愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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紅蓮の烈火の章

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「そうだったのね……」

ユリウスを抱きしめた。
私はユリウスの温かな体温にホッと落ち着いた。

「約束したから……それでも俺と一緒に居てくれるよな?」

離したくないと彼は私を強く抱きしめた。

「ユリウスが好きだもの。離れたくないわ。」
「うん……ありがとう。」


背中を撫でて私はでもと続けた。

「だから……私以外を好きにならないで。私以外の女性を屋敷に誰かを側におかないで。私もリディアみたくなりたくないの。私も浮気されたら……耐えられないわ。」
「俺は絶対にしないから安心して。君が一番だから。」
「ユリウス、ありがとう。」

それに俺達は既に身体を繋げたろ?と耳元で囁かれてそうだけど、講師に教えられた抜け道を思い出した。

ユリウスには聞きにくくて、講師になんでそうなったか聞いた事がある。
なぜ過去の竜人族が執事やメイドなど近くに置かない理由。

ユリウスは知っているのか知らないのかはわからないけど。

とある人族の使用人は主人を好きになったが相手には身体を繋げた番がいた。
その相手が故郷に帰郷して留守の間に媚薬と竜人族でも酔うとされる酒と竜人族の力でも壊れない特殊な鎖を用いて、相手を唆して番の相手だと思わして一夜を共にした。

結果その使用人は身籠り、帰宅した番は自分以外を抱いたとしり、使用人を殺し、姿を消したという。

全員が碌な結末を得なかったその事件は有名になり、それからずっと避けられている。

使用人の面汚しとして周りからかなり迫害され、その一家に連なる家系は隣国へ亡命したと聞いた。

劇場でも教訓として悲恋の話として劇にもなっているらしい。

「シア、どうしたの?」
「ううん、あのね。まだあのチケットの劇見てないの。あれいらなかったら捨ててって言われて貰ったのよ。でももうすぐ終わるって言ってたから、次は帝国だったかな。だから見れないかもだけど。」
「良かった。誰かと見に行ったか、それとも一人で行く予定だったのかと焦った。」
「チケットちゃんとしまったのに、落ちてるなんて私失敗しちゃったな……」
「シア、帝国行きたい?」

え?と思ってユリウスの顔を見ると青の瞳は優しげに私を見ていた。

「行けるなら行きたい。劇もだけど、素材とか色々集めたいの。帝国しかないお菓子とか食材もそうだけど。」
「……少し今情勢が優れないから危険な面もあるから大手を振っては観光できないけど、こっそり行こうか。」
「良いの!?やったぁ」

帝都も行きたいし、辺境にありそうな素材も欲しい。
ユリウスとのんびり歩いたり、普通に過ごしたい。
私は色々な事を考えてワクワクして笑う。

「その代わり、俺の言う事はちゃんと聞いて従って。俺から絶対に離れないで。」
「それは勿論、ユリウスとずっと一緒よ。」
「後、竜人族だという事は隠して行くからな。俺達は珍しいから竜人族だと知れたら旅は終了だ。これから卒業までは公務も減らせるし。その代わり奉納祭再来年は出る事になってしまったけどな。」
「え?どうして?」

焦って身体を離して理由を聞いた。
なにか起きたのだろうか。
確かに書類作業以外の公務はしないといけないとは思うけど。

「再来年はヴィーラント王太子夫妻は帝国に招かれているらしく外遊予定らしいし、従姉妹のイルゼはその頃には王族から降嫁してるからな。まだローベルトは学生で若すぎるし、相手が不在で下手に決められない。ヨハン竜王夫妻はもう高齢だから外されるとしたら、俺しか居なくなったという訳だ。その頃には王室離脱したいけどな。とりあえず……式典の公務もしなくちゃいけなくなったという訳だ。相手も……婚約者のシアがいるから。」

そう言って私の胸に顔を埋めて、頬擦りしないで欲しいけど。

真面目な話をしていたのに、恥ずかしい。

チュッとキスしたり舐めたりされて、ふつふつとこそばゆくなり、快楽が突き抜ける。

「ユリウスッ……もうだめって……あんなたしたのにっ」
「えっ俺もうできるよ?シアはしたくないのか?」

ユリウスは胸元から顔を外して、耳元へ顔を近ずけて耳元で囁かれた。

「私はもう満ち足りましたッ」

風呂に入りたいと体液でぐっちょりとした身体を洗いたいと思い、彼から退き、バスルームへ逃げた。

――――――――――――――


あれから数日後……


なるべく見つからない様に私達は竜化して高高度を飛び、人に見つからない様な帝国の辺境に降り立った。

私は羽ばたいて草原に降り立つ。

ユリウスの金竜目の前に降り立ち、きゅるると言いながら、首を絡ませてきて私もその声に惹かれて首を擦り付ける。
逆鱗に彼の鱗がくっついた時にびくんっとなにかとてつもない気持ち良さに震える。

なんだこれ。

きゅぁぁ

自分とは考えられない様な竜化時の求愛の様な甘く媚びる様な声と共に尻尾の付け根の腹下方がパクンと開いた気がしてむずむずとした。

それを見て金竜はぎゅるると尻尾を絡ませてきた。
尻尾が絡み合うとまるで足りなかったものがぴったりハマる様な充足感に満ち足りて気持ち良過ぎて失うのが怖いぐらいだった。
金竜が背後に回ろうとしていたので私はなぜかとても危険が気がして急いで竜化を解いた。


シュルンと縮んで服が装着され、肩掛けカバンを腕輪から出した。

目の前を見たら金色に光る鱗と銀色に光る鱗が目に映り、私はそれらを腕輪の中にいれた。
ふと後方をみると同じくユリウスが人の姿へと変わった。

「もう戻ったの?竜の姿でもヤってみたかったな。」
「………やっぱり危なかったじゃない。私は嫌だって。」
「シア、竜の姿でするのは以外と竜人族では時々する人はいるし。普通だよ?」
「でも、そのね……やり方知らないし。」
「俺が教えるから大丈夫だって。竜になっていると人の姿とは違って入れる穴は一つ。シアの総排泄孔……通称竜穴に俺の……普段は尾の付け根あたりに収納されているけど、アレを入れるんだ。竜になっている時はかなり特徴的な形してるけど、気にしないで。入ったら運良ければ何日間も合体したままで過ごすんだ。かなりノンストップで止まらない快楽があるらしい。」
「……それって!?」
「竜は特殊だから、他の獣人族とかのトカゲとか蛇の種族とは違う形らしいけど、少し似てる。」
「したら動けなくなっちゃうから、ユリウスったらっ」

私はじめっと睨む。
さっき、尾を絡めて背後に回ろうとしていたのはしようとしていたのかと理解した。

「竜化して交尾すると妊娠確率も少し上がるからな。産まれてくる子は勿論、竜人族だから安心していい。」
「ユリウスッもう知らないっ」

にたにたと笑っているユリウスを見て、私はせっかく来た帝国で普通の草原でヤろうとしていたのを怒って林の中へ駆けた。
まるでさっきの私の竜の声はまるで獣の様に求めてしまったこと、それをユリウスに聞かれてしまった事に恥ずかしさが止まらない。
フードを深く被り、歩いた。

「シアッだめって1人行動はしないって約束だろ?」

ガシッと肩とお腹を背後にから抱えられて止められた。

「……約束忘れてたわ、ごめん。でもまだ竜化の状態ではしたくないの。心構えも準備も場所も。それは許して。」
「わかった、確かに俺もつい君の竜化している時の感じた可愛いらしい声に惹かれて気が流行った、ごめん。」
「うん……」

私はユリウスと一緒に少し帝国にしかない素材を手に入れたいと言って、2人で林の中へ入っていった。

……わかってはいる。
講師から一部の熱狂的なコアな客層の為、竜化したまま愛し合う為の広大なリゾート地サザンクロス諸島があるという事を聞いている。

青い海と白い砂浜。
誰もがまず想い描くのは、純粋で無垢な楽園や天国、理想郷。
豊かな花々の色彩あふれる美しい光景。
奥へと行けば緑豊かな大地がある。

そこは魔獣が出る頻度も少なく、他の客と出会わない様にする為に一定の島から外へを移動しない事を約束するらしい。

魔獣いなくて、他の人にも見られないのなら良いかと考えてしまった自分もちょっとうぐっと変だと思ってはいる。


どこでも生えているものを除いて、探しまわり私は時折飛んでくる虫に無理無理とユリウスの後ろに隠れて払ってもらったりして笑い合った。

「ここは、これぐらいで良いかな。」

後で街についたら古城に荷物を置いてこようと思い、素材を麻袋や瓶にしまってカバンにしまう。

林からでて草原を歩いた。

「そういえば、こうして外をユリウスと歩くのって初めてよね?」
「あぁ、確かに。でもどうした?」
「いや、なんでもないわ。」

私はなんでもない事さえ嬉しく感じた。
彼の左側を歩いて顔を見せない様に遠くを眺める。
今までずっとベッド……の上か、屋敷とか街中しか一緒にいる事が多く、ごく普通の事さえ楽しい。

「今日の天気は崩れるかもな。」

ユリウスの声でユリウスが見ていた方向へ視線を向けると山脈の上に笠雲がかかり、冷たい風が吹いてきた。

ユリウスは少し残念そう言った。
私は近くに村か街はないかと思っているが、遠くに家々が見えた。

「あそこに村があるわね。行ってみる?」
「あぁ、ついでに大きい街への道も聞いてみよう。俺達は採取してて道に迷った設定にするからな。」
「うん。それでいいわ。」
「後は講師の方で習ってはいるかもしれないが一応な。アカネート帝国のことだが、チャーリー・サンティマ・サザランド皇帝が元首だ。赤地に大木と剣と星が特徴的な国旗だ。サザランド皇家がエルフ族という長命種族だから竜王国と親睦の深い関係ではある。サザランド皇家とは会う事はないとは無いとは思うがな。」

ユリウスのそういった時の瞳は昏い。

「教えてくれて、ありがとうね。」

私は少し心配してユリウスの頬に軽くキスをして、礼を言った。

ぽかんとした彼の顔が可愛いと思って私は笑い、その後は道端で咲く花や帝国の事で笑い合ったり、新たな事を知ったりして楽しんだ。

ユリウスと一緒にいれて楽しい。
ずっと一緒に居れたらいいな。

剣を腰につけて、横を歩くユリウスの姿を見ながらそう思った。

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