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故郷
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長瀬は帳と話を終え、「とりあえずここでいろいろ手配してもらう訳だし、礼と言っちゃ難だけれど、ご飯食べてく?」と誠に提案される。長瀬は困った顔で髪を揺らした。
「ここの方々の食料を取ることにはなりませんか?」
「それは大丈夫。避難してったここの住民がたびたび粗大ゴミに紛れて食料置いてってくれるからさ」
粗大ゴミを勝手に捨てていく人の中には、封鎖地区の人々を助けるという意味もあったらしい。帳は「俺ぁいい」と全く動く気配がなかったため、長瀬は誠と一緒に昔懐かしい面影の道を歩いていた。
アスファルトの舗装は剥がれていても、そこを割ってたんぽぽの茎が見えたり、オシロイバナが生えていたり、どことなく逞しさが垣間見られる。
その先で、ボロボロの服を貼り付けた蛍と一緒に真壁がいるのが見えた。手袋越しにおにぎりを食べている。
「あ……真壁さん、先程ロボットと戦ってたみたいですけど」
「周期で現れると言っていた。そっちは?」
「……ちょっとここでお話するような内容ではありませんので、本部に持ち帰らせてください。あと。保護者の方々から許可いただけましたので、蛍くんを一度本部に連れ帰らせてください」
「だそうだ。蛍」
「えー」
蛍はあからさまに嫌な顔で、長瀬を睨む。長瀬は困った顔で蛍を見つめ返した。
「さすがに人体発火して服をずっと駄目にし続けるのは無理があるから、うちの偉い人に服の調達をしてもらうから……もし君のことを実験しようとするんだったら私が止めますしさせません」
「それでも巧兄ちゃんは実験台にしたでしょうが」
「……それは、私もまだ知らなかった頃に行われたことだけれど。ごめんなさい」
「信用できない」
蛍があからさまに警戒心で髪の毛を膨らませるので、誠が「ほーたーるー」とぐにぐにと頬をつねった。
「やめてったら誠兄ちゃんも」
「服もらってきな。まあ、長瀬ちゃんはそこまで嫌なことはしないでしょ。巧と上手くやってけるような子だしさあ」
「えー……というかさあ、誠兄ちゃんもちょっと女出てきたらすぐ鼻の下伸ばすし、デレるの早過ぎない?」
「そんなことないったら。巧のこと、マジでなんにも聞き出そうとしなかったし。だから大丈夫でしょ」
そう言いながら、誠は「ちょっとおばちゃんたちから炊き出しもらってくる!」と言って出て行った。
外からだともっとボロボロに見え、瓦礫も未だに完全に撤去できていないというのに。中では皆、寸胴鍋を持ってきてはそれで外からの寄付を集めて料理をし、なんとか水道とソーラーパネルを駆使して営みを続けている。
あまりにも逞しい生き方に、思わず長瀬は目を細めた。
やがて誠が「オッケー、できたって!」と呼んでもらい、歩いた先。
「あらぁ、若いお嬢さんがこんなところに来るなんてね!」
「真壁の坊ちゃんもお久しぶり。これ食べる?」
「俺はもういい。こいつにやってくれ」
「けんちん汁。よろしかったらどうぞ!」
「いただきます……おいしい」
長瀬はここの食料と調味料、生活用品一式の寄付の打診を考えながら、けんちん汁をいただいた。そして本当に初めて固形物を食べる真壁の横顔を盗み見ていた。
故郷に帰ってきた真壁は、いつもよりも険しい色が取れている。それがいいことか悪いことかは長瀬にはわからなかったが。どのみち龍脈の話やら、この土地を外宇宙の面々に奪われたおしまいなことやら、大河三兄弟の件やらを全て上に報告しないといけないのだから、頭が痛かった。
どう伝えればいいのかと、そう悩みながらお椀を傾けた。この場にあるもので必死につくったけんちん汁は、旨味調味料の味が主張し過ぎるものの、少し冷えた空気にはちょうどいい旨さがあった。
****
「この土地は、未だに屈服しない。適合しているはずなのに、我ら同胞の力を奪って、乗っ取って……」
声色はたしかに人間のもののはずなのに、人間の声帯からはありえない金属音が、しゃべるたびに反響していた。こんな音、人間から出ていいものではない。
美貌の青年の髪は、日本人にそぐわぬ真っ白な髪をしていた。それどころか髪の毛一本一本が人毛とは程遠い、硬化した得体の知れない物質へと変わっていた。
纏っているのは、まるで中世の鎧のような硬化した物体。異形体の中にはときおり鎧やレオタードを纏ったような姿をしているものがいるが、彼らは人間の姿のままその姿を取っているのだから、見ているとだんだんと頭がおかしくなったような感覚に陥る。
地球人の姿に限りなく近いのに、彼らの声は人間のものとは認めてはいけない。彼らの髪を人毛と認めてはいけない。彼らの姿を人間の服と認めてはいけない。頭にずっとアラートが鳴り響くような、そんな違和感がずっと付きまとうのだ。
「でもこの土地はこの星のコアに限りなく近い。ここを深化させて育めば、いずれ我らの故郷に近くなる」
「この星は美しいが……このままでは我々は住めない」
「この星がこれ以上汚れる前に、我らの星へと深化させ、調和させねばならぬのに、この星の住民はただ闇雲に邪魔をする」
ふたりの青年は、しゃべっているようで会話になっていなかった。まるで互いの言いたいことを全て予見しているかのように、勝手に言葉を並べていく。それが繋がって聞こえているだけだ。
「だが、我々三人はここに無事に降り立つことができた。同胞が少ないのが心許ないし、この星に深化しかけた者たちは、何故か皆むやみに封印される。嘆かわしい」
「邪魔する者は排除せよ」
「邪魔する者は排除せよ」
「邪魔する者は排除せよ」
繰り返しになるが、青年たちはしゃべっていない。
彼らはシンパシー能力で、互いの言葉がわかっているから、ふたりとも好き勝手にしゃべっていれば勝手に意図が通じているだけだ。それこそが、外宇宙人が地球人と相容れない部分なのだが、彼らは根本的にそれをわかってはいない。
そんなふたりを黙って見つめている少年がいた。
彼もまた、美しい造形を誇り、人毛とは言えない硬化した髪を生やしている少年だったが、その体はプランとぶら下がっていた。具体的に言えば、寝台に転がって、ただふたりがしゃべっているのを眺めているばかりだった。彼の服は鎧ではなく、まるで硬化した寝間着のようなものを着ていた。
「……駄目ですよ、兄様たち……もうちょっと、この星の方に優しくなれませんか?」
「おはようございます、ドリフォーロス。もうちょっとだけ休んでいなさい」
長髪の青年はふっと笑ってドリフォーロスと呼ばれた少年を寝かしつけた。あまりに人間離れした相貌だが、弟に向ける慈しみに瞳だけは地球人と変わらないものだった。寝かしつけられたドリフォーロスは小さく首を振る。
「違います、ガラクシアス兄様……こんな方法じゃ、この星の方々が話を聞いてくれる訳ないじゃないですか……抵抗するに決まっています」
「ガラクシアス。おそらくドリフォーロスは地球人の体に引っ張られている。弱い体だったからな」
ガラクシアスとシンパシー能力でしゃべっていた青年が、慈しみの目でドリフォーロスを見ながらも、硬い口調でそう進言すると、「そうですね……」とガラクシアスが目を伏せた。
「ドリフォーロス、あなたはなにも心配する必要はありません。ちゃんとこの星を、我らの星と同じように住みよい環境に整えますから、ね?」
「ゆっくり休め、ドリフォーロス。俺たちがこの星を変えよう」
「でも……ガラクシアス兄様、プラニーティス兄様……それが原因で、僕たちの星は滅んだのでしょう?」
最後までドリフォーロスが言葉を紡ぐことはできなかった。プラニーティスと呼ばれた騎士然とした青年により、手刀で落とされて気絶してしまったからだ。それをガラクシアスが窘める。
「おやめなさい、プラニーティス。ドリフォーロスは夢見が悪いだけですから」
「……我らが肉体を失い、新たに意思疎通のできる肉体を得ても不便なものだな。このままオーパーツとして顕現していたほうがまだマシだったようにも思えるが」
「でもオーパーツだけではシンパシーで話をしてもまとまらないでしょう? この星の現地民のスペックに依存してしまうのは難点ですが、それもこの星の深化が進めば解決するはずです」
「……そうだな。この土地の住民が抵抗を重ねても、それは無意味だ。勝者は我らだ」
「ええ。この星をいただきます」
悪意のない悪意だった。
彼らからしてみれば、遠路はるばるやってきたこの星を住みよい環境に変えてなにが悪いと言いたいところだろうが、この星……正確には一国の封鎖地区……に住まう人間からは迷惑以外の何物でもない。
ただ彼らが同化してしまった肉体は、それぞれがとんでもない大物なため、こんなものをニュースで大々的に取り上げる訳にも、ネットで拡散される訳にもいかなかった。また外宇宙人たちのやろうとしていることも、公に公表される訳にはいかなかった。すればたちまちパニック状態に陥る。
現総理ほど、オーパーツ対策に積極的に動き、民間人を守ろうと動く政治家はいなかった。彼が失脚すればたちまちオーパーツ対策も暗証に乗り出す。それどころか、異形体だけでなく、人間のまま異能力に目覚めてしまった異能者たちの人権だって危うい……全員地球の敵と見なして殺されてしまうか、全員外宇宙の脅威の対抗手段として、解剖などの人体実験の生け贄になるかのいずれかになってしまう。
人は恐慌状態に陥ったら、たちまち自己正当化と他責に走る。弱い者が踏みにじられ、自分は可哀想だと正当化した者たちによって食い潰されてしまう。
オーパーツ対策において、それだけは絶対にしてはいけないことだった。
だからこそ、彼らに決断が迫られていた。
この土地を守るか、見捨てるか。
この兄弟を殺すか、見なかったことにするか。
それが、この星の命運を左右する。
「ここの方々の食料を取ることにはなりませんか?」
「それは大丈夫。避難してったここの住民がたびたび粗大ゴミに紛れて食料置いてってくれるからさ」
粗大ゴミを勝手に捨てていく人の中には、封鎖地区の人々を助けるという意味もあったらしい。帳は「俺ぁいい」と全く動く気配がなかったため、長瀬は誠と一緒に昔懐かしい面影の道を歩いていた。
アスファルトの舗装は剥がれていても、そこを割ってたんぽぽの茎が見えたり、オシロイバナが生えていたり、どことなく逞しさが垣間見られる。
その先で、ボロボロの服を貼り付けた蛍と一緒に真壁がいるのが見えた。手袋越しにおにぎりを食べている。
「あ……真壁さん、先程ロボットと戦ってたみたいですけど」
「周期で現れると言っていた。そっちは?」
「……ちょっとここでお話するような内容ではありませんので、本部に持ち帰らせてください。あと。保護者の方々から許可いただけましたので、蛍くんを一度本部に連れ帰らせてください」
「だそうだ。蛍」
「えー」
蛍はあからさまに嫌な顔で、長瀬を睨む。長瀬は困った顔で蛍を見つめ返した。
「さすがに人体発火して服をずっと駄目にし続けるのは無理があるから、うちの偉い人に服の調達をしてもらうから……もし君のことを実験しようとするんだったら私が止めますしさせません」
「それでも巧兄ちゃんは実験台にしたでしょうが」
「……それは、私もまだ知らなかった頃に行われたことだけれど。ごめんなさい」
「信用できない」
蛍があからさまに警戒心で髪の毛を膨らませるので、誠が「ほーたーるー」とぐにぐにと頬をつねった。
「やめてったら誠兄ちゃんも」
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「えー……というかさあ、誠兄ちゃんもちょっと女出てきたらすぐ鼻の下伸ばすし、デレるの早過ぎない?」
「そんなことないったら。巧のこと、マジでなんにも聞き出そうとしなかったし。だから大丈夫でしょ」
そう言いながら、誠は「ちょっとおばちゃんたちから炊き出しもらってくる!」と言って出て行った。
外からだともっとボロボロに見え、瓦礫も未だに完全に撤去できていないというのに。中では皆、寸胴鍋を持ってきてはそれで外からの寄付を集めて料理をし、なんとか水道とソーラーパネルを駆使して営みを続けている。
あまりにも逞しい生き方に、思わず長瀬は目を細めた。
やがて誠が「オッケー、できたって!」と呼んでもらい、歩いた先。
「あらぁ、若いお嬢さんがこんなところに来るなんてね!」
「真壁の坊ちゃんもお久しぶり。これ食べる?」
「俺はもういい。こいつにやってくれ」
「けんちん汁。よろしかったらどうぞ!」
「いただきます……おいしい」
長瀬はここの食料と調味料、生活用品一式の寄付の打診を考えながら、けんちん汁をいただいた。そして本当に初めて固形物を食べる真壁の横顔を盗み見ていた。
故郷に帰ってきた真壁は、いつもよりも険しい色が取れている。それがいいことか悪いことかは長瀬にはわからなかったが。どのみち龍脈の話やら、この土地を外宇宙の面々に奪われたおしまいなことやら、大河三兄弟の件やらを全て上に報告しないといけないのだから、頭が痛かった。
どう伝えればいいのかと、そう悩みながらお椀を傾けた。この場にあるもので必死につくったけんちん汁は、旨味調味料の味が主張し過ぎるものの、少し冷えた空気にはちょうどいい旨さがあった。
****
「この土地は、未だに屈服しない。適合しているはずなのに、我ら同胞の力を奪って、乗っ取って……」
声色はたしかに人間のもののはずなのに、人間の声帯からはありえない金属音が、しゃべるたびに反響していた。こんな音、人間から出ていいものではない。
美貌の青年の髪は、日本人にそぐわぬ真っ白な髪をしていた。それどころか髪の毛一本一本が人毛とは程遠い、硬化した得体の知れない物質へと変わっていた。
纏っているのは、まるで中世の鎧のような硬化した物体。異形体の中にはときおり鎧やレオタードを纏ったような姿をしているものがいるが、彼らは人間の姿のままその姿を取っているのだから、見ているとだんだんと頭がおかしくなったような感覚に陥る。
地球人の姿に限りなく近いのに、彼らの声は人間のものとは認めてはいけない。彼らの髪を人毛と認めてはいけない。彼らの姿を人間の服と認めてはいけない。頭にずっとアラートが鳴り響くような、そんな違和感がずっと付きまとうのだ。
「でもこの土地はこの星のコアに限りなく近い。ここを深化させて育めば、いずれ我らの故郷に近くなる」
「この星は美しいが……このままでは我々は住めない」
「この星がこれ以上汚れる前に、我らの星へと深化させ、調和させねばならぬのに、この星の住民はただ闇雲に邪魔をする」
ふたりの青年は、しゃべっているようで会話になっていなかった。まるで互いの言いたいことを全て予見しているかのように、勝手に言葉を並べていく。それが繋がって聞こえているだけだ。
「だが、我々三人はここに無事に降り立つことができた。同胞が少ないのが心許ないし、この星に深化しかけた者たちは、何故か皆むやみに封印される。嘆かわしい」
「邪魔する者は排除せよ」
「邪魔する者は排除せよ」
「邪魔する者は排除せよ」
繰り返しになるが、青年たちはしゃべっていない。
彼らはシンパシー能力で、互いの言葉がわかっているから、ふたりとも好き勝手にしゃべっていれば勝手に意図が通じているだけだ。それこそが、外宇宙人が地球人と相容れない部分なのだが、彼らは根本的にそれをわかってはいない。
そんなふたりを黙って見つめている少年がいた。
彼もまた、美しい造形を誇り、人毛とは言えない硬化した髪を生やしている少年だったが、その体はプランとぶら下がっていた。具体的に言えば、寝台に転がって、ただふたりがしゃべっているのを眺めているばかりだった。彼の服は鎧ではなく、まるで硬化した寝間着のようなものを着ていた。
「……駄目ですよ、兄様たち……もうちょっと、この星の方に優しくなれませんか?」
「おはようございます、ドリフォーロス。もうちょっとだけ休んでいなさい」
長髪の青年はふっと笑ってドリフォーロスと呼ばれた少年を寝かしつけた。あまりに人間離れした相貌だが、弟に向ける慈しみに瞳だけは地球人と変わらないものだった。寝かしつけられたドリフォーロスは小さく首を振る。
「違います、ガラクシアス兄様……こんな方法じゃ、この星の方々が話を聞いてくれる訳ないじゃないですか……抵抗するに決まっています」
「ガラクシアス。おそらくドリフォーロスは地球人の体に引っ張られている。弱い体だったからな」
ガラクシアスとシンパシー能力でしゃべっていた青年が、慈しみの目でドリフォーロスを見ながらも、硬い口調でそう進言すると、「そうですね……」とガラクシアスが目を伏せた。
「ドリフォーロス、あなたはなにも心配する必要はありません。ちゃんとこの星を、我らの星と同じように住みよい環境に整えますから、ね?」
「ゆっくり休め、ドリフォーロス。俺たちがこの星を変えよう」
「でも……ガラクシアス兄様、プラニーティス兄様……それが原因で、僕たちの星は滅んだのでしょう?」
最後までドリフォーロスが言葉を紡ぐことはできなかった。プラニーティスと呼ばれた騎士然とした青年により、手刀で落とされて気絶してしまったからだ。それをガラクシアスが窘める。
「おやめなさい、プラニーティス。ドリフォーロスは夢見が悪いだけですから」
「……我らが肉体を失い、新たに意思疎通のできる肉体を得ても不便なものだな。このままオーパーツとして顕現していたほうがまだマシだったようにも思えるが」
「でもオーパーツだけではシンパシーで話をしてもまとまらないでしょう? この星の現地民のスペックに依存してしまうのは難点ですが、それもこの星の深化が進めば解決するはずです」
「……そうだな。この土地の住民が抵抗を重ねても、それは無意味だ。勝者は我らだ」
「ええ。この星をいただきます」
悪意のない悪意だった。
彼らからしてみれば、遠路はるばるやってきたこの星を住みよい環境に変えてなにが悪いと言いたいところだろうが、この星……正確には一国の封鎖地区……に住まう人間からは迷惑以外の何物でもない。
ただ彼らが同化してしまった肉体は、それぞれがとんでもない大物なため、こんなものをニュースで大々的に取り上げる訳にも、ネットで拡散される訳にもいかなかった。また外宇宙人たちのやろうとしていることも、公に公表される訳にはいかなかった。すればたちまちパニック状態に陥る。
現総理ほど、オーパーツ対策に積極的に動き、民間人を守ろうと動く政治家はいなかった。彼が失脚すればたちまちオーパーツ対策も暗証に乗り出す。それどころか、異形体だけでなく、人間のまま異能力に目覚めてしまった異能者たちの人権だって危うい……全員地球の敵と見なして殺されてしまうか、全員外宇宙の脅威の対抗手段として、解剖などの人体実験の生け贄になるかのいずれかになってしまう。
人は恐慌状態に陥ったら、たちまち自己正当化と他責に走る。弱い者が踏みにじられ、自分は可哀想だと正当化した者たちによって食い潰されてしまう。
オーパーツ対策において、それだけは絶対にしてはいけないことだった。
だからこそ、彼らに決断が迫られていた。
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