死ななければならない理由が彼女にはあった

小磯 愛

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【官能】

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この香りが鼻を通ると、思わず赤面した。

「優ちゃん、なかなか色っぽい仕草で酒をつくるねー!気に入った!ははは」
そうからかってきたのはママのご常連、山ちゃんだ。

少しヌーディーなライトアップで店内はテーブル席4つにカウンター4席、ソファや椅子の色は真っ赤で、「いかにも」とサブタイトルの付きそうな下町のスナックに私はお世話になっている。

ウイスキー【山崎12年】の水割りを山ちゃんのために作っているわけだが、つい意識は自分の秘部にいってしまった。熱くうずき、少し濡れてると感じるほどに、昨晩の行為を思い出していた。
山ちゃんの勘は意外とするどいのかもしれない。

前日の晩は拓海とホテルにいた。
付き合って1カ月ほどになる。
拓海には妻がいる。
それでも私たちは抑えられない感情をベッドの上で何度も何度も確かめあった。

汗ばんだ日に、シャワーも浴びず、部屋に入るやいなや唇と舌でお互いを探し合った。
彼の舌が私の舌にからみ、さっきまで飲んでいたウイスキーの香りがした。
吸い付くいやらしい音が快感をあおぐ。
ゆったりした半袖で、薄手の水色のブラウスの下から下着だけをするりと取ると、ブラウス越しに乳首をゆっくり人差し指でなぞられた。布との摩擦がじれったい。
しかし、私の秘部から愛液を垂れ流すには充分な刺激だった。
「あっ、ぁぁ、、」
微かな声を合図と言わんばかりに、ブラウスの上から舌で乳首を攻められる。
「あん、あぁぁ、、」
声が自然と漏れていく。
嬉しそうに見上げた拓海は、目線を戻すと、ブラウスを捲り上げまじまじと乳房を見つめている。
「や、じっくり見られると恥ずかしい。」
隠そうとするうでをベッドに押さえられ、直に舌で刺激を受けると、
「あーあん、あっあっあっ、、」
じらされて敏感になってた乳首の先端から快感が身体中を走った。
わざと私から見えるように舌を長く出してさっきとは比べものにならないスピードで乳首を舌で揺さぶっているかと思うと、急に強く吸ってみたり、甘噛みをして、私の官能を高めていく。
もう我慢できず、彼の太ももに私の股を擦りつけていた。下着はもうビチャビチャだ。いやらしい匂いが彼の意思を下へ導いた。
「下着がここだけしみになってるよ?」
そう言うと、割れ目にそって人差し指を縦にゆっくり軽く動かし始める。
「いや、そこダメ。あぁーん、はぁーん」
惚れた男との行為がこんなに気持ち良いなんて驚きだった。

私の下着をずらし、硬い彼がゆっくり入ってくる。私の表情を見ながら彼は徐々に激しく、愛する人の隅々を堪能するように腰を振っている。
私は無意識に背中に爪を立てて、意識が飛びそうなくらい大きく喘ぎながら乱れた。
「あーっ拓海、拓、、っ海、あっあっあっあっあっはー、、あっーっっ、いくっいくっ、、あっーんんんー」

「かわいいね、優子。おやすみね。」
彼の声は深く優しい。
物腰柔らかい言葉使いが心地よい。

私は下着もつけず、彼の腕の中で寝落ちした。

「優子ちゃんは、明るくておっぱい大きいから美味しいお酒が飲めるよ。がはは!」
山ちゃんの品のない笑い声で、回想はとぎれた。
「山ちゃん、お触りは禁止だからね!」
お触りしがちな山ちゃんに、ママが8割本気、2割諦めで嗜める。

カランカラーンと、ドアの音。
「あらー須賀さーん、どうぞいらっしゃーい。」
ママが甘い声で出迎えたのは、このスナックの客層からは少し若く、派手に遊んでくれる裕福な客、拓海だった。
彼の笑顔は私に向けられ、私はまた胸を貫かれる。

私たちの関係は誰も知らない。

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