10 / 13
入れ替わりの果てにはなにがあるのか
3
しおりを挟む
パニアグア姉妹は喧嘩をせず、仲睦まじい関係を保っている。
傍からはそう思われているかもしれないが、他の兄弟姉妹と同じく、双子だって喧嘩をする。ただ、他の兄弟姉妹と違って仲違いをしても修復するのが早いだけである。
それは共に過ごす時間が長いからかもしれないし、他の肉親よりもしゃべらず通じることが多いからかもしれない。
クラウディアとクリスティナも、細かな喧嘩や諍いはあったが、概ね大きな波風を立てることもなく、友達がいない者同士のんびりと生活をしていたが。
ふたりが喧嘩をすると喜ぶ連中というものが存在するのである。
社交界と大して関わりの深くないパニアグア子爵領の人間なのだから、せいぜい娯楽として使い潰せばいい。これで仲が壊れるのならばそれまでだ。
皆が皆、エルベルトや王族のように彼女たちの実家の領の価値に気付いている者や、セシリオのように姉妹の仲を心配して口を挟むような人間ばかりではないのである。
「ご存じ? パニアグア姉妹の噂」
「ああ……妹のほうが姉の婚約者に横恋慕しているという噂?」
「それってセシリオ様?」
「気持ちはわかるわ……あれの婚約者がよりによって、ねえ……?」
「粗忽者と振る舞いに品があるセシリオ様だったら、そりゃセシリオ様になるでしょうね」
「姉のほうはどうなるのかしら?」
「さあ……? でもどうせ悲恋でしょう? だって、セシリオ様も妹も、継ぐものはなにもありませんもの」
「平民になりますの?」
「そこまでの度胸はないんではなくて?」
ひとつの目撃情報は、悪意をもって拡散されていく。余計なおまけで膨れ上がった悪意が学院内に蔓延するまで、そこまで時間はかからなかった。
これが社交界で生きる術を学ばされた王都出身の令嬢であったら、火消しのために別の噂を流すことで打ち消しただろうが、そもそも社交界と縁遠いパニアグア姉妹に、火消しの術はない。
その情報は、本来ならば当事者にもかかわらず、ほぼ名前が出ていないエルベルトのほうにまで流れてきていた。
「お前の婚約者大丈夫なのか?」
「さあな。今頃泣いてるかもしれないが」
フェンシング倶楽部の活動中に、部員にそう話を持ち掛けられて、エルベルトは心底面倒臭い、という顔をした。
王都出身の令嬢たちの陰険さは知ってはいたが、そこまで浅はかだったのかという呆れた顔になってしまったのだ。
「あれは、責任取って姉のほうの婚約者が収拾すべきだろ」
「エルベルト……婚約の話、ちゃんと姉妹としてきたほうがいいんじゃないか? あっちだって娘を行き遅れにするのは嫌だろうから、今の内に話をしてきたほうがいいだろ」
「……俺とあれでは、どだい婚姻なんて無理だろ」
エルベルトは苦虫を噛み潰したような顔をして見せた。
悪意を持って撒き散らされた噂と同じく、気持ちひとつでどうこうできないものが多過ぎる。
部員は呆れて息を吐いた。
「せめて慰めに行ってやったらどうだ?」
「それはどっちのほうだ?」
誰もそれに答える者はいなかった。
****
学院内に蔓延した噂ではあるが、クラウディアもクリスティナも、友達がいなかったために、本人たちに届くまでに時間がかかった。
遠巻きにされているために、直接しゃべることがなく、ふたりとも王都出身の令嬢と用事もないのに話しかけることもないため、気付くのに遅れたのである。
クラウディアはクリスティナの大学部進学の相談を、父に早馬を出してもらって手紙を送った。クリスティナの勤勉な性格を考えれば、勉強するのも申し分ないと思ったのである。
それと同時にクリスティナとエルベルトの婚約について、大学部進学の間だけでも待ってもらえないか、ドローレス辺境伯に詫び状を送ってもらえないかとも相談をしたためておいた。
(本当だったらエルベルトの直接相談したいところだけれど……エルベルトに直接言ったら、それを理由に婚約を破断にされてしまいそうで怖いものね……)
手紙の手配を終えたところで、寮に戻ろうとしたとき、廊下でセシリオが令嬢たちに取り囲まれているのが見えた。
今のクラウディアは、クリスティナのふりをしていないために、髪をひとつにまとめてしまっている。
「セシリオ様、面倒な方と婚姻を結んでしまって可哀想。我が家でしたら、そんな不幸なことは致しませんのに」
「セシリオ様でしたら、ぜひ我が家に入り婿でもかまいませんのに。面倒なことばかり押し付ける方は嫌ですわね」
「ずいぶんな噂が流れているようだけれど、僕はあの噂を信じてはいないよ?」
