7 / 165
序章
7
しおりを挟む
あれから数日後。
私は国境の街メイデンに来た。
乗り合い馬車は………クッションなしじゃ座れない。
おしりがうごぉっと言いたくなるぐらいである。
少し値を上げるとお尻痛くないあまり揺れが少ないといわれてる馬車もあるが低層の貴族が乗る事もあるらしく女性は絡まれたら厄介なのよねとおばさんたちが娘に溢していたのを聞いて諦めた。
おばさんたちが使ってない服を丸めてクッションにすると良いわよと教えてくれたので、そうしている。
小国郡行きの乗り合い馬車はどこだ。
「もうすぐ出発しますーお急ぎの方は気をつけてください」
「あの!どこ行きです?」
「カルーメ国に入った後小国郡を回るルートですね。値段はこちらから。」
木版に刻まれた各国までの値段を見て高めだが、乗ろうと決意した。
「乗ります!」
「はいよー、あそこの幌馬車だよ」
私は走って、幌馬車に乗り込んだ。
中は思ったより人がいる。
私の様なローブを着込んだ人やいかにも冒険者だといわんばかりの鞘に入った剣所持いる人物。
吟遊詩人だろうか、竪琴を手入れしている男性など幅広い。
私はローブを着込んだ人の隣が空いていたのでその端に乗り込む。
しばらくしてごどんごとんと進み出した。
長閑な風系が続くと馬車が停止した。
「これから国境を超えます。資金の準備お願いしますねー」
兵士がひとりまたひとりと資金を税を巻き上げていく。
私も貨幣を渡した。
渡した後微かに遠くから懐かしい匂いがしたのは錯覚かと目を閉じた。
一目でいい。
遠くから少しだけでも姿を見たら諦めようと思った。
あの人…ユリウスは着ていた格好からしてかなり良い仕立ての服を着ていた。
私は庶民だ。良い所の豪商よりは、貴族様に見える。そんな無謀をする程私はがんばれない。
有益な姫とくっついた方が良いと頭の片隅ではわかっている。
…だけど、ユリウスに会いたい。
会って抱きしめて欲しいと思ってしまうはしたない自分もいた。
なんでだろう。
会った事一回しかないのに。
これが番という呪縛ゆえなのか。
その手をとれば苦労するのは目に見えてるのに。
だから、一目会えたらそれで諦める。
それを決めた時に心が張り裂ける様に傷んだのは気にしないふりをした。
心の壺の奥底足蹴りして押し込み蓋をギュッと閉めた。
あれなら小国郡を回った後、幌馬車を乗り換えてようやくシンフォニア行きの馬車に乗る。
ん?
幌馬車の中でなんか懐かしい匂いがする。
さっきよりも近い。
気のせいか?
私はぎこちなくなったがとりあえず端に座り込む。
幌馬車の中にはマッチョの吟遊詩人一人、人族の若い冒険者風の子供(同じ年ぐらい)、ローブの男性?。
先頭に子供、後方右私、後方挟んで左に吟遊詩人。少し離れた隣にローブの人。
さっきからローブの人の青い瞳と視線が合う。
というかものすごいガン見してくる。
あれ。
私臭いかなとかなんか朝食べたパンくずついてるとか私は口元を撫でても何もない。
匂いは…わからない。
人気のない道端か宿屋につかないとさすがにホーム戻れない。
いたたまれないな。
私は膝に顔を埋もれながら馬車の揺れる眠気に負けた。
「シンフォニアの国境超えるので準備お願いしますねー」
ハッとして私は貨幣を取り出して準備する。
あれ
少し離れた位置だったのに、かなり近い距離にローブの人が来てる。
もうすごく距離が近い。いつのまにか隣にきてた。
よりかかってしまったようだ。
そして、更に匂いが近い。
え?
