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47話 助け その2
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「はあああああっ!!」
「グオォォォォォォ!!」
リキッド様とミノタウロス、互いの雄たけびは周囲に轟音として響き合っていた。気のせいかもしれないけれど、共鳴して美しいメロディを奏でているようですらある。
体格で明らかに負けているリキッド様だけれど、ギミックのスパイクシールドと、専用の斧を振りかざしミノタウロスの強撃を弾き飛ばしていた。
「ぬおおおおおお! 俺様が、こんな知能指数の低い魔物にやられると思っているのか!! 死ねぇ!」
「グゥゥゥウ……!」
ミノタウロスの巨体を転ばせ、馬乗りの形になる。最早、それだけの芸当ができることが信じられなかった。ミノらウロス程の魔物を1人で相手にできる人間……果たして、世間に何人居るだろうか? リキッド様の部下たちは負傷している人も含めて、全員結界内に逃げ込んだ。とりあえずは安心と言えるだろう。
「素晴らしい……流石は、周辺国家最強の戦士と言われるだけのことはありますね、レヴィン王子殿下」
「そうだな、ルールー。俺の予想とは裏腹に想像以上に強かったようだ」
あ、レヴィン様は実戦経験に乏しいと感じていたようだし、リキッド様の実力を過小評価していたみたいね。ミノタウロスの一体を討ち取る直前になっているのには、本当に驚いているようだ。
「ギャアッ!!」
「はははっ、どうだ!」
馬乗りになった状態で、リキッド様はミノタウロスにトドメを刺した。顔面を潰して即死させたんだと思う。ここからでは完全には見えないけれど。
ミノタウロスを本当に一人で殺してしまった……これは確かに凄いことなんだけれど、まだ3体も残っている。彼はミノタウロスを殺した代償として、全神経を1体に集中させる必要があった。
そうでなければ、いかにリキッド様と言えどもやられかねないから。つまり、気付いた時には遅かったと感じだ。
残りのミノタウロスの強撃がリキッド様を襲う。
とても避けられるような間合いではなけど……。
--------------------------------------------
「グアァァァァァ!!」
「グォォォォォォォ……!」
「な、なんだ……!?」
残りの3体のミノタウロスが、豪火球にやられ、はげしく唸ってた。しかも、その数は尋常ではない……リキッド様が一番驚いているのかもしれない。
「あなたのような無礼な方でも、死んでもらっては目覚めが悪いので、加勢いたします。ミノタウロス一体の撃破、お見事でした」
「魔導士軍団の加勢……か、くそう……!」
ミノタウロス3体を相手にしているのは、ルールーを先頭にした合計9名の魔導士たち。私はその後ろから様子を伺っている。リキッド様からすれば、相当に屈辱な加勢だったかと思う。それは、彼の表情に現れている。
結局、三重の壁の戦績はそれほど良いとは言えない結果だったのだし……。
「それに、あなたには聞かなければならないこともありますし……」
「……?」
ルールーの言葉に、リキッド様は一瞬、狼狽えたような表情を見せた。
「リキッド! 早く、結界内に入れ! ミノタウロスが襲って来るぞ!」
「陛下……! くそうっ!!」
リキッド様は馬乗りになり、仕留めたミノタウロスの頭にさらに追い打ちを掛けていた。悔しさの現れだろうか……しかし、その魔物は既に死んでいるので意味を成していない。リキッド様は覚悟を決め、私達の方向へと走ってきた。
「グオォォォォォッ!!」
同胞を一体殺された恨みは大きいのか、3体のミノタウロスは豪火球の追撃にも怯むことなく歩を進め、リキッドの背後に迫っていた。その速度は早く、追い付かれそうだ。
「ひ、ひい……!」
「リキッド様! 早く、結界内に!」
迫りくる3体の巨体に、彼はすっかり恐怖しているようだった。数の暴力による力の差が出ているので仕方がないとはいえ、リキッド様のこんな姿を見ることになるとは……逃げ惑う様は、まるで泣きはらした少年のようだ。
「ウオオォォォォォォ!」
「ひい~~~~!!」
まさに紙一重と言えるのかもしれない……リキッド様は、ミノタウロスたちの大斧の一撃を掠らせる形で避け、そのまま結界内に入ったのだ。そして、次の瞬間……。
「がが……!!」
「ぎぎ……!?」
「ぎぎぎぎ……!」
3体のミノタウロスは全て私の守護方陣に触れてしまった。現在の反応は敵意と殺意に設定している。どうなるかは火を見るより明らかだ。
それらの巨体は一歩たりとも動けなくなっている……ああ、余程、殺意が強かったようね。私の守護方陣は殺意等が強いほど、拘束力も飛躍的に向上するから。かといって、弱くても拘束するんだけどね。
「グオォォォォォォ!!」
リキッド様とミノタウロス、互いの雄たけびは周囲に轟音として響き合っていた。気のせいかもしれないけれど、共鳴して美しいメロディを奏でているようですらある。
体格で明らかに負けているリキッド様だけれど、ギミックのスパイクシールドと、専用の斧を振りかざしミノタウロスの強撃を弾き飛ばしていた。
「ぬおおおおおお! 俺様が、こんな知能指数の低い魔物にやられると思っているのか!! 死ねぇ!」
「グゥゥゥウ……!」
ミノタウロスの巨体を転ばせ、馬乗りの形になる。最早、それだけの芸当ができることが信じられなかった。ミノらウロス程の魔物を1人で相手にできる人間……果たして、世間に何人居るだろうか? リキッド様の部下たちは負傷している人も含めて、全員結界内に逃げ込んだ。とりあえずは安心と言えるだろう。
「素晴らしい……流石は、周辺国家最強の戦士と言われるだけのことはありますね、レヴィン王子殿下」
「そうだな、ルールー。俺の予想とは裏腹に想像以上に強かったようだ」
あ、レヴィン様は実戦経験に乏しいと感じていたようだし、リキッド様の実力を過小評価していたみたいね。ミノタウロスの一体を討ち取る直前になっているのには、本当に驚いているようだ。
「ギャアッ!!」
「はははっ、どうだ!」
馬乗りになった状態で、リキッド様はミノタウロスにトドメを刺した。顔面を潰して即死させたんだと思う。ここからでは完全には見えないけれど。
ミノタウロスを本当に一人で殺してしまった……これは確かに凄いことなんだけれど、まだ3体も残っている。彼はミノタウロスを殺した代償として、全神経を1体に集中させる必要があった。
そうでなければ、いかにリキッド様と言えどもやられかねないから。つまり、気付いた時には遅かったと感じだ。
残りのミノタウロスの強撃がリキッド様を襲う。
とても避けられるような間合いではなけど……。
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「グアァァァァァ!!」
「グォォォォォォォ……!」
「な、なんだ……!?」
残りの3体のミノタウロスが、豪火球にやられ、はげしく唸ってた。しかも、その数は尋常ではない……リキッド様が一番驚いているのかもしれない。
「あなたのような無礼な方でも、死んでもらっては目覚めが悪いので、加勢いたします。ミノタウロス一体の撃破、お見事でした」
「魔導士軍団の加勢……か、くそう……!」
ミノタウロス3体を相手にしているのは、ルールーを先頭にした合計9名の魔導士たち。私はその後ろから様子を伺っている。リキッド様からすれば、相当に屈辱な加勢だったかと思う。それは、彼の表情に現れている。
結局、三重の壁の戦績はそれほど良いとは言えない結果だったのだし……。
「それに、あなたには聞かなければならないこともありますし……」
「……?」
ルールーの言葉に、リキッド様は一瞬、狼狽えたような表情を見せた。
「リキッド! 早く、結界内に入れ! ミノタウロスが襲って来るぞ!」
「陛下……! くそうっ!!」
リキッド様は馬乗りになり、仕留めたミノタウロスの頭にさらに追い打ちを掛けていた。悔しさの現れだろうか……しかし、その魔物は既に死んでいるので意味を成していない。リキッド様は覚悟を決め、私達の方向へと走ってきた。
「グオォォォォォッ!!」
同胞を一体殺された恨みは大きいのか、3体のミノタウロスは豪火球の追撃にも怯むことなく歩を進め、リキッドの背後に迫っていた。その速度は早く、追い付かれそうだ。
「ひ、ひい……!」
「リキッド様! 早く、結界内に!」
迫りくる3体の巨体に、彼はすっかり恐怖しているようだった。数の暴力による力の差が出ているので仕方がないとはいえ、リキッド様のこんな姿を見ることになるとは……逃げ惑う様は、まるで泣きはらした少年のようだ。
「ウオオォォォォォォ!」
「ひい~~~~!!」
まさに紙一重と言えるのかもしれない……リキッド様は、ミノタウロスたちの大斧の一撃を掠らせる形で避け、そのまま結界内に入ったのだ。そして、次の瞬間……。
「がが……!!」
「ぎぎ……!?」
「ぎぎぎぎ……!」
3体のミノタウロスは全て私の守護方陣に触れてしまった。現在の反応は敵意と殺意に設定している。どうなるかは火を見るより明らかだ。
それらの巨体は一歩たりとも動けなくなっている……ああ、余程、殺意が強かったようね。私の守護方陣は殺意等が強いほど、拘束力も飛躍的に向上するから。かといって、弱くても拘束するんだけどね。
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