会話の内容を聞いていても、クラウディアはいまいちピンと来なかった。
(話が見えない……そもそも、人の婚約者に対してちょっかいをかけて、あの人たち恥ってものがないのかしら)
内容はさっぱりわからないが、王都出身の令嬢にしては品がないと判断し、クラウディアは声をかけることにした。
「あなた方、いい加減になさってください。セシリオは私の婚約者であり、婚約が決まっていないからと言って、好き勝手なさらないで」
クラウディアの日頃からのピシャリとした物言いに、セシリオに付きまとっていた令嬢たちがようやく彼女に顔を向ける。
日頃であったら、面倒臭いのが現れたとばかりにさっさと散るというのに、今日に限っては顔を歪めて笑うばかりであった。
「まあ……あなたは私たちに抗議するより先に、妹のほうに怒ったほうがよろしいのではなくて?」
「クリスに? あの子がなにもしてないというのに、どうして怒らなければならないの?」
「まあ……粗忽な方だとはご存じでしたが、おつむも緩い方とは思ってもみませんでした」
あからさまな侮蔑の言葉に、クラウディアはイラリとする。そして彼女たちとしゃべっていても埒が明かないと判断して、セシリオのほうに声をかける。
優柔不断ではあるが、彼はくだらない嘘だけはつかない。
「どういう意味なの?」
「……ここで話す意味はないと思うよ、クラウディア。向こうで少し話そうか」
「ここで話せることではなくて?」
「僕は、君たち姉妹が末永く仲睦まじくいて欲しいと思っているんだよ。悪意にさらしていいものではない」
いつものまどろっこしいセシリオの言葉で、またしても苛立ちが募りそうになったものの、令嬢たちを放置したほうがいいというのは、クラウディアも同意見だった。
彼女たちを廊下に放置してから、寮の中庭へと移動した。
普段であったら中庭のテーブルでお茶会のひとつでも行われていそうなものだが、今日は休日。寮に残っている者はごく一部なため、閑散として誰もいなかった。
「それで、いったいなんだっていうの?」
「どうにもね。君たちが入れ替わっているのを見て、難癖を付けている連中がいるらしいよ?」
「……はい?」
クラウディアは言葉を失った。
入れ替わっていても、誰も気付いていなかった。寮母はもとより、クラスメイトからも指摘を受けた覚えはなく、婚約者たちも自身の婚約者が姉妹のほうだと気付く素振りも見せていないと思っていたが。
「……セシリオは、私たちが入れ替わっていることに、気付いていたの?」
「いつも気付く訳ではないよ。最近入れ替わっていることに気付いたのは、クリスティアは僕に対して棘のある言葉をかけないから気付いただけで、全くしゃべらない、見た目だけだったら、僕だって難しかっただろうさ」
「……そう」
どうにもセシリオはパニアグア姉妹の区別を完全には付けられないようだった。
それを素直に喜べばいいのか、婚約者なのに見分けが付かないのかと言えばいいのか、クラウディアにもわからなかった。
「君のふりをしていたクリスティアの相談に乗っていただけだよ。どうもそれで彼女の気持ちを曲解した例があるみたいでねえ……」
「……困るわ、勝手なことをされては。クリスが大学部に行きたいって話を聞いてくれたこと、このことには感謝しているけれど、周りに好き勝手言われては、またクリスが登校できなくなってしまう」
「うん、君たちはそれでいいのかもしれないけどさ」
セシリオはにこやかに笑う。
「僕はクリスティアを甘やかす君も、甘えているクリスティアも、卒業前に姉妹離れできていなくってよくないと思うよ?」
傍からはそう思われているかもしれないが、他の兄弟姉妹と同じく、双子だって喧嘩をする。ただ、他の兄弟姉妹と違って仲違いをしても修復するのが早いだけである。
それは共に過ごす時間が長いからかもしれないし、他の肉親よりもしゃべらず通じることが多いからかもしれない。
クラウディアとクリスティナも、細かな喧嘩や諍いはあったが、概ね大きな波風を立てることもなく、友達がいない者同士のんびりと生活をしていたが。
ふたりが喧嘩をすると喜ぶ連中というものが存在するのである。
社交界と大して関わりの深くないパニアグア子爵領の人間なのだから、せいぜい娯楽として使い潰せばいい。これで仲が壊れるのならばそれまでだ。
皆が皆、エルベルトや王族のように彼女たちの実家の領の価値に気付いている者や、セシリオのように姉妹の仲を心配して口を挟むような人間ばかりではないのである。
「ご存じ? パニアグア姉妹の噂」
「ああ……妹のほうが姉の婚約者に横恋慕しているという噂?」
「それってセシリオ様?」
「気持ちはわかるわ……あれの婚約者がよりによって、ねえ……?」
「粗忽者と振る舞いに品があるセシリオ様だったら、そりゃセシリオ様になるでしょうね」
「姉のほうはどうなるのかしら?」
「さあ……? でもどうせ悲恋でしょう? だって、セシリオ様も妹も、継ぐものはなにもありませんもの」
「平民になりますの?」
「そこまでの度胸はないんではなくて?」
ひとつの目撃情報は、悪意をもって拡散されていく。余計なおまけで膨れ上がった悪意が学院内に蔓延するまで、そこまで時間はかからなかった。
これが社交界で生きる術を学ばされた王都出身の令嬢であったら、火消しのために別の噂を流すことで打ち消しただろうが、そもそも社交界と縁遠いパニアグア姉妹に、火消しの術はない。
その情報は、本来ならば当事者にもかかわらず、ほぼ名前が出ていないエルベルトのほうにまで流れてきていた。
「お前の婚約者大丈夫なのか?」
「さあな。今頃泣いてるかもしれないが」
フェンシング倶楽部の活動中に、部員にそう話を持ち掛けられて、エルベルトは心底面倒臭い、という顔をした。
王都出身の令嬢たちの陰険さは知ってはいたが、そこまで浅はかだったのかという呆れた顔になってしまったのだ。
「あれは、責任取って姉のほうの婚約者が収拾すべきだろ」
「エルベルト……婚約の話、ちゃんと姉妹としてきたほうがいいんじゃないか? あっちだって娘を行き遅れにするのは嫌だろうから、今の内に話をしてきたほうがいいだろ」
「……俺とあれでは、どだい婚姻なんて無理だろ」
エルベルトは苦虫を噛み潰したような顔をして見せた。
悪意を持って撒き散らされた噂と同じく、気持ちひとつでどうこうできないものが多過ぎる。
部員は呆れて息を吐いた。
「せめて慰めに行ってやったらどうだ?」
「それはどっちのほうだ?」
誰もそれに答える者はいなかった。
****
学院内に蔓延した噂ではあるが、クラウディアもクリスティナも、友達がいなかったために、本人たちに届くまでに時間がかかった。
遠巻きにされているために、直接しゃべることがなく、ふたりとも王都出身の令嬢と用事もないのに話しかけることもないため、気付くのに遅れたのである。
クラウディアはクリスティナの大学部進学の相談を、父に早馬を出してもらって手紙を送った。クリスティナの勤勉な性格を考えれば、勉強するのも申し分ないと思ったのである。
それと同時にクリスティナとエルベルトの婚約について、大学部進学の間だけでも待ってもらえないか、ドローレス辺境伯に詫び状を送ってもらえないかとも相談をしたためておいた。
(本当だったらエルベルトの直接相談したいところだけれど……エルベルトに直接言ったら、それを理由に婚約を破断にされてしまいそうで怖いものね……)
手紙の手配を終えたところで、寮に戻ろうとしたとき、廊下でセシリオが令嬢たちに取り囲まれているのが見えた。
今のクラウディアは、クリスティナのふりをしていないために、髪をひとつにまとめてしまっている。
「セシリオ様、面倒な方と婚姻を結んでしまって可哀想。我が家でしたら、そんな不幸なことは致しませんのに」
「セシリオ様でしたら、ぜひ我が家に入り婿でもかまいませんのに。面倒なことばかり押し付ける方は嫌ですわね」
「ずいぶんな噂が流れているようだけれど、僕はあの噂を信じてはいないよ?」
会話の内容を聞いていても、クラウディアはいまいちピンと来なかった。
(話が見えない……そもそも、人の婚約者に対してちょっかいをかけて、あの人たち恥ってものがないのかしら)
内容はさっぱりわからないが、王都出身の令嬢にしては品がないと判断し、クラウディアは声をかけることにした。
「あなた方、いい加減になさってください。セシリオは私の婚約者であり、婚約が決まっていないからと言って、好き勝手なさらないで」
クラウディアの日頃からのピシャリとした物言いに、セシリオに付きまとっていた令嬢たちがようやく彼女に顔を向ける。
日頃であったら、面倒臭いのが現れたとばかりにさっさと散るというのに、今日に限っては顔を歪めて笑うばかりであった。
「まあ……あなたは私たちに抗議するより先に、妹のほうに怒ったほうがよろしいのではなくて?」
「クリスに? あの子がなにもしてないというのに、どうして怒らなければならないの?」
「まあ……粗忽な方だとはご存じでしたが、おつむも緩い方とは思ってもみませんでした」
あからさまな侮蔑の言葉に、クラウディアはイラリとする。そして彼女たちとしゃべっていても埒が明かないと判断して、セシリオのほうに声をかける。
優柔不断ではあるが、彼はくだらない嘘だけはつかない。
「どういう意味なの?」
「……ここで話す意味はないと思うよ、クラウディア。向こうで少し話そうか」
「ここで話せることではなくて?」
「僕は、君たち姉妹が末永く仲睦まじくいて欲しいと思っているんだよ。悪意にさらしていいものではない」
いつものまどろっこしいセシリオの言葉で、またしても苛立ちが募りそうになったものの、令嬢たちを放置したほうがいいというのは、クラウディアも同意見だった。
彼女たちを廊下に放置してから、寮の中庭へと移動した。
普段であったら中庭のテーブルでお茶会のひとつでも行われていそうなものだが、今日は休日。寮に残っている者はごく一部なため、閑散として誰もいなかった。
「それで、いったいなんだっていうの?」
「どうにもね。君たちが入れ替わっているのを見て、難癖を付けている連中がいるらしいよ?」
「……はい?」
クラウディアは言葉を失った。
入れ替わっていても、誰も気付いていなかった。寮母はもとより、クラスメイトからも指摘を受けた覚えはなく、婚約者たちも自身の婚約者が姉妹のほうだと気付く素振りも見せていないと思っていたが。
「……セシリオは、私たちが入れ替わっていることに、気付いていたの?」
「いつも気付く訳ではないよ。最近入れ替わっていることに気付いたのは、クリスティアは僕に対して棘のある言葉をかけないから気付いただけで、全くしゃべらない、見た目だけだったら、僕だって難しかっただろうさ」
「……そう」
どうにもセシリオはパニアグア姉妹の区別を完全には付けられないようだった。
それを素直に喜べばいいのか、婚約者なのに見分けが付かないのかと言えばいいのか、クラウディアにもわからなかった。
「君のふりをしていたクリスティアの相談に乗っていただけだよ。どうもそれで彼女の気持ちを曲解した例があるみたいでねえ……」
「……困るわ、勝手なことをされては。クリスが大学部に行きたいって話を聞いてくれたこと、このことには感謝しているけれど、周りに好き勝手言われては、またクリスが登校できなくなってしまう」
「うん、君たちはそれでいいのかもしれないけどさ」
セシリオはにこやかに笑う。
「僕はクリスティアを甘やかす君も、甘えているクリスティアも、卒業前に姉妹離れできていなくってよくないと思うよ?」
1
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
いつか終わりがくるのなら
キムラましゅろう
恋愛
闘病の末に崩御した国王。
まだ幼い新国王を守るために組まれた婚姻で結ばれた、アンリエッタと幼き王エゼキエル。
それは誰もが知っている期間限定の婚姻で……
いずれ大国の姫か有力諸侯の娘と婚姻が組み直されると分かっていながら、エゼキエルとの日々を大切に過ごすアンリエッタ。
終わりが来る事が分かっているからこそ愛しくて優しい日々だった。
アンリエッタは思う、この優しく不器用な夫が幸せになれるように自分に出来る事、残せるものはなんだろうかを。
異世界が難病と指定する悪性誤字脱字病患者の執筆するお話です。
毎度の事ながら、誤字脱字にぶつかるとご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く可能性があります。
ご了承くださいませ。
完全ご都合主義、作者独自の異世界感、ノーリアリティノークオリティのお話です。菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。
小説家になろうさんでも投稿します。
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
知らぬはヒロインだけ
ネコフク
恋愛
「クエス様好きです!」婚約者が隣にいるのに告白する令嬢に唖然とするシスティアとクエスフィール。
告白してきた令嬢アリサは見目の良い高位貴族の子息ばかり粉をかけて回っていると有名な人物だった。
しかも「イベント」「システム」など訳が分からない事を言っているらしい。
そう、アリサは転生者。ここが乙女ゲームの世界で自分はヒロインだと思っている。
しかし彼女は知らない。他にも転生者がいることを。
※不定期連載です。毎日投稿する時もあれば日が開く事もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる