12 / 13
入れ替わりの果てにはなにがあるのか
5
しおりを挟む
エルベルトがクラウディアを見かけたのは、初等部に入学してしばらく経ってからのことである。
次期辺境伯として日々鍛錬を行っていたエルベルトは、騎士志望の少年たちの憧れの的であり、王都の流行を知らずとも、普通にやっていけた。
その日も皆で厩舎で馬の世話に行こうという話をしていた。馬は人を見る。子供であったら脅えを見抜かれたら最後、言うことを聞いてもらえないおそれもあるために、定期的に厩舎に出かけて馬に慣れ、乗馬の授業がはじまった頃には馬に脅えを見せないようにという練習であった。
皆で厩舎に向かっている中。
バタンッという大きな音が響き渡った。皆で振り返ると、栗色の長く真っ直ぐな髪の少女が、肩を大きく怒らせていた。翠色の瞳は怒りで燃えている。彼女が振り上げているのは分厚い本だ。そして彼女が見下ろしているのは、王都の有名人……というか王族の少年であった。
「うるさい! ゆうれいなんて知らない! わたしたちはにんげんだ!」
そう大きな声で怒鳴り声を上げた。
それをポカンとエルベルトは眺めていた。
「あの子は?」
「あー……たしか、となりのクラスのパニアグアの……どっちだろう」
「どっちだろうって」
「ふたごなんだよ。パニアグア姉妹って、入学してからかなり名が売れてたのに知らなかったのか?」
「ぜんぜん」
「あはは……エルベルトは武道ひとすじだもんなあ……」
実際に隣のクラスの話なんて、知らなくても生きていけるために特に気にしたことがなかった。友達のひとりは教えてくれた。
「『トッペルゲンガー紳士』って話がはやってたんだよ。王都だったら、だれでも知ってるってくらいに有名な話」
「おれは知らんぞ?」
「エルベルトはこうはだもんなあ……つづき。おなじ顔の紳士が王都で起こる事件をかいけつするって話だけど、それがはやっているところで、あのふたりが入学してきたんだよな。それでまあ……トッペルゲンガーって毎日言われ続けてたんだよ。毎日毎日からかわれてたら、そりゃおこる」
「そうか」
肩を怒らせて王族の少年を見下ろしていたパニアグアの少女の隣で、全く同じ容姿の少女がしくしくと泣いていた。あれだけ似通った顔をしていても、浮かべる表情が真逆だったことに、少しだけエルベルトは驚いた。
やがて騒ぎを聞きつけて、教師に連行されていくのをしばらく眺めていた。
エルベルトからしてみれば、王都出身の令嬢たちは静かなものだった。実際のところ、彼女たちはお手洗いや水飲み場で談笑しているのを見るが、エルベルトが通りかかるとさっと逃げるのだ。どうも彼女たちからしてみれば、辺境から来た人間が粗野で下品に見えるらしい。
そんな態度ばかり取られていたせいで、エルベルトは王都の令嬢というものに対していい気はしなかったが。
王族に立ち向かっていった少女はずいぶんと美しく見えたのだった。
思えば、これはエルベルトの初恋でありひと目惚れだったのだが、それに気付くまでには中等部まで待たなければならなかった。
彼が中等部に上がる直前、両親から話をされた。
「そろそろお前にも婚約者を宛がわなければならないのだけれど、学院にいいお嬢さんはいたかい?」
辺境伯領にまで連れ帰らなければならないのだから、条件としては紛争地帯で生活できるような胆力がある女性でなければならなかった。
そんなに毎日戦争をしている訳ではないが、隣国と小競り合いがはじまったら、辺境伯が数日留守にしなければならず、その間屋敷の世話や使用人たちの管理、領民たちをなだめすかすのは女主人の役目である。
いくら花嫁修業を積んでいようと、王都で華やかな平和な生活を送っているような令嬢ではいささか荷が重く、さりとて各領主の娘であったら、土地や爵位を婿を取って継がなければならない場合も多いために、婚約者捜しは難航しそうに思えたが。
エルベルトの頭に浮かんだのは、初等学校時代に一度だけ見かけた栗色の髪の少女であった。
「……パニアグアの」
「パニアグア? ああ……あの薬草で有名な子爵領の」
「あそこは双子だから、ひとりくらいこちらに呼んでも問題ないと思う」
「ああ! ならばすぐに連絡を!」
父は喜んで連絡をしてくれたが、このときエルベルトは致命的なミスを犯していることを知らなかった。
