早すぎる蝉

はりもぐら

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早すぎる蝉・2

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「ねえ、どうすればいいの?誰か教えてよ」

誰もいないのに、僕は思わずそう言っていた。

「私に任せなさい」どこからか、そんな声が聞こえた気がした。

僕は思わず立ち上がって、周りを見渡したけれど誰もいない。

確かに聞こえたはずなのに・・・。

だけど、余計なことを考えている暇はない。彼らは止まってくれないから、僕も休む暇はない。

そんなことを続けているうちに、段々日が傾いてきた。 

僕は、こんなことがいつまで続くんだろうと、絶望的な気持ちになって来た。

「そろそろ、どいてくれないか」

また声が聞こえた。

「どいてくれって、どういうこと?」

僕は立ち上がって、誰とも分からない相手に話しかけてみた。

「いいから、少しあっちに行ってなさい」

声の主は少し怒ったように言ったので、僕は訳が分からないまま、それに従った。

僕は縁側に腰をおろして、庭の様子を見ていた。

すると、少しずつ地面が揺れ始めた。

「わっ、わわわっ!地震だ!!」

僕は、家の中に逃げ込もうとしたけれど、体が動かない。

そして、地震は更に強くなり、地面に這い出していた蝉たちが穴の中にふるい落とされていく。

もっともっと地面が揺れて、穴を土が覆っていった。

「わぁ~、すごい!」

僕は、地震の怖さも忘れて、その鮮やかな出来事に驚いていた。

「もう、これで大丈夫」

「えっ?」

その声は、大きな木から聞こえたような気がした。

「今日は全部がおかしなことばかりだ」

さっきまで動かなかった体が動くようになった。

僕は、家の中に駆け込むと、母さんんいる台所へ飛び込んだ。

「ねえ、今すごい地震だったね!」

「はぁ?何言ってんの。地震なんてなかったわよ。おかしなことばっかり言ってないで、エンドウの筋取って」

「ええーっ、すごい地震だったじゃん」

「なぁーんにも揺れてない。ほら、ニュースだって何も言ってないでしょ」

台所のテレビでも地震速報は流れてこない。

「おかしいなl、確かに揺れたのに」

「もー、あんた、今日はほんとに変だよ。ご飯食べて早く寝なさい」

「ちぇっ、僕、嘘なんてついてないのに」

だけど、僕が見たり体験したことを証明することなんて出来はしない。

僕はしかたなくエンドウの筋を取り始めた。

ご飯を食べてお風呂に入って、自分の部屋に戻った。

僕は、部屋の窓を開けて裏庭を見下ろした。

すると、真っ暗だったはずの裏庭が一瞬で真夏の景色に変わった。

大きな木には蝉たちが、たくさんたくさんしがみついて、そして例のごとく、耳を塞ぎたくなるような大声で鳴いている。

そして、なぜだか、蝉たちがくっついている大きな木が笑っている、そんな風に見えたんだ。

僕は、まさか、と思って目をこすった。

だけど、裏庭はもう真っ暗に戻っていて、もう二度とその景色を見ることは出来なかった。

今はもう夏。

今日も、裏庭からは蝉の大合唱が聞こえてくる。

もちろんうるさいけれど、僕は去年よりも、その音が気にならなくなったんだ。
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