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発情期は突然に
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それからも、アンジェリカは昼間は祖国によく似た庭を散歩し、夜はユリウスが通ってくるのを布団を被って抵抗して無視する日々を繰り返していた。
未だにユールのカラスがやってこなく、だんだんと「祖国に見捨てられたのでは」という不安に駆られてくる。そもそも外の情報が全く得られない中、カラス以外に外の情報を得る手段はないのだから、頼むから早く来てほしいと願っていたが。
そんな中、ユールから「姫様」と薬を渡された。
「これは?」
「抑制剤でございます。一番強い者になる上、避妊薬も兼任しております」
「そうか……オメガは発情期になったら、避妊薬を飲まない限り必ず妊娠してしまうんだったわね」
「はい……残念ですが」
アルファが必ずオメガと番う理由のひとつに、オメガの高性能を誇る妊娠確率に寄るものが大きい。逆に言ってしまえば、子を必ず成す必要があり、オメガを完全に囲い込むことができるような権力者であったらオメガを維持できるが、一般人は男女問わず働かなければならず、三ヶ月に一度必ず発情期が来て働けない、しかもそのときに必ず妊娠してしまい、十ヶ月ほど身動きの取れなくなるオメガを維持する手段も余裕もないのだから、彼らは迫害されやすかった。
オメガが廃れてしまった原因を思いつつ、アンジェリカは複雑な気分でその薬を見ていた。
「……私、まだオメガにされてからあまり時間は経ってないわ。それでも飲まないと駄目?」
「たしかに姫様は初夜以降、殿下の渡りをずっと拒否してらっしゃいますから、まあ子を成すようなことはないかと思いますが。ですが、万が一のこともございますし……」
ユールは近くにカスパルがいないことを確認してから、そっとアンジェリカに耳打ちする。
「……まだ白狼王国は次の手段を講じているでしょう。そのとき身重になってしまっては、この国を脱出する手段はございません」
「……そうね、わかったわ」
まだ祖国である白狼王国に見捨てられてないようにと祈りながら、今までで一番苦い薬を飲んだ。
既に白夜の頃は過ぎ、夜になったら日が落ちてくれる。そのことにアンジェリカはほっとしていた。
(夜になったら、彼の顔色を見なくて済むようになってよかった……私はオメガになったばかりで心身共に弱ってしまったから、彼にすがりつきたくなる。すがりついたところで、彼は戦勝国の人間。なにかあったら私を真っ先に切り捨ててしまう人にすがったところで、どうしようもないのに……)
彼女が泣きながら訴えたとき、彼に優しい指で髪を撫でられたことを、アンジェリカは忘れたくても忘れられなかった。
彼女にアルファの性が顕現してからというもの、彼女は女とも男ともわからない扱いしかされたことがなかったし、最悪の形で初恋も終わってしまった。そのせいで彼女は、いろんなものの自身を失っていたのだから、自分でも弱くなっているとわかっている。
(……私にはついてきてくれたユールがいる。それで満足しなきゃ駄目よ。これ以上気を許しては駄目。後宮の外のことだってわからないのに、なにも変わらないわ)
そう自分を励ましていた。
白夜が終わり、獅子皇国の短い夏が訪れる。日が長くなったものの夜はやってきて、メイドが持ってきてくれた夕食を食べているとき「姫様?」とユールに心配された。
「なにかしら?」
「……姫様、風邪を引いてらっしゃいませんか? それとも、熱中症?」
「ええ?」
「汗が、ひどいようにお見受けしますが」
それを言われ、アンジェリカは気付いた。
いくら夏になったからとはいえど、夜になったら日差しも納まる。だというのに、アンジェリカの前髪が貼り付くほどの汗が噴き出て止まらないのだ。
その日の食事だって冷製スープに冷静の肉と野菜の酢の物で、体の火照りを取る料理が中心であり、体を火照らせるものがなにも入っていないのだ。
(これは……まさか)
「姫様、すぐに寝室にお戻りくださいませ。抑制剤はお飲みになりましたか!?」
「……飲んでるわ……私、狂わない? 気が狂ってしまわない?」
「落ち着いてくださいませ。すぐに殿下がいらっしゃいますから」
「嫌よ、あの人にそんなところを見せたくない!」
アンジェリカにとって、番になったあの男に発情期で出会うなんて、考えたくもないことだった。
発情期はオメガがアルファを誘惑するフェロモンを吐き出す。その間、オメガが交尾のこと以外頭に浮かぶことがなく、発情を続ける。短くて三日ほどで済むらしいが、長いときは十日間苦しむ。本来番がいる場合は十日間はただ子作りの時期となるのだが、このふたりの場合はその関係すらも危うい。
なによりも問題なのは、アンジェリカは彼に全く気持ちを赦してない中、初めての発情期を迎えようとしていたのだ。
ユールは必死に訴える。
「落ち着いてくださいませ姫様。わたくしは姫様に抑制剤を用意すること以外なにもできないのです。どうか、今は眠れるとお祈りください」
「ユール、お願い。私を眠らせて。睡眠の魔術はあるでしょう?」
「姫様。それはわたくしにはできかねます。どうか……お願いですから寝室にお入りください。今の姫様は本当に危ういのです。万が一のことがあったら、わたくしは死んでも死にきれなくなりますから」
ユールは必死で懇願する。
オメガの発情期に吐き出すフェロモンは、通常はアルファ以外を誘き寄せることはなく、番のいるオメガを襲うようなものはいないとされているが。
アルファやオメガの顕現が珍しくなった昨今だと、発情してよがり声を出し続けている女性にクラッとした男性がうっかりと夜這いを仕掛けることは珍しくない。番のいるオメガに手を出せばアルファに殺されても仕方がないのだが、滅多に顕現することがなくなってしまった関係で、これらの遺伝子的な恐怖の植え付けが伝達されなかったのだ。
アンジェリカはユールに寝室に閉じ込められると、ただシクシクと泣きはじめた。それが悲しいのか苦しいのか悔しいのかがわからない。自分が自分ではなくなると恐れているのかもわからない。
ただ泣きたくなって涙が止まらなくなり、止めどなく溢れ出して止まらなくなるのだ。
(私は……どうなってしまうの?)
そのシクシクと泣いている中、彼女の体が焦がれ、心がひたすらに拒絶するムスクの匂いが漂ってきた。
「……すごい花の匂いだな。これが発情期というものか」
ユリウスの声に、アンジェリカはますます混乱して泣きじゃくり、手当たり次第ものを投げつけはじめた。ユリウスはポイポイと投げつけてくるものを避ける。
「俺を嫌ってくれてかまわないが……体は大事ないのか?」
「来ないでください……今の私は頭がおかしくなってしまって……なんの制御もできないんです」
「それはどういう意味で?」
「私は……狂いたくない。壊れたくない……イヤ、やめて……イヤ」
なにも知らない人間からは、彼女が本当に気が狂ってしまったように見えるだろうが。番であったのならば、彼女が初めての発情期で情緒の乱気流がはじまり、それに踊らされて思考がまとまらないのが見て取れるだろう。
「お前は美しいと思うが」
「なにを思ってそんなことを……!」
「本能に逆らって必死で自我を保とうとする貴様は美しい」
「……勝手なことを」
「だがなあ、俺はそんな貴様を見ていると苦しくて仕方がなくなる。俺は求められていないのだなと」
「勝手に番にしておいて……勝手なことばかり……!」
「だが、俺はお前を助けられる」
その言葉と同時に、寝室のムスクの匂いが充満したかのようになった。その匂いに満たされた途端、今まで必死に抵抗していたアンジェリカの気が緩んでしまった。
「苦しいことはしない。貴様はただ、発情期のせいだと思っていればいい……俺も、そろそろ限界だ」
ユリウスは少しだけ苦悶に歪んだ顔を見せた。
番以外すらも狂わせる恐れのある発情期のフェロモンを一身に浴びていたのだ。ましてやユリウスは番であった。そのフェロモンが狂おしいほど愛しい。
アンジェリカはその言葉で、とうとう自身を手放してしまった。
未だにユールのカラスがやってこなく、だんだんと「祖国に見捨てられたのでは」という不安に駆られてくる。そもそも外の情報が全く得られない中、カラス以外に外の情報を得る手段はないのだから、頼むから早く来てほしいと願っていたが。
そんな中、ユールから「姫様」と薬を渡された。
「これは?」
「抑制剤でございます。一番強い者になる上、避妊薬も兼任しております」
「そうか……オメガは発情期になったら、避妊薬を飲まない限り必ず妊娠してしまうんだったわね」
「はい……残念ですが」
アルファが必ずオメガと番う理由のひとつに、オメガの高性能を誇る妊娠確率に寄るものが大きい。逆に言ってしまえば、子を必ず成す必要があり、オメガを完全に囲い込むことができるような権力者であったらオメガを維持できるが、一般人は男女問わず働かなければならず、三ヶ月に一度必ず発情期が来て働けない、しかもそのときに必ず妊娠してしまい、十ヶ月ほど身動きの取れなくなるオメガを維持する手段も余裕もないのだから、彼らは迫害されやすかった。
オメガが廃れてしまった原因を思いつつ、アンジェリカは複雑な気分でその薬を見ていた。
「……私、まだオメガにされてからあまり時間は経ってないわ。それでも飲まないと駄目?」
「たしかに姫様は初夜以降、殿下の渡りをずっと拒否してらっしゃいますから、まあ子を成すようなことはないかと思いますが。ですが、万が一のこともございますし……」
ユールは近くにカスパルがいないことを確認してから、そっとアンジェリカに耳打ちする。
「……まだ白狼王国は次の手段を講じているでしょう。そのとき身重になってしまっては、この国を脱出する手段はございません」
「……そうね、わかったわ」
まだ祖国である白狼王国に見捨てられてないようにと祈りながら、今までで一番苦い薬を飲んだ。
既に白夜の頃は過ぎ、夜になったら日が落ちてくれる。そのことにアンジェリカはほっとしていた。
(夜になったら、彼の顔色を見なくて済むようになってよかった……私はオメガになったばかりで心身共に弱ってしまったから、彼にすがりつきたくなる。すがりついたところで、彼は戦勝国の人間。なにかあったら私を真っ先に切り捨ててしまう人にすがったところで、どうしようもないのに……)
彼女が泣きながら訴えたとき、彼に優しい指で髪を撫でられたことを、アンジェリカは忘れたくても忘れられなかった。
彼女にアルファの性が顕現してからというもの、彼女は女とも男ともわからない扱いしかされたことがなかったし、最悪の形で初恋も終わってしまった。そのせいで彼女は、いろんなものの自身を失っていたのだから、自分でも弱くなっているとわかっている。
(……私にはついてきてくれたユールがいる。それで満足しなきゃ駄目よ。これ以上気を許しては駄目。後宮の外のことだってわからないのに、なにも変わらないわ)
そう自分を励ましていた。
白夜が終わり、獅子皇国の短い夏が訪れる。日が長くなったものの夜はやってきて、メイドが持ってきてくれた夕食を食べているとき「姫様?」とユールに心配された。
「なにかしら?」
「……姫様、風邪を引いてらっしゃいませんか? それとも、熱中症?」
「ええ?」
「汗が、ひどいようにお見受けしますが」
それを言われ、アンジェリカは気付いた。
いくら夏になったからとはいえど、夜になったら日差しも納まる。だというのに、アンジェリカの前髪が貼り付くほどの汗が噴き出て止まらないのだ。
その日の食事だって冷製スープに冷静の肉と野菜の酢の物で、体の火照りを取る料理が中心であり、体を火照らせるものがなにも入っていないのだ。
(これは……まさか)
「姫様、すぐに寝室にお戻りくださいませ。抑制剤はお飲みになりましたか!?」
「……飲んでるわ……私、狂わない? 気が狂ってしまわない?」
「落ち着いてくださいませ。すぐに殿下がいらっしゃいますから」
「嫌よ、あの人にそんなところを見せたくない!」
アンジェリカにとって、番になったあの男に発情期で出会うなんて、考えたくもないことだった。
発情期はオメガがアルファを誘惑するフェロモンを吐き出す。その間、オメガが交尾のこと以外頭に浮かぶことがなく、発情を続ける。短くて三日ほどで済むらしいが、長いときは十日間苦しむ。本来番がいる場合は十日間はただ子作りの時期となるのだが、このふたりの場合はその関係すらも危うい。
なによりも問題なのは、アンジェリカは彼に全く気持ちを赦してない中、初めての発情期を迎えようとしていたのだ。
ユールは必死に訴える。
「落ち着いてくださいませ姫様。わたくしは姫様に抑制剤を用意すること以外なにもできないのです。どうか、今は眠れるとお祈りください」
「ユール、お願い。私を眠らせて。睡眠の魔術はあるでしょう?」
「姫様。それはわたくしにはできかねます。どうか……お願いですから寝室にお入りください。今の姫様は本当に危ういのです。万が一のことがあったら、わたくしは死んでも死にきれなくなりますから」
ユールは必死で懇願する。
オメガの発情期に吐き出すフェロモンは、通常はアルファ以外を誘き寄せることはなく、番のいるオメガを襲うようなものはいないとされているが。
アルファやオメガの顕現が珍しくなった昨今だと、発情してよがり声を出し続けている女性にクラッとした男性がうっかりと夜這いを仕掛けることは珍しくない。番のいるオメガに手を出せばアルファに殺されても仕方がないのだが、滅多に顕現することがなくなってしまった関係で、これらの遺伝子的な恐怖の植え付けが伝達されなかったのだ。
アンジェリカはユールに寝室に閉じ込められると、ただシクシクと泣きはじめた。それが悲しいのか苦しいのか悔しいのかがわからない。自分が自分ではなくなると恐れているのかもわからない。
ただ泣きたくなって涙が止まらなくなり、止めどなく溢れ出して止まらなくなるのだ。
(私は……どうなってしまうの?)
そのシクシクと泣いている中、彼女の体が焦がれ、心がひたすらに拒絶するムスクの匂いが漂ってきた。
「……すごい花の匂いだな。これが発情期というものか」
ユリウスの声に、アンジェリカはますます混乱して泣きじゃくり、手当たり次第ものを投げつけはじめた。ユリウスはポイポイと投げつけてくるものを避ける。
「俺を嫌ってくれてかまわないが……体は大事ないのか?」
「来ないでください……今の私は頭がおかしくなってしまって……なんの制御もできないんです」
「それはどういう意味で?」
「私は……狂いたくない。壊れたくない……イヤ、やめて……イヤ」
なにも知らない人間からは、彼女が本当に気が狂ってしまったように見えるだろうが。番であったのならば、彼女が初めての発情期で情緒の乱気流がはじまり、それに踊らされて思考がまとまらないのが見て取れるだろう。
「お前は美しいと思うが」
「なにを思ってそんなことを……!」
「本能に逆らって必死で自我を保とうとする貴様は美しい」
「……勝手なことを」
「だがなあ、俺はそんな貴様を見ていると苦しくて仕方がなくなる。俺は求められていないのだなと」
「勝手に番にしておいて……勝手なことばかり……!」
「だが、俺はお前を助けられる」
その言葉と同時に、寝室のムスクの匂いが充満したかのようになった。その匂いに満たされた途端、今まで必死に抵抗していたアンジェリカの気が緩んでしまった。
「苦しいことはしない。貴様はただ、発情期のせいだと思っていればいい……俺も、そろそろ限界だ」
ユリウスは少しだけ苦悶に歪んだ顔を見せた。
番以外すらも狂わせる恐れのある発情期のフェロモンを一身に浴びていたのだ。ましてやユリウスは番であった。そのフェロモンが狂おしいほど愛しい。
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