……彼はパニアグア子爵の子供は、双子の姉妹を除いてはいないということを、この時点では知らなかったのである。
やがて、一度顔合わせの席を設けられ、一度パニアグア子爵領に出かけていったのだが。
そこで顔合わせの席で出会った少女の顔を見て、ようやくエルベルトは間違えたということに気付いた。
彼女は心底脅えきった顔をして、ほとんど視線を合わせることができなかった。控えめと言えば聞こえがいいが、どちらかというと怖がりとかあがり症とかいう類のものであった。
「……あ、あのう」
「なんだ」
「……わ、私たち、婚約するんですよね……その、結婚したら、辺境伯領に行かなければならないんですよね……」
「そうなるな」
彼女は脅えながらも、なにかを言おうとしているが、どうにも要領を得なかった。
エルベルトはどうしたものかと考えてしまった。彼女はたしかに同じ髪の色、同じ瞳の色をしているが、態度が全然違うのだ。
しかし父の手前、「間違えた」と言い出すこともできなかった上、目の前の暫定婚約者から、とんでもないことを言われてしまった。
「……あの、もし結婚した場合、お姉様に会いに行くのは、駄目でしょうか…………?」
「お姉様に会いに? どこに?」
「あ、ここにです。お姉様……既に婚約なさってますので……我が家に婿を取って、後を継ぐんです」
そこでようやく、エルベルトは自身の胸が軋んだことに気付いた。
(そうか……俺が惚れていたのは、姉のほうか……)
長い髪を靡かせ、おっとりとたおやかにしているのが目の前の婚約者……クリスティナであった。彼女のようなたたずまいは、王都であったらさぞ深窓の令嬢として持てはやされていただろうが、残念ながらその王都風が理解できないエルベルトには、風が吹いたら折れそうにしか見えなかった。
風が吹いても真っ直ぐに立っているのは、あのときに王族に手を挙げた姉のほうであった。
少しだけがっかりした顔で、父と共に帰ろうとした中。
「クリス、顔合わせはどうだった?」
先程顔合わせを行った中庭に、誰かがやってきたのが見えた。
そこでエルベルトは目を奪われた。
記憶の中の肩を怒らせていた少女は、美しく羽化していた。
長く真っ直ぐな髪を、彼女はひとつにまとめて編み上げていた。首元が涼しげで、彼女が姿勢良く立つ際に背中の美しさをより強調させているようだった。
「……私、緊張してしまって、上手く話せませんでした」
「婚約者と会うことなんて、きっと誰だってそういうことなんだわ。私だって全然上手く話せなかったもの」
「そんなことありませんよ。お姉様は立派だったと思います」
ふたりで笑いながらしゃべっていると、似ているのに違う花がそれぞれ咲いているように見える。
先程までしゃべっていたクリスティナの周りには、白くふんわりとした八重咲きのカーネーションが咲いているように思えるのに対し。
彼女としゃべっているクラウディアの周りには、おおらかな大輪を、真っ直ぐな姿勢で誇る白百合が見えるのだ。
(……もう、婚約しているんだったな)
そうひどく残念に思っていた。
彼女とはクラスも離れているし、取っている授業も違う。合同授業ですら会うこともないだろうと高を括って、どうにか初恋を忘れようとしていたが。
同じクラスであるクリスティナのふりをして、たびたびクラウディアが教室に訪れていることに気付いた。
最初は「見間違えだろう」と思って、なかったことにしていたし、実際に教師すらクラウディアがクリスティナの代わりに授業に出ていることを指摘すらしなかったが。彼女はクリスティナのふりをしているものの、彼女はなにかあったらすぐに視線を反らすというのに、彼女は人を射貫くような目で真っ直ぐに見る。よくも悪くも素直が過ぎて、彼女は腹芸ができないことに気付いた。
彼女と婚約しているセシリオは、王都の中でも有数の貴族であり、処世術が上手い性質なため、彼に任せていれば彼女は腹芸をせずともよかったが。直情的が過ぎる彼女は、セシリオとは上手くやっていないとは、友達から聞いた。
そして、そのセシリオはクリスティナに優しいことは、遠くから眺めていてなんとなく察していた。
直情的が過ぎて、腹芸をせねばならない当主に向いていないクラウディア。
勉強が好きで、本当だったら辺境伯領に行くよりも大学部に行きたいクリスティナ。
そして馬が合う婚約者が真逆。
(……なんだ、それ。我慢する必要、なくないか?)
そのことに、エルベルトは気付いてしまったのである。
クリスティナのふりをしているクラウディアは、妹の婚約者を見張る名目でなにかにつけて声をかけてくるが、それはセシリオに色目を使ってくる令嬢たちとなにが違うのか、エルベルトにはわからなかった。これが他の令嬢であればもっとぞんざいに扱っていただろうが、エルベルトはとことんクラウディアには甘かった。しかし情緒の育っていない彼女は、恋がわかってはいないようだった。
彼女の恋が育つのを待とうかとも思っていたが。彼女が泣いているのを見て、それも止めた。
惚れた女の泣き顔には、淡泊を気取っていた彼も弱かったのである。
「クラウディアを俺にくれ」
「………………はあ?」「………………はい?」
それで全て丸く治まると、そう考えたのだった。
次期辺境伯として日々鍛錬を行っていたエルベルトは、騎士志望の少年たちの憧れの的であり、王都の流行を知らずとも、普通にやっていけた。
その日も皆で厩舎で馬の世話に行こうという話をしていた。馬は人を見る。子供であったら脅えを見抜かれたら最後、言うことを聞いてもらえないおそれもあるために、定期的に厩舎に出かけて馬に慣れ、乗馬の授業がはじまった頃には馬に脅えを見せないようにという練習であった。
皆で厩舎に向かっている中。
バタンッという大きな音が響き渡った。皆で振り返ると、栗色の長く真っ直ぐな髪の少女が、肩を大きく怒らせていた。翠色の瞳は怒りで燃えている。彼女が振り上げているのは分厚い本だ。そして彼女が見下ろしているのは、王都の有名人……というか王族の少年であった。
「うるさい! ゆうれいなんて知らない! わたしたちはにんげんだ!」
そう大きな声で怒鳴り声を上げた。
それをポカンとエルベルトは眺めていた。
「あの子は?」
「あー……たしか、となりのクラスのパニアグアの……どっちだろう」
「どっちだろうって」
「ふたごなんだよ。パニアグア姉妹って、入学してからかなり名が売れてたのに知らなかったのか?」
「ぜんぜん」
「あはは……エルベルトは武道ひとすじだもんなあ……」
実際に隣のクラスの話なんて、知らなくても生きていけるために特に気にしたことがなかった。友達のひとりは教えてくれた。
「『トッペルゲンガー紳士』って話がはやってたんだよ。王都だったら、だれでも知ってるってくらいに有名な話」
「おれは知らんぞ?」
「エルベルトはこうはだもんなあ……つづき。おなじ顔の紳士が王都で起こる事件をかいけつするって話だけど、それがはやっているところで、あのふたりが入学してきたんだよな。それでまあ……トッペルゲンガーって毎日言われ続けてたんだよ。毎日毎日からかわれてたら、そりゃおこる」
「そうか」
肩を怒らせて王族の少年を見下ろしていたパニアグアの少女の隣で、全く同じ容姿の少女がしくしくと泣いていた。あれだけ似通った顔をしていても、浮かべる表情が真逆だったことに、少しだけエルベルトは驚いた。
やがて騒ぎを聞きつけて、教師に連行されていくのをしばらく眺めていた。
エルベルトからしてみれば、王都出身の令嬢たちは静かなものだった。実際のところ、彼女たちはお手洗いや水飲み場で談笑しているのを見るが、エルベルトが通りかかるとさっと逃げるのだ。どうも彼女たちからしてみれば、辺境から来た人間が粗野で下品に見えるらしい。
そんな態度ばかり取られていたせいで、エルベルトは王都の令嬢というものに対していい気はしなかったが。
王族に立ち向かっていった少女はずいぶんと美しく見えたのだった。
思えば、これはエルベルトの初恋でありひと目惚れだったのだが、それに気付くまでには中等部まで待たなければならなかった。
彼が中等部に上がる直前、両親から話をされた。
「そろそろお前にも婚約者を宛がわなければならないのだけれど、学院にいいお嬢さんはいたかい?」
辺境伯領にまで連れ帰らなければならないのだから、条件としては紛争地帯で生活できるような胆力がある女性でなければならなかった。
そんなに毎日戦争をしている訳ではないが、隣国と小競り合いがはじまったら、辺境伯が数日留守にしなければならず、その間屋敷の世話や使用人たちの管理、領民たちをなだめすかすのは女主人の役目である。
いくら花嫁修業を積んでいようと、王都で華やかな平和な生活を送っているような令嬢ではいささか荷が重く、さりとて各領主の娘であったら、土地や爵位を婿を取って継がなければならない場合も多いために、婚約者捜しは難航しそうに思えたが。
エルベルトの頭に浮かんだのは、初等学校時代に一度だけ見かけた栗色の髪の少女であった。
「……パニアグアの」
「パニアグア? ああ……あの薬草で有名な子爵領の」
「あそこは双子だから、ひとりくらいこちらに呼んでも問題ないと思う」
「ああ! ならばすぐに連絡を!」
父は喜んで連絡をしてくれたが、このときエルベルトは致命的なミスを犯していることを知らなかった。
……彼はパニアグア子爵の子供は、双子の姉妹を除いてはいないということを、この時点では知らなかったのである。
やがて、一度顔合わせの席を設けられ、一度パニアグア子爵領に出かけていったのだが。
そこで顔合わせの席で出会った少女の顔を見て、ようやくエルベルトは間違えたということに気付いた。
彼女は心底脅えきった顔をして、ほとんど視線を合わせることができなかった。控えめと言えば聞こえがいいが、どちらかというと怖がりとかあがり症とかいう類のものであった。
「……あ、あのう」
「なんだ」
「……わ、私たち、婚約するんですよね……その、結婚したら、辺境伯領に行かなければならないんですよね……」
「そうなるな」
彼女は脅えながらも、なにかを言おうとしているが、どうにも要領を得なかった。
エルベルトはどうしたものかと考えてしまった。彼女はたしかに同じ髪の色、同じ瞳の色をしているが、態度が全然違うのだ。
しかし父の手前、「間違えた」と言い出すこともできなかった上、目の前の暫定婚約者から、とんでもないことを言われてしまった。
「……あの、もし結婚した場合、お姉様に会いに行くのは、駄目でしょうか…………?」
「お姉様に会いに? どこに?」
「あ、ここにです。お姉様……既に婚約なさってますので……我が家に婿を取って、後を継ぐんです」
そこでようやく、エルベルトは自身の胸が軋んだことに気付いた。
(そうか……俺が惚れていたのは、姉のほうか……)
長い髪を靡かせ、おっとりとたおやかにしているのが目の前の婚約者……クリスティナであった。彼女のようなたたずまいは、王都であったらさぞ深窓の令嬢として持てはやされていただろうが、残念ながらその王都風が理解できないエルベルトには、風が吹いたら折れそうにしか見えなかった。
風が吹いても真っ直ぐに立っているのは、あのときに王族に手を挙げた姉のほうであった。
少しだけがっかりした顔で、父と共に帰ろうとした中。
「クリス、顔合わせはどうだった?」
先程顔合わせを行った中庭に、誰かがやってきたのが見えた。
そこでエルベルトは目を奪われた。
記憶の中の肩を怒らせていた少女は、美しく羽化していた。
長く真っ直ぐな髪を、彼女はひとつにまとめて編み上げていた。首元が涼しげで、彼女が姿勢良く立つ際に背中の美しさをより強調させているようだった。
「……私、緊張してしまって、上手く話せませんでした」
「婚約者と会うことなんて、きっと誰だってそういうことなんだわ。私だって全然上手く話せなかったもの」
「そんなことありませんよ。お姉様は立派だったと思います」
ふたりで笑いながらしゃべっていると、似ているのに違う花がそれぞれ咲いているように見える。
先程までしゃべっていたクリスティナの周りには、白くふんわりとした八重咲きのカーネーションが咲いているように思えるのに対し。
彼女としゃべっているクラウディアの周りには、おおらかな大輪を、真っ直ぐな姿勢で誇る白百合が見えるのだ。
(……もう、婚約しているんだったな)
そうひどく残念に思っていた。
彼女とはクラスも離れているし、取っている授業も違う。合同授業ですら会うこともないだろうと高を括って、どうにか初恋を忘れようとしていたが。
同じクラスであるクリスティナのふりをして、たびたびクラウディアが教室に訪れていることに気付いた。
最初は「見間違えだろう」と思って、なかったことにしていたし、実際に教師すらクラウディアがクリスティナの代わりに授業に出ていることを指摘すらしなかったが。彼女はクリスティナのふりをしているものの、彼女はなにかあったらすぐに視線を反らすというのに、彼女は人を射貫くような目で真っ直ぐに見る。よくも悪くも素直が過ぎて、彼女は腹芸ができないことに気付いた。
彼女と婚約しているセシリオは、王都の中でも有数の貴族であり、処世術が上手い性質なため、彼に任せていれば彼女は腹芸をせずともよかったが。直情的が過ぎる彼女は、セシリオとは上手くやっていないとは、友達から聞いた。
そして、そのセシリオはクリスティナに優しいことは、遠くから眺めていてなんとなく察していた。
直情的が過ぎて、腹芸をせねばならない当主に向いていないクラウディア。
勉強が好きで、本当だったら辺境伯領に行くよりも大学部に行きたいクリスティナ。
そして馬が合う婚約者が真逆。
(……なんだ、それ。我慢する必要、なくないか?)
そのことに、エルベルトは気付いてしまったのである。
クリスティナのふりをしているクラウディアは、妹の婚約者を見張る名目でなにかにつけて声をかけてくるが、それはセシリオに色目を使ってくる令嬢たちとなにが違うのか、エルベルトにはわからなかった。これが他の令嬢であればもっとぞんざいに扱っていただろうが、エルベルトはとことんクラウディアには甘かった。しかし情緒の育っていない彼女は、恋がわかってはいないようだった。
彼女の恋が育つのを待とうかとも思っていたが。彼女が泣いているのを見て、それも止めた。
惚れた女の泣き顔には、淡泊を気取っていた彼も弱かったのである。
「クラウディアを俺にくれ」
「………………はあ?」「………………はい?」
それで全て丸く治まると、そう考えたのだった。
2
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
いつか終わりがくるのなら
キムラましゅろう
恋愛
闘病の末に崩御した国王。
まだ幼い新国王を守るために組まれた婚姻で結ばれた、アンリエッタと幼き王エゼキエル。
それは誰もが知っている期間限定の婚姻で……
いずれ大国の姫か有力諸侯の娘と婚姻が組み直されると分かっていながら、エゼキエルとの日々を大切に過ごすアンリエッタ。
終わりが来る事が分かっているからこそ愛しくて優しい日々だった。
アンリエッタは思う、この優しく不器用な夫が幸せになれるように自分に出来る事、残せるものはなんだろうかを。
異世界が難病と指定する悪性誤字脱字病患者の執筆するお話です。
毎度の事ながら、誤字脱字にぶつかるとご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く可能性があります。
ご了承くださいませ。
完全ご都合主義、作者独自の異世界感、ノーリアリティノークオリティのお話です。菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。
小説家になろうさんでも投稿します。
『有能すぎる王太子秘書官、馬鹿がいいと言われ婚約破棄されましたが、国を賢者にして去ります』
しおしお
恋愛
王太子の秘書官として、陰で国政を支えてきたアヴェンタドール。
どれほど杜撰な政策案でも整え、形にし、成果へ導いてきたのは彼女だった。
しかし王太子エリシオンは、その功績に気づくことなく、
「女は馬鹿なくらいがいい」
という傲慢な理由で婚約破棄を言い渡す。
出しゃばりすぎる女は、妃に相応しくない――
そう断じられ、王宮から追い出された彼女を待っていたのは、
さらに危険な第二王子の婚約話と、国家を揺るがす陰謀だった。
王太子は無能さを露呈し、
第二王子は野心のために手段を選ばない。
そして隣国と帝国の影が、静かに国を包囲していく。
ならば――
関わらないために、関わるしかない。
アヴェンタドールは王国を救うため、
政治の最前線に立つことを選ぶ。
だがそれは、権力を欲したからではない。
国を“賢く”して、
自分がいなくても回るようにするため。
有能すぎたがゆえに切り捨てられた一人の女性が、
ざまぁの先で選んだのは、復讐でも栄光でもない、
静かな勝利だった。
---
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
知らぬはヒロインだけ
ネコフク
恋愛
「クエス様好きです!」婚約者が隣にいるのに告白する令嬢に唖然とするシスティアとクエスフィール。
告白してきた令嬢アリサは見目の良い高位貴族の子息ばかり粉をかけて回っていると有名な人物だった。
しかも「イベント」「システム」など訳が分からない事を言っているらしい。
そう、アリサは転生者。ここが乙女ゲームの世界で自分はヒロインだと思っている。
しかし彼女は知らない。他にも転生者がいることを。
※不定期連載です。毎日投稿する時もあれば日が開く事もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる