」
僕は、地震の怖さも忘れて、その鮮やかな出来事に驚いていた。
「もう、これで大丈夫」
「えっ?」
その声は、大きな木から聞こえたような気がした。
「今日は全部がおかしなことばかりだ」
さっきまで動かなかった体が動くようになった。
僕は、家の中に駆け込むと、母さんんいる台所へ飛び込んだ。
「ねえ、今すごい地震だったね!」
「はぁ?何言ってんの。地震なんてなかったわよ。おかしなことばっかり言ってないで、エンドウの筋取って」
「ええーっ、すごい地震だったじゃん」
「なぁーんにも揺れてない。ほら、ニュースだって何も言ってないでしょ」
台所のテレビでも地震速報は流れてこない。
「おかしいなl、確かに揺れたのに」
「もー、あんた、今日はほんとに変だよ。ご飯食べて早く寝なさい」
「ちぇっ、僕、嘘なんてついてないのに」
だけど、僕が見たり体験したことを証明することなんて出来はしない。
僕はしかたなくエンドウの筋を取り始めた。
ご飯を食べてお風呂に入って、自分の部屋に戻った。
僕は、部屋の窓を開けて裏庭を見下ろした。
すると、真っ暗だったはずの裏庭が一瞬で真夏の景色に変わった。
大きな木には蝉たちが、たくさんたくさんしがみついて、そして例のごとく、耳を塞ぎたくなるような大声で鳴いている。
そして、なぜだか、蝉たちがくっついている大きな木が笑っている、そんな風に見えたんだ。
僕は、まさか、と思って目をこすった。
だけど、裏庭はもう真っ暗に戻っていて、もう二度とその景色を見ることは出来なかった。
今はもう夏。
今日も、裏庭からは蝉の大合唱が聞こえてくる。
もちろんうるさいけれど、僕は去年よりも、その音が気にならなくなったんだ。
誰もいないのに、僕は思わずそう言っていた。
「私に任せなさい」どこからか、そんな声が聞こえた気がした。
僕は思わず立ち上がって、周りを見渡したけれど誰もいない。
確かに聞こえたはずなのに・・・。
だけど、余計なことを考えている暇はない。彼らは止まってくれないから、僕も休む暇はない。
そんなことを続けているうちに、段々日が傾いてきた。
僕は、こんなことがいつまで続くんだろうと、絶望的な気持ちになって来た。
「そろそろ、どいてくれないか」
また声が聞こえた。
「どいてくれって、どういうこと?」
僕は立ち上がって、誰とも分からない相手に話しかけてみた。
「いいから、少しあっちに行ってなさい」
声の主は少し怒ったように言ったので、僕は訳が分からないまま、それに従った。
僕は縁側に腰をおろして、庭の様子を見ていた。
すると、少しずつ地面が揺れ始めた。
「わっ、わわわっ!地震だ!!」
僕は、家の中に逃げ込もうとしたけれど、体が動かない。
そして、地震は更に強くなり、地面に這い出していた蝉たちが穴の中にふるい落とされていく。
もっともっと地面が揺れて、穴を土が覆っていった。
「わぁ~、すごい!」
僕は、地震の怖さも忘れて、その鮮やかな出来事に驚いていた。
「もう、これで大丈夫」
「えっ?」
その声は、大きな木から聞こえたような気がした。
「今日は全部がおかしなことばかりだ」
さっきまで動かなかった体が動くようになった。
僕は、家の中に駆け込むと、母さんんいる台所へ飛び込んだ。
「ねえ、今すごい地震だったね!」
「はぁ?何言ってんの。地震なんてなかったわよ。おかしなことばっかり言ってないで、エンドウの筋取って」
「ええーっ、すごい地震だったじゃん」
「なぁーんにも揺れてない。ほら、ニュースだって何も言ってないでしょ」
台所のテレビでも地震速報は流れてこない。
「おかしいなl、確かに揺れたのに」
「もー、あんた、今日はほんとに変だよ。ご飯食べて早く寝なさい」
「ちぇっ、僕、嘘なんてついてないのに」
だけど、僕が見たり体験したことを証明することなんて出来はしない。
僕はしかたなくエンドウの筋を取り始めた。
ご飯を食べてお風呂に入って、自分の部屋に戻った。
僕は、部屋の窓を開けて裏庭を見下ろした。
すると、真っ暗だったはずの裏庭が一瞬で真夏の景色に変わった。
大きな木には蝉たちが、たくさんたくさんしがみついて、そして例のごとく、耳を塞ぎたくなるような大声で鳴いている。
そして、なぜだか、蝉たちがくっついている大きな木が笑っている、そんな風に見えたんだ。
僕は、まさか、と思って目をこすった。
だけど、裏庭はもう真っ暗に戻っていて、もう二度とその景色を見ることは出来なかった。
今はもう夏。
今日も、裏庭からは蝉の大合唱が聞こえてくる。
もちろんうるさいけれど、僕は去年よりも、その音が気にならなくなったんだ。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる