先輩を追いかけて東京に行こうとしたら京都大学を目指していた件

鷹橋渚

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試されること

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真栄城邸は鉄筋コンクリートの打ちっぱなしの三階建てだった。

台風銀座とかつては呼ばれた程の沖縄で三階建てと言うのも稀でデザイナーズマンションを一棟買い上げ、それを改築したそうである。ただただ、大きい。

「あれ?千鶴んちって、街医者じゃなかったけ?」

「そうそう、瑞江会ずいこうかいクリック。美容形成の病院。知らないなかぁ。」

「なに、言ってんの?CMやってるじゃん。県内12店舗!とか。有名だよ。県内じゃ。」

麻琴は瑞江会クリニックのCMソングを口ずさんだ。

「お兄ちゃんとかも働いてるよ。出たがりでCMにも、何回か出てる。」

「へぇ~。知らなかったなぁ。千鶴ってお嬢なんだよなぁ。危うく手を出す所だった。危ない危ない。」

「今度は手を出して欲しいの。両親公認だもん。」

「それは、東大に入ってからだろ?」

「なんだか・・・一生、未経験で終わりそう。」

「なんだって!?」

二人は顔を見つめ合って笑った。

「何だか楽しそうだね。根路銘君、初めまして、真栄城です。僕も混ぜてくれないかな?」

「あ、お父さん、いたの?」

千鶴は麻琴を盾にして、父親を避けるように彼の後ろに回った。

「どんな馬の骨か分からないと、飛鳥が言ってたからね。一度、会ってみたいと思ってね。」

「初めまして、根路銘麻琴と言います。」

深々と一礼した。

「ふむ、ご両親は教員だそうだね。君も教師希望?」

「あ、いえ・・・」

「アイツが私達の裸を撮れと命じた張本人よ。ホント、やらしい!東大にだって法学部以外はダメだって言ってたし。」

広い麻琴の背中に隠れて、千鶴が好き勝手言いたい事を言っている。

「ちづ、ちっと・・・」

「娘には嫌われている。しかしだ。根路銘君、もし君が僕と同じ立場だったらこのお転婆の一人娘をどうするかね?」

「好きにさせますぅ~」

彼女が小さな声で言った。千鶴も父親の事は理解できる。親に反抗するだけの期間はもう、終わっている。しかし、今回の自分達の秘め事を動画で撮って晒すようなやり方はどうかと思う。子供は親に絶対服従の操り人形じゃない。

「ハハッハハハハハ!いつも、千鶴は面白いな。全く。」

破顔していたが、目が全く笑っていない。麻琴に対して敵意丸出しだ。これから何があるか、分かったもんじゃない。

「根路銘君、君のお客様がお待ちかねだ。もちろん会うだろう?」

一瞬、眉を潜めたがこの父には逆らえないと思い。

「もちろんです。」

彼はキッパリと答えた。

「うむ、潔い。紹介する。君の勉強を時々見に来るようになる。現役、大学生だ。比嘉くんと伊田くんだ。千鶴、あっちへ行きなさい。」

「嫌だ。私も麻琴と一緒に勉強する!」

「千鶴はもう少し後だ。」

根路銘麻琴をこの手で叩き潰してからだ。父は心の内で微笑んだ。

「いやだ!お父さんが誰か一人を東大に入れるために家庭教師を二人も雇うなんてあり得ないもの。きっと何かしら裏があると思う。」

チッ!静かに塾で勉強していればいいものを!娘ながら鋭いじゃないか。いいだろう。千鶴も巻き添えだ。お前は一浪決定的だ。いや、高卒決定だ。根路銘と一緒に高卒コンビで腰振ってろ!真栄城の父はほくそ笑んだ。

「僕たちは、真栄城氏からお金をもらってあなたを東京大学に合格させるために来た、比嘉です。」

「伊田です。」

「千鶴、この方々はシンガポール国立大の現役の大学生だ。賢いぞ。」

「ふーん。君達、サッカーできる?」

「えっ!」

二人は黙った。

「このお方は、元U-15沖縄代表の根路銘麻琴様でござる。上手いみたいだよサッカー。」

「過去にね。」

麻琴は照れて頭を掻いた。伊田と比嘉と名乗る男達は二人を無視した。

「さて、根路銘。千鶴。テストをしよう。実力試しだ。」

比嘉と伊田は顔を見合わせて頷いて、奥の部屋に二人を案内した。

「この手の人種は自分の意見以外のモノを排除しようとする人々だよ。」

千鶴は麻琴に耳打ちした。
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