まさか、いやまさか。
どくんどくんと高鳴る心臓。
いや、偶然かもしれない。
そういう香水かもしれない。
「すみませんっ」
「いや…だい」
もっと会話してみたいと思ったが男性が喋っていた途中で箱を持った回収の兵士がきてしまい、貨幣を渡しながら、ぐるぐると妄想してしまう。
もし彼だったらと。
遠くに見えてきた森林や川が美しく、なぜか空気が変わった気さえしてくる。
まるで故郷に帰ってきた様な安心感さえする。
シンフォニア竜王国。
古い時代から続く歴史ある国。
ゲーム時代もたくさんの冒険があって遺跡も数多い。
……でもゲーム時代のシアはほぼフードをかぶっていて、首から下はかなりいつも詰められた服装で誰にも竜人族と言わない事が多かった。
今思えば、銀竜だからなのかな。
そんな事を考えながら馬車を降りる。
国境の街パートファドに入るための列に並ぶ。
匂いは後方から来てる。
やはり…あのローブの人だ。
香水なのか。
それとも。
どくんどくんと高鳴る心臓。
並んでいるとトントンと肩を軽く叩かれて振り返ればローブの人が近寄る。
「君は……」
「あの…」
言いたい。
名前を教えてと。
はくはくとする口。
「…ユリウス?」
「シアだよね?」
目を見開いて、私は口元を抑える。
うそだ。
そんなこんなに簡単に会えるなんて。
一目で遠くからで良いと思っていたのに。
ユリウスの青の瞳からぽたっと涙が溢れた。
「会いたかった、ずっと探していたんだ。」
「……ようやく……来れたの。」
ユリウスは私の手を取り、引っ張って列から離れて行く。
「え?…ユリウス街へ入らないの?」
「こっちはやく。」
なぜに?
と思っていたがどんどん小麦畑の間の道を進み、街とは離れていく。
村でもあるのか?
そんな事を思っていたら、とうとう人気のない草原まで来た。
「ユリウス?どうしてここに。」
「これから移動する。竜化したら背中に乗って握って。」
彼はそういって荷物を腕輪の中へぽいぽいと軽く入れていき、小さくなにか言うとぐんぐんと金色の竜へと変わった。
太陽に照らされた光沢を持った金色のウロコと巨大な翼が開く。
その翼は今まで私がみたゲームの中の大型の飛竜の中でも、たぶん一二を争う綺麗さと強靭さを兼ね備えているだろう。
王冠の様に頭部に突起した角は純白色や黄金に輝き、うっとりする。
巨大な爪は敵対した者を簡単に切り裂くのだろう。
太陽の光を浴び虹色に輝く翼膜を広げた姿は空の王者と言われても頷ける程に美しい。
私は言われた通り、登れと言わんばかりの低くしてくれてる所から登り、背中にある毛を掴む。
ばさっと翼を広げて、魔力の気配がしたと思ったら大空に助走つけて駆け上がっていく。
空高いからか寒いけど、毛並みが暖かいのでなんとか耐えられる。
ゲーム時代は竜化は無かったので、とても驚いた。
こんなに空を駆ける姿はかっこよくて、自由なものなのだ。
自分で飛んだらどこまでも駆けたくなるだろう。
どんどん流れて行く風景に、優雅に同じく番で飛行してる竜がいたりして、あんな風にいつの日かなれたらいいなと思っていた。
この時私はそう呑気にそんな事を思っていたのである。
ばさばさっと高度を低くしていく。
高い塔と広い何もない広場や大きい城など今までのそういえば最短で向かっていたので王都とかは行かなかったなと今思い出した。
なにもない広場は竜化したものが降り立つ為の飛行場なのかとようやく理解した。
さすが竜王国。
どすんと着地すると広場にいた少数の人々の視線とひそひそと囁く声。
なにかまずかったかなと少し不安になる。
というか………
私…
名前しか知らない人に呑気に運ばれてる。
ここどこだ。
ちょっと危ないのでは。
今さら危険に気がついた。
私はそろそろと降りると少し無意識に離れると、竜化したユリウスがきゅるると可愛い声を上げたのでびくりと止まる。
ジッと生温い視線。
どこへ行くの?
と言いたげである。
私は苦笑いした。
今更危険なことに気がつきましたとは言い難い。
というかあの声は卑怯だ。
心がギュッと掴まれる声。
竜化かは人の形へと変わると服が自然に変わって着込まれていくのは見てて面白い。
ユリウスはこっちへ駆けてきて抱きしめられる。
「ねぇ…なんでそんなに離れているの?」
「いえ一応離れただけだし。」
なにか不満げなうなり声を出して彼に、抱きしめられているためか、良い匂いがすごいする。
酔ってしまいそうだ。
もっと。もう少しだけでいいから。
ふわふわとした感覚になってきたと思っていたら、足元がふらつく。
まるで酔っ払いの様な足元の不安定さに内心驚いた。
なんでこんなにも、おかしくなっているんだ。
ひょいとお姫様抱っこされる。
「!?」
「手続きするから運ぶよ。」
だめだ、匂いが。
息をすると匂いが入り込み、多幸感がすごいする。
思考を鈍らせる。
お酒を飲んでいる様な。
酩酊感。
近いはずなのに、遠くで喋っているようだ。
「……あぁ、それで…」
ぐらぐらとする視界、私はとうとう意識を失った。
私は国境の街メイデンに来た。
乗り合い馬車は………クッションなしじゃ座れない。
おしりがうごぉっと言いたくなるぐらいである。
少し値を上げるとお尻痛くないあまり揺れが少ないといわれてる馬車もあるが低層の貴族が乗る事もあるらしく女性は絡まれたら厄介なのよねとおばさんたちが娘に溢していたのを聞いて諦めた。
おばさんたちが使ってない服を丸めてクッションにすると良いわよと教えてくれたので、そうしている。
小国郡行きの乗り合い馬車はどこだ。
「もうすぐ出発しますーお急ぎの方は気をつけてください」
「あの!どこ行きです?」
「カルーメ国に入った後小国郡を回るルートですね。値段はこちらから。」
木版に刻まれた各国までの値段を見て高めだが、乗ろうと決意した。
「乗ります!」
「はいよー、あそこの幌馬車だよ」
私は走って、幌馬車に乗り込んだ。
中は思ったより人がいる。
私の様なローブを着込んだ人やいかにも冒険者だといわんばかりの鞘に入った剣所持いる人物。
吟遊詩人だろうか、竪琴を手入れしている男性など幅広い。
私はローブを着込んだ人の隣が空いていたのでその端に乗り込む。
しばらくしてごどんごとんと進み出した。
長閑な風系が続くと馬車が停止した。
「これから国境を超えます。資金の準備お願いしますねー」
兵士がひとりまたひとりと資金を税を巻き上げていく。
私も貨幣を渡した。
渡した後微かに遠くから懐かしい匂いがしたのは錯覚かと目を閉じた。
一目でいい。
遠くから少しだけでも姿を見たら諦めようと思った。
あの人…ユリウスは着ていた格好からしてかなり良い仕立ての服を着ていた。
私は庶民だ。良い所の豪商よりは、貴族様に見える。そんな無謀をする程私はがんばれない。
有益な姫とくっついた方が良いと頭の片隅ではわかっている。
…だけど、ユリウスに会いたい。
会って抱きしめて欲しいと思ってしまうはしたない自分もいた。
なんでだろう。
会った事一回しかないのに。
これが番という呪縛ゆえなのか。
その手をとれば苦労するのは目に見えてるのに。
だから、一目会えたらそれで諦める。
それを決めた時に心が張り裂ける様に傷んだのは気にしないふりをした。
心の壺の奥底足蹴りして押し込み蓋をギュッと閉めた。
あれなら小国郡を回った後、幌馬車を乗り換えてようやくシンフォニア行きの馬車に乗る。
ん?
幌馬車の中でなんか懐かしい匂いがする。
さっきよりも近い。
気のせいか?
私はぎこちなくなったがとりあえず端に座り込む。
幌馬車の中にはマッチョの吟遊詩人一人、人族の若い冒険者風の子供(同じ年ぐらい)、ローブの男性?。
先頭に子供、後方右私、後方挟んで左に吟遊詩人。少し離れた隣にローブの人。
さっきからローブの人の青い瞳と視線が合う。
というかものすごいガン見してくる。
あれ。
私臭いかなとかなんか朝食べたパンくずついてるとか私は口元を撫でても何もない。
匂いは…わからない。
人気のない道端か宿屋につかないとさすがにホーム戻れない。
いたたまれないな。
私は膝に顔を埋もれながら馬車の揺れる眠気に負けた。
「シンフォニアの国境超えるので準備お願いしますねー」
ハッとして私は貨幣を取り出して準備する。
あれ
少し離れた位置だったのに、かなり近い距離にローブの人が来てる。
もうすごく距離が近い。いつのまにか隣にきてた。
よりかかってしまったようだ。
そして、更に匂いが近い。
え?
まさか、いやまさか。
どくんどくんと高鳴る心臓。
いや、偶然かもしれない。
そういう香水かもしれない。
「すみませんっ」
「いや…だい」
もっと会話してみたいと思ったが男性が喋っていた途中で箱を持った回収の兵士がきてしまい、貨幣を渡しながら、ぐるぐると妄想してしまう。
もし彼だったらと。
遠くに見えてきた森林や川が美しく、なぜか空気が変わった気さえしてくる。
まるで故郷に帰ってきた様な安心感さえする。
シンフォニア竜王国。
古い時代から続く歴史ある国。
ゲーム時代もたくさんの冒険があって遺跡も数多い。
……でもゲーム時代のシアはほぼフードをかぶっていて、首から下はかなりいつも詰められた服装で誰にも竜人族と言わない事が多かった。
今思えば、銀竜だからなのかな。
そんな事を考えながら馬車を降りる。
国境の街パートファドに入るための列に並ぶ。
匂いは後方から来てる。
やはり…あのローブの人だ。
香水なのか。
それとも。
どくんどくんと高鳴る心臓。
並んでいるとトントンと肩を軽く叩かれて振り返ればローブの人が近寄る。
「君は……」
「あの…」
言いたい。
名前を教えてと。
はくはくとする口。
「…ユリウス?」
「シアだよね?」
目を見開いて、私は口元を抑える。
うそだ。
そんなこんなに簡単に会えるなんて。
一目で遠くからで良いと思っていたのに。
ユリウスの青の瞳からぽたっと涙が溢れた。
「会いたかった、ずっと探していたんだ。」
「……ようやく……来れたの。」
ユリウスは私の手を取り、引っ張って列から離れて行く。
「え?…ユリウス街へ入らないの?」
「こっちはやく。」
なぜに?
と思っていたがどんどん小麦畑の間の道を進み、街とは離れていく。
村でもあるのか?
そんな事を思っていたら、とうとう人気のない草原まで来た。
「ユリウス?どうしてここに。」
「これから移動する。竜化したら背中に乗って握って。」
彼はそういって荷物を腕輪の中へぽいぽいと軽く入れていき、小さくなにか言うとぐんぐんと金色の竜へと変わった。
太陽に照らされた光沢を持った金色のウロコと巨大な翼が開く。
その翼は今まで私がみたゲームの中の大型の飛竜の中でも、たぶん一二を争う綺麗さと強靭さを兼ね備えているだろう。
王冠の様に頭部に突起した角は純白色や黄金に輝き、うっとりする。
巨大な爪は敵対した者を簡単に切り裂くのだろう。
太陽の光を浴び虹色に輝く翼膜を広げた姿は空の王者と言われても頷ける程に美しい。
私は言われた通り、登れと言わんばかりの低くしてくれてる所から登り、背中にある毛を掴む。
ばさっと翼を広げて、魔力の気配がしたと思ったら大空に助走つけて駆け上がっていく。
空高いからか寒いけど、毛並みが暖かいのでなんとか耐えられる。
ゲーム時代は竜化は無かったので、とても驚いた。
こんなに空を駆ける姿はかっこよくて、自由なものなのだ。
自分で飛んだらどこまでも駆けたくなるだろう。
どんどん流れて行く風景に、優雅に同じく番で飛行してる竜がいたりして、あんな風にいつの日かなれたらいいなと思っていた。
この時私はそう呑気にそんな事を思っていたのである。
ばさばさっと高度を低くしていく。
高い塔と広い何もない広場や大きい城など今までのそういえば最短で向かっていたので王都とかは行かなかったなと今思い出した。
なにもない広場は竜化したものが降り立つ為の飛行場なのかとようやく理解した。
さすが竜王国。
どすんと着地すると広場にいた少数の人々の視線とひそひそと囁く声。
なにかまずかったかなと少し不安になる。
というか………
私…
名前しか知らない人に呑気に運ばれてる。
ここどこだ。
ちょっと危ないのでは。
今さら危険に気がついた。
私はそろそろと降りると少し無意識に離れると、竜化したユリウスがきゅるると可愛い声を上げたのでびくりと止まる。
ジッと生温い視線。
どこへ行くの?
と言いたげである。
私は苦笑いした。
今更危険なことに気がつきましたとは言い難い。
というかあの声は卑怯だ。
心がギュッと掴まれる声。
竜化かは人の形へと変わると服が自然に変わって着込まれていくのは見てて面白い。
ユリウスはこっちへ駆けてきて抱きしめられる。
「ねぇ…なんでそんなに離れているの?」
「いえ一応離れただけだし。」
なにか不満げなうなり声を出して彼に、抱きしめられているためか、良い匂いがすごいする。
酔ってしまいそうだ。
もっと。もう少しだけでいいから。
ふわふわとした感覚になってきたと思っていたら、足元がふらつく。
まるで酔っ払いの様な足元の不安定さに内心驚いた。
なんでこんなにも、おかしくなっているんだ。
ひょいとお姫様抱っこされる。
「!?」
「手続きするから運ぶよ。」
だめだ、匂いが。
息をすると匂いが入り込み、多幸感がすごいする。
思考を鈍らせる。
お酒を飲んでいる様な。
酩酊感。
近いはずなのに、遠くで喋っているようだ。
「……あぁ、それで…」
ぐらぐらとする視界、私はとうとう意識を失った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
77
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる